ロケットは正常に飛行し、打ち上げから約15分57秒後には、GPM主衛星を分離したことを確認した。
今後、GPM主衛星は、通信の確保、姿勢制御を行った後、二周波降水レーダDPRをはじめとするミッション機器の電源投入を行う予定。
また、同ロケットの搭載された国内7大学の小型衛星7基の分離を示す信号も確認した。
2月13日の「コズミック フロント」(NHK-BSプレミアム夜10時~11時)で「火星改造! テラフォーミング最前線」が放送され、現在NASA(米航空宇宙局)推進している、火星をわずか100年で人類が住める環境にするテラフォーミング計画の概要が明らかにされた。
NASAは、2030年代に有人宇宙飛行で人類を火星に送り込む計画を推進しているが、同時に、火星を、現在の不毛の大地から地球のような生命溢れる星につくり変えようという構想、つまり、“火星のテラフォーミング計画”にも取り組んでいるのだ。
テラフォーミング研究を30年以上続けるNASAのクリス・マッケイ博士は「わずか100年ほどで火星のテラフォーミング示現できる構想」を提案しているというから驚きだ。
その構想とは・・・まず、火星を温めるため、温室効果ガスとして、人間に無害なC3F8ガスを火星に送り込み、火星の温度を上昇させる。15年ほどで火星の温度は5度の上昇が期待できるという。
火星の温度が上昇すると、火星の表面の氷が徐々に融け出し、水を得ることができる。
人間の食糧はどうするか。そのキーとなるのが合成生物学である。合成生物学の技術により、火星の厳しい自然環境でも生き延びることのできる紫外線に強い微生物を人工的につくり出し、火星に送る。この微生物は、自ら糖をつくり人間の食糧源となる。
さらに、火星の土壌からは煉瓦や鉄をつくり出し、それらを建設財として建設物をつくる。
火星のテラフォーミング開始から、40年ほどで火星の温度は、25度上昇しマイナス30度ほどになる。この時期に、低温でも育つ高山植物を火星に植え、光合成により酸素を発生させる。植物の繁殖により、火星の地表は地球と同じように緑に覆われる。
2035年から火星のテラフォーミングをスタートさせて、100年後の2135年には、火星の温度はマイナス5度ほどになり、人類が住める環境となる・・・というのがそのストーリーである。
ただ、このストーリーにはいくつかの疑問が生じる。まず、最初に火星に送り込まれる要員の地球への帰還の方法はあるのか、という疑問だ。因みに今民間で計画されている火星移住計画では、地球への帰還の切符は用意されていない。仮に本人の同意を得たとしても、片道切符で、過酷な環境の火星で一生を終えるとなると、果たして人道上許される行為であろうかという疑問。
それに、温室効果ガスにより、40年ほどで火星の温度は、25度上昇しマイナス30度ほどになるとあるが、この40年間、火星上の要員の水と食糧、酸素それに居住スペースは保証されるのかという疑問。
そして、最大の疑問は、火星のテラフォーミングに要する費用である。番組中ではこれについて一切言及がなかった。各国が協力してISS(国際宇宙ステーション)を実現させるのが、今のところ精いっぱいではないのではなかろうか。火星のテラフォーミングには、ISSの何十倍、何百倍の費用がかかるのではないか。そうなると例え技術的には実現可能でも、絵に描いた餅になりかねない。
怒られるので、大きな声では言えないが、以上の疑問点を考えると、NASAの火星のテラフォーミング計画は、テラフォーミング研究者たちが研究費の継続のために打ち上げたアドバルーンとも考えられなくもないのでは・・・。
なお、「コズミック フロント」の「火星改造! テラフォーミング最前線」は、2月17日(月)夜23:45~24:44に再放送されるので、見なかった方は、是非ご覧になることをお勧めする。
(勝 未来)