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いつまでも眺めていたい板でした

2018年06月19日 | 信州の木材
事務所の入り口に1枚の板が立てかけられていました。

 米松のピーラーで幅広柾で細かい目が通っています。幅は30センチです、う~んと私唸りました。

 製材工場部門を閉鎖して10年経ちます。それまでは自社で製材していましたから、こんな板を見ることはめずらしくはありませんでした。

 でも年々歳々というか、上等の木材という物の絶対量は少なくなってきていました。米松とはまさに輸入品です。

 それと共に我が国の住宅から和室が消えていきましたから、卵が先かにわとりが先かという面もない訳ではありませんね。

 神棚板も・・・・大変でした。

 私にとって一番大変なお客様の柱に対するご要望は、目が詰んでいること、目が通っていること、節がないこと。それも定尺の3メートルと6メートルではなく、3.3メートルと6.3メートルという市場には出回らない希少な規格に対するものにです。

 これに対応するために、建前が終わるまで神経が休まりませんでした。

 木にこだわりを持っておられたので、建ててもらいたい方が行列を作っていた良き時代でしたから、私はそれを年に何回も繰り返してきました。

 今柱を何にするかと口にされる方はほとんどおられません。

 そういう意味から言うと、材木屋も楽になったといえるかもしれませんが、あの丁々発止の時代がなつかしくもあるのです。

 柾目の板は倒すと、パチッと割れてしまうから、注意してねと言ったら、外ではなく事務所の中に持ち込まれました。

 プレーナーも掛けられています。なんだか抱き付きたいような親愛の情がわきます。やっぱり私材木屋なんだわ。

 何にに使われるのでしょうね。価格を聞いたら半値にも届きませんでした。

 これって挽いたら偶然出てきてしまった上物みたいです。

 いつまでも眺めていたい素敵な板でした。

                                        依田美恵子
       軽井沢・佐久で建てる外断熱・省エネ住宅 中島木材の家


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