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●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●東工大と名大、火星誕生後4億年で水の半分が失われたと発表 

2014-04-17 15:46:25 | 火星

 東京工業大学と名古屋大学は、火星誕生から約4億年の間に、火星表層の初期水量の50%以上が大気を通じて宇宙空間へ流出し、また残りの水の大部分は火星の気候変動により氷となって、現在でも火星の地下に存在する可能性があると発表した。

 水が水素・酸素原子に解離し大気を通じて宇宙空間へ流出することで失われたと仮定した場合、重水素(D)と比較して軽い水素(H)が選択的に流出するため、火星に残存する水の水素同位体比の変化としてその履歴が残る。

 測定された火星隕石中の水の水素同位体比から、火星の水の水素同位体比の時間変化が読み取られ、さらに水の宇宙空間への流出に伴う水素同位体比の変化の理論計算が行われ、火星表層の水量の時間変化が明らかにされた。


●宇宙探査●NASAの火星テラフォーミングを100年で実現させる計画は本物か?

2014-02-14 22:29:48 | 火星

 2月13日の「コズミック フロント」(NHK-BSプレミアム夜10時~11時)で「火星改造! テラフォーミング最前線」が放送され、現在NASA(米航空宇宙局)推進している、火星をわずか100年で人類が住める環境にするテラフォーミング計画の概要が明らかにされた。

 NASAは、2030年代に有人宇宙飛行で人類を火星に送り込む計画を推進しているが、同時に、火星を、現在の不毛の大地から地球のような生命溢れる星につくり変えようという構想、つまり、“火星のテラフォーミング計画”にも取り組んでいるのだ。

 テラフォーミング研究を30年以上続けるNASAのクリス・マッケイ博士は「わずか100年ほどで火星のテラフォーミング示現できる構想」を提案しているというから驚きだ。

 その構想とは・・・まず、火星を温めるため、温室効果ガスとして、人間に無害なC3F8ガスを火星に送り込み、火星の温度を上昇させる。15年ほどで火星の温度は5度の上昇が期待できるという。

 火星の温度が上昇すると、火星の表面の氷が徐々に融け出し、水を得ることができる。

 人間の食糧はどうするか。そのキーとなるのが合成生物学である。合成生物学の技術により、火星の厳しい自然環境でも生き延びることのできる紫外線に強い微生物を人工的につくり出し、火星に送る。この微生物は、自ら糖をつくり人間の食糧源となる。

 さらに、火星の土壌からは煉瓦や鉄をつくり出し、それらを建設財として建設物をつくる。

 火星のテラフォーミング開始から、40年ほどで火星の温度は、25度上昇しマイナス30度ほどになる。この時期に、低温でも育つ高山植物を火星に植え、光合成により酸素を発生させる。植物の繁殖により、火星の地表は地球と同じように緑に覆われる。

 2035年から火星のテラフォーミングをスタートさせて、100年後の2135年には、火星の温度はマイナス5度ほどになり、人類が住める環境となる・・・というのがそのストーリーである。

 ただ、このストーリーにはいくつかの疑問が生じる。まず、最初に火星に送り込まれる要員の地球への帰還の方法はあるのか、という疑問だ。因みに今民間で計画されている火星移住計画では、地球への帰還の切符は用意されていない。仮に本人の同意を得たとしても、片道切符で、過酷な環境の火星で一生を終えるとなると、果たして人道上許される行為であろうかという疑問。

 それに、温室効果ガスにより、40年ほどで火星の温度は、25度上昇しマイナス30度ほどになるとあるが、この40年間、火星上の要員の水と食糧、酸素それに居住スペースは保証されるのかという疑問。

 そして、最大の疑問は、火星のテラフォーミングに要する費用である。番組中ではこれについて一切言及がなかった。各国が協力してISS(国際宇宙ステーション)を実現させるのが、今のところ精いっぱいではないのではなかろうか。火星のテラフォーミングには、ISSの何十倍、何百倍の費用がかかるのではないか。そうなると例え技術的には実現可能でも、絵に描いた餅になりかねない。

 怒られるので、大きな声では言えないが、以上の疑問点を考えると、NASAの火星のテラフォーミング計画は、テラフォーミング研究者たちが研究費の継続のために打ち上げたアドバルーンとも考えられなくもないのでは・・・。

 なお、「コズミック フロント」の「火星改造! テラフォーミング最前線」は、2月17日(月)夜23:45~24:44に再放送されるので、見なかった方は、是非ご覧になることをお勧めする。

(勝 未来)


●宇宙探査●実現が待たれる日本独自の火星探査計画「MELOS」と火星生命探査計画「JAMP」

2013-10-25 10:19:43 | 火星

 現在、JAXA(宇宙航空研究開発機構)を中心に、2020年代前半の打ち上げを目指し、火星面に着陸して科学調査を行う火星探査計画「MELOS(ミーロス= Mars Exploration with Lander-Orbiter Synergy)」が取り組まれている。

 この「MELOS」計画を利用して、東京薬科大など国内の大学や研究機関から約20人以上の研究者らが参加し、火星で生物を探す日本初の宇宙生命探査計画「JAMP(ジャンプ)」の検討も現在同時に進められている。

 2013年9月に、NASA(米航空宇宙局)は、火星探査車「キュリオシティー」が、火星の表面で採取した土から、水分を検出したと発表した。水分のほか二酸化硫黄や二酸化炭素も検出され、水分は重さにして約2%相当だったという。

 現在、NASAの火星探査車「キュリオシティー」だけが、火星での科学調査を遂行している中で、日本独自の計画として打ち出されたのが、火星探査計画「MELOS」と宇宙生命探査計画「JAMP」である。「JAMP」では、火星の赤道付近のメタンが豊富な土を採取し、顕微鏡で生物の有無を確かめ、宇宙での生命発見「一番乗り」を狙うことにしている。

 一方、 今後の米欧の火星探査においては、火星物質を地球へ持って帰る「火星サンプルリターン(MSR)」を国際協調で実現しようという機運が盛り上がっている。2018年には、試料を集めるためのNASAのローバー「MAX-C」とESAのローバー「ExoMars」が火星へ送られることになっている。これら2台のローバーは一つの大きなカプセルに格納されて、スカイクレーンと呼ばれる機構により火星に着陸する予定だ。

 このように米欧の火星探査計画が実現に向かう中、日本の「MELOS」計画および「JAMP」計画を、今後どう実現させるのか大きな課題となっている。


●宇宙探査●帰りのキップがない人類の「火星移住計画」はどこまで本気なのか?

2013-10-18 09:29:10 | 火星

 米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「キュリオシティー」が火星の表面で採取した土から、水分を検出したことにより、俄かに将来の人類の火星への移住問題についての議論が活発化してきたようだ。

 ただ、今のところ火星への旅は、片道切符であり、例え火星へ辿りついたとしても、地球には戻ることはできない。

 火星表面は赤茶けた砂で覆われている。ところが「キュリオシティー」が表面の砂の下に灰色の土があることを発見したのだ。この土の成分を分析したところ、二酸化硫黄や二酸化炭素が検出され、重さにして約2%の水分が見つかったという。

 もし、人類が火星に降り立ったら、水がなくては命が持たない。今回、火星に水の存在が発見されたことにより、人類の生存の条件の一つがクリアされたことになる。

 ただ、水の問題は、人類の生存の条件の一つに過ぎず、人類の火星移住には難問が山積している。まず、火星に辿り着くまでの間、乗組員は宇宙線を浴び続けるがこれをどう克服するか。また、何とか火星に辿り着くことができても、火星で作業をする余力が乗組員に果たして残されているのか。

 火星は、地球に似て1日24時間、四季もありそうなので、他の惑星よりは人類が暮らし易いのかもしれない。しかし、大気がないので、シェルターの中での生活を強いられる。もっとも現在、「テラフォーミング」と呼ばれる惑星の大気化技術に注目が集まっている。

 テラフォーミングとは、人為的に惑星の環境を変化させ、人類の住める星に改造することを言う。例えば、炭化水素の気体を散布し、メタンなどにより温室効果を発生させたり、火星の軌道上に、巨大なミラーを建造して、太陽光を南極・北極に当て、大気中に二酸化炭素と水蒸気を放出させる、など夢物語のようなことが真面目に検討されている。

 これらのことを考えると、人類の火星移住計画など夢のまた夢と思いがちだが、本気で火星移住計画を推進している団体が存在しているらしい。

 これはオランダのバス・ランスドルプ氏が立ち上げたNPO団体「マーズ・ワン」で、人間を火星に移住させる「火星移住計画」を推進しているという。現在、20万人以上の応募者があるというから驚きだ。これらの応募者の中から24人~40人ほどの最終候補者を選定し、7年間の訓練を経たのち、2022年から2年刻みで4人ずつ火星に送り込む計画だという。

 人類は月に第一歩を記したが、未だに、月での生活は実現できていない。そんな中で、「火星移住計画」が打ち出された。夢を持つのはいいことだが、「まず、月での生活を実現させ、その経験を踏まえて火星移住計画を進めるべきではないのか」とつい言ってもみたくなる。(勝 未来)