沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩524 戦争 5

2014年05月10日 15時24分47秒 | 政治論

 我々は戦争を知らない世代である。戦前に生まれていても、幼すぎて「経験化」し得ない世代もあり、又極めて高齢(80代後半以降)でなければ戦前も戦後まもなくも、「自覚的な体験」としては明確にこれをもち得ない場合が往々にしてある。そうした高齢の語り部たりうる人たちにおいて見られる物理的限界を考慮すれば、言わば、戦後の日本人が実体験に即した戦争観を持つということは、いよいよ困難な状況に置かれ始めているということになるのだろう。このことは、「戦争」について考えるときには極めて重大にして重要な意味を持つと思われる。それで沖縄戦を体験したここ琉球島嶼では、語り継ぐための聞き取りなど通じ、可能な限り微細にあの戦争を我々の追体験的な記憶として残そうという努力がつづけられている。こうした試みはここでは、対象が老若男女のいかんを問わず、日々見たり聞いたり触れたりする機会において、本土とはまるで違った独特な様相を呈していて、ローカルな報道においても、沖縄戦とこれにまつわる様々な出来事に関する多くの情報が殆ど毎日のように齎されている。あの「戦争」を現代の我々の日常生活内においてとらえ返そうという試みこそ、この地における「非戦」の誓いをより強固に、確かなものとし、感性や情念、感触のうちに脈々と息づかせる手段たりうるのだ。(つづく)

 


詩524 戦争 4

2014年05月10日 09時07分30秒 | 政治論

 防衛省沖縄防衛局の辺野古埋立工事及び工事準備乃至設計のための測量調査業務あるいは海底掘削(ボーリング)岩礁破砕業務発注に関する急ピッチの加速的許可申請提出等、名護市民、活動家、地元民有志、沖縄県民に対してなんらの顧慮もなく、安倍政権下、非民主的手法でごり押しの国家施策が動物的に突進している(沖縄タイムス記事)。彼らの思惑では、折角もぎ取った知事承認の機に乗じて、今冬県知事選前段階での工事着手を目指しているわけで、そこには、反対派知事による承認取り消しの事態を何としても避けたいという、いかにも人民意思に反した国家行為に関する無意識のうしろめたさが見え隠れする。しかし彼らにはいつの時代にも人民意思など眼中にない。従って「粛々と」という機械的非人間的効率主義だけが事務的に強行されていく。闘いは従って最も現実的な対応を迫られる。(つづく)