第56次日本南極地域観測隊は、九州大学と福岡大学の共同開発による無人観測航空機Phoenix-S(フェニックス エス)1号機を用いた高度22kmのエアロゾルサンプルの回収、および、高度23kmのエアロゾル濃度測定に成功した。
観測高度は、無人航空機、有人航空機のいずれとしても前例のない高い高度であった。
同機は、2015年1月24日夕方(昭和基地時間、以下同様)、昭和基地東方約20kmの南極大陸氷床上のS17地点からゴム気球に懸吊して放球され、エアロゾルの濃度観測およびサンプリングを行いながら上昇し、高度23kmまで観測を行った。
その後はパラシュートで降下し、高度12kmで気球・パラシュートを分離、自律滑空飛行によりエアロゾルサンプルと共にS17地点へ戻つた。
同成果により、無人観測航空機による観測は、通常行われている自由気球を使った方法よりも安価であり、かつ、自由気球と同様の実用的な観測高度到達能力を持ち、さらに、自由気球では困難な観測機器およびサンプルの回収が容易にできることが示された。