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●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●東京大学、土星衛星エンセラダスの岩石成分が隕石似であることを室内実験で示す

2015-10-28 10:23:26 | 宇宙

 東京大学大学院理学系研究科の関根康人准教授らの研究グループは、土星の衛星エンセラダスの海水中に含まれるナノシリカ粒子が熱水活動で生成するためには、岩石成分が地球のマントルのような組成ではなく、隕石に近い必要があることを室内実験によって示した。

 エンセラダスの岩石が隕石に近いことは、この衛星では形成初期も含めて岩石が一度も溶融していないことを示す。

 土星の衛星エンセラダスは、内部に地下海や熱水環境が現存する天体として注目を集めているが、その熱水環境の具体的な姿はこれまで明らかではなかった。

 今回の成果は、エンセラダスに地球と異なる独自の熱水環境が存在することを明らかにし、生命の食料となりうるガス種を初めて具体的な形で示したもの。


●宇宙探査●JAXA、X線天文衛星「すざく」の観測で約1000万光年スケールで宇宙の元素組成均一

2015-10-21 15:17:16 | 宇宙

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究チームは、X線天文衛星「すざく」による、おとめ座銀河団の広域観測から、銀河団の内側から外縁部にわたって元素組成が一定であり、それは太陽系周辺の組成とほぼ同じであることを明らかにした。

 同研究チームは、現在の宇宙の平均的な元素組成を明らかにするために、銀河団の高温ガスの元素組成を調べた。宇宙に存在する普通の物質のほとんどの元素は、非常に熱いガスの状態にあり、それは数百以上の銀河が集まった銀河団に付随しているからである。

 この熱いガスはX線で明るく輝いている。つまり、宇宙の平均的な元素組成を知るためには、X線で銀河団のガスを観測すればよいということになる。

 今回の調査で、宇宙の元素組成は、どのスケールでも、どの場所を見てもほぼ同じということが判明した。さらに、宇宙がどのようにして現在の姿になったのかを理解する手がかりを与えてくれる結果でもある。


●宇宙探査●Kavli IPMU、アルマ望遠鏡などにより遠方銀河の活発な星形成を予測

2015-10-19 14:47:31 | 宇宙

 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)のジョン・シルバーマン特任助教らの研究グループは、南米チリのアタカマ高原にあるアルマ望遠鏡 (ALMA) やフランスのビュール高原にあるビュール高原電波干渉計 (PdBI) といった電波望遠鏡を用い、遠くの宇宙にある7つのスターバースト銀河の観測を行った。

 この観測結果の解析から、今回観測した遠方のスターバースト銀河では、一酸化炭素分子ガスの量はすでに減少していたものの、高い星形成率を保っており、期待されるほど早いガス量の減少はないが、近くのスターバーストと似た状況を示していることが分かった。

 この結果から、昔の宇宙でも現在と同じような環境下で爆発的な星の形成が起きていた可能性が示された。


●宇宙探査●すばる望遠鏡により大質量銀河の形成と進化の過程が明らかに

2015-09-27 14:25:18 | 宇宙

  チューリッヒ工科大学の研究者を中心とした研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された多天体近赤外撮像分光装置(MOIRCS)を使い、ビッグバンから40億年後の宇宙に存在している、既に星形成活動を終えた銀河を観測した結果、大質量楕円銀河がビッグバンの40億年後の状態から、さらなる星形成活動が生じることなく、現在に至ったことを明らかにした。

 同研究チームは、一度に多数の天体のスペクトルを取得できるMOIRCSの強みを活かして24個の銀河について効率的にデータを取得し、それらをすべて足しあわせることで200時間の観測時間に相当するスペクトルを合成した。

 その結果、観測した銀河の年齢が10億年であり、また金属量が太陽に比べて1.7倍、アルファ元素(酸素、ネオン、マグネシウム、ケイ素、硫黄、カルシウム、チタンなど)と呼ばれる星形成の継続期間の指標となる元素と鉄の比が太陽に比べて2倍程度であることが、この合成スペクトルの分析から分かった。

 このような遠方銀河において、恒星のアルファ元素と鉄の比を求めたのは初めてのこと。これによって、銀河が星形成をおこなった期間が10億年より短かったことが分かった。

 


●宇宙探査●アストロセンターなど、生命がいなくても酸素を保持する地球型惑星の存在を示唆

2015-09-14 18:06:50 | 宇宙

 アストロバイオロジーセンターの成田憲保特任助教(国立天文台併任)と分子科学研究所の正岡重行准教授らの共同研究グループは、 生命が必ずしもいなくても、酸素を豊富に保持する地球型惑星が存在しうることを理論的に明らかにした。

 同研究チームは、太陽系の地球型惑星や衛星などにも豊富に存在している酸化チタンの光触媒反応によって、非生物的に酸素が発生することに着目した。

 その上で、地球に類似した環境の惑星を仮定した場合に、惑星表層の0.05%程度(地球でいえば北海道の面積以下)で酸化チタンの光触媒反応が継続すると、現在の地球と同程度の酸素大気が発生・維持されることが推定できた。

 つまり、 光合成を行う生物が存在しなくても、太陽系外の生命居住可能惑星に地球と同程度の酸素大気が発生してしまう可能性が十分にあることを明らかにしたもの。


●宇宙探査●大阪大学、超新星爆発のとき原子はどう動くのかを世界で初めて実現

2015-09-10 14:15:06 | 宇宙

 大阪大学未来戦略機構第八部門(光量子科学研究部門)のアナトリーファエノフ教授らの研究グループは、日本原子力研究開発機構(原子力機構)のハイパワーレーザー装置「J-KAREN」を使った研究で、高輝度X線により、超新星爆発など自然界に近い極限状態の原子の世界を初めて明らかにすることに成功した。

 これまでにも米国の超大型のX線自由電子レーザー(XFEL)を用いて、X線で極限的な物質状態を作る研究が行われてきたが、自然に近い強力なX線での極限状態を実現するには至っていなかった。

 同研究成果は、宇宙で起こっている極限状態を理解する手掛かりとなり、さらに、より強いレーザー光を用いることでX線の発生効率を爆発的に上げることが可能となり、新たな産業応用への展開も期待できる。


●宇宙探査●愛媛大学など、すばる望遠鏡で塵に覆われた銀河を新たに48個発見

2015-09-02 13:54:50 | 宇宙

  愛媛大学、プリンストン大学、国立天文台などの研究者からなる国際研究チームは、従来は観測が困難だった塵に覆われた銀河(Dust Obscured Galaxy、DOG)の探査を行い、塵に覆われた銀河を新たに48個発見し、それらの統計的性質を世界で初めて明らかにした。

 これは、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)で得られた観測データを用いて行われたもの。

 今回の成果は、銀河と巨大ブラックホールの進化を知る上で大きな手がかりを与えてくれるものと思われる。


●宇宙探査●国立天文台など、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラで渦巻銀河「M81」観測 

2015-08-05 11:23:43 | 宇宙

 上海天文台、国立天文台などの研究者からなる国際研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)」を使い、地球から1200万光年の距離にある渦巻銀河「M81」の周囲の広域観測を行った結果、M81の周りで若い星の集団が、中性水素ガスの分布と重なるように広い範囲に分布していることを発見した。

 M81は隣のスターバースト銀河M82、楕円銀河NGC 3077と強い重力相互作用をしており、その潮汐効果でM81から引き離されたガスの中で生まれた星々が、M81の周りを漂っているのだと考えられる。


●宇宙探査●山口大など、電波ジェットのふらつきを世界で初めて観測 

2015-07-29 18:09:01 | 宇宙

 山口大学大学院理工学研究科の新沼浩太郎准教授、韓国天文宇宙科学研究院の紀基樹特任上席研究員らで構成される研究チームは、これまで不動と思われていた電波ジェットの根元の位置が、ジェット噴流の軸に沿って大きく“ふらつく”新しい現象を発見した。

 活動銀河の中心に潜む超巨大ブラックホール近傍から噴出する電波ジェットは長年観測されているが、根元の“ふらつき現象”を直接検出したのは世界で初めて。

 これは地球から約133メガパーセク(4.3億光年)の位置にある活動銀河マルカリアン421の中心核付近で起こったX線大爆発現象の直後から約7カ月間にわたって、超長基線電波干渉計(VLBI)である国立天文台のVERA電波望遠鏡を用いて高空間解像度かつ高頻度の観測を行って得られた成果。


●宇宙探査●すばる望遠鏡に取りつけた超広視野主焦点カメラ、ダークマターの分布明らかに 

2015-07-04 11:25:35 | 宇宙

 国立天文台、東京大学などカブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の研究者を含む研究チームは、ハワイのすばる望遠鏡に新しく搭載された超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (ハイパー・シュプリーム・カム=HSC) を用いて、2.3平方度にわたる天域におけるダークマターの分布を明らかにし、銀河団規模のダークマターの集中が、この天域に9つ存在することを突き止めた。同研究成果はHSCで得られた最初の科学的成果。

 HSCは8億7000万画素を持ち満月9個分の広さの天域を一度に撮影できる世界最高性能の超広視野カメラ。今回の研究成果に関する論文の第一著者である国立天文台の宮崎聡准教授を中心とするチームが2002年からHSCの検討を開始し、Kavli IPMUは2007年より開発に参加してきた。

 国立天文台やKavli IPMU、米国のプリンストン大学等が共同で開発を行い、2012年にすばる望遠鏡に搭載され、性能試験観測を経て2014年3月から共同利用観測が開始された。

 研究チームはHSCを用いて最終的に観測天域を1000平方度以上に広げ、ダークマターの分布とその時間変化から宇宙膨張の歴史を精密に計測する、という課題に取り組むことにしている。