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●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●小惑星「リュウグウ」表面の地名が国際天文学連合から承認

2019-01-26 15:14:29 | 宇宙

 小惑星「リュウグウ」表面の地名が、IAU(国際天文学連合)のDivision F(Planetary System and Bioastronomy)のWorking Group for Planetary System Nomenclature(IAU WG)で審議され、2018年12月に承認された。

 2018年6月のアプローチフェーズ以降、リュウグウの姿が徐々に明らかになるにつれ、「はやぶさ2」プロジェクトチーム内では特徴的な地形にニックネームをつけて運用を進めていた(例えば、現在のウラシマクレーターはスターウォーズに登場する星にちなんで「デススタークレーター」と呼ばれていた)。

 しかし、リュウグウを世界に紹介するためにはニックネームではなく、正式名称を付けなければならない。さらに、論文などで取り上げるためにも国際的に認められる名前を付ける必要がある。

 太陽系天体上の地名の命名には、まず、テーマを決める必要がある。例えば、金星(Venus)では「女神の名前」がテーマとなっている。海外メンバーを含むプロジェクト内での議論で、リュウグウの地名のテーマとして「世界のお城の名前」、「各国語での竜(ドラゴン)の名称」、「深海の生物の名称」などが提案された。熱い議論の末、命名テーマは「子供たち向けの物語に出てくる名称」とすることとし、テーマについて先行してIAU WGに提案を行った。この提案が2018年9月25日に認められ、命名すべき地形の選定とその命名について議論を行った。

 その結果、「リュウジン」(乙姫の父である龍神から)、 ウラシマ(亀を助けた漁師)、サンドリヨン(シンデレラのフランス語)など 13か所の地名を選び、このほど国際天文学連合から承認された。


●宇宙探査●徳島県の岩本雅之さん、新彗星発見

2018-12-23 22:49:50 | 宇宙

 徳島県の岩本雅之さんは、2018年12月19日(日本時)の明け方、南東の空に新天体を発見し、国立天文台の新天体通報窓口に報告したが、日本の天体愛好家を含めた確認観測により、この天体は新彗星であることがわった。

 発見報を取りまとめている国際天文学連合小惑星センターは、この新彗星を岩本彗星(C/2018 Y1 (Iwamoto))として公表した。

 軌道はまだ不確かだが、2019年2月上旬には地球にかなり接近し、一晩中観測可能な位置で6等級前後の明るさになると予報されている。

 なお、岩本さんは、11月の彗星独立発見に続いての発見。


●宇宙探査●赤外線天文衛星「あかり」、小惑星に水を発見

2018-12-19 13:32:08 | 宇宙

 神戸大学大学院理学研究科惑星科学研究センターの臼井文彦特命助教、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の長谷川直主任研究開発員、大坪貴文宇宙航空プロジェクト研究員、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻の尾中敬名誉教授らの研究グループは、赤外線天文衛星「あかり」を用いて、近赤外線で小惑星の観測を行い、地上の天文台からは観測できない波長2.7マイクロメートル付近にある含水鉱物の存在を示す特徴を、数多くの小惑星について世界で初めて捉えることに成功した。

 また、得られたデータの詳しい解析から、リュウグウと同じC型小惑星の進化の過程を明らかにした。

 同研究では「あかり」を用いて、2008年5月から2010年2月にかけて小惑星66天体について分光観測を行い、小惑星表面で反射した太陽光の近赤外線スペクトル(近赤外線反射スペクトル)を得た。

 波長方向に途切れることなく連続的にスペクトルを捉えることで、波長2.7マイクロメートル付近の特徴を明らかにしたのは同研究が世界で初めて。この波長は岩石中の水の成分に対応しているため、小惑星の水の存在を直接的に確かめることができる。
  
 詳細な解析の結果、C型小惑星17天体について、波長2.7マイクロメートル付近に、含水鉱物に起因する顕著な吸収の特徴を発見した。

 同研究によって、太陽系の水の分布や小惑星の起源と進化だけでなく、地球の水や生命の起源への理解も進むと期待される。
  


●宇宙探査●超巨大ブラックホールが放つニュートリノと電磁波を同時観測

2018-07-20 06:56:08 | 宇宙

 2017年9月22日(世界時)、南極点のアムンゼン・スコット基地に置かれたニュートリノ観測実験「アイスキューブ」(IceCube)によって、宇宙から飛来する超高エネルギーニュートリノが捉えられた。

 このシステムによって、ニュートリノの放射源の方角が1度角ほどの精度で求められた。

 一方、すばる望遠鏡も参画する大学間連合による電磁波対応天体追跡チームも、ニュートリノ放射源の方角を観測した。しかし、位置の誤差範囲は広く、含まれる天体は数知れない。そこでチームは、ニュートリノを発生させると推定されていた、銀河中心の超巨大ブラックホールへ物質が流入して輝く「ブレーザー」に注目し、領域内のブレーザーの変動を探した。

 その結果、「TXS 0506+056」と名付けられていたブレーザーが、2日間の観測で、通常よりも3倍以上明るく、また大きく変動していることを見つけた。

 同じ時期に、高エネルギー電磁波であるガンマ線領域でも、この天体が通常よりもずっと明るく輝いていたことがわかった。ニュートリノ検出と、このような電磁波での変動が、偶然に同じ方向で観測される確率はとても低く、これらは同じ天体が発したものと考えられる。

 これは、昨年、中性子星の合体で生じた重力波とそこからの電磁波を観測した例に続き、天体を多面的な観測によって理解するマルチメッセンジャー天文学を大きく進展させる成果。


●宇宙探査●国立天文台、水沢キャンパス(岩手県)で天文学専用スパコン「アテルイII」稼働

2018-06-07 14:13:55 | 宇宙

 国立天文台 天文シミュレーションプロジェクトは、天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイ」に替わる新たな大規模数値計算専用計算機として、Cray XC50システムを導入し、2018年6月1日より国立天文台 水沢キャンパス(岩手県奥州市水沢)において、その本格運用を開始した。

 新しいスーパーコンピュータシステムは、2013年の「アテルイ」導入時の約6倍、2014年のアップグレード以降から3倍の理論演算性能である3.087 Pflops(ペタフロップス)(フロップスは計算速度の単位。1ペタフロップスは1千兆回の演算)に向上した。

 この性能によって、「アテルイ」ではできなかったシミュレーションを行い、「理論天文学の望遠鏡」として新しい宇宙の姿を描き出すことが期待される。

 この新システムの愛称は、前システムを引き継ぎ「アテルイII(ツー)」と名付けられた。


●宇宙探査●米ミネソタ大学の国際共同研究チーム、これまでで最も遠方の単独の星を観測

2018-04-06 10:56:38 | 宇宙

 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 准科学研究員で東京大学理学系研究科助教の大栗真宗氏などが参加する、ミネソタ大学の Patrick Kelly 氏をリーダーとする国際共同研究チームは、重力レンズと呼ばれる増光現象を利用することで、90億光年離れた単独の星を観測することに成功した。

 この「イカロス」と名付けられた星の発見は、単独の星の観測の最遠方記録を大幅に更新したのみならず、宇宙の質量の大半を担うダークマターの正体に関しても新たな手がかりを与える。

 重力レンズとは一般相対論により予言される、重力場による光の経路の曲がりで、これにより遠方の天体からの光を集光し増幅させることができる。この集光現象をうまく利用することで遠方の銀河内にある単独の星を観測することも原理的には可能であるが、そのような現象はこれまで発見されていなかった。
 
 同研究チームの解析によると、イカロスは最大で元の明るさの2000倍以上に増光されたと見積もられている。重力レンズによる増光がなければこの星は単独ではハッブル宇宙望遠鏡のような高感度な望遠鏡でも到底観測することはできないが、2000倍以上の非常に大きな重力レンズ増光によって観測が可能になった。

 これまでの単独の星の観測は1億光年より近いごく近傍の銀河の星に限られていたが、今回の90億光年離れた銀河の星の観測によって単独の星の観測の最遠方記録を大幅に更新したことになる。
 


●宇宙探査●国立天文台など、すばる望遠鏡のHSCを使い「原始銀河団」を200個近く発見 

2018-04-04 14:33:22 | 宇宙

 国立天文台、東京大学、総合研究大学院大学などの研究者と大学院生からなる研究グループは、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)を用いた観測で、約120億光年かなたの宇宙に、銀河団の祖先「原始銀河団」を200個近く発見した。

 これは従来の10倍もの発見数。これらの原始銀河団の質量を測定した結果は、その後成長して現在の銀河団になるという仮説とうまく一致する。

 さらに、これらの原始銀河団領域中にはクェーサーがほとんど存在しないことから、銀河同士の合体がクェーサー活動を引き起こすという従来の仮説に大きな疑問を呈する結果も得られた。

 今回、HSCによって得られた大規模なサンプルを用いることで、遠方宇宙においても原始銀河団の特徴を初めて統計的に明らかにすることができた。


●宇宙探査●国立天文台の4D2U映像、「ルミエール・アワード2018 」最優秀VR科学体験賞を受賞

2018-03-23 23:35:24 | 宇宙

 2017年6月、国立天文台4次元デジタル宇宙(4D2U)プロジェクトが制作したVR映像「天の川銀河紀行」(シミュレーション:馬場淳一、可視化:中山弘敬)が、先進映像協会米国本部が実施するルミエール・アワード2018において、最優秀VR科学体験賞を受賞した。

 この映像は、大規模シミュレーションによって作り出された現実に近い天の川銀河を仮想空間に描き出すことによって、普段私たちが得られない視点から天の川を眺める体験ができるもの。

 ルミエール・アワードは、先進映像協会米国本部が主催する国際的な表彰活動で、2017年に制作・公開された、立体視映像、高精細映像、VR映像などの先進技術を用いた映像のうち、優れた作品に対して与えられる。日本からは昨年11月に発表されたルミエール・ジャパン・アワード受賞作品の中から同賞に出品され、4D2Uプロジェクトが制作した「天の川銀河紀行」が最優秀VR科学体験賞を受賞することになった。


●宇宙探査●国立天文台、東京大学など、かつてない広さと解像度のダークマター地図を作成

2018-03-06 19:30:13 | 宇宙

 国立天文台、東京大学などの研究チームは、すばる望遠鏡搭載の超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)を用いた大規模探査観測データから、重力レンズ効果の解析に基づく史上最高の広さと解像度を持つダークマターの「地図」を作成した。

 この「地図」からダークマターの塊の数を調べたところ、最も単純な加速膨張宇宙モデルでは説明できない可能性があることがわかった。
 
 これは、加速膨張宇宙の謎を解き明かす上で新たな知見をもたらす成果。


●宇宙探査●日本とカナダの国際共同観測グループ、宇宙からの電磁波で高速明滅する陽子オーロラを発見

2018-02-14 13:20:14 | 宇宙

 金沢大学、名古屋大学、国立極地研究所、カナダ・アサバスカ大学、京都大学、米国・カリフォルニア大学、宇宙航空研究開発機構、情報通信研究機構、カナダ・天然資源省らの国際共同研究グループは、カナダで観測された明滅する陽子オーロラが、宇宙で発生する電磁波として知られる電磁イオンサイクロトロン波動の最も速い電力変化(1秒程度)と同じ周期で高速に明滅していることを世界で初めて発見した。

 オーロラを発生させる目に見えない高エネルギー電子や陽子は、人工衛星の故障や宇宙飛行士の被ばくなどの障害を引き起こすことが知られている。このため、オーロラの時間変動は、地球周辺の宇宙における高エネルギー電子や陽子の変動を地上から知る手掛かりとなる。

 今回、同研究グループは、通常のCCDカメラよりも高速・超高感度を有するEM-CCDカメラとStockwell変換と呼ばれる信号解析法を併用することで、暗い陽子オーロラの詳細を調べることに成功した。

 特に、今回、発見した陽子オーロラを観測することによって、その明滅から人工衛星の電子機器を故障させる危険性の高い放射線帯電子を可視化できる可能性が示唆されている。

 このため、今後の安心安全な人工衛星サービスを実現する上で、地球周辺の放射線と宇宙の電磁波との関係を知る重要な手掛かりとなることが期待される。

 また、2016年12月に打ち上げられ、地球周辺の放射線の様相を調べている科学衛星「あらせ」と同研究グループである科学研究費・新学術領域研究(15H05815)および特別推進研究(16H06286)によるオーロラ・電磁波観測ネットワークPWINGの共同観測により、その詳細が今後明らかになることが期待される。