goo blog サービス終了のお知らせ 

“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「雑談でわかる相対性理論」(黒ラブ教授、 吉田尚記著/マイナビ出版)

2025-08-22 09:39:53 |    物理



<新刊情報>



書名:雑談でわかる相対性理論

著者:黒ラブ教授、 吉田尚記

発行:マイナビ出版(マイナビ新書)

 難解だった相対性理論が、 今度こそ理解できる。ニッポン放送の大人気Podcast番組『科学のラジオ』が書籍になった。同書は『科学のラジオ』の配信をもとに「相対性理論」他について、雑談を交えた楽しい会話の中から学ぶことができる。『科学のラジオ』はニッポン放送アナウンサー、聞きたがり吉田尚記が、国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーターで、大学講師をしながら芸人をやっている不可思議変態人間、黒ラブ教授とともに、様々な科学、サイエンスを根掘り葉掘りと聞いくPodcast番組。この番組をもとに同書で解説するのは「特殊相対性理論」「一般相対性理論」「ブラックホール」「光電効果」「ブラウン運動」など。量子力学についても触れ、「20世紀最大の天才」と呼ばれたアインシュタインの様々な理論になる。これらのテーマ、特に相対性理論については、理解したくて挑戦してみたけど難しすぎて挫折したという経験のある人も多いでしょう。しかし、パーソナリティー二人の軽妙かつ雑談を交えたトークを通して学べば、相対性理論がすっと頭の中に入ってきて、必ずわかるようになる。番組内での解説に加えて、よりわかりやすくするためにイラストや写真、たくさんの補足を追加した。そして、書籍限定の特別対談「アインシュタインは光に取り憑かれた科学者だった」を最後の章として追加した。さらに、芸人・黒ラブ教授による、科学が笑って学べるネタコーナーのおまけつき!難解な数式の解説は一切なし!二人のトークを読んで楽しんで、今度こそ「相対性理論」を理解しよう。【目次】第1章 相対性理論を理解したい! 第2章 美しい公式!E=mc²! 第3章 ブラックホールがあるかもよー! 第4章 世界は1905年に進化した! 第5章 アインシュタインは光に取り憑かれた科学者だった
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書●分子生物学15講ー発展編ー(清水光弘、胡桃坂 仁志編/オーム社)

2025-08-22 09:39:31 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:分子生物学15講ー発展編ー

編者:清水光弘、胡桃坂 仁志

発行:オーム社

 遺伝子・ゲノム工学の技術・解析法がかわる。同書は、現在の生命科学の研究で使われている、比較的最新の解析法や技術を理解することを目的に、アドバンスコースの分子生物学のテキスト。分子生物学を学んだ学生や現役の研究者でもブラックボックスになりそうな部分を、その技術や解析法の基礎となる事象と原理、その方法によって得られる情報について、丁寧にわかりやすいことを念頭にまとめている。生命科学分野の研究室に所属する学生が、論文の読解やゼミ発表準備などの日々の研究活動や、学会に参加する際に有用。生命科学を専攻する学部での専門科目や大学院修士課程での講義のテキストとしても使いやすいように15 講として構成している。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●静岡県立大学など、祖先配列再構成法をモジュール型ポリケタイド合成酵素(PKS)に初めて適用し新たな立体構造解析法開発

2025-08-22 09:39:03 |    生物・医学
 静岡県立大学食品栄養科学部の伊藤創平准教授、中野祥吾准教授、千菅太一助教、および東京大学大学院農学生命科学研究科 宮永顕正准教授、寺田透教授、唐澤昌之特任研究員、神奈川大学化学生命学部 工藤史貴教授、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 千田俊哉教授らは、祖先配列再構成法をモジュール型ポリケタイド合成酵素(PKS)に初めて適用することで、その立体構造決定を可能とする新たな立体構造解析法を開発した。

 モジュール型PKSは、抗生物質として利用される天然物群であるポリケタイド化合物の生合成に関与し、ポリケタイド化合物の化学構造多様性に寄与する重要な酵素。

 モジュール型PKSの酵素機能の分子メカニズムを理解するためにその立体構造解明が進められている。しかし、モジュール型PKSは複数の触媒ドメインからなる巨大タンパク質である、という特徴を有するためにその立体構造解析は一般に困難。そのため、モジュール型PKSの立体構造解析を可能とする手法が求められていた。

 今回同研究グループは、祖先型タンパク質に着目した。

 祖先型タンパク質は熱安定性や可溶性に優れる、という立体構造解析を進める上で有益な特徴を持つことが知られている。そこで同研究では、モジュール型PKSが持つ複数の触媒ドメインのうち、1つを祖先タンパク質に置き換えた祖先融合モジュール型PKS(現存-祖先キメラ酵素)を用いて立体構造解析を実施する手法を開発した。

 祖先融合モジュール型PKSは、X線結晶構造解析、およびクライオ電子顕微鏡による単粒子解析の2つの立体構造解析手法において解析を行いやすい性質 (結晶性・単分散性)を持ち、同手法の有用性が実証された。

 さらに、同研究ではモジュール型PKSに祖先型タンパク質を融合する新規立体構造解析法の開発に成功しただけでなく、祖先型タンパク質が単分散性にも優れることを初めて示すこともできた。

 同手法は、対象タンパク質が限定されない汎用的な手法であり、これまで立体構造解析が困難だった様々なマルチドメインタンパク質への応用が期待される。<高エネルギー加速器研究機構(KEK)>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●ソフトバンク、量子コンを活用し下りデータ通信速度を約10%データ通信容量を最大50%向上させることに成功

2025-08-22 09:38:33 |    通信工学
 ソフトバンクは、量子コンピューティング技術の一種であるイジングマシン(組み合わせ最適化問題に特化した専用計算機)を活用して、無線基地局の設定を最適化する実証実験を東京都内で実施した結果、キャリアアグリゲーション(CA)を活用した5G(第5世代移動通信システム)通信において、従来と比較して下りのデータ通信速度を約10%、データ通信容量を最大50%向上させることに成功した。

 今回の実証実験では、CAのエリア拡大を目的に、量子コンピューティング技術を活用して基地局の設定を最適化する検証を行った。

 CAは、複数の周波数帯の電波を同時に利用することで、高速で、かつ安定した通信を実現する技術であり、基地局同士の関連付け(CAリンク)を事前に設定する必要がある。

 しかし、基地局の増加により、CAリンクの構成は飛躍的に複雑化している。例えば、10局から2局を組み合わせるだけで45通りが存在し、各組み合わせに「CAリンクを設定する/しない」の選択肢があるため、全体の組み合わせは35兆通り(2の45乗)に及ぶ。

 さらに、基地局ごとに設定可能なCAリンクの上限数などの制約もあることから、CAの利用可能エリアを最大化する最適な組み合わせを見つけるのは極めて困難。

 今回実施した実証実験では、複数の5G基地局が設置された東京都内のエリアを細かいメッシュに分割し、複数の基地局から異なる周波数の電波を同時に受信できるメッシュを、CAの利用が可能な候補として抽出した。

 このメッシュ情報に基づき、CAが利用可能なメッシュ数を最大化するCAリンクの組み合わせを、量子コンピューティング技術を活用して算出した。

 算出に当たっては、数理最適化問題として定式化し、イジングマシンで組み合わせ最適化に特化した計算を行っている。

 算出結果に基づいて作成したCAリンク構成で、CAの利用可能エリアをシミュレーションした結果、従来と比べてより広範なエリアでCAが利用可能になることが確認できた。

 また、この構成を東京都内で稼働する特定エリアの5G基地局に適用した結果、CAが利用可能なエリアが拡大し、下りのデータ通信速度の平均が約10%向上した。

 また、CAの利用割合を示すCAコンフィグ率に加え、セカンダリーセル(主となるセル(プライマリーセル)に加えて同時に接続する補助的な通信レーン)におけるデータ通信量も最大50%増加した。

 この結果を踏まえ、イジングマシンを活用して基地局の設定を最適化することで、電波を効率的に利用し、通信性能を向上できることが確認できた。

 これにより、快適な高画質の動画視聴やオンラインゲームのプレイなどに貢献できる。(ソフトバンク)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「原子理論と自然記述<新装版>」(ニールス・ボーア著/みすず書房)

2025-08-21 09:52:42 |    物理



<新刊情報>



書名:原子理論と自然記述<新装版>

著者:ニールス・ボーア

訳者;井上 健

発行:みすず書房

 アインシュタインと並び称される今世紀最大級の理論物理学者ニールス・ボーアの代表的エッセイ集3巻を一書にまとめる。観測と実在をめぐる両巨人の論争を回顧した「原子物理学における認識論的諸問題に関するアインシュタインとの討論」をはじめ、量子力学のパラドキシカルな諸問題に先駆的な解釈をくだした現代物理学の記念碑的な著書である。「ボーアに物理学者のなかでも比類のない地位を与えたのは、物理的現象の分析によって提起された問題のより深い論理的観点を追究しようとする衝動、さらにはその本質的特徴に対する超人的な直観、その最も広範な含意を一瞥のもとに把握する能力であった。」(レオン・ローゼンフェルト)ボーアは、その恵まれた才能によって、量子論の誕生以来、原子物理学の悩みの種となっていた原理的問題に解決の道を拓いた。「自然記述」のありかたに新しい角度から光があてられ、自然について議論する土台が準備されたのである。自然記述をめぐるテーマは、長年にわたってボーアの最大の関心事となり、それが同書に収められたエッセイ集三部作として結実した。そこには、原子物理学における「自然記述」と「人間の知識(認識)」をめぐる主題が鋭利かつ明瞭に展開されている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする