■「日本融解」という悲しい言葉が流行したのは「失われた10年」の後だったと思いますが、あれは決して大袈裟なレトリックではなかったのかも知れない、と思ってしまったのは「新語・流行語大賞」の記事を読んだからでした。「大賞」もあちこちで大安売りされている「言葉」になってしまっていますから、この賞名に腹は立ちませんが、「流行語」と言われても、この一年間で一度も自分が口にした事が無かった「言葉」が並んでいるのを目にすると、日本は日本語のレベルで融解して四散している実態を垣間見る思いであります。
■国家が暴走して国民を強引に打って一丸にするスローガンなどが「大流行」するような時代も困りますが、一年を象徴するような言葉が見当たらないというのも悲しいものです。
1年間の世相を反映したキーワードを選ぶことで毎年注目されている「現代用語の基礎知識 選・ユーキャン新語・流行語大賞」。この2007年版が本日3日(月)に発表された。「KY(空気読めない)」や「どんだけぇ~」などの言葉が流行した1年だったがこれらを差し置いて、大賞を獲得したのは「(宮崎を)どげんかせんといかん」と「ハニカミ王子」。そのほか、トップテンには、「大食い」「消えた年金」「食品偽装」などが並んだ。
■『現代用語の基礎知識』という辞(事)典が販売不振に喘いでいるという話も聞きますから、毎年「基礎知識」を追い掛ける必要が無くなっているのかも知れません。日本語をローマ字で表記して音節の頭文字を並べた「KY」という表現は、立派な暗号でしょう。従って、内輪だけで通じるはず暗号が全国的なイベントに引っ張り出されるというのは、マスコミの迎合姿勢に原因が有るようです。東京の片隅で起こった小さな事象を「流行中!」と囃し立てる悪い癖は反省すべきでしょうなあ。「どんだけぇ~」ともども、この一年間で一度も使った事もなければ、来年以降も使う機会は無いでしょうなあ。
……
<トップテンに選ばれた言葉 一覧>
大食い ギャル曽根
消えた年金 舛添要一(厚生労働大臣)
食品偽装 受賞者なし
そんなの関係ねぇ! 小島よしお
(宮崎を)どげんかせんといかん 東国原英夫(宮崎県知事)
鈍感力 渡辺淳一(作家)
どんだけぇ~ IKKO(メイクアップアーティスト)
ネットカフェ難民 川崎昌平(『ネットカフェ難民』著書)
ハニカミ王子 石川遼(アマチュアゴルフ選手)
猛暑日 瀧沢寧和(埼玉県熊谷市直実商店会会長)
12月3日 オリコン
■大賞は「どげんかせんといかん」と「ハニカミ王子」なのだそうです。地方自治体の知事選挙が日本中の注目を浴びたのは、ビートたけしという人の弟子が立候補したからでした。首都の知事も芸能プロダクションの応援で当選している日本なのですから、この現象は決して驚くようなものではありません。しかし、地方自治体の危機感を表わす血を吐くような「言葉」が大賞になる時代は、決して喜ばしいものではないでしょう。「ハニカミ王子」の方も、先に字は違いますが「監禁皇子」という気味の悪い若者が登場していたからこそ、その解毒剤か反動のようにマスコミが強引に作った呼称だったようです。
■他の候補も素直に納得できるような「言葉」は見当たりません。「大食い」は文化が爛熟した江戸時代には立派なお座敷芸だったと記録されていますから、芸の一種の認定しても良いとは思いますが、当時でも相当に変わった趣味の見世物扱いだったようですから、公共電波に乗せるべきかどうか?これは考え物ですぞ。記事にある「ギャル曽根」という娘さんが大食漢らしいのですが、玩具にしているマスコミは彼女の健康や将来を心配はしないのでしょうなあ。その内、宗旨替えした彼女が胃腸薬の宣伝でもするのでしょうか?
■「消えた年金」が流行語になって舛添要一厚生労働大臣は喜んでいるのでしょうか?もしもそうなら、予想通り他人事でしかないことになります。「食品偽装」は内部告発が蔓延しているらしく、玉石混交状態であちこちで騒動が起こっています。テレビがウソ番組を制作放送する罪に比べて、食品製造会社の責められ方は度が過ぎているような印象を受ける事が多いのは確かです。
■「そんなの関係ねぇ!」小島よしおという裸芸人が大活躍のようですが、今年だけでなくこの頃の日本を象徴する流行語はこれでしょう。彼の芸は自分の他愛も無い恥や失敗談を披露してから、開き直って裸踊りをして見せるというものですが、奇怪な殺人事件や後を絶たない公金横領、選挙をめぐる醜悪な話など、日本中に無言の「そんなのカンケイねえ」が響き渡っているような気がしますなあ。「鈍感力」は渡辺淳一さんの著作名で、偶々、間抜けな道化者になってしまった安倍前首相を元気付けようと小泉元総理が書名だけを引用した事実が元だったようです。首相就任直後の『米百俵』にしても、小泉さんは本は読んでいないか、驚くほど読解力が無いのではないか?と疑っております。
■「どんだけぇ~」という通常は疑問文とされるべきところですが、これは感動詞なのだそうです。従って、素っ頓狂な声に答えては行けないとか……。IKKO(メイクアップアーティスト)という人は、どうやら同性愛者のようですが、差別を撤廃するためなのか、人権思想が進んだからか、いつの間にかこの種の趣味を持つ「男」がテレビに出て来る機会が増えたようです。何故か女性の同性愛者が出て来ないのですなあ。抜群の歌唱力と演技力で他を圧倒したサガラナオミという女性が、この種の趣味の持ち主だという噂が流れただけで、あっと言う間に芸能界からもマスコミからも抹消されてしまった事が有りましたが……。同性愛者にも人権を認めよう!と頑張るのなら男女双方から出演者を探すべきでしょう。視聴者が持っている隠微な差別意識を利用したキワモノ商品扱い出来るのは「男」なのか?戦国時代の「衆道」や、江戸時代の「陰間茶屋」の伝統が日本には有ったからでしょうか?理由は兎も角、この感動詞は東京都下の極狭い場所で流通していたものだそうですなあ。
■「ネットカフェ難民」川崎昌平(『ネットカフェ難民』著書)、これはこれから大問題になる現象ですから、今年が元年となる可能性が大です!「ああ、2007年度の流行語に選ばれたんだっけ」と、これから何度も思い出すことになりそうです。「猛暑日」も、地球温暖化が原因とも思われる気候変動の予兆かも?瀧沢寧和(埼玉県熊谷市直実商店会会長)が「日本一の暑さ」を逆手に取って宣伝に使おうと思ったのが発端とか……。でも、気象用語として定着しているようですから、来年から毎年耳にするのでしょうなあ。
■国家が暴走して国民を強引に打って一丸にするスローガンなどが「大流行」するような時代も困りますが、一年を象徴するような言葉が見当たらないというのも悲しいものです。
1年間の世相を反映したキーワードを選ぶことで毎年注目されている「現代用語の基礎知識 選・ユーキャン新語・流行語大賞」。この2007年版が本日3日(月)に発表された。「KY(空気読めない)」や「どんだけぇ~」などの言葉が流行した1年だったがこれらを差し置いて、大賞を獲得したのは「(宮崎を)どげんかせんといかん」と「ハニカミ王子」。そのほか、トップテンには、「大食い」「消えた年金」「食品偽装」などが並んだ。
■『現代用語の基礎知識』という辞(事)典が販売不振に喘いでいるという話も聞きますから、毎年「基礎知識」を追い掛ける必要が無くなっているのかも知れません。日本語をローマ字で表記して音節の頭文字を並べた「KY」という表現は、立派な暗号でしょう。従って、内輪だけで通じるはず暗号が全国的なイベントに引っ張り出されるというのは、マスコミの迎合姿勢に原因が有るようです。東京の片隅で起こった小さな事象を「流行中!」と囃し立てる悪い癖は反省すべきでしょうなあ。「どんだけぇ~」ともども、この一年間で一度も使った事もなければ、来年以降も使う機会は無いでしょうなあ。
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<トップテンに選ばれた言葉 一覧>
大食い ギャル曽根
消えた年金 舛添要一(厚生労働大臣)
食品偽装 受賞者なし
そんなの関係ねぇ! 小島よしお
(宮崎を)どげんかせんといかん 東国原英夫(宮崎県知事)
鈍感力 渡辺淳一(作家)
どんだけぇ~ IKKO(メイクアップアーティスト)
ネットカフェ難民 川崎昌平(『ネットカフェ難民』著書)
ハニカミ王子 石川遼(アマチュアゴルフ選手)
猛暑日 瀧沢寧和(埼玉県熊谷市直実商店会会長)
12月3日 オリコン
■大賞は「どげんかせんといかん」と「ハニカミ王子」なのだそうです。地方自治体の知事選挙が日本中の注目を浴びたのは、ビートたけしという人の弟子が立候補したからでした。首都の知事も芸能プロダクションの応援で当選している日本なのですから、この現象は決して驚くようなものではありません。しかし、地方自治体の危機感を表わす血を吐くような「言葉」が大賞になる時代は、決して喜ばしいものではないでしょう。「ハニカミ王子」の方も、先に字は違いますが「監禁皇子」という気味の悪い若者が登場していたからこそ、その解毒剤か反動のようにマスコミが強引に作った呼称だったようです。
■他の候補も素直に納得できるような「言葉」は見当たりません。「大食い」は文化が爛熟した江戸時代には立派なお座敷芸だったと記録されていますから、芸の一種の認定しても良いとは思いますが、当時でも相当に変わった趣味の見世物扱いだったようですから、公共電波に乗せるべきかどうか?これは考え物ですぞ。記事にある「ギャル曽根」という娘さんが大食漢らしいのですが、玩具にしているマスコミは彼女の健康や将来を心配はしないのでしょうなあ。その内、宗旨替えした彼女が胃腸薬の宣伝でもするのでしょうか?
■「消えた年金」が流行語になって舛添要一厚生労働大臣は喜んでいるのでしょうか?もしもそうなら、予想通り他人事でしかないことになります。「食品偽装」は内部告発が蔓延しているらしく、玉石混交状態であちこちで騒動が起こっています。テレビがウソ番組を制作放送する罪に比べて、食品製造会社の責められ方は度が過ぎているような印象を受ける事が多いのは確かです。
■「そんなの関係ねぇ!」小島よしおという裸芸人が大活躍のようですが、今年だけでなくこの頃の日本を象徴する流行語はこれでしょう。彼の芸は自分の他愛も無い恥や失敗談を披露してから、開き直って裸踊りをして見せるというものですが、奇怪な殺人事件や後を絶たない公金横領、選挙をめぐる醜悪な話など、日本中に無言の「そんなのカンケイねえ」が響き渡っているような気がしますなあ。「鈍感力」は渡辺淳一さんの著作名で、偶々、間抜けな道化者になってしまった安倍前首相を元気付けようと小泉元総理が書名だけを引用した事実が元だったようです。首相就任直後の『米百俵』にしても、小泉さんは本は読んでいないか、驚くほど読解力が無いのではないか?と疑っております。
■「どんだけぇ~」という通常は疑問文とされるべきところですが、これは感動詞なのだそうです。従って、素っ頓狂な声に答えては行けないとか……。IKKO(メイクアップアーティスト)という人は、どうやら同性愛者のようですが、差別を撤廃するためなのか、人権思想が進んだからか、いつの間にかこの種の趣味を持つ「男」がテレビに出て来る機会が増えたようです。何故か女性の同性愛者が出て来ないのですなあ。抜群の歌唱力と演技力で他を圧倒したサガラナオミという女性が、この種の趣味の持ち主だという噂が流れただけで、あっと言う間に芸能界からもマスコミからも抹消されてしまった事が有りましたが……。同性愛者にも人権を認めよう!と頑張るのなら男女双方から出演者を探すべきでしょう。視聴者が持っている隠微な差別意識を利用したキワモノ商品扱い出来るのは「男」なのか?戦国時代の「衆道」や、江戸時代の「陰間茶屋」の伝統が日本には有ったからでしょうか?理由は兎も角、この感動詞は東京都下の極狭い場所で流通していたものだそうですなあ。
■「ネットカフェ難民」川崎昌平(『ネットカフェ難民』著書)、これはこれから大問題になる現象ですから、今年が元年となる可能性が大です!「ああ、2007年度の流行語に選ばれたんだっけ」と、これから何度も思い出すことになりそうです。「猛暑日」も、地球温暖化が原因とも思われる気候変動の予兆かも?瀧沢寧和(埼玉県熊谷市直実商店会会長)が「日本一の暑さ」を逆手に取って宣伝に使おうと思ったのが発端とか……。でも、気象用語として定着しているようですから、来年から毎年耳にするのでしょうなあ。