中国政府は、独自開発を進めてきた衛星測位(GPS)システム「北斗」が12月27日、全世界に向けたサービスを開始したと発表した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成30年10月29日に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号(GOSAT-2)」の初期機能確認運用を実施しているが、12月12日から14日にかけて、同衛星に搭載された「温室効果ガス観測センサ2型(TANSO-FTS-2」の初観測を行い、FTS-2が正常に動作することを確認した。
FTS-2は、温室効果ガスがその種類に応じて固有の波長の光を吸収する性質を利用して、大気中を通過する光の波長成分を細かく分解(分光)し、固有の波長での吸収度合い(吸収線)を測定することで、温室効果ガス濃度を算出する。
また、FTS-2に内蔵された観測点の周囲を撮像できるカメラ(視野カメラ)により、自動で雲を避けて観測する機能が正常に動作していることも確認した。この機能により、有効な晴天域の観測データが増加し、それにより温室効果ガス排出量の推計精度の向上が期待できる。
今後、引き続きセンサの初期機能確認を2019年1月末まで行った後、定常的な観測運用へ移行する予定。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成29年12月23日に打ち上げた気候変動観測衛星「しきさい(GCOM-C)」の初期機能確認運用及び初期校正検証運用を予定通り終了し、平成30年12月20日より「しきさい」観測データの提供を開始した。このデータは、誰でも自由に利用できる。
「しきさい」は、近紫外から熱赤外までの19の観測波長帯(色)を持ち、偏光・多方向、近紫外観測といった特徴的な機能を有している。
「しきさい」は、1000㎞以上の観測幅で全地球を約2日間かつ高い分解能(250m)で観測することができ、雲・エアロゾル、植生などの温暖化予測の精度向上に不可欠なデータのほか、漁場予測や、黄砂の飛来、赤潮発生状況の把握など、私たちの生活環境に関わるデータを提供していく。
今後は運用期間(打ち上げから5年間)中、全球観測運用を行うとともに、データプロダクトの改善・作成・提供を継続する計画。
徳島県の岩本雅之さんは、2018年12月19日(日本時)の明け方、南東の空に新天体を発見し、国立天文台の新天体通報窓口に報告したが、日本の天体愛好家を含めた確認観測により、この天体は新彗星であることがわった。
発見報を取りまとめている国際天文学連合小惑星センターは、この新彗星を岩本彗星(C/2018 Y1 (Iwamoto))として公表した。
軌道はまだ不確かだが、2019年2月上旬には地球にかなり接近し、一晩中観測可能な位置で6等級前後の明るさになると予報されている。
なお、岩本さんは、11月の彗星独立発見に続いての発見。
神戸大学大学院理学研究科惑星科学研究センターの臼井文彦特命助教、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の長谷川直主任研究開発員、大坪貴文宇宙航空プロジェクト研究員、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻の尾中敬名誉教授らの研究グループは、赤外線天文衛星「あかり」を用いて、近赤外線で小惑星の観測を行い、地上の天文台からは観測できない波長2.7マイクロメートル付近にある含水鉱物の存在を示す特徴を、数多くの小惑星について世界で初めて捉えることに成功した。
また、得られたデータの詳しい解析から、リュウグウと同じC型小惑星の進化の過程を明らかにした。
同研究では「あかり」を用いて、2008年5月から2010年2月にかけて小惑星66天体について分光観測を行い、小惑星表面で反射した太陽光の近赤外線スペクトル(近赤外線反射スペクトル)を得た。
波長方向に途切れることなく連続的にスペクトルを捉えることで、波長2.7マイクロメートル付近の特徴を明らかにしたのは同研究が世界で初めて。この波長は岩石中の水の成分に対応しているため、小惑星の水の存在を直接的に確かめることができる。
詳細な解析の結果、C型小惑星17天体について、波長2.7マイクロメートル付近に、含水鉱物に起因する顕著な吸収の特徴を発見した。
同研究によって、太陽系の水の分布や小惑星の起源と進化だけでなく、地球の水や生命の起源への理解も進むと期待される。
2018年9月21日に宇宙探査機「はやぶさ2」から分離した「MINERVA(ミネルバ)-II1」の2台のローバ(「Rover-1A」「Rover-1B」)が、小惑星表面に着陸し、自律機能による小惑星表面撮像およびホッピング移動に成功したが、このたび、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2台のローバに 「Rover-1A」は、 「みみずく」のフランス語のイブーから“イブー(HIBOU)”、 「Rover-1B」は、 「ふくろう」の英語のアウルから“アウル(OWL)” の名前をつけた。
ミネルバ(ラテン語:Minerva)は、音楽・詩・医学・知恵・商業・製織・工芸・魔術を司るローマ神話の女神で、英語読みはミナーヴァ。芸術作品などでは、彼女の聖なる動物であり、知恵の象徴でもある「ふくろう」と共に描かれることが多い。そこで、女神の聖鳥が「ふくろう」ですので、「ふくろう」にちなんで名前をつけた。「みみずく」と「ふくろう」は微妙に違うが、2台のローバも微妙に違うので、両方の名をつけた。
<新刊情報>
書名:宇宙の「果て」になにがあるのか~最新天文学が描く、時間と空間の終わり~
著者:戸谷友則
発行:講談社(ブルーバックス)
ここ数十年で急速に発展した天文観測技術は、太古の昔から人類が追い求めてきたこの問いに対して、一定の答えを与えられるようになった。「相対論」と「量子論」を基にした現代宇宙論は、宇宙の果てにどこまで迫れるのか?最新の観測から見えてきた我々の住む宇宙の姿と、残された大きな謎を最先端の研究者が解説。
41年前に打ち上げられた米国の探査機「ボイジャー2号」が太陽圏を脱出し、星間空間に到達した。
人工物として星間空間に到達したのは、2012年のボイジャー1号以来。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「きぼう利用戦略」に基づき、国際宇宙ステーション・日本実験棟「きぼう」の利用事業について、民間等による事業自立化(民間への開放)を推進しているが、その第2弾として、国際宇宙ステーション(ISS)・日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームの利用機会を、民間事業者ならではのアイデアやサービスによって、国内外に広く事業提供するための企画提案募集(RFP)を開始した(平成31年1月31日まで提案を受け付ける)。
JAXAでは、ISSの「きぼう」だけが持つ強みであるロボットアームとエアロックの機能を活かす独創的なアイデアとして、2016年度に船外実験プラットフォームに取り付ける「中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)」を開発し、船外実験環境のプラットフォーム化(利用機会の高頻度化、定時化)を進めてきた。
今回のRFPでは、i-SEEPの利用機会を民間事業者に提供し、i-SEEPを用いた船外利用事業提供に関する独自の企画提案を募集するもの。
中国は8日、四川省の西昌衛星発射センターから、世界で初めて月の裏側への着陸を目指す無人探査機「嫦娥(じょうが)4号」を搭載したロケット「長征3号乙」の打ち上げに成功した。
嫦娥4号は今後、月の裏側に回り込み、着陸を試みる。