●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●アイスペース、経済産業省から20億円の補助を受け月着陸船の開発を加速

2023-10-25 19:50:56 | 宇宙政策

 アイスペース(ispace)は、経済産業省が実施する「中小企業イノベーション創出推進事業」において、宇宙分野の「月面ランダー(月着陸船)の開発・運用実証」テーマに、予算額(補助上限)120億円の補助対象事業として採択された。

 中小企業イノベーション創出推進事業は、日本のイノベーション創出を促進するためのSBIR(Small Business Innovation Research)制度において、革新的な研究開発を行うスタートアップ等が社会実装に繋げるための大規模技術実証(フェーズ3)を実施し、日本におけるスタートアップ等の有する先端技術の社会実装の促進を図ることを目的としている。

 今回、同社は、公募テーマの1つである「月面ランダーの開発・運用実証」に対して提案を行い、採択された。

 今回採択された120億円を開発資金の一部として、同社は100kg以上のペイロードを月面輸送するための月面ランダーの開発(設計・製造・組立)と、2027年を目途とする月への打上げおよび運用(軌道制御、着陸誘導制御)を計画している。

 同社は、日本、米国、ルクセンブルクという世界3拠点の事業体によるグローバル・プレゼンスを持つ強みを活かし、2024年に打ち上げを予定しているミッション2のランダー(シリーズ1ランダー)の開発を日本の本社主導で、2026年に打ち上げを予定しているミッション3のランダー(APEX1.0ランダー)の開発を米国の子会社主導で進めている。

 同補助金を活用して新たに開発されるランダー(仮称:シリーズ3ランダー)は、シリーズ1ランダーに続く、日本の本社主導で開発されるランダーとなり、米国主導で開発中のAPEX1.0ランダー同様に、本格的な商業的ペイロード輸送サービスの実用化を目指した大型ランダーとなる予定。

 同社は、日・米の両拠点での商業的ランダーの開発を進め、グローバルに成長が期待される月ビジネスへの顧客需要に柔軟に対応可能な体制の整備を進める計画。

 なお、今回、経済産業省から補助金を受けた宇宙ベンチャー企業は、アイスペースのほか、インターステラテクノロジーズ、スペースウォーカー、将来宇宙輸送システム、スペースワン。

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●宇宙探査●アストロスケール、商業デブリ(宇宙ゴミ)除去実証衛星「ADRAS-J」のニュージーランドへの出荷を完了

2023-10-06 10:22:04 | 人工衛星

 アストロスケールホールディングスの子会社で人工衛星の製造・開発を担うアストロスケールは、2023年度内にミッション実施を予定している商業デブリ(宇宙ごみ)除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ、Active Debris Removal by Astroscale-Japan )」のニュージーランドへの出荷を完了した。

 同衛星の輸送は、アストロスケールとマーケティングパートナーシップを締結している郵船ロジスティクスによるもの。

 アストロスケールは、大型デブリ除去等の技術実証を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズⅠの契約相手方として選定、契約を受けて、ADRAS-Jを開発した。

 ADRAS-Jは、ニュージーランドのマヒア半島にあるRocket Labの第1発射施設(Launch Complex 1)での打上げを予定しており、同社のロケット「Electron(エレクトロン)」による打上げ・軌道投入後、非協力物体である日本由来のロケット上段への接近・近傍運用を実証し、長期にわたり放置されたデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行う。

 同ミッションは、実際のデブリへの安全な接近を行い、デブリの状況を明確に調査する世界初の試み。これはデブリ除去を含む軌道上サービスにおいて不可欠な要素。

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●宇宙探査●JAXA)、「H3ロケット試験機1号機打上げ失敗原因調査状況」を発表

2023-10-04 17:59:40 | ロケット

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、9月25日、「H3ロケット試験機1号機打上げ失敗原因調査状況」を次の通り発表した。

1.背後要因分析

 前回整理した残るシナリオ3つに対して、それぞれ背後要因を分析した。

  ① エキサイタ内部で軽微な短絡、SEIG後に完全に短絡

    • H-II以来の実績を重視したことや、製造後の運用段階で状態(設計上狭い部品間の隙間)が変わらないと考えたため、製造/検査や設計に対する対策を行うことがなかった。

  ② エキサイタへの通電で過電流状態が発生

    • 基本的な設計および製造工程がH-II以前に確立され、運用し続けている電気系機器をH3に適用する際に、部品適合性評価に不足が無いかの確認がなかった。

  ③ PSC2 A系内部での過電流、その後B系への伝搬

    • システム異常時の挙動において起こり得る事象に対し、下流機器を保護する目的で設置している部品(安全装置)が耐性を有するかの確認が完全でなかった

2.対策の方向性

 背後要因分析に基づく対策の方向性として、その視点を抽出した。これに基づきロケット開発への対策を講じる。

3.信頼性向上

 原因究明活動を通じて、以下のH3ロケットの信頼性向上に資する改善点を抽出しており、上記活動と併せて取り組む。これに加え、ロケット電気系開発の強化を図る。

  ・計測データの充実化 ・冗長切り替えロジック改善

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●宇宙探査●小型月着陸実証機(SLIM)、月遷移フェーズへの移行を完了

2023-10-03 17:58:06 | 月面探査

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2023年9月7日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット47号機で打ち上げられた、小型月着陸実証機(SLIM)の地球周回フェーズを終了し、2023年10月1日午前2時40分(日本標準時)に、月へ向かうための軌道変更を行い、月遷移フェーズへの移行を完了した、と発表した。

  現在、探査機の状態は正常。

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