●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●国立天文台、太陽観測衛星「ひので」のデータから太陽観測史上最大となる磁場強度を持つ黒点を発見

2018-02-12 20:09:04 | 太陽

 国立天文台の岡本丈典 特任助教と桜井隆 名誉教授は、太陽観測衛星「ひので」の可視光望遠鏡による観測データから、太陽観測史上最大となる6250ガウス(625ミリテスラ)の磁場強度を持つ黒点を発見した。

 これは一般的な黒点磁場の2倍の強さであり、さらには強磁場を示す領域が黒点内の暗くない部分(暗部以外)に位置するという特異な性質を持っている。

 これまでにも暗部以外で局所的に強い磁場が観測されることは時々あったが、その成因については全くの謎であった。

 今回、「ひので」の5日間に渡る安定した連続観測により黒点の発展過程が詳細に捉えられ、その結果、この強磁場は黒点暗部から伸びるガスの流れが別の暗部を強く圧縮することで生じていると結論付けた。

 この成果は、高い解像能力で長時間安定して磁場測定を行うことのできる「ひので」でなければ成し得ないもの。

 今後、黒点形成・進化メカニズムや、それに伴うフレアなどの活動現象を理解する上で新たな視点をもたらすと期待される。

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●宇宙探査●JAXA、太陽X線超高感度観測で「見えない」ナノフレア発見

2017-10-13 18:06:59 | 太陽

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の石川真之介研究員率いる国際共同研究グループは、硬X線観測装置を搭載した太陽X線観測ロケット FOXSI(Focusing Optics X-ray Solar Imager)と太陽観測衛星「ひので」の観測データから、一見、太陽フレアが起きていないように見える領域でもナノフレア(微少なフレア現象)の発生していることを示すことに成功した。

 ナノフレアが頻繁に発生することによって、数百万度のコロナが保たれるとする仮説は、「コロナ加熱問題」を解決する有力な説の一つとなっている。

 今回の結果は、コロナ加熱を説明する理論モデルに大きな制限を与えることになる。

 石川真之介(JAXA宇宙科学研究所)率いる国際共同研究グループは、2014年12月に米国ホワイトサンズより、硬X線観測装置を搭載した太陽X線観測ロケットFOXSIを打ち上げた。そして、およそ6分間の観測時間に太陽の複数の領域を観測することに成功した。
  
 FOXSI は超高温プラズマからの微弱なX線をこれまでにない高い感度で観測できる。FOXSIに搭載されたX線望遠鏡は米国のチームにより開発され、低ノイズ・高分解能の半導体X線イメージング検出器は日本のチームが開発した。

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●宇宙探査●国立天文台、太陽の黒点形成時に発生する爆発・ジェット現象の仕組みを解明

2015-10-08 19:48:51 | 太陽

 国立天文台の鳥海森特任助教を中心とする国際研究チームは、太陽の黒点形成時に現れる、明るく細長い構造(ライトブリッジ)とその周辺の直交する磁場構造が、爆発現象やジェット噴出を引き起こしていることを明らかにした。

 これは、日本の太陽観測衛星「ひので」とアメリカの太陽観測衛星「IRIS(アイリス)」「SDO」を用いて太陽黒点の共同観測を行うと同時に、スーパーコンピューターによる詳細なシミュレーションを組み合わせて得たもの。

 これにより、太陽内部における磁場の発達、太陽表面における黒点の形成、太陽上空における活動現象(爆発やジェットなど)の密接な関わりを、観測とシミュレーションの両面から初めて3次元的に解明することに成功した。

 

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●宇宙探査●日米の太陽観測衛星、太陽コロナ加熱メカニズムの証拠捉える

2015-08-26 13:49:33 | 太陽

 日本の太陽観測衛星「ひので」と米国の太陽観測衛星「IRIS(アイリス)」による共同観測、さらに国立天文台が有するスーパーコンピュータ「アテルイ」による数値シミュレーションを組み合わせた研究から、太陽の波のエネルギーが熱エネルギーへと変換される過程を捉えることに初めて成功した。

 太陽表面の上空には、表面の数百倍の温度を持つプラズマが存在しているが、熱源の表面から遠く離れた場所で温度が高くなっているこの不思議な現象は、「コロナ加熱問題」として、現在も未解決のままとなっている。

 今回の観測結果は、コロナ加熱問題を解決する糸口となるものと期待される。

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●宇宙探査●JAXAと東大、金星探査機「あかつき」のデータから太陽風加速現象を解明

2014-12-19 19:48:19 | 太陽

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所と東京大学の研究者らは、金星探査機「あかつき」を用いた電波観測などによって、太陽の近くから太陽半径の約20倍離れた場所までの太陽風を調べ、太陽半径の5倍程度離れた距離から、太陽風が急激に速度を増していることを確認した。

 太陽から離れた場所での太陽風の加速には、太陽風の中を伝わる波をエネルギー源とする加熱が関わっていることも明らかになった。

 同研究は、「あかつき」が金星をめざす途中で金星観測のために搭載した機器を利用して得られた成果であり、長年謎に包まれていた「コロナ加熱問題」を解く、鍵を与えるもの。

 


 

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●宇宙探査●太陽フレア現象、極大期のピーク到来

2013-05-17 11:11:53 | 太陽
 情報通信研究機構(NICT)は、日本時間2013年5月13日から5月15日までの2日間に合計4回の大型(Xクラス)太陽フレア現象の発生を確認したと発表した。

 この現象の最大X線強度は、通常の100倍以上に及ぶ大型のもの。また、この現象に伴い、ほぼ同時刻にデリンジャー現象の発生が観測された。

 現在、この現象を引き起こした非常に活発な黒点群は、太陽面東端にあり、今後1週間ほどで地球の正面方向を向き、その後、ほぼ1週間で太陽面西端に移動するものと予想される。

 この間に、今回と同規模のXクラスの太陽フレアが発生した場合、地球周辺の宇宙環境や電離圏、地磁気が乱れる可能性があり、通信衛星・放送衛星などの人工衛星の障害やGPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や急激な地磁気変動に伴う送電線への影響などが生じる恐れがあり、注意が必要。

 今回と同規模のXクラスの太陽フレアは、昨年1年間で7回起きたが、それに対し、今回は2日間で4回もの太陽フレアが発生した。この現象は、2008年1月頃に始まった第24太陽活動サイクルでは初めてのこと。

 今回確認されたフレア現象に伴い、ほぼ同時刻に、稚内、東京、沖縄上空の電離圏において、漁業無線や航空無線などの短波通信の障害となる“デリンジャー現象”が発生したことがNICTによって観測された。なお、今回のフレア現象により噴出された高温のガスは、地球方向から外れており、今後の影響はないと考えている。

 今回の現象は、現在、太陽面東端にある黒点群1748で発生しているもので、今後この領域は地球に対面する方向に移動する。黒点が地球に対面した形でフレア現象が生じると、高温のガスが地球に向けて放出されるため、影響が大きくなる。

 今回発生した太陽フレアと同規模の現象が、今後2週間以内に再度発生した場合には、人工衛星の障害や高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や送電線への影響が発生する可能性があり、注意が必要。

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