●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●米アリゾナ大などのグループ、巨大小惑星の衝突を赤外線望遠鏡でとらえる  

2014-08-29 23:21:54 | 宇宙

  東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU)のウィプー・ルジョーパカーン特任研究員を含む、米国アリゾナ大学などの研究グループは、米国航空宇宙局(NASA)のスピッツァー宇宙望遠鏡を用いた赤外線の継続的な観測から、若い恒星系を周回するダスト(塵)が爆発的に増大する様子をとらえた。

 この現象は、岩石でできた2つの巨大な天体が激しく衝突して起きたと解釈できる。地球のような岩石惑星は、長い年月の間にこのような衝突を繰り返して形成されると考えられている。

 今回の結果は大規模な衝突の前後を通して観測した初めての例で、岩石惑星の形成についての理解を深めるもの。

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●宇宙探査<ブックレビュー>●「宇宙はなぜこのような形なのか」(「コズミックフロント」/KADOKAWA)

2014-08-25 11:26:24 | ●宇宙探査<ブックレビュー>●

書名:宇宙はなぜこのような形なのか

著者:NHK「コズミック フロント」制作班

監修:渡部潤一(国立天文台副台長)

発行:KADOKAWA(角川EPUB選書)

目次:Chapter1 物理学 Physics

     宇宙はどのように誕生したのか
     ダークマターの謎に挑む
     最初の星を探せ

    Chapter2 天文学 Astronomy
     太陽系の起源を探る
     パルサーの発見
     ブラックホールは実在した
     銀河系の構造
     不思議な天体 マゼラン雲

    Chapter3 生物学 Biology

     土星の衛星 エンケラドス
     火星の生命探査
     太陽系の外で生命を探す
     宇宙に知的生命体はいるか

    Chapter4 工学 Engineering

     スペースシャトルが切り開いた宇宙
     国際宇宙ステーションへの道
     月面探査競争

 NHK-BSプレミアムで毎週木曜日の午後10時からの宇宙テレビ番組「コズミック フロント」をご覧になったことはあるだろうか。既にご覧になった方は、この番組が書籍になったと考えれば、同書「宇宙はなぜこのような形なのか」(NHK「コズミック フロント」制作班著/渡部潤一<国立天文台副台長>監修/KADOKAWA<角川EPUB選書)>)の内容は、自ずと想像がつくと思う。宇宙テレビ番組「コズミック フロント」は、宇宙に対する最新知識を画像を通して、多くの人が理解するのに打って付けの番組である。特別に宇宙の知識がなくても容易に理解できるように工夫されているので、子供から大人まで誰でも知らず知らずのうちに宇宙の基礎知識が身に付けることができる、貴重なテレビ番組だ。最近放映されたタイトルを挙げてみると、「未踏の宇宙を切りひらけ! NASAジェット推進研究所」 「宇宙でイチバン! 驚異の天体 最も熱く速い星」「宇宙飛行士列伝 奇跡の生還スペシャル~ロシア編~」 「ファーストコンタクト」 「宇宙でイチバン! 宇宙一明るく輝く星」 「バーチャル宇宙ツアー 異形の惑星」 「大逆転! イプシロンロケットの挑戦」 などなど、実に興味深い内容で埋められていることが分かる。例えば「バーチャル宇宙ツアー 異形の惑星」では、最近発見されつつある太陽系外惑星が目の前に現れるのであるから、映像からの情報ほど強いものはない。

 しかし、一方では、テレビ映像は、論理立てて知識を吸収しようとすると、自ずと限界があることも事実である。一度知識を整理し直して、一貫性のある知識を手に入れるためには、書籍が一番いい。それを実現したのが同書なのである。通常、宇宙に関する書籍は、専門の天文学者が執筆するケースがほとんどであるが、この場合、知識の正確性では最上なデータが提供されるが、素朴な何故といったような発想には、どうも欠けるきらいがある。この点、同書の著者は、NHK「コズミック フロント」制作班なので、読者の立場に限りなく近い人たちなので、素人にも分かりやすく、最新の宇宙の知識が平易に紹介されているので、宇宙の入門者には打って付けの書籍といえよう。しかも、第一線の研究者である国立天文台副台長の渡部潤一氏が監修者となっているため、内容の正確性も保証されていることもうれしい。その渡部氏は、同書の「はじめに」の中で、「そんな番組から出版物が生まれたなら。誰しもが、そう思うだろう。これだけ、宇宙に関して広く、深く、そして最新の知見を集積した日本放送史上まれに見る金字塔たる科学番組を、活字にしない手はあるまい。・・・本書は、最新の宇宙研究の現場をみなさんにビビッドに提示しつつ、個々の専門分野をフロンティアまで追求した深さ、そして分野全体を俯瞰する広さを併せ持つ、極めてまれな宇宙に関する書籍となっている」と書いている。

 同書の全体は、物理学、天文学、生物学、工学の大きく4つに分けられている。「Chapter1 物理学」では、宇宙の誕生から最初の星の誕生であるファーストスター、それに現在の宇宙が形成されるまでを辿る。最近、佐藤勝彦博士らが提唱した、ビックバン以前の宇宙形成の理論であるインフレーション理論が世界の注目を集めているが、これらの最新知識をひとまず得ておきたいという読者にとっては便利である。さらに、かなり知られてきたダークマターについても、やさしく解説されているので、頭に入りやすい。「Chapter2 天文学」では、誰でも知っている小惑星探査機「はやぶさ」の話から始まる。目標は、地球から約3億キロメートルも離れた小惑星イトカワだ。もう知らない人がいないくらいの話ではあるのだが、その意義はと問われて正確に答えられる人は、果たしてどのくらいいるのか。そんな時に同書は威力を発揮する。専門家ではなくとも「はやぶさ」の偉業が良く理解できる。今年中にも「はやぶさ2」は打ち上げられることになっている現在、同書により、「はやぶさ」の果たした成果を整理しておくことは、今後の宇宙探査を知るうえで欠かせない。このほか、我々の銀河系はどのような構造となっているかなどは、最近になり正確に把握できたことも多く、最新知識を整理するには、同書は打って付けと言えよう。

 「Chapter3 生物学」は、ある意味では、一番興味がわくところである。火星に生物の痕跡が見つかったといったニュースが飛び交うが、未だはっきりとした証拠はない。さらに、果たして地球以外に知的生命体は存在するのかといった素朴な疑問にもこの章では答えてくれる。それらの中の一番のハイライトは、太陽系以外の惑星が、最近になり続々と発見始めたことだ。つまり、第二の地球探しに世界の関心が集まっている。これらの中には、生命体はおろか、知的生命体がいるかもしれないのだ。現在、我々は、そんな人類史上まれに見る大発見前夜にいるのかもしれない。この章では、そんな知的好奇心を満たしてくれる内容となっている。そして、最後の章である「Chapter4 工学」を迎える。ここでは国際宇宙ステーション(ISS)までの道のりが紹介される。時々、「『ISS』は新しい成果に乏しい」といった批判を言う人がいるが、それは間違えだ。人類は今、“宇宙大航海”時代の入り口に入ったところで、長期間の宇宙滞在自体が、次のステップの足掛かりになるのである。そして、今、火星にばかり人々の関心が集まりがちだが、水面下では月面探査競争も激化していることを、同書の最後で触れている。日本の宇宙政策について考えさせられる個所だ。以上、同書は、宇宙の入門書として、さらには、入門は卒業した人たちの知識の再整理には、最適な宇宙書と言えるだろう。豊富なカラー写真は眺めているだけでわくわくしてくる。(勝 未来)

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●宇宙探査●国立天文台などの研究チーム、宇宙初代の巨大質量星の痕跡を発見か

2014-08-22 20:19:03 | 宇宙

 国立天文台などからなる研究チームは、すばる望遠鏡を用いて天の川銀河内の星の調査を行い、これまでに知られていない特異な元素組成をもつ星(SDSS J0018-0939)を発見した。

 この星は、くじら座の方向に、我々から1000光年ほどの距離にあり、太陽質量の半分程度という小質量星。

 この星の特異な組成は、巨大質量の初代星によってつくられた可能性があり、今回の観測結果は宇宙初期における巨大質量星の進化と元素合成について手がかりを得る上で、新たな知見をもたらす可能性を秘めている。

 ビッグバン後の宇宙に最初に誕生した星のなかには、太陽質量の100倍を超える巨大質量星が存在したと考えられている。しかしながら、これまでその観測的な証拠が見つからず、初代星をめぐる謎のひとつとされてきた。

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●宇宙探査●宇宙地図作成のSDSS、宇宙誕生後30億年~70億年の新たなフェーズ開始

2014-08-21 17:36:49 | 宇宙

 宇宙ゲノムプロジェクト「SDSS(スローン・デジタル・スカイ・サーベイ)」では、これまで14年間にわたり宇宙地図を作成してきたが、今回、新開発の機器を導入して、さらに詳細、広範囲の観測を行う新たなフェーズ (SDSS-IV) を開始した。

 これまで、SDSSでは特に宇宙誕生後20億年から30億年までと70億年から現在までに的を絞って宇宙地図の作成を進めてきたが、今回の新たな観測(eBOSS)では、宇宙誕生後30億年から70億年の間の銀河やクエーサーの分布図の作成を行うことにしている。

 この期間は宇宙の膨張がダークエネルギーによって加速され始めた、宇宙論において大変重要な時期と考えられている。

 今回始まった観測プロジェクトのひとつ、Kavli IPMUのケビン・バンディ特任助教が研究代表者を務めるMaNGA (Mapping Nearby Galaxies at Apache Point Observatory; アパッチポイント天文台近傍銀河地図作成) では、新開発の結束光ファイバーを利用して、ひとつの銀河の中の多くの点を同時に分光観測し、銀河の中の星とガスの分布図を作ることで、何十億年もかけて形成された銀河の成長の仕組みの解明に挑むことにしている。

 MaNGAの研究チームは、光ファイバーを正確に配列して束ねる新しい技術を開発し、米国ニューメキシコ州のスローン財団の2.5m望遠鏡の既存の機器と組み合わせた観測手法を実現した。

 これまでのほとんどの観測では、ひとつの銀河から1点の分光観測結果を得られるだけだったが、MaNGAの観測では、ひとつの銀河の最大127点を同時に分光観測できる。

 この新しい装置を使い、6年間で10,000個以上の銀河の観測を予定している。これは、これまでの装置で行った場合の20倍の速度に相当する。

 

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●宇宙探査●東大と慶大、謎の宇宙竜巻「トルネード」の形成過程を解明

2014-08-19 15:14:49 | 宇宙

 国立天文台は、酒井大裕(東京大学)と岡 朋治(慶應義塾大学)らの研究チームが、電波望遠鏡による詳細な観測を行った結果、謎の宇宙竜巻「トルネード」に付随している二つの分子雲を検出したことを明らかにした。

 また、それらの分子雲と「トルネード」が激しく衝突している証拠も見つけた。さらに分子雲同士も、過去に激しく衝突したことを観測結果は示しており、これにより「トルネード」の形成過程が解明された。

 宇宙竜巻「トルネード」は、らせん状の特異な形をした天体。過去の研究で、回転ブラックホールからの双極ジェットによって形成されたとする説が提唱された。しかし、ブラックホールの候補天体が見つからず、「トルネード」の正体についての論争に終止符が打たれることはなかった。

 今回のの観測結果から、分子雲の衝突によって発生した衝撃波の影響で、一時的に効率よく物質がブラックホールに落ち込み、ブラックホールから双極ジェットが吹き出したことによって「トルネード」は形成されたようだと研究チームは推測している。

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●宇宙探査●米エリジウム・スペース、10月から宇宙葬サービスを開始

2014-08-17 16:54:51 | 人工衛星

 米エリジウム・スペースは、10月から低価格の宇宙葬サービスを開始する。

 エリジウムの人工衛星は、大型の商用・科学衛星と共に打ち上げられ、これらの人工衛星の最初の高度次第で、数ヶ月から数年間、地球を周回することになっている。

 打ち上げは、米国内の宇宙基地にて行われ、利用者には打ち上げの成功を示す証明書、並びに北米航空宇宙防衛軍(NORAD)によって割り当てられた、公式の人工衛星追跡用照合IDが提供される。

 また、利用者は、同社のモバイルアプリにより、星々の間を駆け抜ける人工衛星の軌跡を辿ることができる。最終的には、人工衛星は地球の大気圏に再突入し、燃え尽きて最期を迎える。

 

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●宇宙探査●JAXA、「若田宇宙飛行士によるISS長期滞在ミッションの報告会」開催

2014-08-15 11:26:05 | 宇宙ステーション

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、第38/39次長期滞在宇宙飛行士の若田宇宙飛行士が、ISS長期滞在からの帰還後、初めて日本に帰国している機会をとらえ、若田宇宙飛行士によるISS長期滞在ミッションの報告会「若田光一宇宙飛行士 国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッション報告会~『聞く』『任せる』『実践する』 若田船長の仕事術~」を、8月22日(金)、浅草公会堂(東京都台東区浅草)で開催する。

 入場料は無料、参加対象者は高校生以上。

 募集人数は1000名(事前申込制。定員になり次第受付を終了)

 

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●宇宙探査●重力波望遠鏡「KAGURA」、2015年末に試験稼働を開始

2014-08-10 20:32:17 | 天体観測施設

 

 東京大学などが神岡鉱山(岐阜県)で建設している、重力波望遠鏡「KAGURA(かぐら)」は、現在、幅4m、高さ4m、長さ3㎞のトンネルを掘削中だが、2015年末までに実験装置が設置され、試験稼働が開始される。

 さらに、2017年度以降は、微細な時空の変化も観測可能となる本格稼働に入る。

 重力波は、宇宙で重い星が動いたときに発生するが、まだ観測されていない。

 もし観測に成功するとノーベル賞級の成果と言われており、米国もKAGURAと同様な重力波望遠鏡を建設中で、これが完成すると日米間の観測競争が開始されることになる。

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●宇宙探査●三菱重工業とJAXA、H-IIAロケット25号機を10月7日に打ち上げ

2014-08-08 09:48:16 | ロケット

 三菱重工業およびJAXA(宇宙航空研究開発機構)は、H-IIAロケット25号機による静止気象衛星ひまわり8号(Himawari-8)の打上げを、次のとおり実施すると発表した。

 打上げ予定日:平成26年10月7日(火)

 打上げ予定時間帯:14時16分~18時16分(日本標準時)

 打上げ予定場所:種子島宇宙センター 大型ロケット発射場

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●宇宙探査●気象庁、次期静止気象衛星「ひまわり8号」10月7日に打ち上げ

2014-08-07 20:32:10 | 人工衛星

 気象庁は、次期静止気象衛星「ひまわり8号」を10月7日(火)に打ち上げると発表した。

 ひまわり8号は、ひまわり6号(MTSAT-1R)および7号(MTSAT-2)の後継機として開発され、世界最
先端の観測能力を有する可視赤外放射計(AHI:Advanced Himawari Imager)を搭載した新しい静止気象衛星。米国や欧州などの他の新世代の静止気象衛星に先駆けて運用を開始することから、国際的にも注目されている。

 ひまわり8号では、従来は約30分を要していた静止衛星から見える範囲の観測を10分毎に行いながら、特定の領域を高頻度に観測することが可能となる(例:日本域を2.5分毎)。さらに、水平分解能も従来に比べて2倍に向上する。ひまわり8号で得られた観測データは、雲画像として利用されるほか、コンピューター処理により上空の風向風速や温度など多くの物理量が計算され、数値予報など様々な用途に活用される。

 打上げ予定日      平成26年10月7日(火)
 
 打上げ予定時間帯   14時16分~18時16分(日本標準時)
 
 打上げ予定場所    種子島宇宙センター 大型ロケット発射場
 
 打上げ機         H-ⅡAロケット25号機

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