9月29日(火)
私がこの仕事に就いた二十数年前は、走水で26世帯の漁師が海苔養殖をしていましたが、とうとう今年は11世帯に減ってしまいました。
もといやを含めた6世帯の海苔師は、陸上採苗で海苔の種付けをしていますが、残りの5世帯の海苔師は、野外採苗で海苔の種付けをしています。
陸上採苗では、環境を人工的に整えるので、安定した理想通りの海苔の種付けができるのですが、野外採苗では、その日の海水温・比重・照度・波の強さ・種の放出量・海苔網の枚数など、さまざまな環境の変化で理想とした種付けがたいへん難しくなります。
野外採苗では、プラタケと呼ばれる種付け用のいかだに、青いビニールを張りその上に、海苔に種の入ったカキ殻を入れたシートを張ります。
海苔の種は、直射日光が当たると死滅してしまいます。照度不足になると放出量が減ってしまいます。
天気予報で予測して、貝を表向きにしたり裏向きにしたり、放出量を予測して貝の枚数を変えます。
カキ殻の入ったシートの上に、海苔網を張ります。
放出された海苔の種が、上に張ってある海苔網に付着します。
この時期は台風シーズンです。種付けに失敗した年が何年もあります。
陸上採苗に比べると、野外採苗はたいへんギャンブル性の高い種付け方法です。
でも、条件が合うと簡単に種付けができます。種の付いた海苔網を沖に張りに行きます。
今年は、この時期に海水温も下がり、台風の接近も無く、降雨も少なく、気温も高くなく、風も強すぎなく、条件が揃っているので、野外採苗も順調に進みそうです。