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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

法制局のふぬけもの。 soulless fellows of the legislative bureau

2016-03-17 19:43:54 | 日記
 (1)法制局長官が安倍内閣の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認を決めた従来の法制局判断とは異なる憲法解釈に対して、局内検討で異議を唱えなかった経緯を公文書管理法にもとづき記録し文書として残すことをしてこなかったことについて「記録係ではない」(報道)と発言してこれを正当化してみせた。

 記録係でなければ、何なのか。法制局は国家公務員組織として政府法案などが憲法に適合しているかの判断をするところで、憲法の番人とも呼ばれている。
 憲法をどう変えるのかの検討ではなくて、現行憲法を維持してあらゆる法案などが憲法に適正に対処されているのかをチェックする機関だ。

 (2)憲法第9条の国際紛争を解決する手段としての戦力を保持せずに交戦権を有しない条項は、あくまで日本(領土)が他国から攻撃された場合に反撃する手段としての個別的自衛権の範囲内のものというのが憲法上の容認解釈であり、軍事同盟国が攻撃された場合に共同で相手国と戦う集団的自衛権は有しないというのが安倍政権前までの法制局の判断だった。

 安倍政権はこの従来からの憲法解釈を変更して、限定的と称して(実は際限のない拡大性解釈)集団的自衛権の行使容認による安保法制の制定のために、法制局長官に同容認派の人物をすえて法制局のこれまでの憲法解釈をなし崩しにして安保法制を強行成立させた。

 (3)多くの憲法学者、国民の過半数が憲法違反と主張する中での強行成立だった。で、問題は法制局が局内でどういう議論でこれまでの集団的自衛権の行使が憲法第9条に違反しているという憲法解釈を変更したのかが問われた際に、法制局内での検討、議論内容が公文書管理法にもとづいてほとんど記録され文書化されていないことが判明した。

 公文書管理法では「現在と将来の国民に説明する責務」が明記されており、歴史の検証(verification)に耐えうる経緯、経過のエビデンス(evidence)として記録し文書化することが求められているが、法制局長官は必要に応じてそれぞれの部署が判断することだとして必要ないと考えた趣旨の発言をして冒頭の「記録係でない」発言となった。

 (4)公文書管理法の解釈までそれを積極的に遵守する立場にある国家公務員組織が政府の意向に添って都合よく変更していた。これでは国家行政機能、統治機能が正当に働くはずはない。

 こういった政府、行政機関の「はみ出し」を法規定、法文(laws and regulations)の適正な適用能力でチェックし、正すことこそが法制局の重要な役割なのだ。

 (5)こうして安倍政権と法制局が都合よく憲法解釈を変更容認して成立させた安保法制は、閣議決定の上に29日にも施行する。強行成立させた安保法制はこれから施行後に問題を抱えると書いた。

 これを実行する自衛隊組織は制服組の権限を強化して背広組のチェック機能が後退することになり、文民統制のインバランス(imbalence)が進み、幹部候補生が卒業後民間就職する傾向に隊員の人材確保、危険任務の資質、能力、心構えに不安は残り、自衛隊が安保法制任務を問題なく遂行できるかは不透明だ。

 (6)一方で自衛隊の安保法制任務の目的、範囲については国会、国民の監視は欠かせない。昨年末の市民による安保法制の違憲提訴は、まだ法律施行前ということもあり訴える利益がないとして門前払いになったが、施行後は事例に則して違憲訴訟が進みことあるごとに司法による憲法判断が求められることも考えられる。

 司法が憲法判断と防衛に関する高度な政治判断との比重をどう裁定するのか注目される。最近は国会の政治対応、決断の遅れ、先延ばしから司法による行政に踏み込んだ厳しい判断、裁定もみかけるようになってきた。

 (7)憲法の番人といわれる法制局が安倍政権にすっかり取り込まれている(soulless the legislative bureau)中で、国会、国民、司法の役割、監視は重要な意味を持つ。

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