
面白そうな本はないかと、『本の雑誌』に目を通しているけれど、だいたい1冊ぐらい良いかなと思うものに出会います。
そんな出会いの、これはというひらめきを感じたのがこの本、
オードリー・ニッフェネガー『きみがぼくを見つけた日』(羽田詩津子訳 ランダムハウス講談社文庫と言うのを本屋さんでさがしたけれど棚にはない。ネットで検索したらこちらは文庫版で解題されたらしい。
ハードカバーの方を中古で注文、実は早く読み始めたかったので、セントラル・パークには急いで到着した次第です。
読み始めてまだ79ページだけれど、もうグッと入り込んでいくのです。
何十年もまえにレイ・ブラッドメリの『たんぽぽのお酒』に出会った感覚が一番ぴったりです。
話はヘンリーとクレアという二人の愛の物語で、ヘンリーがタイムトラベラーをしていろいろな時代のクレアと時をすごすという話らしいのだけれどまだ読み始めだから。でも今の段階で気に入ったからそこを抜き書きしておきます。(一寸長いけどすみません。)
場面は24歳のヘンリーがタイムトラベルして5歳のヘンリーに出会い科学博物館で時を過ごす場面です。
それはオーデュポンの『アメリカの鳥類』の豪華で見事なエレファント・フォリオ版で、幼いぼくの背丈と同じぐらい大きい。この本は現存する中では最高の状態で、かってこれを眺めながら雨の午後をいくたびも過ごしたものだ。最初の絵をひらくと、ヘンリーはにっこりして、ぼくを見る。「ハシグロオオハム」彼は読みあげる。「カモ」に似てるね」
「うん、そうだね。きみのいちばん好きな鳥を当ててみようか」
彼は首を振って、にっこりする。
「何を賭ける?」
彼はTレックスのTシャツを着た自分を見下して、肩をすくめる。その気持ちはぼくにも覚えがある。
「こういうのはどうかな?もしぼくが当てたら、きみはクッキーを食べる。もし当たらなくても、きみはクッキーを食べる」
彼はそれについてじっくり考え、安全な賭けだという結論を下す。ぼくはフラミンゴのページを開く。ヘンリーは笑い声をあげる。
「当たりだろう?」
めちゃくちゃおすすめ。文庫版はみていないけれど、中古でハード・カバーにしてそちらにしたのもとても満足、内容はおなじだろうからどちらでもぜひご一読を。


上巻の途中で長旅にでて、帰りの便はディスプレーなしの飛行機だったので読み続けたら無事読み終わりました。
とてもおすすめだからもう一つ抜き書き
ルースの家から一ブロック離れた場所に駐車する。そこまで音楽が聞こえてくる。トーキング・ヘッズの《ワンス・イン・ア・ライフタイム》だ。本当はクレアと》いっしょに行きたいが賢明とはいえないだろう。彼女は車を飛び下りていう。「ここにいて!」まるでわたしが大きな聞き分けの悪い犬か何かのようだ。ヒールと短いスカートでルースの家の方におぼつかない足取りで駆けていく。わたしは座席にもたれて待つ。