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株式情報ならNHK その弐

2008-01-21 00:37:39 | マスメディア
……NHKのニュース報道とゼンショーとカッパ・クリエイトの資本提携公表前に、カッパ社の株価が上昇傾向にあるなど、値動きに不審な点があったことから、証券取引等監視委員会が取引状況の調査を開始。売買した投資家の特定作業の中で、3人を割り出していた。……資本提携は昨年3月8日午後3時15分に東証のホームページで公表。NHKは同日午後3時のニュース番組で特ダネとして報道した。

■報道の世界には、時間を止めたり逆行させられるタイム・マシン機能が有ります。人命にかかわる重大犯罪が発生した場合などは有名ですが、NHKの職員が小遣い稼ぎをする時にも利用されるようです。株であろうと競馬であろうと、否、パチンコに人生を賭けいる人も「明日の新聞」は欲しいですからなあ。良く出来た映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズにも、「博打年鑑」のようなデータ本が恐ろしい威力を発揮する話が出て来ましたが、あの映画は、NHKの衛星映画劇場で放映されていたはずですが……。


……証取委は資本提携など株価に影響する重要な事実がある場合、公表前の株価の動きに不審な点がないかどうか監視するとともに、取引した投資家の確認作業をしているという。
2008年1月20日 産経ニュース

■では、「重要な事実がない」場合は株価が不審な動きを示しても調べないのですかな?どんな場合も不審な動き(不審船は別の管轄)でも見逃さないぞ!と啖呵を切ってくれないと、極端に臆病なん世界の大金持ちや機関投資家は日本の証券市場から逃げるでしょうなあ。

■これからも経済情報や証券市場の予想情報は、皆様のNHKをお薦めします。などと言って宣伝は出来ませんが、(悪い冗談で)受信料を10年分まとめて前払いした人には「秘密のアクセス・コード」をプレゼント……、やっぱり不可でしょうなあ。部外者には美味しい蜜は一滴も分けてあげない?


証券取引等監視委員会の調査を受けた3人のうち2人が、勤務時間中にもかかわらず勤務先から自宅へ戻り、パソコンから回転ずしチェーンの株の買い注文を出していたことがNHKの内部調査で分かった。……残る1人も勤務中に携帯電話のサイトを通じて買い注文を出していた。勤務時間中に職場を離れるなどして総額約170万-500万円に及ぶ株取引……3人は報道局テレビニュース部制作記者(33)、岐阜放送局記者(30)、水戸放送局ディレクター(40)で、それぞれ1~5年の株取引の経験があるという。……監視委は他社の銘柄でも、NHK内部で知った情報をもとに取引をしていなかったか調査する。……
2008年1月19日 産経ニュース

■あと1個でも発覚したら日本の証券業界とマスメディアは抱き合い心中になるかも知れません。「明日の新聞」を売り付けながら、「今日の泡ゼニ」を稼ぐマスコミなら、新聞もテレビもラジオも、すべてが終わったシボリカスだけ垂れ流している事になります。なかなか当たらない天気予報にしても、天候が商売に直結するプロは、特殊な有料情報サービスしか使わない、などという恐ろしい情報格差を象徴するような話も有るようです。株式市場が博打場である限りは、無数のイカサマ技術がどんどん開発されているに違いないと素人でも想像はつきます。でも、プロ中のプロの監視委員会が鋭い耳と頭脳を持って監視していると思うからこそ、シボリカス情報を必死で組み合わせて株を買っている人が居るのでしょう。

■NHKには、短い解説番組で『あすを読む』とかいう名前の番組が有ったはずです。NHK職員が先に「あすを読んで」から放送されては堪りませんなあ。


NHK記者らのインサイダー取引問題で、ニュース原稿の閲覧が制限されている間も、誰でも報道情報端末でタイトルを見られることが18日、分かった。3人のうち1人は、閲覧制限が解除される前から複数回注文していたことも判明。……

■「短い見出し」は言語センスが光ったり、大チョンボを仕出かして恥を掻く元になるマスコミの勝負どころ!最小の文字数で的確に情報を伝える技術!これは日本語に興味の有る者にとっては常に注目しているテーマです。「○○会社の株が上がるぞ!」などという見出しは一刻も早く見たい人が多いでしょう。何せ小泉改革から、「貯蓄から投資へ!」と莫大な無駄カネを使って役人感覚でキャンペーンを重ねているのですからなあ。いっその事、社会保険庁が大穴を開けてしまった年金保険料の莫大な損失を、みなさまのNHKと結託してあっと言う間に埋めてしまったら?

■非常に悪い冗談です!!そんな事をしたら日本は一夜にしてアトランティスのように経済の海に埋没してしまいます。ですから、今回のNHKから発覚したインサイダー犯罪は、日本の証券業界にとっては関東大震災と南海地震が同時に発生したくらいのインパクトが生じる恐れがあるわけです。NHKは、未だに「3悪人」の名前も映像も報道していないのですが、取り返しがつかない段階になってから地方局のオニイチャン達の顔写真を公開したら、随分と間の抜けた話になりそうです。


3人は情報公開前に1000~3000株を購入、翌日売却して10~40万円の利益を得たとみられ、証券取引等監視委員会は、行政処分(課徴金納付命令)を出すことを視野に、調査を進めている。……地方から海外にいたるまで約11000台が配置され、5000人が閲覧できる。……閲覧が制限されていても、限られた文字数で簡単な内容を示すタイトルが表示され、誰でも見られるため、事情に詳しい者ならある程度内容を知ることができるという。NHK広報部は「特ダネについては通常、内容が分からないよう、あいまいなタイトルをつける」としているが、今回のケースでどのようなタイトルがついていたかは調査を続けている。

■「企業が合併する」という話を「あいまいなタイトル」で報道する場合、一体、どんな日本語を使うのでしょう?合併する企業名を併記して「合併」としか思えない述語を挟み込んで、それでも「あいまい」な意味に押さえ込めるのなら、これは言語哲学の大問題を一挙に解決できるほどの大発見かも知れませんぞ。日頃接するNHKの情報番組からは、そんな高等技術をNHKが開発しているとは思えないのですが……。特に会長などの会見風景など……。


関係者によると、記者らは1~5年の株取引の経験があり、1回に500万円程度の売買をすることもあった。今回のカッパ社株の購入の際、3人のうち2人は勤務中に職場を離れて自宅に戻り、注文を出していた。また1人は勤務中に携帯電話から注文していた。いずれも本人名義の取引口座を使っていた。……
1月19日 産経新聞

■経済犯罪の記事として素直に読めば、「本人名義」以外のインサイダー疑惑は無限に大きく、少なくともこの3人に関しては本業が何なのかがまったく分からない状態だった。しかも、同僚か上司と思われる「関係者」は、取り引きの内容をおおまかには知っていた!という事が簡単に推測できます。やっぱり、株をやる人はNHKに受信料を払って観たり聴いたりなどせずに、頑張ってNHK職員になって……。

■これからもNHKの経済「予測」番組に注目しましょうか?
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株式情報ならNHK その壱

2008-01-21 00:36:48 | マスメディア
■目まぐるしく不祥事が吹き上がる中で、民主党が「ガソリン解散」だの「採決など意味が無い」などと妄言と暴言を吐き散らして自壊の兆候を日増しに強めているとは言いましても、ホイホイ福田総理は自民党最後の首相となる道を着々と進んでおります。一説には小泉改革が湿気た花火のように中途半端に終わったのは日銀生え抜きの総裁が、「インフレは大嫌い!」と意地を張ってデフレ不況からの脱出を徹底的に邪魔したからだとか……。それはそれで「中央銀行の政治的独立」が保証されている証左ですから、原則的には目出度い事かも知れません。

■でも、今の日銀総裁は就任前にも金融スキャンダルで旧大蔵省と日銀出身者との順繰り人事を狂わせたり、就任後にも村上ファンドにちゃっかり出資してインサイダー取引スレスレ?の小遣い稼ぎをしていた生臭い人ではあります。それはさて措き、IT時代の前には「情報化社会」という言葉が持て囃されていたのを飽きっぽい日本人はすっかり忘れているようです。農本主義から重商主義に世の中が変わった時から「時は金なり」は至言とされていまして、それが情報化社会に直結しますと、「情報こそがカネだ!」という慌しい時代になっていたのでした。世界を一変させるような大発明ほどではなくても、株式市場が乱高下する有力な情報を1秒でも先に手に入れた者は、たとえ身に一銭も持たずとも数分後には億万長者になれる仕掛けが完備してしまった時代になっております。

■その割には、時代に即応して巧妙化・巨大化する一方の詐欺犯罪も株の裏取引も、世の中に与えるダメージの大きさとは比べようもないくらいの微罪のままで放置されているのは実に不思議です。立法府に議席を並べている人達が、その肩の上に載せている脳みその中身をリセットしていないからかも知れませんなあ。

■日本で最も多くの情報を集められるのは、内閣調査室ではなくてNHKだという話は以前から有りました。シマゲジと愛称を付けられていた元会長は、CNNの向こうを張ってGNN(全地球ニュース・ネットワーク)に皆様のNHKを脱皮させる!などと雄大な構想を打ち出したのはバブルの全盛期だったでしょうか?その頃は、東京はTOKIOに脱皮して世界の金融・情報センターになるんだ!と役人を先頭に怪しげな評論家や浮かれた不動産などが土地価格を天まで届くほどに吊り上げる仕事をしていたものです。

■バブル時代はパロディ映画のネタか、あの時期に人生を見誤った今の30代から40代の夫婦喧嘩のタネにしかならないのかも知れませんが、皆様のNHKにはしっかりとその頃のタネは生き残っていたのでした。これも伝統を守る組織の強さでしょうか?


インサイダー取引を行ったとされるNHKの記者ら3人が、カッパ・クリエイト社を巡るスクープ記事が閲覧可能になった昨年3月8日午後2時38分から大引けの午後3時までに、市場で売買された同社株1万5250株の3分の1を占める株式を買い付けていたことが毎日新聞の入手した文書で分かった。

■江戸の町は「生き馬の目を抜く」と言われたのは200年も前です。ストップウォッチを思い浮かべなければならないような経済記事を読まされる時代になっている現代は、一体、何の目玉を抜き取ると表現したら良いのでしょう?取り合えず「NHK会長のクビを取るような」とでもして大修館の「新語登録」でもしましょうか?


株価は22分間で13円も上昇……証券取引等監視委員会は3人の集中購入が証券市場に重大な影響を与えたとみている模様だ。文書は昨年3月8日の東京証券取引所におけるカッパ社株の全約定を記載したもの。売買者名は分からないが約定の成立した時間、株価、売買株数が記載されている。

■株取引が匿名性を最後まで秘匿できる形で行われているのなら、脱税の温床になるのは当然の事です。損した時だけ申告して大儲けしたら国の内外に隠してしまう。特に海外に隠すルートを持っている人は別の惑星に住んでいるのも同然とか……。先祖伝来の田畑を守る生き方は限界を越えてしまった時代ですが、とうとうカネの亡者たちの足元からは国土も会社も離れてしまっているようですなあ。そんな異星人に日本や地球の「倫理」などを求めるのは無理なのでしょうなあ。


……22分間でカッパ社株は75回売買され、総売買株数は1万5250株。……3人が買い付けた株は5000株を超え……全体の約3分の1を占めた。午後2時37分までの22分間も株価は上昇したが、上げ幅は3円。総取引回数も37回、総売買株数も55850株にとどまっており、集中購入の与えた影響が浮き彫りになった。……翌日1774円まで上昇。3人は保有株を売り抜け、10万~40万円の利益を得た……
1月20日 毎日新聞

■株式の売買記録は何処かの国の年金記録とは違ってコンピュータのメモリー内に明確に記録されているので、不自然で怪しげな動きが有れば調査委員会が即座に反応して調査を開始。こうした動きがなければ海外からの投資は望めません。出来ましたら選挙前に表れるという不思議な株価の動向にも、同じ反応を示して貰えたら幸いです。

ぼくたちのNHK その参

2008-01-18 09:56:20 | マスメディア
■バブルが崩壊した直後、日本の証券業界が恐ろしく古い体質を温存していて、後ろ暗い不当な商売をしていた事が発覚して業界全体が見棄てられそうな危機に陥って、それを脱するのに長い時間がかかったと記憶しております。今回のNHKインサイダー犯罪が引き起こす日本証券市場に対する恐るべき「連想ゲーム」が、更なる「日本売り」を加速することを心配する声も多いようです。これからのNHKが放送する「経済ニュース」で、株価が下がり続ける事態に自分達が関与している可能性を含ませて報道するのでしょうか?

■みなさまのNHKがこんな事をしているからでしょうか?国家の中枢でも機密漏洩の大事件が発覚してしまいました。勿論、みなさまのNHKでもこの大ニュースは「恐るべき重大犯罪」として熱心に報道しているようです。


内閣総務官室は17日、内閣情報調査室(内調)の男性職員(係長級)(52)が内部情報を在日ロシア大使館員に提供したとされる事件で、同職員を17日付で国家公務員法(信用失墜行為など)に基づく懲戒免職処分にしたと発表した。「外国政府機関職員から不適切な金品を受け取り、不当に利益供与を受けることを禁じた国家公務員倫理法に違反した」などとしている。……職員は昨年1~10月、ロシア大使館の2等書記官から8回にわたり、政府の内部情報を提供した見返りに計82万円を受け取ったうえ、焼き肉店やすし店などで接待を受け、飲食代を相手に支払わせていた。別のロシア大使館員とも1998年に知り合い、数年前から金品を受け取っていた。これらは総額約400万円にのぼり、競馬や飲食などの遊興費に使ったという。
1月17日 読売新聞

■『ゴルゴ13』などの作品では、冷徹で有能な人達が揃っているように描かれる「内調」が、実際には「焼肉と競馬」で簡単に買収されて篭絡されるとは……。内閣調査室の重要な仕事は「新聞の切り抜きスクラップ作業だ」などという酷い悪口があるのを思い出しますなあ。「重大な機密漏洩はない」との政府側の説明を鵜呑みにして良いのかどうか?防衛省からはイージス艦の重要機密が漏れ出していても気が付かない政府ですからなあ。別の報道によりますと、この人は係長級の内閣事務官だそうで、「海外の新聞・雑誌の翻訳資料や有識者を集めた国内情勢に関する勉強会の発言内容」をロシア側に売り飛ばしていただけだと言っているのだそうです。それが本当なら内閣調査室にはロクな情報が集まっていない事が救いになっていたという実に皮肉な話であります。

■昨年3月には身上把握調査が実施されて「外国人の知人はいない」とウソの報告をしていたとの報道もあります。長期間にわたって情報を売っていた割には実入りが少なかったのは、ロシア側としてもゴミみたいな情報が多くて困っていたのかも知れませんなあ。「係長級で逮捕もされていない」という理由で職員の氏名を公表しない内閣調査室には危機意識が無いようです。やっぱり、厳罰で守るべき重要な機密自体が存在しないのか?海外の株式市場でインサイダー取り引きをして大儲けするような情報が……。
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ぼくたちのNHK その弐

2008-01-18 09:55:52 | マスメディア
NHK記者ら3人は、内部のパソコンでNHKが放送する前に特種(ダネ記事)を盗み見て、その情報をもとに「株」を買っていた。……17日午後、橋本元一NHK会長らが会見した。主なやり取りは次の通り。
--原稿システム端末とはどういうものか
「ニュース原稿とニュースの順番を画面で表示する。記者が元の原稿を送り、デスクが手を入れる。それを完成し、『汎用化』と呼ばれる最終原稿にする。特ダネや予定原稿はデスクの権限でしか見られないものもある。今回は2時38分に皆が見られる汎用化をした」
 「今回のような独自ニュースは見られる人間を絞り込むが、一方で絵やタイトルやスーパーを入れる必要があり、アナウンサーの下読みもある。できるだけ限定して直前まで準備するが、今回は20分間、報道に関係するスタッフなら、登録した各記者の業務用パソコンを含め、全国だれでも見られる状態になっていた」
 
■「20分間」も有ればIT機器を使えばどんな取り引きでも可能でしょう。副業に「デイトレード」をしている馬鹿者が皆無であることを祈るばかりですが……。この謝罪会見の直後から無謀なハッキングに挑戦し始めた愚か者もたくさん出たかも知れませんぞ。少しでも確度の高い役に立つ「情報」を入手しようと、手を尽くして株価の動向を予想しようとしている人は随分と増えているはずですから、前置きを切り捨てて「誰でも見られる」の一言に興奮した人も多かったでしょう。


--手持ちのパソコンなら見れるのか
「そうだ」
--手持ちパソコンから見れるのか
「詳細は分からない。聞き始めたばかりなので。登録されたパソコンでないと見れない。一定の人間しか、システムにアクセスできない。そういう権限を与えていない」
--業務用のパソコンを持っていれば
「見れるが、それを使ったかは調査中だ」
1月17日 産経新聞

■要するに「野放し」状態だという事でしょう?何処が「コンプライアンス」なのでしょうなあ。銀行のATMでさえも簡単に悪用される時代に、誰でも見られる危険性の高いシステムを組み立て運用していた責任は誰が取るのか?しどろもどろで素人同然の説明をしている会長は、本当はシステムの全貌を知らないようですし、インサイダー取引の手口に関しても大して知識を持ってないような印象も有ります。さてさて、大急ぎで「どうして情報は漏れたのか?」とか言う検証番組を特集で放送する準備が始まっているのかも知れませんが、社内に時代に即応した規則が文書化されていない事から直して行かねばならない……それなら、これまでの歴代会長は何をしていたのでしょう?


……職員が特ダネ情報を得た端末は、本局、地方局、海外にいたるまで、約1000台が配置されている。放送直前に制限が解除されるまで、幹部など特定の者以外は閲覧できないようになっているが、今回は放送22分前にロックが解除され、職員はこの短いスキをついて情報を得たようだ。NHK側は「この種のニュースとしては解除の時間が早すぎた」と運用上の甘さを認めているが、システムの改善などは今のところ予定しておらず、再発防止の決め手はない状態だ。部署も違う3人が、同時に取引をしていた事実は「他にもあるのでは」という疑念も生む。

■別の報道によりますと、この3人は決して株の素人ではないようですし、謝罪会見で発表された「10万円~40万円程度」という儲けだけで、証券取引等監視員会がどかどかとNHKに踏み込むというのも大袈裟ですから、既に相当な不当利益が把握されている可能性が有るようです。経済専門の日本経済新聞社で起こったインサイダー犯罪は広告局に所属していた人物が「法定広告」をネタにして荒稼ぎしていた事を、NHKも詳細に報道していたのに他山の石とはしなかったとは……。


同局では就業規則や放送ガイドラインで、「職務上知り得たことを個人的な利益に使ってはならない」と規定しているが、インサイダー取引につながる経済情報の扱いについて文章化された規定などはなく、経済部記者とその家族による株取引の自粛などを、折に触れ口頭で伝えているのみという。不祥事が相次ぐNHK。今回の事件は、モラル低下が報道の現場にまで及んでいることを示している。再生を掲げる橋本元一会長は「あらためて組織に警報を発しないといけない」としているが、信頼回復への道は再び遠のいた。
1月18日 産経新聞

■生気を失った橋本会長の表情には「もうダメかも?」という絶望的な色が浮かんでいたようです。不思議と隣に座っていた理事さんは平気な顔をしていたのは印象的でしたなあ。MSN産経ニュースが御丁寧に「みなさまのNHK」がこの3年間に引き起こした恥ずかしい不祥事のリストを掲載しています。


【平成16年】
7月20日 チーフプロデューサーの番組制作費着服が発覚。その後、約6200万円をだまし取ったとして詐欺罪で懲役5年が確定
7月28日 編成局幹部ら2人がカラ出張で約300万円の不正受給
8月3日 岡山放送局元幹部が架空飲食費請求で約90万円着服し懲戒免職。ソウル支局長の取材経費水増し請求
10月26日 制作技術センター職員が作曲費1240万円を着服し懲戒免職。
【17年】
5月19日 映像デザイン部職員がコンピューターグラフィックス制作費約470万円を着服、懲戒免職
7月28日 チーフカメラマンがビール券約350万円分の着服で懲戒免職
11月5日 大津放送局記者が放火未遂容疑で逮捕、懲戒免職
【18年】
4月11日 スポーツ報道センター職員がカラ出張で計1700万円余りを着服し、懲戒免職
12月11日 制作局青少年・こども番組部のディレクターが大麻所持の現行犯で逮捕。
【19年】
5月~6月 強制わいせつ、児童買春、痴漢など職員が逮捕される事件が続発
【20年】
1月17日 報道局テレビニュース部と岐阜、水戸各放送局の記者、ディレクター三人がインサイダー取引を行った疑いで、証券取引等監視委員会が調査に入ったと発表

■単なる偶然なのでしょうが、今回の事件に関与した馬鹿者の一人は「5年間」の株取り引き経験が有るとのことですから、横領・着服・痴漢・放火と殺人以外なら何でもあり状態だったこの期間に、せっせと特別ボーナスを稼いでいた可能性さえ出て来そうです。

ぼくたちのNHK その壱

2008-01-18 09:54:16 | マスメディア
■とうとう出たか!多くの人たちはそう思ったことでしょう。受信料の不払いは70万件余りに沈静化しているそうですが、起こったり呆れたりしている人の大半は受信料を支払っている人ですから、嫌味の一つも言いたくなるでしょう。事もあろうに株価が底なしの地盤沈下で世界中が大騒ぎしている時に発覚したのですから、怒りもヒトシオであります。これからは、取材記者が「NHKですが……」と切り出しても、「儲け話はないよ」と門前払いされたり、受信料を集めに訪ねても、「株で儲けろ!」と追い返されるかも知れませんなあ。

……17日発覚したNHK報道局記者ら3人によるインサイダー取引疑惑。記者会見した橋本元一会長らNHK幹部は、対策が不十分だったとしたうえで、“氷山の一角”である可能性を認めざるを得なかった。

■これが最初で最後の「犯罪」ではないと思えてしまうのが悲しいところでありますなあ。変なエリート意識が蔓延しているという噂が絶えない「みなさまのNHK」ですから、これくらいの小遣い稼ぎはハナクソみたいな役得の極一部だと思い込んでいる鼻持ちならない馬鹿者がどれだけ隠れているのやら……。
【丸山進】 

東京・渋谷の放送センターで午後3時から始まった会見には、橋本会長、畠山博治理事(コンプライアンス担当)、石村英二郎理事(報道担当)が出席。橋本会長が「おわびしなければならないことがあります」と切り出し、深々と頭を下げた。「報道目的で得た情報を、自己の利益のため悪用した許されざる行為」。身内の不祥事を断罪する声はかすれがちで、顔が苦渋にゆがんだ。……放送センターなどに証券取引等監視委員会の調査が入ったのは16日午前。それまで、インサイダー疑惑に気付かなかったという。同日夜になって、内部調査委員会を設置、関係者の事情聴取に乗り出した。

■会見の前日に青天の霹靂のように踏み込まれて動転?それなら「コンプライアンス担当」理事の辞職は確実でしょうが、揃って頭を下げた3人は責任を逃れられないでしょう。次期会長をめぐる暗闘が報道されていましたが、これで簡単に決着するかも?


対応が後手に回ったのは、インサイダー取引を文書で規制するなどの対策をとっていなかったことも影響した。職員の倫理規定である「放送ガイドライン」には、「取材で得た情報を、個人の利益のために利用することは許されない」とあるだけだという。石村理事は「経済部では4、5年前から、本人や家族が株取引をしないように徹底していた」と釈明したが、畠山理事は「コンプライアンス担当として、対応がとれていなかった」と神妙な表情。

■「4、5年前」から?それならバブルの全盛期には何をやっていたんだか分かったものではないぞ?!監視委員会に踏み込まれてから「内部調査委員会」を作っても、謝罪会見の原稿書きくらいしか出来ないでしょう。文字通り「氷山の一角」だった疑惑はどんどん大きくなりますから、せっかく作った組織でしょうから徹底的に内部調査をした方が良いでしょうなあ。それで疑惑が完全に消え去るとは思えませんが……。


インサイダー情報入手に使われた報道端末にアクセスできるのは約5000人。今回の問題にかかわった3人の職場が地方放送局などに分かれているため、報道陣から「他にも手を染めていた職員がいるのでは?」と質問が飛んだ。畠山理事は一瞬言葉を詰まらせた後、「そういう疑念が持たれるのは自然」と、絞り出すように答えるのがやっと。石村理事は「こういうことは、必死で取材している記者たちのモチベーションを下げてしまう」と怒気まじりに語った。……今回の問題に対する視聴者からの抗議や批判の電話が、17日午後5時から同9時すぎの間に約150件寄せられたという。
2007年1月18日 毎日新聞

■まだ苦情は「150件」しか寄せられていないというのは、情報が周知徹底されていないからでしょう。間も無く、みなさまのNHKが明かさない実名を含めて、週刊誌が詳細な報道を集中させるでしょうから、最終的に何件の苦情になるのか想像も出来ません。正式にアクセスできるのが「5000人」とすると、その中に何人かが特に親しい人にアクセス方法を教えているかも?特に「家族ぐるみ」で特別ボーナスやら小遣い稼ぎをしている可能性は相当に高いのではないでしょうか?その上、この報道端末がどれほどの情報漏洩防御策を施されているのかも心配です。ちょっと腕の良いハッカーならば出入り自由なシステムならば、インサイダー取り引きの疑惑は日本中、あるいは世界中に広まってしまいますなあ。

紅白歌合戦準備の裏で

2007-12-24 19:00:40 | マスメディア
 ■本年最後の連休、世情は深刻な政治状況や絶望的な経済状況を忘れようと、正月商売とクリスマス商売に例年以上の情熱を込めて頑張っている時期です。関東平野は時期遅れの小春日和に包まれた12月24日、にわかクリスチャンにとっては「イブ」の日です。皆様のNHKは次期会長を選出するのに陰険な「多数決」工作が失敗に終わっていよいよ末期症状を呈しているこの次期に……。NHKラジオ第一放送は、午後1時からは『特集・あのころのフォークが聴きたい』と銘打ってナギラ健壱さんを司会に据えるという、70年代の『悲惨な戦い』というフォークソング?を知っている者なら腰を抜かすような大規模な特別番組!午後4時30分からは『なんたって美空ひばりリクエスト特集』が1時間半!つまり、団塊の世代とその上の世代の耳を連休最後の日にごっそり取り込もうという総力態勢のNHKというわけです。

■ところが、この巧妙な企画で挟み込んだ本当の?目玉番組が流れています。題して『日中インターネット対話』。特別ゲストは中野良子さんと石川好さんです。中野さんは『君よ、憤怒の河を渡れ』という映画に出演したばかりに、私設日中友好大使を自認するような立場になった、対米勘違い国際女優の島田洋子と似たキャリアを積んでいるなかなか興味深い女優さんです。石川好さんは実兄との関係で日系アメリカ人の実態をルポしたイチゴ畑に関する本で有名になった方です。うっかり衆議院選挙に出馬して大敗を喫してから、何故かアメリカを放り出して日中友好に鞍替えしたかのような、これまたなかなか興味深い作家です。

■問題の午後3時から4時半まで放送された番組『日中インターネット対話』は、中国=北京という乱暴な構図を隠しての、一見盛りだくさんの内容になっています。日本語が上手な相手方の布陣に対して、日本側から紹介される「生の声」は、何も知らないまま日中交流で北京を訪れた今時の高校生達の、不自然に語尾を吊り上げる軽薄な発言!これを「東京」のスタジオで受け取ってまとめるのですが、いやにチャイナ情報に詳しくなっている石川さんと、田中角栄時代から、つまり日中文化交流の最古参を自認する中野さんとが、映画やアニメを材料に21世紀の日中友好を謳い上げるという、実に感動的な番組です。

■「北京」を中国と同じものとして中国を語る番組です。最近は日本の若者がテレビを見棄ててラジオに流れているという文化の底流が確認されているようですから、NHKでもFM局は午後1時から10時まで、終戦直後か?と錯覚するかのようなクリスマスイブ特集をぶっ通しで放送。J-WAVEもTOKYO FMもクリスマス特集で塗り潰されていますから、日本最大の聴取可能面積を誇るNHK第一放送が、こんな番組を放送しているのは異様なことです。

■ちらちらと内容を聞き流していても、これは北京政府の熱烈工作にNHKが呼応した「北京五輪」サポート企画であるのは明白です。中野良子さん……と言っても30代以下の日本人は顔を見ても声を聴いても「誰?」と困惑するでしょう。『天下御免』の紅さん、などと言っても40代後半以上の日本人しか認知されていないでしょうなあ。番組の中で中野さん自身が誇らしげに語っている中野良子の芸名よりも「マユミ」という『君よ……』映画の役名が有名だという話は、日中友好を熱く語る文章の中には散見される話です。でも、「マユミ」という日本の女性名は、ビルマの南アンダマン海で爆破された大韓航空機に爆弾を仕掛けた北朝鮮の女性テロリストが使った偽名の方が有名になってしまったのは不運でしたなあ。

■今年は、民放界では「面白くなければテレビではない」フジテレビと「死んだ」TBSを双璧に、公共の電波に偽情報を流していたことがバレた年でした。しかし、不思議な事に「皆様の」NHKはこの種のスキャンダルが出ません。それが天下のNHKだからこそ持っている見識故なのか、あまりにも露骨で能天気な日中友好精神に凝り固まっているからなのか?判断が難しいところもありましたが、この北京五輪直前キャンペーンの放送ではっきりしました。

■特別ゲストの中野良子さんと石川好さんの発言をいちいち取り立てて吟味しようかとも思いましたが、その数は多すぎる上に中身が酷過ぎるので已めました。北京と中国を結んで山盛り企画のつるべ打ちについつい半分以上も呆気に取られて聴いてしまいましたが、この怒涛の友好精神番組は歴史に残る可能性があるかも知れないなあと思った次第です。まさか、厚労省の次はNHKと噂される解体に向けての動きに過剰反応した絶望のあまりに制作されたラジオ番組だったのか、あるいは永久に封印されて受信料を支払っている視聴者の皆様にも見ることができない幻のETV特集『天皇死刑裁判』と同様に、局内に巣食う一部の過激派が強引に電波に乗せた番組だったのか?NHKラジオの電波しか聴取できない地域が日本各地に点在することを承知で断行された放送にNHKの本音を見た思いがしたのでした。

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チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

鈍感テレビ 其の弐

2007-11-12 19:55:10 | マスメディア
山場CMを含む番組については、84%が「好感が持てない」。山場CMの商品について42%が「好感が持てない」、34%が「買いたくない」と回答。それぞれ60%前後あった「どちらともいえない」を除けば大半がマイナスの評価だった。

■6割の「どちらともいえない」というのは、決して好感をもって許容している層ではないでしょう。元々、テレビCMで見知った商品を率先して買うような日本人がどれほど居るのか?と考えれば、CM自体が大人を見棄てて幼児に向かっている理由も分かるというものです。何十種類かの商品紹介の中で、1箇くらいは買ったかなあ?と思い出した心優しい学生が「どちらともいえない」と答えているのではないでしょうかな?あるいは、最初からCMを熱心に観ていないか無視してしまっていれば、「まったく気にならない」状態になっても不思議ではありません。また、テレビ局が作ってくれる「山場」にまったく反応しない視聴者も存在するでしょう。あまりにも取って付けたような「山場」は白けるものです。


話の流れが落ち着いたところで出る「一段落CM」と比較すると、山場CMが「商品を買いたくない」で3.8倍、「商品を覚えていない」も2倍と本来の効果をうち消していた。また、日本と欧米のテレビ番組の山場CMを02~03年に比較した。ニュース、ドキュメンタリー、ドラマなど7分野で各国の代表的な3番組ずつを録画して比率を調べた。……日本の40%に対し米国は14%で、CMのタイミングが法律で規定されている英国は6%、フランスにいたってはゼロだった。

■実に残念なことながら、日本の民放では「ドキュメンタリー」と名付けられる番組は皆無に等しく、日本テレビ系のドキュメンタリーは日曜日の大深夜!という殺人的な時間帯に放送していますなあ。その点、衛星放送で出会う欧米のドキュメンタリーが光り輝いていることよ!スタジオでカメラの横に好き勝手な指示を出せるような番組が多いから、「CMの後で……」などと、何が主題なのかさっぱり分からない妄言が飛び交うのではないでしょうか?よい例が映画放送でしょう。既に完成してしまった映画作品にCMを割り込ませようとしたら、機械的に時間を区切って放り込むしか無いでしょうからなあ。但し、画面の縦横比率の違いと暴力的なカットという致命的な欠陥が有ります。バブル景気の頃でしたか、ソニー提供で深夜枠のノーカット、途中CM無し!という名画劇場が放送されたはずです。まあ、テレビ録画を誘って自社のビデオ機材を売ろうという凄まじい商魂も手伝っていたようですが……。


自らのテレビ視聴体験から調査を思い立ち、山場CMと命名した榊教授は「テレビ局は視聴率ダウンを避けようと始めたのだろうが、広告効果を下げているばかりでなく、CM明けの期待外れの展開を学習した視聴者のテレビ離れを招いているのでは」と分析する。日本アドバタイザーズ協会(旧・日本広告主協会)の小林昭(ひかる)専務理事は「初耳の研究結果だ。テレビ局が決めているCMを入れるタイミングについて議論したことはなかったが、今後の対応を検討していきたい」という。

■日本アドバタイザーズ協会という組織が、この種の調査も研究もしていなかったとしたら、一体、何を商売にしていたのでしょう?残念ながら、「CM後」を見落としたばかりに一生の不覚を取るような事はありません。逆に、妙に期待をしてしまったばかりに、馬鹿にされたような気がして非常に腹が立った経験は誰でも持っているはずです。従って、番組中で腹が立ったらとっととチャンネルを変えるか、テレビを消してしまえば良いでしょう。


一方、民放テレビ局は「視聴者の受け止め方に関心を払わなければいけないが、CMのあとも見ていただく努力については度を超さない限りは許していただきたい」(テレビ東京)、「CM明けについての説明は親切に告知する意味合いもあると思うが、視聴者の声に対しては謙虚に耳を傾け、その感性に敏感でなければならないと考えている」(テレビ朝日)と言っている。
11月6日 asahi.com

■「CM明け」とは、ちょっと大袈裟な表現ですなあ。最近は、「情報提供番組」と称して番組自体が宣伝になってしまっている物も増えいてるようですし、どんな裏取引をしているのかは存じませんが「取材」と称してタンレトが乗り込んで飲んだり食ったり入浴したりしただけで「番組」が出来上がるという現象も増えているようです。『ミステリー番組』というのも曲者で、殺人事件が起こる現場は観光名所がほとんどで、捜査に当たる主人公は有名ホテルに滞在して……。まあ、無料で観光旅行気分を味わいながら、ちょっとした謎解きゲームも楽しめるという企画なのでしょうが……。トリックに無理があったり、推理にご都合主義が混入してしまったり、名作ドラマを期待する人は観ないようですなあ。

■何かと「クイズ形式」にしては、数分で終わる話を何倍にも引き伸ばしてしまうので、大金を掛けて海外取材をしても視聴率が下がって打ち切りになる番組も多いようです。最近のテレビ欄で目立つのは、若手のタレントが義務教育時代にちゃんと勉強していなかった事実を暴露して笑いのネタにするような恐ろしい番組が急に増えいるようにも思えますなあ。良い子はそんな物を観て時間を無駄にするよりも、教科書や図書館の本を読みましょうね。オシマイ

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チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

鈍感テレビ 其の壱

2007-11-08 20:39:47 | マスメディア
■「最近のテレビは……」という話題で友人知人と語り合った人はほとんど居ないのではないでしょうか?既にテレビ文化は衰退期に入っている証拠が多くの国民の身近にあるわけです。子供が真似して困るイジメの材料を提供するような残虐なワライを供給する番組が槍玉に挙げられることはあっても、次々に消費されて垂れ流されるテレビ番組を立ち止まってあれこれと吟味する事は無いでしょう。昭和レトロのブームが起こると、貴重な映像が発掘されて裏話と一緒に紹介されますし、『なつかしの……』と銘打って昔のテレビ番組を楽しむ番組も時々制作されるようです。

■既に平成になって19年、これから20年後の日本で、一体、どんな番組が回顧されるのでしょうなあ。そんな事を想像しながら、新聞のテレビ欄の空疎さに当惑している昨今、何を今更!という「調査結果」が報道されました。


場面を盛り上げるだけ盛り上げておいてから「正解はCMのあとで」「最新情報はこのあとすぐ」。こんなテレビの「山場CM」が多い番組に視聴者が不快感を抱いていることが、榊博文・慶応義塾大教授(社会心理学)らの調査で明らかになり近著で発表された。国際比較でも日本の山場CMは欧米より格段に多い。テレビ局側の思惑とは裏腹に、そうしたCMへの好感度が低くなり商品の購買意欲も下がるという。

■明治維新以来、東の京都=東京を中心として欧化政策を進めた歴史を引き摺っている日本は、ラジオもテレビも「今の東京」を伝える神器となって国中を席捲したのでした。今でも、「国民の声」と称して東京都新橋周辺で安直なインタヴューを繰り返しているテレビ局が多いのは、その惰性みたいなものでしょう。みのもんたさんが商品宣伝を「お知らせ」と言い換え、他に適当な日本語が見当たらずに「シー・エム」という業界用語を平然と使っているのが民放テレビです。つまり、CMが放送の中心に押し出して来ている事を自ら認めて公言しているわけです。

■もしも、ビデオ機器に搭載されている「CMカット機能」の逆に、「CMだけ録画機能」が付いた商品が開発されたらどうなるのでしょう?だらだらと馬鹿馬鹿しい雑談と「飯喰う風景」ばかりを放送しているような番組より、大金を投じて有能な人材を掻き集めて時間を掛けて制作されるCM映像の方が、遥かに見ごたえが有って研究の対象としても価値が有るのは当たり前なのですから……。ですから、本当は「CMの後で……」ではなくて、「CMの前座」として誰も観ていない番組を放送している可能性さえ有るかも知れません。


……榊研究室は、慶大通信教育部、文学部の727人を対象にアンケートを02年に実施。調査対象の半数近くが20代で、次いで30代が多かった。調査では、視聴者をCM明けまで引っ張ろうとする山場CMに対する印象として、強い肯定から強い否定まで九つの尺度で聞いた。「不愉快」について86%が肯定。CM明けのシーンの繰り返しには、74%が「イライラする」と回答した。

■どうも日本の学界というところは、明治以来の専門分類に影響されて新しい研究がなおざりにされる傾向があるようです。テレビという大問題を研究課題にした教授も居なかったわけではないようですが、民放CMに関して21世紀になってから調査をするとは?!今更「山場CM」などという専門用語?を作ったところで、手遅れでしょうなあ。「CMの後で……」と言えば、テレビ朝日が1980年(昭和55年)10月から1994年(平成6年)3月末まで放送した深夜番組の『トゥナイト』が俎上に載らねばなりません。司会に某大学でも教鞭を執っていた作家の利根川裕さんで、盛りを過ぎていた日本テレビの11PM』に対抗して頑張っていたお色気を加えた社会派情報番組として一世を風靡したものです。

■素の顔が笑顔で固まっているとしか思えない利根川教授が、番組の最後に必ず言う決まり文句が有りましたなあ。「この話題はCMの後、更に突っ込んでやりましょう」とか言うのでしたが、CM時間が終わると原稿棒読みの女性アナウンサーが、ドーデモよい懸賞品の応募方法を紹介して「では、おやすみなさい」と人を馬鹿にした終わり方をする構成だったはずです。たまに興味深いテーマを取り上げるので、熱心に視聴していると、最後にこの性悪の「うっちゃり」を喰らって非常に不愉快になった記憶を今でも持っている人が多いのではないでしょうか?「ヤラセの雄」「テロップ間違いの雄」のテレビ朝日ですから、大学の社会学部門でもテレビを真面目に研究していなかった時代には好き放題だったのでしょうなあ。

■それでも、当時はインターネットも存在せず、映像情報メディアの数も限られていたので、情報収集用のチャンネルが少なかった分、視聴者も大人しかったのでしょうなあ。

亀田問題の次は? 其の弐

2007-10-28 23:06:15 | マスメディア
■小説『姿三四郎』が描くのは「柔術」が「柔道」へと近代的に脱皮する物語なのですが、その中に「投げ殺し」という言葉が何度も出て来ます。柔道に接した人はご存知の通り、最初は徹底的に「受け身」の訓練を繰り返してから、「手技」の背負い投げなどを習うわけですが、その時に怒鳴られるように指導されるのが「袖を引け!」という鉄則です。これは投げられた相手が受け身を取り易い態勢になるように、投げた瞬間に相手の腕を引っ張って畳に着地する時に仰向けになるようにする技術です。最近の欧州主導の変なゴチャゴチャ柔道にはその面影さえ認められないわけですが……。

■うまく相手の態勢を崩して投げ技が決まれば、相手は宙に舞い上がってしまいます。やろうと思えば、その勢いを相手の頭蓋骨・頚椎・背骨を一瞬で破壊する「必殺パイルドライバー」に持ち込めるわけです。素人相手なら、「投げっ放し」などという恐ろしい事も出来ますし、最近の世界大会では常習となっている禁じ手の「同体」という互いの体重を利用した醜い「押し潰し」技も可能となります。あれは邪道のはずなのに、ポイント制ですからなあ……。『姿三四郎』に描かれる古い柔術は殺人技で、近代日本に新たな精神を注入する矢野正五郎先生の柔道は殺し合いを止揚して互いに自己を鍛錬する「スポーツ」へと脱皮する物語になっていまして、それは綺麗事だ!と姿三四郎君は先生に反発して……。という具合です。

■ブラジルあたりから逆輸入されたと喧伝された総合格闘技に「柔術」という言葉が復活していた事を、日本の講道館もスポーツ・マスコミも、勿論、文科省も無反応でしたなあ。ちょっと古い『柔道入門』などの教本を手にすれば、「当て身」「蹴り」の技術と攻撃ポイントの指示が書かれています。柔道日本最強と称される吉田選手の殴り合いを観ていますと、あまり古来の「柔術」は学んでいないようみ見受けられます。大相撲の横綱の曙でさえ、必殺の「張り手」や「咽輪」鉄砲「突き」を使わずに、変なパンチを強要するのが総合格闘技らしいので、吉田選手が古来の打撃業ではなくて奇妙なボクシングの真似事を強いられるのも仕方が無いのかも知れませんなあ。

■乱暴に話を端折ってしまいますが、そんなこんなの長い歴史や来歴を知らない素人さんが、寄って多寡って「亀田問題」に関わっているのは、これはこれで見物ではあります。何でも「コメント」して銭を稼ぐという恐れを知らない、一見気楽な商売が日本で大流行して、ウッカリ者の子供達が自分の将来像をそこに重ねて見てしまう悲喜劇があちこちで多発してもいますから、本来は、責任を持って日本テレビあたりが「力道山とは何だったのか?」の特集番組を作るべきなのですが……。


歌手の高橋ジョージは28日午前、TBS系「サンデー・ジャポン」に出演し、2週間前の同番組で、WBC世界戦での王者・内藤大助選手の試合運びを批判したことを謝罪した。高橋は番組でコメントを求められた際、「最初に」と断って「内藤選手にはお詫びしました。ファンの方にはこの場をかりてお詫びします」と謝罪の意思を表明した。高橋は亀田兄弟の二男、大毅選手が反則行為を繰り返した挙句、判定負けした試合について、勝者の内藤選手が出演している同番組内で、内藤選手に対して「クリンチが多い」「頭を抑えた」などと試合運びを批判していた。
10月28日 産経新聞

■高橋ジョージさんという人は、例の世界タイトル戦で『君が代』を歌ったという話は聞きましたが、どんな歌手なのかは知らないので、ちょっと調べて『ロード』という長い歌で人気になった人だと分かりました。ブルース・ハープが綺麗に響く悲恋の歌で、ブルース・スプリングスティーンの名曲『リヴァー』の盗……それは、どうでも良い事で、公共の電波に乗せてボクシングを語る資格が有ったのかどうかが問題でしょう。でも、最近の日本では本業が何なのかさっぱり分からない人達がテレビ画面であれこれと物議をかもす発言をしているようなので、これも次々と聞き流される無駄話の一つで終わっていたはずでした。

■TBSに強烈な義理を感じているのか、単純な意地ッ張りなのか、一部の週刊誌が糾弾している宗教団体関連のややこしい事情が有ったのかは知りませんが、反則試合の直後に露骨な亀田贔屓の発言をしていたのですなあ。この記事だけでは、突如として「謝罪」に転じた理由がさっぱり分かりませんが、TBS内部で始まった大いなる揺れ戻しが影響しているのかも知れませんなあ。これは、堺正章さんが『あるある……』番組で、納豆パワーの大嘘話を得々と放送してしまったのと、どれほど違う話なのかは分かりませんが、どちらもテレビを真剣に観ているとトンデモない事になるという馬鹿馬鹿しい真理を改めて教えてくれたのでしょう。


プロボクシング亀田兄弟の試合を独占中継してきたTBSは26日、長男興毅(20)が開いた謝罪会見を生中継できなかった。会見は午前9時に都内の協栄ジムで始まった。その時間にワイドショーを放送する日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日は冒頭から生中継。しかし、TBSは同時間は生活情報番組「はなまるマーケット」を放送。会見はニュースコーナーで数分取り上げただけだった。番組編成上の都合とはいえ、亀田兄弟が大阪に拠点を置いていた当時から追い続け、独占放送してきた同局が、謝罪会見は後れを取ったことになる。

■「はなまる……」という番組は、正にオウム真理教事件の発端となったような弁護士一家殺害事件を惹起したのがTBSだった事から、一般的な意味での「ワイドショー」を自粛するという事で、毒にも薬にもならない穏やかな「お茶の間情報番組」として企画されたものだったはずです。日本中の大騒ぎを考えれば、オウム事件の悪夢を生々しく思い出すには充分ですし、今回も震源地がTBSなのですから、他局のように待ち伏せ取材から「追跡自動車」の動員まで、何を考えているのやら、と顰蹙を買うような空騒ぎに参加するわけには行かなかったのでしょうなあ。

■どうやら、そんな大所高所からの見識を示すかどうかという問題ではない、実に低レベルの社内内紛が起こっているという話もあるようですが……。

亀田問題の次は? 其の壱

2007-10-28 20:49:17 | マスメディア
■困ったことに、まだまだ亀田一家騒動は続きそうな気配です。本当は、相撲文化をどうするか?総合格闘技業界の整理をどう付けるのか?伝統武道をどう扱うか?警察官の格闘技能を何処まで向上させるか?最後には公教育の中で格闘技をどう位置付けるか?まで、格闘技の問題はこれからの日本の行く末に関わる大きな課題になっているはずなのです。たまたま、ボクシングという興行格闘技が国民の注目を浴びてしまっているのですから、これを利用しない手は無いような気がして来ましたぞ。

■格闘技は人類最古のスポーツだと考えられています。日本の相撲も神話の時代から、五穀豊穣・子孫繁栄・天災予防、特に震災忌避の呪術性いっぱいの儀式をルーツとしていることになっていますし、古代オリンピックもオリンポス神に捧げる神事が発祥だと言われています。相撲協会の胡散臭さは措くとして、世界中の格闘技にはに生臭い「生贄」の痕跡が濃厚に残っているわけで、近代スポーツへと脱皮する時に、数々の「禁じ手」が考案されて子供も女性も楽しめる娯楽性と芸術性を高める努力を重ねて来た歴史があるようです。
 
■途中で古代ローマ帝国時代の「グラデュエーター」興行のような、底なしの残酷趣味いっぱいの娯楽に走ったこともあるのですが……。人を使わずとも、身近な家畜やチャイナのように昆虫を使っての殺し合いを楽しむ「文化」へと発展した歴史も含めまして、文明を清潔に磨き上げると同時に原始の血生臭さを保存しようとする衝動も保存され継承されていると言えるのでしょう。格闘技が戦争の代替物となる事を、昭和30年代の日本は実感しています。力道山という「最強の日本人」を日本中が熱狂して応援した事実を、最近の昭和レトロ・ブームは扱い兼ねているような次第ですが、力道山は元関取で日本を代表して白人をボコボコにしてくれる昭和の軍神だった事は誰も否定でしないでしょう。

■今にして思えば、巨大な「アメリカ人」を敗戦の屈辱感も生々しい日本人の目の前で、徹底的に懲らしめる力道山は絶対的な存在だったのでした。それは善と美と真実の権化だったのでしょう。その熱狂は同じ興行商売のボクシング業界にも伝染して、日本から世界チャンピオンが誕生する度に日本中が熱狂し続けたのでした。今回の亀田一家騒動を扱うマスコミが、便利に「昔はよかった」とまとめる時に並べられる勇名は、昭和30年代から40年代の伝説を作った人達です。

■バブル崩壊の前後、猫も杓子も「グローバル化」を叫んでいましたから、今年の米国大リーグのワールド・シリーズで「日本人対決!」とマスコミが泣いて喜ぶ事態に到っているようなわけです。しかし、プロレス界では(いろいろと問題があるとは言え)アントニオ猪木さんが日本独特のドメスティックなプロレス興行世界の枠を破って、格闘技のグローバル化を強行した時に日本中の若者が熱狂したそうで、その熱の中から今の新総合格闘技の戦士が育って来たという事実が有ります。それが、どこまで宣伝と看板に肉薄しているのかは別の問題ですが……。

■日本にボクシングが上陸したのは明治の時代らしく、冨田常雄原作の小説『姿三四郎』にも「スパーラの章」が出て来ます。言わずと知れた黒沢明監督のデビュー作が『姿三四郎』で、何度も映画やテレビでリメークされているのは周知の事実。しかし、黒澤明監督で『続 姿三四郎』が製作されている事は、あまり大きく取り扱われない傾向があるような気がします。問題の「スパーラとの対決」はここに映像化されていまして、既に伝説化している異種格闘技『アントニオ猪木VSモハメッド・アリ戦』で披露された戦い方が、モノクローム画面に予言されているのでした。黒澤明の演出で、主演の藤田進さんが頑張って実演する「足攻撃」は迫力が有りますが、やはり原作で読んだ方が面白い場面なのです。それは実に理に適った絶対に負けない戦い方で、顔面や腹部に打撃を加える「野蛮」な毛唐の格闘技に、明治の日本男児が挑む姿が実に面白く描かれています。

■勿論、『姿三四郎』という作品は、西郷四郎という実在の快男児をモデルにした「美談」仕立てのフィクションですから、過剰に入れ込んでは行けない小説ですが、柔道という武器を持たず、打撃や蹴り技を禁じた、一見頼りない競技が確立されて行く近代史が、実に面白い読み物になっています。初めての監督作品を選ぶ時に、黒澤明が原作に惚れ込んだ理由は一読すれば分かります。
姿三四郎 地の巻
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放送中止? 其の壱

2007-10-17 16:20:04 | マスメディア
■以前、NHKが「天皇死刑」の模擬裁判をETVで放送して大騒ぎになった事がありましたなあ。新聞や雑誌までが過剰反応した「政治圧力」の有無が国会にまで飛火した騒動でしたが、震源地となったNHK職員と朝日新聞の元記者との間に深い関係が有った事が判明して、何ともすっきりしない終わり方をしたように記憶しています。あの時には、皆様の受信料で番組を制作して放送しているNHKなのだから、しっかりと予告して「再放送」をすべきだ!と拙ブログに書きました。政治的圧力が疑われる「編集」の件もありましたから、編集前の作品と編集後の放送分とを並べて放送して欲しかったのでしたが、門外不出の扱いになってしまったようです。NHKセンターの映像アーカイブで見られるかどうかは未確認ですが……。

■今回の内藤VS亀田の世界フライ級タイトルマッチは、特殊な意味で「歴史的映像」になりましたから、記録好きな方はしっかりと保存しておられることでしょう。もっと熱心な方はTBSが製作した特別番組も網羅して、亀田一家事件の「軌跡」を独自に作っているかも知れませんなあ。


TBSは16日、内藤大助と亀田大毅のWBC世界フライ級タイトルマッチの舞台裏を特集するはずだったドキュメンタリー番組「バース・デイ」(18日深夜1時1分放送)の内容を差し替えることを発表した。JBCが反則行為などを理由に、亀田家の処分を発表したことに対応した措置だという。番組では亀田家を中心に取材し、父史郎氏への単独インタビューなどを行っていた。だが、史郎氏のセコンドライセンス無期限停止や大毅のライセンス1年間停止といった、重い処分を重視し、放送は適当ではないと判断したという。

■「適当ではない」かどうかを判断するのは、あの試合を見てしまった視聴者ではないでしょうか?どうせ通販番組かソフト販売目当てのアニメ番組くらいしか放送しない深夜枠なのですから、是非とも予定通りに放送して欲しいものですなあ。一体、どんなヨイショ番組になっているのやら……興味津々であります。ついでに、番組枠を大幅に拡大して、これまでに放送した亀田一家特集のダイジェスト版も続けて放送したら良いでしょう。それから生放送を見逃してしまった視聴者の皆様用に、試合そのものをダイジェスト版で「再放送」してから、スポーツ・ジャーナリストに集まってもらって「朝まで検証」番組にするくらいの開き直ったサービス精神が欲しいところです。


同局には試合直後から約1500件の苦情が寄せられた。試合の実況も、内藤がバッティングで流血した場面で「このままだと亀田が勝ちますね」、最終回に大毅が反則を犯すと「若さが出ました」と露骨に亀田びいきだったことで、同局も批判の的となっていた。代替の内容は未定で「調整中」としている。
10月17日9時41分配信 日刊スポーツ

■明日は我が身の民放他局は、おそるおそるTBS批判をしている様子ですが、当事者のTBSもおずおずと「反省の弁」を漏らし始めているようです。残念ながら、TBSはJBCに遅れを取ったのかも知れません。亀田一家やJBCの動向を、尤もらしい顔で「報道」している事に忸怩(じくじ)たる思いの職員も多いのではないでしょうか?あの試合前に、亀田トウチャンの「独占インタヴュー 」を収録したのなら、これも一種の歴史的映像でしょう。アテが外れて予想外の展開になったからと言って、当初の企画方針を放擲(ほうてき)するのは卑怯なように思えます。

■「羹(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く」の諺もありますが、以前、TBSが死んだことになっているオウム真理教のやかましい連中には「事前に」ビデオを見せて殺人事件を誘発させた過去が有るからなのでしょうか?今度は「事後に」せっかく製作した特別番組をお蔵にするというのは如何なものでしょう?そんなにヒドイ内容なのでしょうか?きっと、スポンサーも決まっていたのでしょうが、その名前も封印という事なのでしょうなあ。せっかくの「検証」機会をみすみす逃してしまうだけで、悪い評判がますますひどくなるだけのような気がする、あまり賢くない判断をしたものです。それにしても予定された番組の名前が『バース・デイ』ということは、間に合うように試合を無理に組んだという「最年少チャンピオン」の誕生を予定していたというわけでしょうな?!あまりにも内藤チャンプを馬鹿にした話ですなあ。

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そろそろ幕引き 其の弐

2007-10-15 19:04:29 | マスメディア
■徐々に、他のテレビ局からチクチクと批判が始まっているようですが、今週発売の雑誌類には何が書かれる分かったものではありませんぞ。筑紫哲也さんが病気療養中だったのが不幸中の幸いだったのでしょうか?また「死んだ」なんて言われたら最後でしょうからなあ。、TBSは『亀田兄弟サイト』に残されている記録によると、「デビュー戦 2003/12/21 大阪中央体育館  対デンナロン・シスソバ(タイ) 6R KO 1R44秒」の頃からの、「持ちつ持たれつ」関係のようですが、でも、スポーツ新聞や雑誌類も亀田一家には随分と恩義が有るでしょう。一番、お世話になったのはJBCだろうと指摘する声もあるようですから、マス・メディアは「無傷」のコメンテーターを掻き集めて「腹話術」みたいな言い訳番組をたくさん作らねばならないでしょうなあ。

■それにしても、亀田一家騒動は日本相撲協会の不祥事によく似ているような気がします。処分の早さだけが違っているように見えますが、試合直後はまったく「処分」など考えていなかったという話も有ります。相撲協会のように文科省を怖れる理由があるかどうかは知りませんが、JBC自身がテレビ業界から「トカゲの尻尾切り」されたら大変だ!というわけで、「TBSに非難が殺到!」の一報を聞いて震え上がったのだとか……。それなら、相撲ファンも朝青龍問題が起こった時に、相撲協会に非難を殺到させたら、もう少し何とかなっていたのかも知れませんなあ。亀田大毅君が朝青龍で、亀田トウチャンが前時津風親方、JBCが相撲協会理事会で、TBSはNHKに対応するのかな?そこは若干の疑問も残りますが、ヤクザなセコンド指示に従って大毅君に股間を強打されたり、場外に頭から投げ落とされていたら、内藤チャンプが時太山になっていたかも?

■前時津風親方は理事会の処分が発表される直前まで、じたばたと「運動」していたように、亀田トウチャンもテレビの独占インタヴュー!には顔を出なかったとはいえ、しっかりとJBCには「言い訳」をしに行ったそうです。


東日本ボクシング協会の大橋秀行会長らが定例理事会後行った記者会見……
 --処分の理由は
協会「世界戦を戦った両選手の反則行為について話し合った。(倒れた大毅選手を殴った)内藤選手の行為については処罰に至らずと。亀田親子は許せないのでコミッションに要望しようとなった」
 --大毅選手に関しては12ラウンドの反則行為が対象か
協会「そうですね。セコンドに関しては『ローブローを打て』と言っていたのを確認した。セコンドは11ラウンドまでの言動で反則を促す行為があった」
 --本人らを聴取する予定は
協会「今のところない。今回は(父親・史郎氏とは別の)大毅選手のトレーナーに話を聞いた。トレーナーによると、亀田家は『投げる』という言葉を『パンチを打て』という意味で使うことが多いということだ」
2007年10月15日 産経ニュース

■「亀田流・語」というヤヤコシイものが飛び出して来まして、「ヒジでエエから眼を狙うたれや」という亀田流暗号は、「ヒジでしっかりガードして、眼の位置を狙ってパンチを打て」と解読されるのだそうですから、きっとこれから「投げ落としたれや」ぐらいの発言がどこかで発せられていたのかも知れませんぞ。「投げろ」が「パンチを打て」と解読するのなら、セコンドの3人が連呼していた「打て!」の指示はどんな意味に解読されるのでしょう?もしかすると、亀田トウチャンが怖い顔して言う「何じゃこりゃ、おー!しばくど、こらあ」というのは、「どうぞ宜しくお願い致します。どうか応援をお願い致します」という意味なのかも知れませんし、亀田興毅君の各種の暴言もしっかり解読すれば、礼儀に適った好青年の爽やかな発言に変わるのかも?これからのワイド・ショーは「亀田流暗号」を取り上げるのでしょうなあ。研究する価値もありませんが……


……日本ボクシングコミッションは15日、大毅の父でトレーナーの史郎氏にセコンドライセンスの無期限停止処分を科すことを決めた。また、大毅を1年間のライセンス停止処分、兄でセコンドに入った興毅を厳重戒告処分、協栄ジムの金平桂一郎会長を3カ月のクラブオーナーライセンス停止処分とすることを決めた。

■何とも素早い「処分決定」です。日本相撲協会の関係者は、どんな顔をして報道を聴いているでしょう?


これに先立ち、東日本ボクシング協会(大橋秀行会長)は理事会を開き……同協会に加盟する協栄ジムの金平会長については厳重戒告処分とし、始末書を求め、練習場所など独自に活動している亀田兄弟らについて、ジムの管理下に置くように誓約書を提出させるとした。会見で大橋会長は、13日に大橋ジムを訪れた父の史郎トレーナーから「亀田家は3カ月謹慎する」と反省の意を伝えられたことを明かした。興毅は反則指示について「亀田家のボクシング用語」と弁解するコメントを出していたが、大橋会長は「話し合った結果、弁明とは受け取れない」と説明した。
2007年10月15日 産経ニュース

■今度は、この処分が「甘い」かどうかが話題になるのでしょうが、次に亀田一家が何をしようと、どうでも良いようなものですが、万が一、ほとぼりが冷めて「出直し」試合が行われた時に、性懲りもなくTBSが独占放送するかどうか、これにはちょっと興味が有りますなあ。試合相手の方に注目が集まる様子も、ちょっと楽しみで、TBSが放送前に仕掛けるヤラセ宣伝がどんな物になるのかも……。もしかすると、大相撲は高齢者だけ、ボクシングは屈折した若者だけが視聴者になるような分裂現象が進んで行くような気がします。さあ、次は大相撲問題の動向に「国民」の注目が集まりますぞ!

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そろそろ幕引き 其の壱

2007-10-15 19:04:02 | マスメディア
■だんだん散らばっていた矛先がしぼられ始めているようですが、以下の「公式サイト」は閉鎖されてはいません。名前は『亀田三兄弟サイト』というのですが、あれこれと(一方的に)詰め込んだ豪華な作りのサイトですなあ。これがいつ頃削除されるのか?と悪趣味なことを考えてしまうほど、亀田一家に関する情報を独占しているぞ!という気合が感じられる内容になっているようです。

http://www.tbs.co.jp/kameda-boxing/

勿論、10月11日の内藤戦についてもちゃんと書かれているんですが、「2007/10/11亀田大毅 WBC世界フライ級チャンピオン内藤大助に3-0で判定負け」と素っ気無いものだけです。特に、TBSとして大急ぎで書き足しておかねばならない事は無いようですなあ。

■ついでに、以下のサイトで10月11日の番組内容を確認してみました。実際には途中から、それも半分くらい眺めていただけなので、選手関係者以外に誰が出演しているのか、さっぱり分からなかったのですが……。

http://www.tbs.co.jp/tv/daily/20071011.html

ゲスト:赤井英和、熊田曜子、坂田健史 / 解説:鬼塚勝也、佐藤修 / 実況:新夕悦男 / 赤コーナーリポーター:土井敏之 / 青コーナーリポーター:藤森祥平 / 司会:安東弘樹、小林麻耶

■すると、テリー伊藤さんが罵倒していたのは、新夕悦男さんというアナウンサーということになります。どんな人かと思って調べてみると、TBSの公式サイトに写真つきでプロフィールが載っています。1974年生まれの京男だそうで、「野球、サッカー、ボクシング、バレーボール、大相撲、陸上ほか」とスポーツ専門に担当しているように書いてあるのですが、『はなまるマーケット(とくまる)』…月~金/8:30~9:55に(不定期)出演、RADIOでは『エキサイトベースボール・マネージャーズ』…金/17:50~19:00、『森本毅郎・スタンバイ!(スポーツスタンバイ)』…月~金/6:30~8:20(7:20過ぎ)に不定期出演しているのだそうです。なかなか忙しい人で、大活躍と言ってよいのではないでしょうか?

■昔は「発声・発音」しか注目されていなかったアナウンサーですが、今はまったく別の商品価値が前面に出ているようなので、この人の才能や魅力については下手なことは言えません。早稲田大学の政治学科を卒業していて、高等学校「公民」の教員免許も持っているそうです。優秀な人なのでしょうなあ。要するに、とても真面目な人だという印象を確認したいだけなのですが……。つまり、明確なTBSの会社命令に従って「頑張れ!亀田!」の実況放送に取り組んで、見事に勤め上げたということになるわけです。例のボディ・スラム攻撃に関して、「若さが出ましたね」と発言した解説者は鬼塚勝也か佐藤修のどちらかという事になります。

■すっかり「国民」の人気者に大成長した内藤チャンプの方も、逆の意味で心配になるほど加熱気味に玩具にされているようですから、どうぞ、ご用心、ご用心。


ジム会長らで組織する東日本ボクシング協会(大橋秀行会長)は15日、東京都内で理事会を開き、11日の世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトル戦で反則行為を繰り返した亀田大毅と、兄でセコンドについた亀田興毅(ともに協栄)に期限付きのボクサーライセンス停止、父親の亀田史郎氏には反則を指示したとして無期限のセコンドライセンス停止の処分を下すよう日本ボクシングコミッション(JBC)に要望することを決めた。理事会に同席したJBCの安河内剛事務局長はこの決定を受け、同日のJBC倫理委員会で具体的な処分の検討に入った。 
10月15日 時事通信

■詳しい事は分かりませんが、亀田トウチャンは「セコンドライセンス」停止の処分が本決まりとなった場合、ボクシング・ジムでの仕事は続けられるのでしょうか?常にTBSを喜ばすように頑張って来た人ですから、悪い冗談を徹底させて看板を「時津風ジム」にするとか、「K-1」選手も養成するジムだと開き直ったら、TBSは取り上げるのでしょうか?一般的な「報道番組」の枠では、TBSも他の局と同じ様な態度で報道しているようですが……。まさか、自分達は「被害者」だと思っているのではないでしょうな?!オウム事件の時には、午前中のワイドショー枠を削って純粋な?家庭用の情報提供番組に切り替えて生き延びたのがTBS「流」のようですから、亀田一家の処分が決定した後でもTBS批判が続くようだと、「ボクシングの実況放送」から撤退して反省の姿勢を示すのでしょうか?

持ちつ持たれつ 其の参

2007-10-14 17:38:17 | マスメディア

WBC世界ライト級元王者のガッツ石松氏は「これはボクシング界の朝青龍問題といえる。反則指示が本当ならば、協会やJBCなどが厳正な対処をしないと大変な問題になる」と指摘し、「興毅や史郎氏がセコンドにつくこと自体がWBCのルール違反だろう。今回はJBCが例外として認めたが、それ自体が甘かったのではないのか」とも述べた。WBCルールは原則的に親兄弟がセコンドにつくことを認めていないが、JBCはこれまで、史郎氏ばかりかセコンドライセンスのない興毅のセコンド入りまで容認してきた。

■ガッツ石松さんは、どこかのテレビから電話で受けた取材では、亀田大毅の若さを強調し、防御が上手な巧者を相手にする時には相当に苛立ってしまうこともあると助け舟を出していたようです。でも、活字に残ってしまう新聞の取材にはちゃんとしたコメントを出しているのですなあ。亀田一家の「物語」が高い商品価値を持っていたのは、TBSばかりではなかったようです。そうなると、JBCは日本相撲協会のようなトカゲの尻尾切りをやるのは拙いでしょう。亀田一家と金平会長だけを悪者にせず、しっかりと自らの勘違いについても謝罪して見せられれば、相撲を押しのけてボクシング人気が高くなるかも?


石松氏はまた、騒動を繰り返す亀田一家について、「ルール違反ばかりやっている。みんながあんなもんだと思われたら、スポーツだという意味がない。JBCも東協も、毅然(きぜん)とした態度で粛々と対応しなければいけない。もし、僕が当事者ならば当然、厳罰に処する」と語った。……一家の反則の代償は、とてつもなく大きい。
10月13日 夕刊フジ

■妙に有名になってから、誰もが危なっかしいと思っていた嫌な予感が当たったと言いたいのでしょう。でも、少なくともマスコミ関係者は、こんなに大きな問題が起こる前に何らかの手を打っておくべきだったでしょう。勿論、亀田一家の反社会性が度を越しているいる!と声を上げた勇気ある人も居ましたし、遠くから反省を提案する声を上げたマスコミも有りました。しかし、結局は亀田一家に言及するのは囲い込んでいるTBSを喜ばせる話題作りに利用されてしまうと考えれば、無視して放置して別のネタを探す方が賢いという選択があったようです。そうなれば、TBSと完全に「持ちつ持たれつ」の関係を築いた亀田一家に恐い物は無くなってしまいます。

■名作『あしたのジョー』でも、架空の関東テレビとかいう全国ネットを持つ民放テレビ会社が登場していましたなあ。あれも世界タイトルに挑戦する可能性が出て来た矢吹丈を、露骨な態度で独占しようとする企業として描かれていました。身元不明で少年院出の反社会的存在、実在する貧困地域に流れ着いて浮浪者同然のアル中おやじによってボクサーとなった少年の物語が『あしたのジョー』ですが、亀田一家の「物語」には、同じ原作者が残した『巨人の星』やら『空手バカ一代』などからのパクリも多いようです。一体、誰がこんな無茶な「作品」を考えたのでしょうなあ?


11日の世界戦で反則を繰り返した亀田3兄弟の二男・大毅の問題で、日本プロボクシング協会を構成する北日本、中日本、西日本、西部の各ボクシング協会も処分を検討していることが分かった。「同様の行為がボクシング界で日常化している印象をファンに持たれないよう、厳しい態度を示すべき」との声が各協会内で噴出したためで、中には「無期限の追放とすべき」という厳しい声もあったという。
10月14日 スポーツニッポン

■「時津風部屋だけが異常なんだ!」と言い張る日本相撲協会とそっくりな理屈ですが、亀田一家にもボクシング業界に貢献した面もあったはずなのですから、そこら辺を誤魔化して強引に決着させようとすると、あらぬ方向から矢が飛んできますぞ。ちょっと古い話になりますが……。


日本ボクシングコミッション(JBC)は16日、亀田3兄弟の父でトレーナーの史郎氏と協栄ジムの金平桂一郎会長に、レフェリーへの暴言禁止などの通告書を出した。史郎氏は先月24日の亀田対モラレス戦後、主審の浦谷信彰氏に暴言を吐いた。その場で金平会長が陳謝したものの、浦谷氏を含めた審判団らは納得せず、JBCに処分を求めた要望書を出していた。
2007年4月16日 日刊スポーツ

■モラレス戦の後にも、こういう問題が起こっていたのです。さて、TBSはどんな対応を取ったのか?その検証も問題になりそうですが、この後にJBCがどんな決定をしたのか、あまり大きくは報道されなかったのも不思議ですなあ。更に古い話になりますと、警察まで介入しています。


プロボクシングの「亀田3兄弟」の二男、大毅選手(17)(協栄)が判定勝ちした27日の試合後、後楽園ホール(東京都文京区)で興奮した観客らが乱闘した問題で、警視庁富坂署は28日、試合を管理する日本ボクシングコミッション(JBC)など関係者から、乱闘に至った経緯などについて事情を聞いた。また、この乱闘を巡り、亀田選手の父親でトレーナーの史郎氏が、関係者に抱えられるようにリングサイドで制止される写真がスポーツ紙に掲載された。これを受け、JBCの安河内剛事務局長は同日、「(史郎氏が乱闘を)鎮めるつもりだったのか、加担を意図していたのかを含めて、協栄ジムに事実関係を確認する」と述べた。
2006年9月29日 読売新聞

■亀田トウチャンには、「乱闘を鎮める」キャラクターは与えられてもいませんし、取り巻き連中から期待されても居なかったはずです。さすがに、今回の内藤戦に到ってチケットは完売せず、観客のほとんどが「亀田負けろ!」の大合唱、テレビの前にはたっぷり毒気を含んだ「国民の期待」が渦巻いていたのですから、亀田一家のキャラクターを作った仕掛け人は、頭を抱えている事でしょう。


14日午前放送のTBS系情報番組「サンデー・ジャポン」で、テリー伊藤氏は王者・内藤大助が反則を繰り返した挑戦者・亀田大毅を判定で破ったWBC世界戦について「実況も最低だった」とTBSの“亀田びいき”の実況を痛烈に批判した。王座を防衛した内藤大助選手を迎えて行われた同番組で、テリー氏は世界戦で反則を繰り返した亀田大毅のバッティングを「ああいうことをずっとやっているのが問題」と批判。返す刀で、バッティングで内藤選手が流血した場面で「このままだと亀田が(TKOで)勝ちますね」と実況したり、最終ラウンドの“投げ技”反則に「若さが出ました」とコメントしたと紹介し、「TBSは亀田を応援しているが、納得できない。TBSもぬるいよね。悪いことは悪いと言わないと」と、同局の姿勢を批判した。
10月14日 産経新聞

■視聴率男のテリー伊藤さんだから言える事なのでしょうが、試合翌日の朝からTBSは亀田一家との蜜月・密談関係など無かったかのように、他のテレビ局とまったく同じ姿勢で勝者の内藤チャンプを新たな「商品」にしてしまっているようです。先日、悪の巣窟?京都市役所で不自然な慶弔休暇が発覚して、毎年、異様に多くの親戚がばたばたと死亡している職員がたくさん在籍している事が判明しました。TBSは、今は御本人が闘病生活をしている筑紫哲也さんから「死んだ」と言われた身ですから、その後、誰も「蘇生」を確認していないのですから、まさか、「TBSは二度死ぬ」などとフザケた事は言えません。亀田一家と心中を覚悟するしかないかも知れませんが、視聴率を稼がせてくれている間だけは、蝶よ花よ!神様!仏様!亀田様!でしょうが、「国民の敵」に認定されたらそれを製造販売した張本人のTBSはどうするのでしょう?

■今後、相撲協会が震え上がるような厳しい「尻尾切り」が行われた場合、それを淡々とTBSは報道するのでしょうか?会社内の縦割り構造で、「報道部は別だ!」と言いたい人も多いのでしょうが、それでは「赤福の小豆を煮ていた部署は無罪だ!」と言うのと同じで、世間は納得しないでしょうなあ。次に株式買収を仕掛けられたら、誰も同情しないかも知れませんなあ。まだまだ、問題は広がって行きそうですが、この件はこれくらいにしておきましょう。シャーッ!と叫んで〆るのが亀田流でしたなあ。オシマイ

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持ちつ持たれつ 其の弐

2007-10-14 15:38:33 | マスメディア
ボクシング界からの追放は免れても、リングサイドからは“追放”してもらう。この日、東京・葛飾区のジムで指導にあたった宮田会長は「15日に内藤とJBCに出向きます。家族がセコンドに付くことを禁じたWBCのルールが今後の防衛戦で徹底されるよう再度、お願いするつもりです」と語った。10日のルールミーティングで、内藤陣営はセコンドに親族が付くことを禁じたWBCルール第38条の適用を強く主張した。だが、国内では元WBC世界フェザー級王者の越本隆志と、父・英武会長らの前例があるとしてJBCに却下された。ところが試合直前のリング上で、史郎氏が内藤に詰め寄り威嚇(かく)するハプニングが発生。宮田会長は「恐れていたことが起こってしまった感じ。内藤に動揺が見えたし、二度とあってはならないこと」と不退転の決意をにじませた。……
10月14日 スポーツニッポン

■こんな舞台裏をこれだけの騒動が起こった後で報道されても困りますなあ。亀田トウチャンがユニークな表情と歩き方で試合場に現われ、特殊な業界でしか使わない日本語を扱う人物だというのは、テレビ局にとっては有り難い商品だったはずです。試合前の下品な発言から始まり、試合直前の最悪の威嚇も亀田一家の売り物だったはずです。髪型、サングラス、服装、すべては誰かがテレビ映りを計算して演出したものなのではないでしょうか?ルールを無視して一家がコーナーに顔を並べるのも、演出技術として許容されていたのでしょう。

■しかし、興行収入と経営上の事情があるにせよ、テレビ業界と抱き合い心中をするわけには行かないボクシング界としては、幸にも複数のテレビ局が存在しているので、過剰演出で失敗したTBSを見限って別の放送局と組めば良いだけの話でしょう。今のところは他人事みたいに亀田騒動を「報道」しているTBSですが、それがいつまで通用するのか?忘れっぽい国民の愚かさに期待して先延ばし戦術を続けるのかも知れませんが……。とは言っても、JBC自身が内藤側からの真っ当な主張を握り潰したという事実は消えませんぞ!特例などを認めたら、ルールはなし崩しに骨抜きになってしまう道理が分からぬ組織のようですなあ。だからTBSにも付け込まれるのでしょうなあ。


……日本ボクシングコミッション(JBC)と東日本ボクシング協会(東協)は13日までに、WBC世界フライ級タイトル戦で反則行為を繰り返した亀田大毅(協栄)と、セコンドで反則を指示したとして父、兄を厳罰に処す方針を固めた。動きを急がせたのは、ボクシング界を挙げての亀田家に対する「なめるな」という怒りだった。東日本のジム会長らで組織する東協は15日の理事会で、協栄ジムに戒告などの処分を下す。東協の北沢鈴春事務局長は12日、「父親の史郎氏が急所を狙えと指示し、兄の興毅がひじで目を打てと発言したのをビデオで確認した」と明言した。……JBCも15日に倫理委員会を開いてビデオを検証することを決めた。安河内剛事務局長は「重大な処分になるかもしれない」と話しており、大毅はファイトマネーの没収かボクサーライセンス停止、史郎氏はセコンドライセンス停止といった厳罰を受ける可能性が高い。現役世界ランカーの興毅、協栄ジムの金平桂一郎会長にも厳しい処分が及ぶ見通しだ。

■「なめるな!」も18歳のゴキブリ発言とどっこいどっこいの下品な表現ではないでしょうか?公式発言でもないので、多少は荒っぽい言い方をしないと通用しない業界なのでしょうなあ。でも、そのあたりから改革して行かない大相撲と同じような人材不足に陥って、ろくな取組み(試合)を提供できずに人気が落ち、それが原因で若者が見向きもしなくなって……という消滅へのスパイラルに嵌まり込んでしまうでしょう。既に片足は突っ込んでいるようですが……。


……これに対し亀田家も12日、慌てて防戦に出た。……と言い訳のコメントを出した。だがこんな談話ではボクシング界の怒りは収まらない。東協の大橋秀行会長は「本来なら失格負けにしてもいい試合だった」と言い切り、大毅が暴挙に出た背景として、今回の試合で4Rと8R後に採点を公表するシステムが採用されたことを挙げた。「どうせポイントでは負けているからと失格負け覚悟でやったように僕には見えた。甘い処分をしたり、見逃したりしたら、今後も同じようなことをするボクサーも出てきてしまう。どういう処分になるかは理事の皆さんと決めることになるが、厳しい処分をする方向で動くことになると思う」と語った。

■早い対応は分かりますが、結論が先に漏れてしまうというのは、ちょっとフライング気味で、相当に荒っぽいやり方です。これでは時津風部屋名物?のリンチみたいですなあ。


WBAジュニアフライ級元王者の具志堅用高氏は、白井・具志堅ジム所属の野木丈司トレーナーが内藤のトレーナーを務めていた関係から、試合前に「荒れる試合になる可能性もあるが、大人の対応をしてほしい」と内藤陣営にアドバイスしていたという。そして現実に荒れた試合に「本当にがっかりした。ボクシング界がなめられている。厳正な処分をしなければいけない」と強調した。

■具志堅さんは、以前、亀田興毅のマッチ・メイクが意図的に強敵を避けているとの疑惑が持ち上がった時に、公平な立場で適切なコメントを発表したのでしたが、亀田オヤジは狂ったように噛み付いて見せたという因縁が有ったはずです。今の金平会長の父親に育てられた具志堅さんですから、いろいろと裏には複雑な問題が絡んでいるような感じもしますが、それが何にせよ米国のラスベガスを舞台にして気が遠くなるようなファイト・マネーで試合をするようなわけには行かない日本のボクシング業界の狭さと弱さを感じさせる隠微な話のようにも思えます。でも、感情を抑えているらしい具志堅さんにして、「厳正な処分」を要求するくらいですから、いよいよ亀田一家の命運は尽きたようですなあ。