沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩 12 嘘

2007年04月17日 22時26分38秒 | 手記
 下手な虚栄心により子供は捻じ曲がり、成長の足並みを損ねた、親の書いた親の絵で表彰され、友達たちの策略で名誉を掠め取る、忘れ物の犯人をでっちあげてまんまと教師をだます、登校日にさぼり生徒に見つかり、ないものをあるとうそつき....、下手な虚栄心はかの成長の中で成長の方向に誤差を生む、外れた方向へそれと知らずどんどん迷い込み、人生のほとんどを失敗の連鎖に費やす、この無駄使いに気が付いたときには死を前にしている、この遠因は幼少期の断面に彼の性格のように見え隠れする、彼は彼の容貌を恥じた、ところで時代はいかなる断面をみせたのか、

詩 11 静かな時代

2007年04月13日 00時15分05秒 | 手記
 青い眼のお人形に始まった、それは絵本の1ページに、横たわるアメリカ人形の絵と歌詞で、はっきりと残っている記憶の、しかし音楽の記憶がどこからくるのかはわからない、レコードもプレーヤーもなく、....、多分ラジオからの記憶であろう、小鳩クルミや安田姉妹かの声で、...、もしかするとこれが最初のヴィタセクスアリスなのか、みかんの花咲く丘、ここに幸あり、ガード下の靴磨き、...悲しみと茫漠とした平和と静寂、呼吸音の聞こえる生活、

詩 10 経済成長

2007年04月04日 17時44分53秒 | 手記
 死は相変わらず遠い、級友が轢死したのは彼が八つになるころか、その兄はしばらくして水死しかけ、その何年かのち病死した、記憶に残っている限りは、衝撃がなかったわけではないのだが、他人事だった、ある夜母が火鉢の灰汁をかきながら父の同僚の死を厳かに語った、脳溢血という病名を知った、「呼吸が荒くなっていた」と言った、銭湯の帰りに母が倒れてやがて亡くなったという話を本で読んだときから、妙に、父や母の帰りが遅い日には不吉な予感をおぼえた、母の母が死んだとき、母は大阪に、....兄は、自分の購読する雑誌に特集した綴りかたに肉親の死を扱った作文を彼に見せ「こういう作文はおまえの年代にはかけまいのう」と言った、彼は同様の作文集に夏休みの観察日記や台風が息巻いている外の様子を書くそれを思い出し、そんなものかと思った、昭和30年代は高度経済成長期で、悲惨な死にまつわる不幸から無縁の子供たちが成長する時代だったかもしれない、

詩 9 愉悦

2007年04月01日 18時36分02秒 | 手記
 学芸会の裏、半ば見事に自由な空間で生徒らは教室や図書室で、そっちに気をとられているすきに、自由で楽しい友情や悪ふざけの他愛もない時間を満喫して、一日は瞬く間に過ぎた、一度もかのお芝居の主役にあこがれるでもなく、別学年のだしものの進行中、誰にもとがめられることなく、この充実した世界は奇跡的に訪れた、....、