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旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

漢字という財産 其の弐

2008-10-17 15:54:31 | 日本語
■間が開いてしまいましたが、其の壱からの続きです。別の話題に引き摺られて書きかけのまま時間が経ってしまったのですが、気になる出来事を知ったので続けることに致しました。先にその10月10日の小さな出来事の話。

世界的な金融危機の最中、テレビ朝日が「大和証券が破たん」と誤って報じた。2008年10月10日夕方の「スーパーJチャンネル」で、与謝野馨・経済財政担当相談話の字幕に、経営破たんした生命保険の「大和(やまと)生命」と誤って「大和証券」と報じた。テレビ朝日は、同番組内であわてて「番組からのお詫び」を放送。さらに、同日の「報道STATION」でも、女子アナが正誤表を使って訂正するとともに謝罪した。

■以前にもテレビ朝日の「漢字変換ミス」については取り上げましたが、このような致命的なミスは別としても同局のテロップを観る時には他人事ながらもハラハラします。小さなミスなら時間帯や番組の区別なくテレビ朝日の報道系の番組を眺めていると、必ず一つは見つかるのではないでしょうか?夜空の流れ星を見つけるよりは遥かに簡単なのは確かです。何処ぞの国の留学生を最低賃金ぎりぎりで雇って入力変換の作業をさせているのか?あるいは社会保険庁ばりの鈍足タッチ五月雨打ちを頑固に続けているのか?どちらにしても誰も確認せずに本番放送に流すとは考えられませんから、チェック役が居ないのか、別の仕事と掛け持ちを強いられているのか?暴走気味の奇怪な変換ミスは流れないようですから、国語力と常識力に問題があるという結論になるのですが……。


間違えられた大和証券グループ本社は、「当日は各方面から、お客様からの問い合わせもありましたが、いまのところ風評被害のようなことはありません。ただ、このようなことが2度とないよう厳重抗議しました」と話している。「大和生命」の読み方も知らず?……破たんした生保は「大和」生命だが、「やまと」生命と読む。字幕の作成者は、会社名の確認を怠ったばかりか、破たんしたのが生保か、証券か、銀行かも確かめていなかったことになる。……
2008年10月14日 J-CAST ニュース

■生前、司馬遼太郎さんは日本語に関する対談で、「大和」をダイワと読ませる企業が多くなったと、大変に憤慨していたと記憶しております。ダイワ朝廷も戦艦ダイワも存在しないように、「大和」をヤマトと読まなければ「何の意味も無い!」と司馬さんは怒っていましたなあ。自分の家族や会社にどんな名前を付けようが自由なのですが、「赤」と書いてシロと読ませようとしても無理なように、人名や地名の漢字にも自由の限度というものがあります。司馬さんは、古典文学や歴史書で決まっている「大和」の読み方を勝手に変える感覚が許せなかったのだと思われます。

■本来はヤマトと読むべき熟語を「ダイワ」と読むのは特殊な例ということになるのですが、テレビ朝日のテロップ担当者は「ダイワ」が普通で「ヤマト」の方が特殊な読み方だと思っている可能性があります。もしかすると「ダイワ」と入力して変換すると自動的に「大和証券」になるように設定している可能性も……。少なくともテロップを作った人物は、報道内容をまったく吟味せず、意味も理解していないのかも知れません。聞くところによりますと、バラエティと称して多くの人間を雛壇に並べて暇潰しの無駄話を横並びで放送し続けたテレビ業界が、今度は一斉に報道・ドキュメンタリーに力を入れることにしたとか……。視聴率のためなら何でもやるのがテレビ業界なのでしょうが、すでに人材も機材もスクラップしてしまったような局が慌てて天下国家を論じようとしても火傷をするか大恥を掻くのが関の山のような気がしますなあ。

■小さな出来事ですが、日本語の長い歴史を軽く考えるとトンデモないことになる例として取り上げました。最近の民放テレビがこれまた横並びで熱心に取り組んでいるのが「新聞記事の朗読」なのだそうですが、それなら地上デジタル放送が始まる前にテレビはラジオにメディアの主役を奪い返されることになるかも知れませんなあ。

秀才の言い訳 其の参

2008-09-27 00:50:53 | 日本語
中山成彬国土交通相は25日……「戦後教育が悪く、公共の精神が欠けている」と批判した。外国人観光客の誘客をめぐり「日本は単一民族」とも発言したが、同日夜になって一転、「誤解を招く表現だった」として一連の発言を撤回した。

■高校2年生までに通常の3年分のカリキュラムを消化して最後の1年間は志望大学に合格するためだけの訓練に集中する!という変則的な教育は「悪しき戦後教育」とは別のものなのでしょうか?敗戦後の日本には多くの問題が発生しました。その中でも教育と警察組織における混乱は国民生活に直結する大問題でしたなあ。それを単純に「戦前は良かった」話にまとめ上げようとするのは政治と思想の貧困でしょうし、近い将来に革命が起こって理想世界が現出する!などと吹聴するのも無責任な話です。

■「公共精神」を語りたいのなら、既に滅亡モードに入っている自民党内の「公共精神」について語って欲しいものですなあ。中山大臣の選挙区は宮崎1区だそうですが、特に具体的な政策も無いのに「どげんかせんといかん!」と連呼し続けた不良芸人上がりの大学院生が県知事になってしまったのは何故なのか?東国原知事の何倍も長い政治キャリアと優れた頭脳を持っているのなら、どうして県知事選に立候補しなかったのでしょうなあ。

■「単一民族」などと退屈なフィクションを振り回す前に、地元九州の考古学遺跡でも見て回った方が宜しいでしょう。中山大臣なら邪馬台国の謎をきれいに解いてくれそうな気もしますぞ!

……成田や羽田両空港の拡張問題について、「(反対住民らは)公のため自分を犠牲にする精神がなかった。自分さえよければいいという風潮の中で、空港が拡張できなかったのは大変残念。(空港整備が進む)中国がうらやましい」と述べた。

■チャイナの何がどのように「うらやましい」のか、是非とも御高説をお聞きしたいものです。可愛いお孫さんがいらっしゃるのなら、是非とも今こそ!メイド・イン・チャイナの粉ミルクをたらふく飲ませた上げたらどうでしょう?宮崎県ではウナギの産地偽装でもチャイナ産に泣かされていたはずですが……。


……昭和61年の中曽根康弘首相(当時)の「日本は単一民族国家」との発言に、アイヌ民族が抗議している。……2008年9月26日 産経ニュース

■自分の不見識を詫びて、自分の眉毛が濃いのも「アイヌ系の血が入っている証拠です」と言って謝罪したからこそ、世襲議員の息子さんが立派に?外務大臣になったのでしょう。自民党の歴史さえも知らない中山大臣には党内からも選挙前でもありますから、相当に厳しい批判の声が上がるのは当然です。中曽根元総理も激怒しているかも?


自民、公明両党の幹事長、政調会長、国対委員長が26日午前、都内のホテルで会談した。公明党の漆原良夫国対委員長は、中山成彬国土交通相が成田空港反対派住民を「ごね得」と発言したことなどについて「穏当を欠く、閣僚としてふさわしくない発言だ。麻生内閣が発足したばかりなので、注意してほしい」と指摘した。会談後、自民党の大島理森国対委員長が河村建夫官房長官に電話で注意するよう喚起した。……
2008年9月26日 産経ニュース

■「注意」すると何が変わるのでしょう?長い間、ずっと奥さんの方がマスコミの注目を集めているので、やっと大臣を拝命した秀才役人エリートとしては、脳ミソと舌のタガが外れるほど嬉しかったのでしょうが、その程度の人物を大臣にしては行けませんし、代議士にしても行けませんなあ。宮崎1区の皆様、解散総選挙が近づいて来ているそうです。「どげんかせんといかん」のではないでしょうか?
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秀才の言い訳 其の弐

2008-09-27 00:50:13 | 日本語
■成田空港の問題では、以前にも自民党の某代議士が現地に乗り込んで「どこかの国なら戦車を持ち込んで解決する」と変な啖呵を切って地元の開拓農民の皆さんを激怒させてしまったことがありますなあ。どうして成田の三里塚に当時としては世界最大級の空港が建設されたのでしょう?勿論、そこにはバカみたいに広い場所があったから、という役人用の地図を見ただけの解答は用意されていました。でも、昭和史の裏側には余剰人口・移民(棄民)・植民地開拓・敗戦という悲しい話の連鎖が隠されておりまして、満蒙開拓で苦労した人達がソ連に追われ関東軍に見棄てられ、やっと生き延びて帰国したら住む場所が無い。

■不毛の原野を開拓した技術と根性が有るのだからと、浅間山などの火山灰地をあてがわれたり、大変な苦労をした末に関東ローム層の上に広がる密林原野を開拓した人達がいて、やっと安心して畑作で暮らせるかと思った途端に国際空港を作るから出て行け!と政府に言われたら、ええ加減にしろ!と鍬や鎌を武器にして反抗したくもなります。それ以外にも成田三里塚で起こった悲劇にはさまざまな問題が絡み合っているようなのですが、中山国交相のような勉強・出世一直線の人生を歩んで来た人には到底理解できない話ばかりなのでしょうなあ。頭でっかちの革命マニアが勘違いして開拓農民の怨念に便乗して話をややこしくしてしまった面もあったのですが、あれこれと入り組んだ難しい問題を断定口調で簡単に片付けようとすれば大変な問題になるのは当たり前でしょう。

■四択問題に対する反射神経ばかりを鍛えるようなトレーニングを学問だと信じ込んでいるような人は教育を語っては行けません。

中山成彬国土交通相は25日、産経新聞などのインタビューに応じ、……成田や羽田両空港の拡張問題について、「(反対住民らは)公のため自分を犠牲にする精神がなかった。自分さえよければいいという風潮の中で、空港が拡張できなかったのは大変残念。(空港整備が進む)中国がうらやましい」と述べた。

■「公のために」という文言は絶対に忘れては行けません。万が一、中山大臣に政治資金の不正や収賄疑惑が発生したら、この「公のため」「自分さえよければ」の文言は大変な破壊力を持って御自身に跳ね返りますぞ!そもそもラサール・東大・大蔵省というエリート街道を走り抜ける時に、「自分さえよければ」と一度も考えたことが無かったのでしょうか?自分を犠牲にしていたら受験競争には勝てなかったのではないでしょうか?現実の世界は厳しい剥き出しの競争社会であることは誰でも知っていますが、それでも守らねばならない最低限度のルールがあって、それをモラルと呼ぶのです。

■官僚から代議士へと転進する時に、政界と業界との持たれ合いの中で生み出された「自分さえよければ」構造に助けられたことは一度も無かったのでしょうか?


また、外国人観光客の誘致策に関連し「日本は随分内向きな、単一民族といいますかね、あんまり世界と(交流が)ないので内向きになりがち」と述べた。政治家の「単一民族」発言は過去にも問題化し、昭和61年の中曽根康弘首相(当時)の「日本は単一民族国家」との発言に、アイヌ民族が抗議している。

■古代の翡翠や黒曜石の交易に始まって、乱暴に「鎖国時代」などと括られる徳川三代将軍以来の近世日本史も、既に歴史学の中では「鎖国」などという乱雑な言い方はしなくなっております。世界のエリート学生がたとえ国費を貰っても留学先には選ばない日本の東京大学は、確かにノーべル賞やフィールズ賞とも縁が無く、日本政府の役人にでもなって出世するくらいが関の山、などとバカにされるような時代になっている事を、中山秀才は御存知ないのかも知れませんなあ。今時の日本のエリート学生は、東大などには鼻も引っ掛けずに欧米の面白そうな大学に入っているとか……。医学の分野でも、大金持ちや政治家は東大病院ではない私立大学系の病院を愛用しているのではないでしょうか?


さらに、大分県の教員汚職事件にも言及し、日本教職員組合(日教組)と絡め「大分県教委の体たらくなんて日教組(が原因)ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ」と話した。
2008年9月26日 産経ニュース

■日教組という不思議な組織については、なかなか実態が語られずに無駄な時間が過ぎてしまったようですが、既に組織率がカワイソウなくらいに低下しているので、そろそろ歴史として語れる段階に入ったのかも知れません。組織率が大きく下がったのがソ連崩壊と社会党の衰退、とどめは北朝鮮による拉致犯罪の自白だったという経緯を考えれば、この不思議な組織の存在理由と目的は明らかで、その歴史的責任を誰も取らないまま妙に丈夫で長生きしている上層部が、今でも毛沢東やスターリンの時代を熱烈に追慕しているような話も時々聞こえて来ますが、それはまるでオウム真理教の残党と同じ悲喜劇を演じているようなものでしょうなあ。でも、中山大臣が学んだラサール高校には日教組が手を出せなかったにしても、日教組だけが日本の教育をダメにしたというのは暴論でしょう。

■既に「水に落ちた犬」同然の日教組を叩くなら、それは毛沢東の教えに従っていることになりますぞ。そんな暇があったら「ゆとり教育」政策の後始末を考えて頂きたいものです!

農水省の「検査」 其の弐

2008-09-24 14:15:49 | 日本語
東京農政事務所では平成16年10月の売却の際に、本省から三笠フーズを紹介され、アメリカ産事故米160トンを工業用糊の原料として96万5000円で売却。同事務所は、三笠フーズの詳しい業態を把握していなかったが、大阪農政事務所が工業用糊を扱う業者であることを証明する確認書を出していたため、信頼して売却したという。

■あちこちのマスコミがちょっと調べただけで、工業用の糊原料は小麦が少々使われているだけでコメなど一粒も使われていない!という事実が判明したそうですなあ。農水省には電話もインターネットも無いのかも?


同事務所は、売却実績から、18~19年に基準値の2倍の有機リン系農薬メタミドホスが検出された事故米計800トンを4回に分けて同社に売却。同社はこのうち、418トンを食用として不正転売した。……三笠フーズ側も、事故米の売却情報を積極的に収集し、農水省に「今度はいつ事故米が出るのか」と電話で問い合わせした。

■ああ、農水省にも電話機は有るのですなあ。でも、着信専用かも?何処の業者も手を出さないような物騒な代物を、次の入荷まで知りたがるほど欲しがっている!それだけで十分に怪しいでしょうに!?まあ、役所の恩人ですから、疑ったりするのは失礼だと思ったのでしょうなあ。それで多大な迷惑を被るのが消費者と騙された生産者という図式ですから、役人はまったく傷付かない。隣のチャイナでは、一党独裁が崩れては大変だ!と毒入りミルクを製造した企業の監督責任を厳しく問うとて、地方の幹部や中央官庁の責任者が一挙に処分されたそうですぞ。

■次の総選挙が「役人天国」を争点にでもしてくれたら、政権与党は何人かの官僚を生贄に差し出すか?農水省の大臣と事務次官が追い出されたから、それで十分だという話で終わりでしょうなあ。


事故米を購入する際には、大阪から冬木社長が1人で北海道や東京などの農政事務所を訪れ、売買契約を結んだことが多かった。ある農政事務所関係者は「他業者より高く買ったし、他がいないときも三笠だけ来た」と打ち明ける。社長ら同社側の到着時間に、入札や契約時間をあわせることもあったという。

■それなら冬木社長は農水省のビップ待遇を受けていたと想像されますなあ。キロ当たり数十円の取り引きで、たとえ10トン買い付けたにしても交通費・宿泊費・輸送料を考えたら冬木社長がやっている事は大体想像できそうなものです。農水省のお仕事は毒コメの購入・保管・売り捌きに限定されているので、あとは野となれ山となれ!それで「安心・安全」が保障されるなら、誰も苦労はしませんなあ。


事故米のほとんどは関税貿易一般協定(GATT)ウルグアイ・ラウンド合意に従って輸入が義務づけられているミニマムアクセス(MA)米。……年間77万トンが輸入されているが、買い手が見つかりにくく、1トン当たり年間1万円の倉庫保管費用などで国庫を圧迫している。

■捨てるしかないコメを唯々諾々と買っているのは、本当はウルグアイ・ラウンド合意の誤解か曲解だという指摘もあるようです。食糧品を輸入する約束をしているのですから、食えない物を売りつけられる筋合いではないと素人には思えるのですが……。慌てて政府が会議を開いたら、事故米を輸出先に「送り返す」という当たり前の提案があったそうですなあ。こんなに大騒ぎが起こらないと政治家はそんな事さえ思い付かないのでしょうか?やっぱり政権交代が必要のようです。


……農水省関係者は「三笠フーズはいい“お得意様”だったといえる」。同社は、買い集めた事故米を食用として転売。仲介業者が多く介在する業界の商慣習を利用して、架空取引で事故米の転売を繰り返すなどするうちに、MA米が国産米に偽装されたり、仕入れ1キロ5円の米が末端価格で140円に跳ね上がることもあったという。

■農水省のお仕事は「1キロ5円」で悪徳業者を見つけて売り付ける段階で終了!末端価格が原価の30倍近く膨らむのなら、これは麻薬取り引きみたいなものですなあ。一度やったら止められない実に美味しい(危険な)商売です。


一連の事故米の不正転売の背景には、16年の食糧法改正で米取引の規制緩和が行われた結果、倉庫を持たない米ブローカーが増加したという事情もある。三笠フーズは規制緩和を逆手にとって、不正転売を繰り返したとも言える。大阪農政事務所の元消費流通課長が冬木社長らから飲食接待を受けていたことが判明するなど、同社と農水省側の不適切な関係には批判が集まっている。

■「規制緩和」の意味を役所も政治家もまったく理解しておりません。「市場原理」を便利な言い訳に使っているようですが、規制を外したらトンデモない怪しい業者が紛れ込むに決まっていますから、たとえ「性善説」に基づく行政の伝統があろうとも、緩和措置が取られると同時に「性悪説」を前提にした対応策を練り上げる義務があったはず。要は政治家と官僚の「想像力」なのですが……。小泉元総理に、どれほどの想像力があったのかは疑問であります。


国会でも、農水省は「三笠フーズの不正を知っていて見逃したのではないか」と批判された。農水省幹部は「事故米を早く売ってしまいたいと思う気持ちがあり、安易な売却につながったことは否めない」と話している。
9月24日 産経新聞

■売るに売れない事故米が積み上がっている実態を、自民党の農水族議員は本当に知らなかったのか?三笠フーズから政治献金を受け取っていながら、知らぬ存ぜぬでは話は通りませんぞ。小麦を筆頭に輸入食糧が高騰し、昔ながらの米食中心の伝統食に回帰しようとしている多くの日本人が、安全な米を安心して買えない食糧政策を続けていた責任は、しっかり総選挙で明らかにして欲しいものであります。これから農水省は、「検査」という文言を口頭でも文書でも安易に使っては行けません。JASマークは農水省の下部機関が「検査」して認定しているのでしたなあ。くわばら、くわばら。

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農水省の「検査」 其の壱

2008-09-24 14:15:27 | 日本語
■「安心・安全プラン」を置き土産にして福田ホイホイ首相の内閣が総辞職しましたが、後継の候補者たちの口から積極的にこのプランを受け継いで実現する!という決意の言葉は聞かれず仕舞いで麻生総裁が決まりました。新内閣が最も力を入れたいのが「景気回復」なのだそうですから、毒ゴメを売り捌いて濡れ手に粟の大儲けをし続けていた悪徳業者などは、摘発されるまでは地元の雇用と景気に多大な貢献をしていたと考えるべきなのか?

■被害者と加害者の区別もしないで流通・製造・販売に関係した多くの企業や経営者を追い詰めるだけの杜撰なリストの公表などは経営破たんと消費活動の自粛という二重の景気に対する悪影響が出るのですから、やっぱり小泉改革の再点検から始めないと、本当の「景気回復」は無理だと考えるべきなのか?何が何でも毒ゴメを輸入し続けねばならないような食糧外交を続けるべきなのか?「腹が減っては戦はできぬ」とも申しますが、不安と怒りで食欲が減退してしまった国民には、「とてつもない力」を出す元気など無くなってしまいますが……。

■縦割り行政の壁には恐ろしい隙間や穴ぼこがたくさん隠れていることが分かって、福田ホイホイ首相は土壇場になって消費者庁の創設を提案したのでしたが、その具体的なイメージが国民に伝わらないうちに、さっさと辞任してしまったので、いつ頃から日本の食糧品が安全・安心になるのやら、さっぱり分かりません。少なくとも農水省には「検査能力」が欠如している事は明らかになったので、その手当てを急がねばならないでしょうなあ。今回の毒コメ事件で、最大の加害者は農水省のようですから、やはり、別組織による監視と検査が必要となるのか?そうなると新たな政府機関が必要になって農水省は焼け太り?


米加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)の汚染された事故米不正転売問題で、農林水産省の本省が地方出先機関に事故米売却先として同社を紹介していたことが分かった。買い手不足の事故米処理に困る出先機関の求めに応じて、同社の冬木三男社長は全国各地を飛び回って買いあさっていた。事故米の処理先を探す農水省と、不正転売で多額の利益を上げようとする同社のもたれあい体質が改めて浮かび上がった。

■2年以上も前から内部告発の情報が入って、農水省の出先機関は合計100回近くも立ち入り調査に出向いていても、まったく違法性に気が付かなかったという呆れた事実に驚いた国民は、単純に「休まず、遅れず、働かず」の役人道に従ってお役所仕事をしていたからだろうと想像していたはずです。手書きとは言え調査結果の文言がまったく同じで、何故か調査は判で捺したように昼食前には終了していて、楽しい接待ランチが用意されていたという事実は、正に「休まず、遅れず、働かず」を実践していますからなあ。でも、どうやら三笠フーズに対して立ち入り検査に行った役人は、「いつもお世話になってますぅ」と挨拶して茶飲み話と接待ランチの間に、恩人社長の指示通りに作業場を「見学」させて頂いて、「今後とも宜しくお願いいたします」と言って引き上げていたとしか思えない関係にあったようです。


大阪、福岡、熊本の3府県警は24日、不正競争防止法違反(虚偽表示)などの疑いで同社関係先の一斉捜索に乗り出す方針で、農水省側との癒着の解明も視野に入れるとみられる。

■やはり、カビ毒や殺虫剤が混入している事を知りながら、食料品として売り捌いた行為を殺人未遂とは解釈できないようですなあ。「安全・安心」を脅かす業者に対して商売上の罪だけを問うだけで十分なのでしょうか?警察が踏み込んだ時には、三笠フーズの社長は何処かに雲隠れしてしまっていたそうですが、まさか農水省が「ご迷惑をお掛け致しました」などと言いながら逃亡接待をしているのではないでしょうな?!


……各地の農政事務所では平成16~18年ごろ、事故米の買い取り手が少なかったことなどから、売却する前に担当官が本省に電話などで「買いそうな業者はいないか」と問い合わせていた。その際、本省の担当官が「三笠フーズがたくさん買っている」などと紹介していたという。

■買い手がいない商品を、包装紙や消費期限のラベルを変えて無理やり売るのは犯罪です。それを承知で農水省は、売れない物を手段を選ばず売り切ろうとした!勿論、汚れ役は民間人!本当に汚いのは役所なのに……。確か、農水省内の食堂には国内自給率の低さを広報するために、各メニューごとに原材料の自給率を律儀に表示していたはずですが、これからは「汚染度」も付け加えたら如何でしょう?でも、農水省スペシャル・ランチ・アフラトキシン風味とまでの悪趣味な表示は要りません。デザートは隠し味のメラミン入りかなあ?省内の職員はしっかり味わって「安心・安全」の重要性を噛み締めながら完食すべし。

お鍋の季節

2008-09-21 10:57:17 | 日本語
 ■地球温暖化の影響なのでしょうが、凶暴な酷暑と多数の落雷が続いた夏がやっと終わるかと思ったら、奇妙な動きをする台風が来襲したりして豪雨と洪水が多発して日本の秋を楽しんでいる場合ではありません。それでも、買い物に出かけると食料品店では早々と「鍋コーナー」が設置されておりまして、もう、鍋の季節なのか!と暫しの感慨に耽ったのは2日ほど前のことでありました。

■秋は全国の学校で文化祭が開催される季節でもありますが、普通は無理やりにでも「学生らしさ」を演出した映像がマスコミに取り上げられ、毎年恒例の風物詩となっておりますが……。


20日午前11時半ごろ、東京都豊島区の私立豊南高校で、文化祭の模擬店で使っていた家庭用ガスボンベが爆発した。同校によると、生徒14人と見学に来ていた中学生1人が負傷し、病院に搬送された。命に別条はないが、3人がのどの状態などを見るため、入院した。……サッカー部が焼きそばを売っていた。4個のコンロの上に鉄板(縦42センチ×横57センチ)2枚を載せ、約2時間ほど調理していたが、突然、「ボンッ」という音をたて爆発。鉄板でコンロ全体を覆ってしまう不適切な使用方法により、ガスボンベが過熱、爆発した可能性が高いという。……

■こういうニュースで秋の気配を知るというのは、実に情けない限りでありますなあ。たまたま現場に通り掛って巻き添えを食った被害者にはご同情申し上げますが、この愚かしい調理作業を行っていて負傷した生徒諸君には、よくよく反省して欲しいと思います。まず、「字を読むべし!」そして「少しは家事を手伝うべし!」「知らないことは謙虚に経験者に尋ねるべし!」などなど、高校生に対する教訓としては実に恥ずかしい事しか思い浮かびませんなあ。


爆発時には“火の玉”が飛び、近くにいた生徒に直撃。まつげ、まゆ毛、髪の毛がこげて、顔にやけどを負った生徒もいたという。21日は予定通り文化祭を行うが、火気の使用を控えるという。青木誠志事務局長は「部活講師と非常勤講師が巡回して指導していた。適切な使用方法を指導しなかった学校側の責任」と話している。
9月21日 スポーツ報知

■旅限無もカセット・コンロには長年に亘って大変にお世話になっております。この実に便利で安価な調理器具を発明して下さった方、並びに製造・販売して下さっている企業に対して、改めて御礼を申し上げます。寒くなったら温かい各種鍋料理、熱い時には鉄板焼き、戸外でも屋内でも手軽に使える素晴らしい器具!この器具を愛用している人ならば、強い火力が得られる割には構造がシンプルで、よくよく見れば2重3重の安全装置が付いているのに気付きます。さらに、使い終わった燃料ボンベの廃棄方法にも特別な配慮が必要だという事も知っています。

■カセット・コンロの本体には、常識では考えられない愚かしくも危険な使用例を示して正しい使用方法を懇切丁寧に絵解きで説明してあります。中には説明書など読まずに捨てる困った人も居ることもメーカー側はお見通しで、3本組で販売されている燃料ボンベの包装紙にも、しっかりと「警告」が印刷されております!手元の商品を確認してみました。


容器のキャップを取るときには、手を切る恐れがありますので切り込みに手を触れないように注意して下さい。

■プラスチック製のキャップを取り外す時についても、このような万が一を考えた注意が書かれておりまして、続いて「容器が過熱すると容器内圧力が上がり爆発する危険」がきっちりと警告されておりまして、命に関わる愚かな使用例を列挙してありますぞ。


①こんろで炭の火を起こす。
②容器をストーブなど熱気のあたる場所に置く。
③容器を火の中に投げ入れる。
④容器を40℃以上になる車中に置く。
⑤容器を電磁調理器の上に置く。
⑥こんろを2台以上並べての使用。
⑦容器カバーを少しでも覆うような鉄板や鍋等の使用。

■古めかしい「炭起こし」から、最新式の「電磁調理器」まで、実に目配りが利いた注意書きですなあ。さらにアニメ大国の日本ですから、①と⑥と⑦の禁止事項は御丁寧に詳細なイラストで重ねて禁止しているのですぞ。さらに「換気」や「保存方法」などに関する8項目の注意事項も補っています。赤や青の目立つ配色まで工夫して、しつこく親切に警告しているというのに、今時の高校生は10人以上も集まって、この程度の「文章」さえ読解できないのか?!私立高校のサッカー部と聞いて、恐るべきスポーツ推薦で高校生になってしまった特殊な集団が慣れない焼きソバ作りに手を出したのか?とも邪推してしまいますが……。

■とばっちりを食った中学生も居たようですから、やっぱり「必勝本」や「裏技本」は熟読しても、基本的なマニュアルは読まずに捨ててしまう世代の弱点が出てしまったのか?日進月歩で便利に進化し続けるゲーム機や家電機器は、分厚い取り扱い説明書を読まずにも使えるほどよく出来ている物ばかり。しかし、命に関わる注意事項ぐらいはしっかり読むべきでしょうなあ。文化祭で命に関わる文章を読まずに大きな事故を起こした高校生の快癒を祈りつつ、責任を押し付けられる担当の先生方の御苦労と御不満に同情いたします。今の高校生は昔の小学校低学年の生徒と同じように扱って監視しなければならないのかも知れませんなあ。ご苦労様なことであります。

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10Bの衝撃

2008-08-25 15:12:26 | 日本語
■終戦記念日の頃、讀賣新聞のコラムに「B-29」と聞いて、「そんなに柔らかい鉛筆があったのか?」と問い返す若者が居るとか居ないとか、まるで石原慎太郎都知事が持ちネタにしている撃墜王の坂井三郎さんの体験談に似た素っ頓狂な話が載っていました。坂井三郎さんの方は、電車に乗っていた時の衝撃的な体験の話で、「昔、日本はアメリカと戦争したんだぜ。お前、知ってるか?」「えっ?それマジ?それでどっちが勝ったんだ?」というアホな若者の会話を聞いてしまったというネタであります。

■でも、超空の要塞「B-29」を知らないという事は、東京大空襲も原爆投下も知らないという事ですし、「B-52」も「B-1」なども知らないのでしょうなあ。そんな若者が持っている今の世界のイメージというのは、正真正銘の天下泰平と申せましょうなあ。思い出したように8月になると「戦争を語り継ぐ」企画番組をテレビが放送しても、新聞各社が特集記事を書いても、肝腎の若い世代には何も伝わっていないのなら、何とも寂しい話です。

■さてさて、小雨の中を歩いて近所の文房具店に入った昨日、必要な物を買って支払いを済ませたところ、レジの脇に見つけたのが「10B」鉛筆であります。ぎゅっと詰めれば鉛筆4本は入る箱に、たった1本だけ封入されている不思議な商品でしたから、感じの良い店員さんに説明して貰いました。箱には毛筆のように「はね、とめ、はらい」が自在に書けるとの説明書きがありましたが、それは本当なのでした!日本の文字文化はまだまだ元気なのだと、すっきりしない天気なのに、心は晴れ晴れとしたのでした。


ほぼ埼玉県限定で売られている、硬度「10B」の鉛筆があるという。その名は『筆鉛筆』。今年7月に発売されたばかりで、10Bという“硬さ”の鉛筆は、国内初というのだが…。発売元の三菱鉛筆埼玉県販売さんに取材を敢行したのです。
そもそも、鉛筆の硬度って何種類あるのでしょうか?

「日本国内では、9Hから6Bまでの17種類が標準となっています」

では、今回の『筆鉛筆』は18種類目の鉛筆となるのですね?

「いいえ、同じくほぼ埼玉県限定の硬度8Bという鉛筆があるんですよ」

10Bのみならず、8Bも埼玉県限定だったとは!! これっていったい、どういうことなのでしょうか?

「これらの鉛筆は埼玉県内で特に盛んな、鉛筆で美しい文字を書く『硬筆書写』用に開発されたものです。文字のハネやハライを表現するため、標準以上に“やわらか”な鉛筆が、県民に求められているのです」

ちなみに、鉛筆の硬度って、どのようにして決まるものなのですか?

「黒鉛と粘土の混合比率ですね。粘土が多いほど硬い『H(hard)』寄りとなり、黒鉛が多いほど『B(black)』寄りとなります。黒鉛が多いと、折れやすくなるため6Bより上は技術的に困難だったのですが×××(伏字は企業秘密)により、今回はじめて10Bの製造に成功したわけです」

使ってみると…その太さ、濃さ、滑らかさ&タッチの繊細さなど、確かに“筆”っぽい感覚! そういえば『筆鉛筆』だけ「10B」の表記が毛筆体だしね。デッサンなど、書写以外の用途でも役立ちそうなこの逸品。気になる方は埼玉県まで買いに行きましょう。(R25編集部)
8月25日 R25

■厳重に箱詰めされた1本400円以上もする商品なので、さすがに旅限無としても「試し書き」を求めようとは思いませんでしたが、書き味は正に筆のようで抜群らしいのです。箱をちょっと開けて断面を見せて頂きましたが、鉛筆自体の太さは通常の物を変わらないのに、芯の太さは尋常ではない!10Bの柔らかさを想像して、ちょっと前のチャイナ製の鉛筆みたいに削りたての芯がぼろぼろと崩壊して使い物にならないのではないか?などと余計な心配をしたら、店員さんは決してそんなことは無いと太鼓判を押してくれたのでした。

■残念ながら、今のところは硬筆習字の稽古をする予定はないので、「非常に参考になりました」とお礼を言って店を出たのですが、何とも嬉しい気分になった旅限無でありました。

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青い森 その弐

2008-02-09 10:38:21 | 日本語
■因みに、深刻な中毒事件を起こしたメイド・イン・チャイナの冷凍餃子は、観光土産にされるお菓子類のような笑えるパッケージではなくて、日本人向けに徹底的に研究された思わず買いたくなる出来栄えでしたなあ。あれは純粋な「日本語」で表示されている商品なのですが、料理自体がメイド・イン・チャイナの「餃子」なので、その二文字は両国の人が認識できます。「餃」という字はお堅い文科省が常用漢字に入れてくれないので、今はまだ「中国語」扱いのようですが……。パッケージの美味しそうな写真は万国共通の情報になっている商品ですから、まだ漢字を知らない日本のガキンチョも、お買い物に付いて行けば「買っておくれよ」とネダること間違いなし!

■すっかり出遅れた回収作業は遅々として進まず、2月8日時点で、ジェイティフーズが過去1年間に天洋食品から輸入した約1230トンの冷凍ギョーザのうち、回収できたのは約10.2トン、全体の0.8%だそうですが、知らずに食べてしまった人が非常に多いという事なのでしょうか?心当たりのある人は、しばらく餃子に手を出さないでしょうし、記憶を辿って不自然な体調不良を思い出してゾッとしているのかも知れませんなあ。

■それにしましても、『中華deごちそう ひとくち餃子』というネーミングは素晴らしい!でも、ニュースで何度も聞いているうちに、「中華で御馳走、イチコロ餃子」と聞き間違えてしまうのは旅限無だけでしょうか?

 
青森県は2月5日、中国で、現地企業が「青森」の商標登録を申請し、青森県などが異議を申立てていた問題で、中国商標局が「果実・野菜」「肉・水産物」については異議申立てを認める裁定を下したと発表した。中国語では「青森」は「きれいな森」の意味があり、地名と認められるかが焦点となったが、中国商標局は昨年12月29日付の裁定で、「青森」は、中国商標法上の「公衆に知られた外国の地理的名称」にあたり商標登録できないと判断。県と生産団体など23団体が連名で行った5件の異議申立てのうち、「果実・野菜」「肉・水産物」については商標登録を認めない判断を下した。残りの、コメ、めん類、野菜ジュースなど3件は審査中という。

■「青森は地名だ」との裁定が下ったのは、日本国青森県のリンゴ農家の皆さんの努力の賜物です。パチ、パチ、パチ!その努力が無ければ、「きれいな森」ブランドの商品が罷り通るという恐ろしい事態に到ったことでしょう。そんな事になったら、「東の都会」だから「東京ブランド」だとか、「後漢、北周、隋の一時期と唐代には洛陽が東京だったから」という歴史を振り翳して、「洛陽産=東京産」と言い張るとか、ややこしい裁判が続いてしまう恐れが有りますぞ。御用心、御用心。米国の大統領予備選挙で、時ならぬオバマ候補の大人気に便乗して、日本国福井県の小浜(おばま)市が観光宣伝に利用しよう!などという可愛い話とは違いますからなあ。


……中国・広州市の企業が2002年7月に「青森」を商標登録を申請したもので、青森県は2003年6月に問題を把握、青森県産のリンゴの輸出などに影響するとして、2003年7月~2004年4月にかけて、中国商標局に異議を申立てていた。
2008年2月6日 知財情報局

■「偽物ディズニーランド」やら「偽物ドラエモン」などのトンデモ映像を使って笑いを取っているテレビ局が多いようですが、知的所有権は国家戦略の柱なのですから、こうした「青森」問題などにこそ取材する価値が有ると思いますなあ。


中国の企業が「青森」の文字を中国で商標登録申請した問題……これで特産のリンゴが中国産と混同される恐れがほとんどなくなり、関係者は「安全な青森ブランドの信頼性を守った」と胸を張った。裁定は昨年12月29日付。現地法は著名な外国地名の登録を禁じており、商標局は「青森は公衆に知られた地名」と判断した。「青森」は中国広州市のデザイン会社「シンテン包装設計有限公司」が5分野で登録申請した。03年4~6月に中国で公示されたのを知った県が03年7月、異議を申し立てていた。今回、異議が認められたのは▽果物・野菜▽水産物・肉の2分野。残る(1)茶や米など(2)野菜ジュース(3)防水服--の3分野は審議中

■茶ならば、静岡や狭山が危ないかも?宇治はコジツケが難しそうです。米ならば、秋田・宮城・福島・千葉・愛知・岐阜などなど、強引に北京語で解釈してしまえそうな地名がごろごろしていますなあ。ジュースならば、愛らしい響きの愛媛が危ない!その他、農産物・水産物の有名な地名の中には、北京語だ!と言われると面倒な地名がたくさん有りそうです。


……ジェトロ(日本貿易振興機構)青森によると、06年の青森県から中国への輸出額は約249億8000万円で、うちリンゴが約48億円を占める。リンゴの対中輸出拡大を目指す県は同様の事態の再発防止を目指し、来年度にも県産品を示すマークを中国で商標登録する方針。裁定について県農林水産部は「青森ブランドを守るうえで大きなプラス。商標局の判断に感謝したい」と評価した。中国では「佐賀」も05年に商標登録されたが、異議申し立て期間内(公示から3カ月)に気づかなかったため、阻止できなかった。佐賀県流通課は「青森の結果は佐賀にとっても朗報。申し立て期間は過ぎたが、今後の動きを検討したい」としている。

■エッ!佐賀県は既に盗まれてしまったのですなあ。残念至極。地名と言えば、メイド・イン・チャイナの地球儀に、「台湾島」と北京政府の注文どおりの印刷をして売り捌こうとしたアホな日本企業がありましたぞ。チャイナに取り込まれて地名を密輸している愚かな日本企業も居ないとも限りませんから、これは注意が必要でしょうなあ。


……知的財産問題に詳しい東京理科大大学院・生越(おごせ)由美教授(知財政策)の話 東京など大都市ならともかく、地方の青森が中国で「一般に知られた地名」と認められたのは画期的だ。青森と同様に、地域ブランドの国外売り込みを目指す地方の自治体担当者は、地名が商品の付加価値を表す知的財産だと認識し、国外で商標登録状況を監視する体制を整えなければならない。国も支援体制を強化する必要がある。
2月5日 毎日新聞

■でも、鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県が構成する「中国地方」の場合はどうなるのでしょうなあ。今でも「中国新聞」や「中国電力」は日本の企業だと念押ししなければならない事が多いようですから、メイド・イン・ジャパンの「中国(地方)産」の商標をがっちりと守っておく必要が有りそうな気がします。各地の名産地を使う時には、こまめに「日本国」を頭に付ける習慣が定着すれば、少しは安心できるかも知れませんが……。
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チベット語にな

青い森 その壱

2008-02-09 10:37:53 | 日本語
■大昔、イザナミ・イザナギが日本列島を生み出した頃?日本に文字が無かったらしい。それから数万年か数千年かが経過して、隣に文字だらけの国が有ると知った御先祖様たちはせっせと「文字」を借りては日本語に当て嵌めたそうな……。ついでに「音」も拝借して熟語・略語つくりにも精を出したので、その子孫は米国の「文字」を利用して「KY語」なる暗号めいた熟語?を作って楽しんでいるようであります。

■田中角栄さんが「日中友好」に踏み切った時から、随分と時が経過したというのに、何故か日本語と北京語が非常に近しい言語だと思っている日本人が多いと聞きます。中華五千年を誇るチャイナ側は「本家」を自認しているので、日本語は野蛮な放言の一種だと思い込んでいるのは仕方がありませんが、グローバル化の時代になっているのですから、異文化に対する正確な認識が必要でしょうなあ。たまたま、甲骨文字以来の「文字文化」を共有している漢字文化圏には、「登録商標」の問題が発生するのは避けられないものだと、本当は数十年前に気が付いていなければなりませんでした。

■チャイナの観光土産として隠れた人気商品になっているのが、パクリ菓子だそうで、変な日本語がパッケージに印刷されているのが面白い!と買って帰る日本人が多いようです。その中身となると、外見はそっくりでも味はまったく違う!という落差も笑いの種になるので、人気商品になっていたようですが、「毒入りギョーザ」事件の発生で、怖くて中身が食べられなくなった人も増えたでしょうから、これからは中身を捨ててパッケージだけを土産にして持ち帰る人が増えそうです。まるで一時の仮面ライダースナックみたいに……。


中国国内で販売されているリンゴに、偽造された青森県の減農薬農産物向けの認証票が付けられていたことが8日、分かった。リンゴなどをめぐって中国政府は地元企業が登録申請した「青森」の商標を認めない裁定を下したばかりで、県は国に報告し、対応を話し合う。青森県によると、偽造された認証票が見つかったのは1月下旬。県産リンゴの輸出拡大のために訪中した「県農林水産物輸出促進協議会」のメンバーに、広州市の業者が持ち込んだ。

■河北新報が報じたローカルなニュースですが、これから「攻めの農業」に討って出ようとしている実力派の農家にとっては由々しき事態の話です。日本産の高級リンゴがチャイナの成金層に大人気だという話は農業に関心を持つ人達には知れ渡っています。美しい色と形のリンゴは結婚式の花嫁さんが持つ祝い物なので、成金の両親は桐箱入りの一個数千円の日本産リンゴを大喜びで買うとか……。既に色と形だけでは物足りなくなった貪欲な消費者は、日本産・美しい色・丸い形・美味に安全性まで要求するようになっているようです。

■ならば、日本の技術をパクッて色と形を真似た商品に、「日本産」「安全性」の文字を貼り付ければ、濡れ手に粟のボロ儲け!と考えるのは当然で、偽物が現われるのは時間の問題でありました。青森のリンゴ農家の中には、世界基準の安全性を実現して世界中に売り出しているスゴイ人達が現われているのですから、国を挙げて大騒ぎをしてあげたいものです。


認証票は、慣行より50%以上農薬を減らした農産物に与えられる「特定栽培農産物」用。現在の認証票ではなく、2003年まで使われていたものを盗用したらしい。「国内の事情に通じた人間が関与しているのではないか」(県総合販売戦略課)という。認証票の隣に輸出を手がける県内業者の商標、裏には県庁ホームページのデザインが使われていた。リンゴの産地は不明で、偽造は中国で引き合いの多い県産リンゴを装うためとみられる。

■偽物や欠陥商品は「買う奴が馬鹿」と割り切ってしまえるお国柄ですから、高値で売買される商品を偽造するのは当たり前!知らせてくれた広州市の業者には感謝感激!こういう場合、チャイナでは偽物を山積みにしてブルドーザーなどで踏み潰すパフォーマンスを行ってテレビ・ニュースで流します。それから犯人をトッ捕まえて後ろ手に縛って頸に名前と罪状を大書してトラックの荷台に乗せて市中引き回しの刑に処せられてから罰金か懲役刑に服すようです。日本中でメイド・イン・チャイナの不買運動が大規模に起こったりすると、犯人は死刑になるかも?


県食の安全・安心推進課は「輸出拡大を図る中で、看過できない問題。ただ、中国国内のことで、どんな対応ができるか分からない」と話し、担当者が13日に農水省に出向いて協議する。
2月9日 河北新報

■記事の冒頭に出ていた「青森」登録商標の問題というのが、現地でも注目されていたからこそ、こうした「告発」が出て来たと思われます。これが「漢字文化圏」が抱えるややこしい問題なのです。

絶望の偽装 その四

2008-01-31 10:26:24 | 日本語
厚生労働省は28日、「ねんきん特別便」に関する相談に迅速に対応するため、原則として社会保険庁職員のみが使用できる年金記録管理システムの端末を、社会保険労務士にも一部開放することを決めた。近く、全国47都道府県の社会保険労務士会にシステムと直結した端末を、最低1台は設置する予定で、年金記録問題に官民が協力して対応する体制が整う。

■莫大な予算を使って郵送した「ねんきん特別便」が予想通り?に無駄になり、お役所作文で分かり難い文面を改訂して送り直すのだそうですが、大失敗して年金積立金を無駄遣いした責任は誰も問われません。そして、「相談に迅速に対応するため」に、やっと専門家が採用されることになったわけです。学生アルバイトや派遣労働者ではないのですなあ。このチグハグさが社保庁・厚労省の体質をよく表わしています。


舛添厚生労働相は28日、厚労省内で全国社会保険労務士会連合会の大槻哲也会長と会い、特別便の相談への協力要請と、端末を社労士会へ貸与する方針を伝えた。大槻会長は「社会貢献の一環でボランティアで対応したい」と応じ、全国で約2万か所の社労士事務所で無料の年金相談を実施することを約束した。現在、特別便の相談は、全国約300か所の社会保険事務所を中心に受けているが、社労士の参入で大幅に利便性が向上する。端末を使って記録を探す社会保険事務所とほぼ同様の作業が、社労士にも可能になることで、「社労士が年金問題で『かかりつけ医』的な役割を担う」(同連合会)ことも期待されている。同連合会では「特別便を受け取ったが、どうしたらいいかわからない方は、まず相談してほしい」と呼び掛けている。

■「ボランティア」とはすばらしい話です。これで効率が驚異的に上がったら、社会保険事務所の無能さが際立つ事になりそうですが、そこまで社保庁が追い詰められたという事なのでしょうなあ。でも、手遅れになってしまった被害者も多いような気もします。舛添大臣は、「これほどヒドイとは思わなかった」と絶望的な言葉を吐いたことがありましたが、そんなヒドイ役所にどれほどの税金や年金積立金が飲み込まれたのやら……。それが今も続いているのですから絶望的ですなあ。


これに関連し、厚労相は近く、増田総務相に対し、全国の市町村役場や郵便局内にも特別便の相談窓口を設置するよう要請する方針だ。実現すれば、市役所などの相談窓口でも、社労士による無料相談が行われることになる。
2008年1月29日 読売新聞

■ちゃんと「社会保険事務所は無能なので」の一言を総務相に告げたのでしょうか?まさか、台帳の不備が原因で問題が噴出した時になって、「社会労務士が悪い」などと言い出すのではないでしょうなあ。さてさて、日本語と北京語の違いも分からずに、怪しい人材派遣会社を使って「コスト削減」を画策した社保庁が、きっちりと自らの不明を謝罪して、留学生諸君に契約通りの給与を支払うかどうか、注視していましょう。
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絶望の偽装 その参

2008-01-31 10:25:57 | 日本語
社会保険庁のコンピューターに未入力の「旧台帳」と呼ばれる年金記録計1466万件の入力作業で、社保庁が昨年12月、人材派遣会社から派遣された中国人のアルバイト約60人を採用し、氏名を書き写す作業で大量のミスが発生していたことが30日、わかった。……旧台帳はマイクロフィルムで保管され、コンピューター入力するため、フィルムの文字を読み取り、記録用紙に転記する必要がある。この転記の作業は、現在約1600人の派遣アルバイトが行っている。

■先の毎日新聞の記事では「古い厚生年金記録1430万件」とあったのに、こちらでは「年金記録1466万件」です。同じく「中国籍などの外国人約50人」は「中国人アルバイト約60人」になっていますし、「社保庁は派遣社員ら約1300人を集め」だったのが「約1600人」になっています。取材される度に数値が変化しているのでしょうか?どうやら作業は「マイクロフィルム」の画像情報を読み取るもののようですが、もともといい加減に書かれた上に保存状態も良くないと言われる代物ですから、誰がやっても面倒な作業でしょうなあ。社保庁長官や厚労相が少しは実際に作業をやってみれば良いでしょう。


……中国人アルバイトらは、先月10日から約9日間作業を行ったが、日本人の姓と名を区別できなかったり、旧字体やひらがなを正確に読み取れず、大量のミスにつながったという。ミスに気付いた社保庁は派遣受け入れを打ち切ったが、すでに約25万件の転記が終わっており、すべてやり直した。……

■「旧字体」は、中国語文化では台湾が使っている「繁体字」と共通している物ですから、日本人には読めない「簡体字」で教育を受けている北京語圏からの留学生を投入したら大変な事になるだろう、少し北京語を齧った人なら直ぐに分かる話です。社保庁は作業内容をまったく理解せず、派遣会社も同罪だったことになります。「9日間で25万件」を処理したのなら、真面目な派遣労働者だったと思われます。大変な苦労をしたでしょうに、作業をした人達が可哀想です。まるで馬鹿扱いしているような記事は実に不愉快ですなあ。


社保庁によると、人材派遣会社からは、中国人アルバイトについて「日本語を話せるし、漢字も書ける」と説明を受けていたという。社保庁は中国人アルバイトの派遣にかかった費用は支払わない方向で検討している。
1月30日 読売新聞

■えっ!?25万件分も愚かな社保庁が杜撰に管理していた読みにくいデータを頑張って処理したのにタダ働きにするのでしょうか?給与を取り上げられるべきなのは、これまで仕事をしないで給料を貰っていた馬鹿者たちの方ではないでしょうか?「日本語を話せるし漢字も書ける」と言われて「ああ、そう」と納得した責任者は誰なのでしょう?真面目に働いた留学生が集団訴訟でも起こしたらどうする心算なのでしょうなあ。今度はフルキャストが全責任を負って国際問題に発展し兼ねない「労使交渉」をやるのでしょうか?


日雇い派遣大手「グッドウィル」(東京都港区)から労働者の派遣を受けていた港湾関連会社「東和リース」(同)が、労働者を二重に派遣していた疑いが強まり、警視庁保安課は31日にも、同社を職業安定法違反(無許可派遣)の疑いで捜索する。……派遣元のグッドウィルの幹部が、どの程度把握していたか調べるため、同社の本社や支店も関連場所として捜索する。……東和リースは2005年2月~07年6月、労働者派遣業の許可がないのに、グッドウィルから派遣された労働者延べ29人を複数の港湾関係企業に送り込み、倉庫への搬入や船内での荷造りなどの業務に就かせていた疑いが持たれている。

■「無許可派遣」だから家宅捜索を受けるグッドウィル。アホな派遣契約を結んで支払いを拒否している社保庁と、どちらが悪質なのでしょうなあ。人材派遣業自体を管轄しているのが厚労省なのですから、こんな奇怪な話はありません。


東和リースによる二重派遣は昨年2月、グッドウィル藤沢支店から派遣された男性(27)が、江東区内の倉庫で荷役作業中に重傷を負う労災事故が起きたことから発覚。東京労働局の調査で、東和リースでは04年10月以降、労働者の派遣が禁じられている港湾運送業務に従事させる目的で、グッドウィルから派遣された延べ1240人を恒常的に複数の港湾関係企業に送り込んでいたことがわかり、同局は今月11日、東和リースを職業安定法違反容疑で警視庁に告発した。1月31日 読売新聞

■グッドウィルという恐ろしい人買い業者が、日本の介護制度をぼろぼろにしてしまったのは衆知の事ですが、港湾業務にまで手を伸ばしていたとしても誰も驚かないでしょう。コブラヘッド社長の錬金術は長期の不況時代を背景にして人の弱みに付け込み、公金を吸い上げて利益を拡大して株価を吊り上げるというものだったようですから、悪徳業者の注文に応じて暴利を貪ることなど当然のことだったのでしょうなあ。労災問題も厚労省の管轄でしたなあ。

■怪しい人材派遣業者と結託している社保庁だけは無傷で居られるのは実に不思議な話です。

絶望の偽装 その弐

2008-01-31 10:25:23 | 日本語
社会保険庁によると、昨年12月10日から20日までの間、外国人派遣労働者約60人に転記作業を行わせたところ、名字と名前の区切りを間違うなどのミスを連発。社保庁は全員を日本人に交代させた上で、すでにすべての転記ミスを修正しており、今後は派遣会社への派遣料支払額を減らすことも検討している。
1月30日 産経新聞

■まるで派遣会社と「外国人派遣労働者」が悪者扱いです。そもそも、優秀な?社保庁職員でさえもこなせない困難で高度な?作業を、どうして派遣労働者に任せるのでしょう?「コスト削減」などと寝言を言っては行けませんぞ!必要なコストを削ってデータがぼろぼろになったら元も子も無くなる!という子供でも分かる単純な理屈が社保庁には分からない!年金は受け取るものではなくて「奪い取る」ものとなって行きそうですなあ。

■別の記事を見てみましょう。


コンピューターに未入力の古い厚生年金記録1430万件などの手書き台帳からの書き写し作業で、昨年12月に派遣会社から派遣された中国籍などの外国人約50人がミスを連発し、社保庁が途中で全員の作業を打ち切ったことが分かった。……この作業のため、社保庁は派遣社員ら約1300人を集め作業を開始。人材派遣大手「フルキャスト」(東京都)は外国人約50人を12月10日から派遣した。

■昨年、年金相談の電話窓口を増設した時も、アルバイトが募集されたことがありましたなあ。複雑怪奇な年金制度を熟知していなければ責任をもって応対など出来るはずもないのに、短期間の「研修」で現場に投入されたアルバイトは一種の「お断りマニュアル」で誤魔化さねばならなかったとか……。どう考えても罪を重ねた張本人たちが電話で悪口雑言を受けるのを避けたとしか思えない姑息な「コスト削減」でした。それで懲りたかと思っていたら、電話相談よりも重要な入力作業でも愚かしい「コスト削減」をやっている!これが福田ホイホイ首相が年金問題解決に関して言っている「全力」「総力」「協力」の実態ならば、これだけで政権が倒れても何の不思議もありません。「ガソリン国会」など後回しにした方が民主党は早く政権交代に成功するのに……。


……田中昭という名前を「田」「中昭」と書き写すなど、姓と名の区分がつかないミスが多発。社保庁は全員日本人にするよう要望し、1月末までだった派遣は12月20日で打ち切った。誤記された記録は修正したという。社保庁は「ミスのあった記録件数は分からない。派遣会社からは、テストした優秀な人を選んだと説明があった」と釈明。フルキャスト広報室は「全員、日本国内の定住者か留学生で、漢字の読み書きはできた。このような結果になり申し訳ない」と話している。
1月30日 毎日新聞

■今でも日本人の多くが日本語と北京語とを「同文同種」だと勘違いしているそうですが、社保庁にも同じレベルの誤解があったのでしょうか?「田中昭」が氏名だと言われたら、北京語を母語としている人なら「田」を苗字と判断するでしょう。実際に国会議員にも「田」さんは居たのですからなあ。但し「中昭」という名が存在するかどうかは問題でしょうが……。

■毛沢東を「けざわひがし」と真顔で読む馬鹿キャラクターで商売しているタレントが出る日本ですから、「田・中昭」さんと解釈する中国人留学生を誰も笑えません。笑うべきは派遣したフルキャスト社であり、大笑いの対象は社保庁そのものです。自分たちが後始末をすべき大問題を残したまま、大挙して高額の退職金を貰って逃げ出している社保庁職員が居るそうですが、そんな馬鹿者たちを無給でこき使っても良いくらいの「単純作業」ですぞ!社保庁がデータをどれほど杜撰に扱っていたのか、そして、その腐った根性はまったく治っていない事を証明する事件です。

■フルキャスト側が「定住者か留学生」を強調しているのも怪しい!役所には身元がしっかりしている者を派遣していると不自然に強調すると、そうではない所にはどんな人を派遣しているのでしょう?「漢字の読み書きはできた」という説明も軽薄です。生年月日はともかく、氏名はそれぞれの固有の文化の結晶体ですから、外国人の場合はそれ専門の教育を受けていなければ扱えないはずです。単なる記号として「漢字」を書き写すだけだと考えたフルキャストもその対応に納得した社保庁も、「同文同種」神話を信じ込んでいるわけですなあ。

■それ以前に社保庁には役人は常に正しいという「無謬神話」という最悪の病弊が有るようですし、絶対に謝らないし責任も取らないという恐るべき厚顔無恥の体質も健在です。制度を作った政府や議員が悪い、「自己申告」の義務を怠る愚かな国民が悪い、今度は派遣会社が悪い!留学生が悪い!と泥沼ですなあ。悪いのは社保庁です。更に、社保庁は事態を正確に把握していないのも呆れた話で、新聞によって「数値」が微妙に違うのはそのせいではないしょうか?以下は讀賣新聞の記事です。

絶望の偽装 その壱

2008-01-31 09:28:29 | 日本語
■おそらくは夕食や夜食や酒の肴に餃子を注文した日本人の数が史上最低だった夜、中には大急ぎで献立を変更して家庭も有ったでしょうし、調理を始めてから苦しい家計を考えつつ「廃棄」した冷凍餃子も多かったのではないでしょうか?恐怖の一夜が明けると夜のテレビ・ラジオの報道を受けて新聞各紙の一面には「23品目」の毒入りかも知れない商品のリストが掲載されました。このリスト、「業務用」の方が多いのですなあ。但し書きで「一部は市販」という気になる文言も付いていまして、外食を楽しむ時には逃げようが無く、もっとも経済的な買い物方法である「まとめ買い」をするとリスクが高くなるという実に困った事になりそうです。

■当初は「餃子のニラ」に違法なの殺虫剤が付着していたような話でしたが、毒は餃子の「中」に入っていたのではなく、「表面」に付いていた可能性が高いようです。それならプラスチック・トレイに並べてパッケージに封入する作業工程で、何者かが白い毒をぱらぱらと振り掛けたことになります。「日本向け」に限定された生産物ですから、もしも、同一工場から出荷された商品の異常が日本だけでしか発見されないとしたら……。最悪の場合、「日本」をターゲットにした無差別大量殺人を目的とする「国際テロ」だった可能性さえ出て来そうですなあ。

■「反日暴動」は共産党が力で鎮圧したことになっていますが、江沢民時代に展開された愛国・反日教育の影響は決して消え去ってはいないのかも知れません。それは日本の「ゆとり教育」が国内限定の大問題であるのに対して、国際問題の原因として潜伏し時には大爆発を起こす事も有るでしょう。今回、毒を盛った「犯人」の動機と目的がまだ分かりませんが、発端は待遇や人間関係などの職場の問題で、会社を困らせると同時に顔も名前も知らない日本人を殺害して一石二鳥となると考えたとしたら、同種の犯罪はこれからも繰り返される恐れが有るという理屈になります。こういう悪戯か事故か犯罪か、真相が分かりづらい微妙な問題が日中間できれいに解明されて解決されるとは思えませんから、疑心暗鬼は解消されないでしょうなあ。

■しかし!「毒入り」食品を回避する事と反チャイナ気分を盛り上げる事とはきっちり区別しておかねばなりません。農薬問題で大きな打撃を受けたチャイナの農業は大急ぎで法律や検査体制を改善するのに必死のようですし、商売のルールは「信用第一」なのは世界共通!真面目に法律を守って地道に仕事をしないと最終的には大損するという道理に従って営業している所も多いはず……なのですが……。相手に文句を言うよりも、日本側の検査体制が穴だらけである実態を早急に改善する方が先でしょうなあ。

■「毒入り」餃子が大騒ぎになっているのを隠れ蓑に悪用しようとしたわけでもないでしょうが、日本の厚労省はチャイナの天洋食品を悪者にする一方で、まったく別の大問題とリンクさせているような言い訳を始めているようです。キーワードは「中国人留学生」と年金問題、この件は既に一部週刊誌が暴露してはいましたが、全国的に新聞報道されたのは「毒入り」餃子の危険物リストの発表とほぼ同時!単なる偶然なのでしょうが、割り切れないものがありますなあ。


舛添厚労相も、ハッキリ言うべきだ。「消えた年金」の全面解決が絶望的となった。基礎年金番号に統合されていない記録約5000万件のうち、氏名がオンライン入力されていない約524万件について、社保庁の補正作業の結果、約6万件は持ち主を特定できなかったことが明らかになった。社保庁の杜撰さのせいで、氏名が記載されている紙台帳を紛失、破損していたり、手書きで判読できないケースが次々見つかった。これら6万件は今後の名寄せ(照合)も極めて難しい。政府は「3月末までに名寄せを終える」と公約していたが、ホラかウソッパチだったのだ。
1月27日 日刊ゲンダイ

■まずは夕刊紙で社保庁の「大罪」を確認しておきましょう。制度設計の段階でさり気無く「自己申告義務」をすべり込ませておいた旧厚生省は、受給段階の責任は保険加入者に丸投げ出来る仕掛けを作っておたいのでした。年金を国民年金・厚生年金・共済年金などに分割しておいて、国民が転職や婚姻する事をまったく想定していないような仕組みが半世紀間も放置され、いざとなったら「記録が無い!」の一言ですべてを決定できるという恐るべき強権体質を隠していたのでした。何やら張り切って厚労相に就任した舛添さんは、「無い物は無い!」と実にあっさりと本音を吐きましたなあ。無くなったのではなくて、最初から作っていなかったのに……。


年金記録紛失問題で、オンラインシステムに未入力の「旧台帳」と呼ばれる手書き台帳記録約1466万件について、手書きデータをコンピューター入力用紙に転記する際に、中国人などの派遣労働者が漢字を読み間違い、誤記するトラブルが発生していたことが29日、民主党の厚生労働・総務部門会議で明らかになった。

■「中国人」と「派遣労働者」という不思議な組み合わせが飛び出しました!正規の職員が民間企業では考えられない怠惰な労働条件を主張して「遊んでいた」のは衆知の事実です。コンピュータ入力作業にはミスが付き物なのに、それをチェックする事も考えず、しかも元台帳の管理が杜撰な上に肝腎の入力時には空欄も気にせず、氏名や生年月日も適当に打ち込んでいた!のは、社保庁の日本人職員です。

「万引き」を考える その弐

2007-12-30 11:23:52 | 日本語
■もしも道具屋さんが万引きに狙われたとすると、犯人は生活が成り立たない困窮者だと直ぐに分かります。商売としては損害を受けますが、ちょっとした人助けをしたとも考えられたでしょうなあ。後で犯人が生活を立て直して謝罪と御礼にやって来たりすると見事な落語の人情話になります。ところが、今の「万引き」は相当な儲けになる!

男は住所不定、無職、清水努被告(44)。調べに「働く気はなかった。1000万円分くらいは盗んだと思う」と供述しているという。ホテル側は、清水被告がスーツ姿で出入りしていたことなどから、特に不審に思わなかったらしい。……平成17年1月ごろから埼玉県北部で万引を繰り返し、今年10月25日、CD5枚を万引しようとして警備員に取り押さえられた。逮捕されるまで716日間にわたりJR熊谷駅前のビジネスホテルに泊まり、計約370万円を支払ったという。
2007年12月29日 産経ニュース

■以前に東京駅構内のコンビニ店で数個のパンを盗み、追って来た正義感の強い店長を刺殺するという悲しい事件がありましたし、その前には京急線沿線の書店では、コミック本を万引きした少年が発見追跡されて踏み切りで列車に轢かれて死亡する事件も起きました。その事件では被害者の書店側を非難する奇怪な「人道主義」が盛り上がって閉店に追い込まれるという恐ろしい結末になったはずです。

■「万引き」という言葉が持つ語感のせいで、「たかが」という冠語が付いてしまうのが問題なのです。日本中の小さな本屋さんが実質的にはマンガ本泥棒の被害によって閉店に追い込まれているのですから、これは大問題です。シャッター商店街は寂しいものですが、本屋さんの無い町は本当に寂しい!

■ニュースにあった「中古店」で扱われている商品の大半が「新品」なので、「新古品」などという矛盾した熟語がひねり出されているくらいです。新品が「半額」で売買されれば市場経済は崩壊します。本来は市場経済のシステムから零れ落ちた勿体無い商品をリ・サイクルさせて無駄にしないのが「中古店」の社会的経済的使命だったはずです。街の古本屋さんには、骨董品のような価値のある稀少本からゴミになる寸前に救われた廉価本までが並んでいたものです。しかし、本屋さんに並んでいる新品は置かれていませんでしたなあ。貴重な稀少本には購入者は読み終えたら急いで市場に戻して次の購入者に迷惑を掛けないという粋な不文律もありました。

■幼い我が子に「万引き」させて、それを「中古店」で現金化してパチンコにウツツを抜かす困った親が時々逮捕されますが、これも中古品でもない物を売買する市場が無ければ出現しなかった現象でしょう。


28日午後6時5分ごろ、栃木県足利市鹿島町のJR両毛線小俣-山前間で男が線路を横切り、高崎発小山行きの普通電車(4両編成)にはねられ、即死した。電車は現場に約1時間停車して運転を再開した。乗客約60人にけがはなかった。……男は近くのレンタルビデオ店でDVDを万引し、店員に追われていた。約200メートル逃げたところで線路を渡り、店員の目の前ではねられたという。男は外国人とみられ、同署が身元確認を急いでいる。両毛線は上下計2本が運休、8本が最大で65分遅れ、約2800人に影響した。
2007年11月28日

■犯人が少年でなく、日本人でもないからでしょうか?今のところ被害に遭ったレンタルビデオ店を非難する愚かな声は聞こえて来ないようです。日本のガキンチョがやれる「万引き」なら、言葉が多少不自由な外国人でも簡単に真似できるのでしょうし、貧困国では今でも昔の日本と同じ様な命賭けの「万引き」は頻発していますからなあ。

「万引き」を考える その壱

2007-12-30 11:23:07 | 日本語
■「歌は世に連れ、世は歌に連れ」という慣用句がありますが、歌以上に世相を反映して変化し続けるのが言葉です。毎年「基礎用語」が入れ替わり、水面(みなも)の泡のように流れて消える「流行語」を表彰する行事も恒例となっています。大昔は人の口に乗って広まって行く間に取捨選択されて定着したもののようですが、今の流行り言葉はマスメディアが「連呼」することで爆発的に広まって花火のように消え去る激しい変化になりました。

■そんな中で売春行為(犯罪)を「援助交際」と呼ぶ悪習が蔓延したものですが、やっと下火になったのは根無し草の流行語は短期間に飽きられて古臭く感じる日本らしい感性の影響のようです。「畳と何とかは新しいのが良い」そうですから……。犯罪に関連する言葉が無責任に言い換えられると犯罪性が薄まってしまうという困った現象が起こります。これは大きな言葉の問題なので、少なくとも言葉で商売をしている人達には充分に注意して欲しいところです。

■年末年始は財布の紐が緩む時期ですから、不況が続いているとはいえ、日本中の商店は「書き入れ時」で大忙しのようです。あの手この手で集客数を上げようと、皆さんが必死になって宣伝広告の方法を工夫しているわけですが、多くの人が集まると、どうしても「招かれざる客」が紛れ込んで来るのが頭の痛いところでありましょう。そこで活躍?するのが「万引き」犯たちというわけであります。

■どうやらこの「万引き」は江戸時代から使われている言葉だそうで、数値の「万」は当て字で本来は「間」だったという語源説が有力のようです。「間が悪い」という表現はタイミングや「運」の悪さを意味しますから、タイミングを見澄まして商品を抜き取る窃盗犯罪を「間引き」と呼んだようです。「万引き」の犯行現場は商店の陳列場に限定されますから、移動中の人から財布を抜き取る「スリ」とはまったく違います。

■物の本によりますと、江戸時代には「スリ」は特技のされて職業の一つとされていたとか……。但し、この稼業に付くには特定の髪型でなければならず、現行犯で逮捕されたらきっちり処罰されるという厳しい職業だという話です。でも「1両盗んだら首が飛ぶ」と言われた厳罰主義の江戸時代ですから、スリ職人が狙う財布には小銭しか入っていないという暗黙の了解もあったようです。スリは専門的な技術を使って社会に与えるダメージを最低限度に抑えて飢え死にしない方策として認められていたらしいのですなあ。

■話はずっと飛びまして、戦後の動乱期には多くの戦災孤児が街に溢れ、物不足で経済は超インフレの大混乱となれば、餓えた子供達は命懸けで「万引き」して露命を繋いだのでした。そんな傾向が1970年頃まで続いたようですが、盗む物が食糧から菓子類、学用品から書籍へと高度成長期の中で変化したようですが、バブル崩壊後に「万引き」の意味が大きく変わってしまったようなのですなあ。


さいたま地検熊谷支部が窃盗と窃盗未遂の罪で起訴した男が、逮捕されるまで書店などでCDやDVDの万引を繰り返し、中古店で換金して約2年間にわたりホテル暮らしを続けていたことが29日、埼玉県警熊谷署の調べで分かった。

■この事件のキーワードは「中古店」と「ホテル」です。江戸時代の「道具屋」は勿体無い文化の象徴的な存在でした。長屋生活をしている人達は引っ越す際には生活に欠かせない家財道具を「道具屋」に売って身軽に移動して、新居の近くで中古品を買い直していたのだそうで、その間に各種の「修理屋」が大活躍していたというわけです。高級品を扱う「骨董屋」とは違う生活必需品の中古品がリ・サイクルではなくて、見事に「サイクル」していたというわけです。従って道具屋文化の中でボロ儲けは不可能だったのですなあ。