今年も暑い夏でしたが、秋の気配が漂い始めて、ムクゲ
の花も元気を取り戻したように、心なしか花数が多く
なったように見えます。
アオイ科のこの花には、Syriacus とシリアの名が
付いていますが、原産は中国から中近東で、必ずしも
シリアが原産地であるわけではありません。
初夏から咲き始めて秋まで、花の命は長く、ここから
無窮花、ムクゲの和名がついたそうです。
韓国ではこの「ムグンファ」が国花になっています。
万葉時代から日本国内で自生していて、朝顔の名前で
万葉集にも登場していますが、今では、この朝顔は
キキョウ説が有力です。
朝咲いて夕方には萎むムクゲが、夕方になっても
咲いている歌があるからです。
朝顏は 朝露負ひて 咲くといへど
夕影にこそ 咲きまさりけれ (10-2104)
また、万葉集では、木槿、ムクゲの名前で詠われて
いる歌はありません。
一方、同じアオイ科で外観の良く似た夏の花のフヨウは
中国原産で、日本の南部に自生しています。
朝、咲いたときは白い色で、夕方にはピンク色になる
長寿と美貌を兼ね備えた八重咲きの酔芙蓉があります。
坂上郎女は、この花をの詠っています。
思はじと 言ひてしものを 朱華(はねず)色の
変ひやすき わが心かも (4-0657)
「はねず」は何の花かは不明ですが、フヨウ、ニワウメ、
ニワザクラ、モクレなどが推定されています。
「備えよ常に! 備えあれば憂いなし」です。
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