イランがホルムズ海峡封鎖!!
米軍がイランの核関連施設への攻撃に踏み切ったのは、イランとの交渉が難航していたことが背景にある。
トランプ米大統領は4月から協議を通じてウラン濃縮活動の断念を求めてきたが、イランは「権利だ」と主張。
イスラエルによるイラン核施設への空爆後も状況は変わらず、打開策が見つからない中で、イスラエルから軍事介入の要請があった。
トランプ氏はこれまで軍事介入を嫌ってきたが、核施設に限定した空爆であれば米軍に死傷者も出ず、支持層を説得できると判断したのではないか。
自身の強固な支持基盤で、親イスラエルの立場をとるキリスト教右派にも配慮したのだろう。
さまざまな状況が重なって軍事介入への条件が整ったタイミングだった。
トランプ氏は、イランが和平に応じなければ更なる攻撃を加えると表明している。
米国がイランの体制転覆まで狙っているとは思えず、これ以上の攻撃を望んでいるとも考えにくい。
脅迫によってイランに報復を抑制させたいという意図を感じる。
イランも、米国との本格的な衝突は避けたいはずだ。2020年に米国がイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害した際、イランは事前に通告した上でイラク国内の米軍基地を攻撃。
米側に人的被害は出なかった。
今回もイランが同じような戦略をとって事態を収束させる可能性はある。
一方、核開発を続ける意思を示せば、米国の攻撃は続き、紛争が長期化するかもしれない。
イランが海運の要衝であるホルムズ海峡を封鎖する可能性もある。
その場合、世界経済は大打撃を受け、原油価格の急騰は避けられない。
日本を含む国際社会は、米国、イスラエル、イランに強く自制を求めていくしかないだろう。
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イランがホルムズ海峡を封鎖したらどうなるか──原油高騰と戦争だ

イランの革命防衛隊は8月2日、ホルムズ海峡封鎖を想定した軍事演習を行った(写真は1月、オマーン湾での軍事演習)
<11月までにイランの原油輸出をゼロにすることを狙うトランプに、イランはホルムズ海峡封鎖を示唆する。アメリカの攻撃を受けることになるがそれでもやるのか>
イランは、いざとなれば世界の原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖すると警告した。
対イラン制裁を復活し、イランの原油輸出をゼロにすることを狙う米トランプ政権を威嚇したものと見られる。
イラン側に海峡封鎖の準備が整った兆候はまだないが、もしそうなれば、中東情勢や世界のエネルギー価格に破滅的な影響を与える恐れがある。
アメリカの対イラン再制裁の第1弾は、8月7日に発動された。
2015年にイランが欧米など6カ国と結んだ核合意で、イランは核兵器開発を制限する見返りに経済制裁を解除してもらったのだが、ドナルド・トランプ米大統領は5月8日に合意から離脱した。
制裁を再開するためだ。
その第1弾は自動車部品や航空機の取引制限、さらに11月4日に発動予定の第2弾では、イランの重要な輸出品である原油と天然ガスを買わないことにする。
欧州各国や日本も、イラン産原油の購入をゼロにするよう求められている。
アメリカとイランの睨み合いが続く中、イランの精鋭部隊、革命防衛隊が8月2日にホルムズ海峡一帯で大規模な軍事演習を行った、と報じられた。
ホルムズ海峡は世界の海上輸送原油の3割以上が通過する要衝だ。
イランの強硬派は諸手を挙げて海峡封鎖に賛成し、革命防衛隊幹部も実行に意欲を示している。
海峡封鎖は侵略招く
これほどの緊張にも関わらず、イランが世界の原油輸送の生命線であるホルムズ海峡を実際に封鎖するリスクを冒すかどうかは「疑わしい」と、米テキサス州のシンクタンク、ジオポリティカル・フューチャーズの分析責任者であるジェイコブ・シャピロは本誌に語った。万一本当に封鎖すれば「大変なことになる」。
「アメリカによる制裁で原油輸出が不可能になり、これ以上失うものがなくなったイランが、対米強硬姿勢を国内にアピールしようと封鎖に踏み切れば、原油価格は短期的に跳ね上がるだろう」
「だが高騰は一時的だろう。遅かれ早かれ、ホルムズ海峡の封鎖は解除される。その間にアメリカのシェール業者もロシアも原油を増産する。封鎖がもたらす最も重要な結果は皮肉にも、経済が低迷するロシアの懐にキャッシュが転がりこむことかもしれない」
海峡封鎖は「外国勢による侵略」を招く恐れがあるため、イランも継続は不可能だ、とシャピロは指摘する。
米軍はおそらく、クウェート、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦などのスンニ派国家に代わってシーア派のイランに介入する。
そうなれば、イランはアメリカに太刀打ちできない。
それでも、革命防衛軍によるホルムズ海峡での軍事演習は、米国防省の指導部を警戒させるに十分だった。