ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

TIN MEN @ 横浜ジャグ・バンド・フェスティヴァル

2014-04-14 10:41:06 | ニューオーリンズ
4月12日、横浜ジャグ・バンド・フェスティヴァルに行ってまいりました。日本全国からジャグ・バンド(もしくはジャグ・バンドのようなバンド?)が横浜に大挙押し寄せるこのイベント、私のお目当ては、日本在住のミシシッピ・ブールスマンが率いるスティーヴ・ガードナー&フレンズ、そしてニューオーリンズから来日中のトリオ、ティン・メンです。入場フリーの横浜ビブレ前ではこの両者が続けて観れるというタイムテーブルが嬉しかったです。

さて、まずはスティーヴ・ガードナー&フレンズです。実はスティーヴ・ガードナーとティン・メンのウォッシュボード・チャズはバンド仲間でして、この出演順なら共演もあるかな?なんて期待していたのですが、共演どころか、チャズはバンドの主要メンバーとして1曲目から完全参加でした。リゾネーター・ギターを弾き語るスティーヴ・ガードナーを中心に、マンドリンとベースが加わる。しかもこの2人もリゾネーター。そしてウォッシュボードのチャズ、という布陣。3人のリゾネーターに黒人ウォッシュボードマンが並ぶ本格っぷりに場内どよめいてましたね。ま、全然ジャグバンドではありませんけど…。

トラディショナルの「Going Down The Road Feelin' Bad」で始まり、「Someday Baby」など4曲を披露。カントリ・ブルースにウォッシュボードのグルーヴが加わった強力な土っぽさが最高でした。ミシシッピの熱気を孕んだようなスティーヴの歌声にも痺れましたね。彼の日本語混じりのMCもウケてましたし。そして最後にはサプライズが! スティーヴがティン・メンのメンバーを呼び込み、ギターのアレックス・マクマレー、スーザフォンのマット・ペロンが加わっての賑やかなセッション。曲はメンフィス・ジャグ・バンドでも知られる「Bottle It Up And Go」。観客も沸きました!!


続いて我らがティン・メン。たまたま通りかかった人達や、ジャグ・フェス常連客にとってはこのスーザフォンを含むトリオは何者ですか?って感じだったでしょうし、もちろん私のようにこのトリオを観に横浜まで来ました!っていうファンの方達も沢山いらっしゃったと思います。そんな色々な期待が入り交じって1曲目「Hallelujah, I'm A Bum Again」から盛り上がりました。ま、こちらも全然ジャグ・バンドではないですけどね。それでも「Cocaine Habit Blues」(メンフィス・ジャグ・バンド)ではアレックスとチャズがカズーを吹いてジャグ・バンドっぽい雰囲気を醸していました。あとやはりジャグ・バンドと言えばウォッシュボードな訳で、チャズの本物感は際立ってましたね。この曲での彼の飄々としたヴォーカルも特筆物でした。

あとマットのスーザフォンはこのフェスでも異彩を放ってましたよね~。あの低音グルーヴはやはり強力。特に野外で聴くスーザフォンの音色はまた格別。私は数日前に横浜Thumbs Upで彼らのワンマンを観たのですが、その時は流石に長丁場だからかマットは座ってスーザフォンを吹いてました。ですがこの日は野外を意識してか元気に立って吹いてましたからね。そのマットのスーザフォンをフィーチャーしての「Werewolf」も良かった!

そして最後はボブ・ディランの「Mixed Up Confusion」。ラストはツェッペリンのあの曲で締めるかと思いきや、こっちできましたか!こういうアップナンバーでのスーザフォンは腰に来ますね!そしてアレックスのギター捌きも冴え渡る! もちろんチャズも神業の連続で、途中のブレイクも含め、格の違いを見せつけてくれました。それにしてもこの3人が繰り出すグルーヴはホント凄い!!

4曲と短いセットではありましたが、先日の横浜Thumbs Upとのダブリは「Werewolf」1曲だけですし、「Mixed Up Confusion」なんていう隠し球がまだあったのか!という驚きもあったりで。あとやっぱり野外でみると雰囲気違いますしね。スティーヴ・ガードナーのライヴも合わせて大満足なステージでした。無料ですしね!



もちろん、せっかくのフェスですから、他にもいくつかライヴを観ました。ベン&フレンズ、ラグパパ、リトルファッツ&スウィンギン・ホットショット・パーティーなど。特に印象的だったのは本田劇場前のロビーで観たオールド二匹ブラザーズバンド。ウッドベースとギター弾き語りの2人で「Got My Mojo Workin'」とか演ってました。このお二人、私は初めて観たんですけど、かなり格好良かったです。多分ゲリラ的にロビーでライヴをやってたんだと思いますが、上手かったですね~。たまたまそこに居合わせたと思われるティン・メンの3人も楽しそうに観ていました。

ティン・メンはこのあとThumbs Upでも盛り上がったことでしょう。ですがそちらは有料なので、私は遠慮させていただきました。すいません…。




ティン・メン




スティーヴ・ガードナー&フレンズ&ティン・メン



TIN MEN / AVOCADO WOO WOO
ビブレ前のステージ終了後、英語もしゃべれないのに何とかティン・メンのお三方を捕まえてサインを頂きました。みなさん快く応じてくださいました。でも3人とも何故かサインが控えめ。ジャケットのアートワークを大事にしているのかな?



~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 14.04.09 TIN MEN @ 横浜THUMBS UP

ジェシ・ウィンチェスター、安らかに

2014-04-13 12:11:38 | SSW
JESSE WINCHESTER / JESSE WINCHESTER

4月11日、ジェシ・ウィンチェスターが食道がんのため亡くなられたそうです。享年69歳。数日前にも訃報が流れていたんですけど、それは誤報だったということで胸を撫で下ろしつつ、もうあまり長くないのかも…と心を痛めていたのですが、それから数日を待たずしての悲しい知らせでした。今回もまた誤報では?と半信半疑だったりするのですが、多分、本当なんでしょうね。

1944年5月、ルイジアナ州シェリヴポートで生まれたジェシ・ウィンチェスター。ベトナム戦争への徴兵を拒みカナダへ逃れ、そこでロビー・ロバートソンと出会う。そのロビー・ロバートソンのプロデュースの元、70年にリリースされたジェシのデビュー・アルバムが写真の「JESSE WINCHESTER」です。これは良いアルバムですよね~。エンジニアはトッド・ラングレンですし、レヴォン・ヘルムも参加してますしね。でも何と言ってもジェシ・ウィンチェスターの歌声ですよね。憂いを含んだ独特の艶やかさが滲みますね。南部印な「Snow」や「That's A Touch I Like」、「The Nudge」もいいですが、「Biloxi」や「Skip Rope Song」などスロー・ナンバーの味わいも格別ですね。心に残る歌を歌うシンガーでした。


ジェシ・ウィンチェスターさん、安らかに。

コーチェラ・フェスティヴァル生配信!

2014-04-12 09:56:21 | フェス、イベント
TROMBONE SHORTY / SAY THAT TO SAY THIS

米カリフォルニア州インディオにて、4月11日~4月13日の3日間開催される「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル」、略してコーチェラ。このネット中継が始まっています。時差の都合上、日本では初日が4月12日の早朝からになりますので、現在まさにその初日が中継中です。私も先ほど、ZZ Wardや、Aloe Blaccなど気になるアーティストのライヴを観たばかりです。

ちなみに3日間のヘッドライナーは初日がアウトキャスト、2日目がミューズ、最終日がアーケイド・ファイアです。(ミューズは何故か最終日の配信スケジュールに入っているようなのですが、全てが生配信と言う訳ではないんですかね?その辺よく分かりません…)

ロックフェスとは言え、最終日にはPreservation Hall Jazz Bandや、Trombone Shortyの中継もあるようなので、楽しみです。あと、フジロックやサマソニ出演予定のアーティストも結構出るので予習にも良いですね。

ま、3日間、パソコンにかじりつきというのもどうかと思いますけどね…。




https://www.youtube.com/user/coachella/coachellalive

さよならバウスシアター

2014-04-11 12:31:22 | フェス、イベント
吉祥寺の映画館バウスシアターがこの5月末で閉館となるそうです。

これは残念ですよね。私はバウスシアターに足しげく通った訳ではありません。って言いますか、多分3回しか行ったことありません。ですが吉祥寺と言えばバウスシアター、というイメージはありました。私はさほど映画には興味がありませんでしたので、映画館としてのバウスシアターについてはよく分かりません。ですが学生時代からパンクやアングラな文化には興味があったので、バウスシアターと言えば、その総本山の一つみたいな印象は持っていました。そういう意味では何か一つの文化の終演を感じさせられるようで、とても寂しいです。

私が初めてバウスシアターに行ったのは多分1985年のクリスマス。しかも映画ではなく、パンクのライヴでした。ルーズ、ばちかぶり、リップ・クリーム、キャー、といった当時のインディーズ・シーンを賑わしていたバンド達が多数出演したオールナイト・イベント。当時、新宿ロフトや渋谷の屋根裏などに通い初めていたとは言え、いたって真面目な高校生だった私にとって、これが初めてのオールナイト・ライヴでした。開場前、キャーのリハ音がバリバリに漏れ聴こえる中、バウスシアター前に並んで待たされつつ、妙にドキドキしたのが懐かしいです。

映画館で観るパンクのライヴと言うのもなかなか素敵なものでした。電圧不足だったのか、ライヴ中に何度も中断してしまったことを覚えています。バウスシアターでライヴを観たのはこれ一度きりでしたが、あの頃の空気感と共に大切な思い出として心に残っています。キャーとばちかぶり、大好きだったな~。


そして残りの2回はつい最近。ローリングストーンズの「レディース&ジェントルメン」とジェイムス・ブラウン他の「ソウル・パワー」。いずれも映画の爆音上映でした。近年のバウスシアターと言えばやはり爆音上映ですよね。初めて体験した「ソウル・パワー」ではその音の厚みと臨場感に大興奮したものでした。



さて、バウスシアターでは、4月26日から5月31日まで、最後の爆音映画祭が開催されます。ラインナップも豪華です。「ラスト・ワルツ」、「ソウル・パワー」、「ドクター・フィールグッド/オイル・シティ・コンフィデンシャル」、「ブルース・ブラザース」、「グレイトフル・デッド・ムーヴィー」など、音楽系も充実していますし、「ロッキー・ホラー・ショー」、「ファントム・オブ・パラダイス」という2大ロック・カルト・ムービーがエントリーされているのも気になるところ。と言いつつ、個人的にはケミカル・ブラザーズの「DON’T THINK」が一番観たかったり。あとこの爆音上映の一環としてライヴ・イベントもあり、マーク・リボーによる無声映画ライヴ「紐育の波止場」と「街の灯」もかなりそそられます。

詳しくはオフィシャル・サイトをご覧ください→http://www.bakuon-bb.net/


また、この爆音映画祭をもって映画館としての使命を終えるバウスシアターですが、6月1日から10日には「ラストバウス/ラストライヴ」という最後のライヴイベントが催され、最終日は渋さ知らズオーケストラが締めるそうです。

http://www.bakuon-bb.net/program_c.php


フジロック第4弾!

2014-04-10 17:49:46 | フジロック
YOKO ONO / PLASTIC ONO BAND

フジロック出演アーティスト第4弾がオフィシャルサイトにて発表になりました。今回は21組。

the band apart
BEGIN
Gotch
THE HEAVY
JACQUES GREENE
JAMES IHA
MAN WITH A MISSION
MIYAVI
NORMAN WATT-ROY
OGRE YOU ASSHOLE
PHONO TONES
→Pia-no-jaC←
THE SKA FLAMES
SOOO BAAD REVUE
ST.VINCENT
Steve Nieve – Joe Sumner – Tall Ulysse – TOGETHER
STRAIGHTENER
高橋幸宏 with In Phase[James Iha×高桑圭(Curly Giraffe)×堀江博久×ゴンドウトモヒコ×鈴木俊治
TRIM(吉田美奈子&河合代介DUO meets 村上“PONTA”秀一)
YOKO ONO PLASTIC ONO BAND
憂歌団


ヨーコ・オノ・プラスティック・オノ・バンドですか! オレンジのトリでしょうか? 山奥でこんなの聴かされたらかなりのカオスが渦巻くことでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=ZIyin7WAwI8

そしてもう一組気になるのが黒人シンガーを擁する英ロック・バンドのザ・ヘヴィー。これは格好良いでしょ!!
http://www.youtube.com/watch?v=RARp3IFJEz4


あとは、なんて言いますか、早くも追加発表が邦楽勢中心となる時期になったのかな?って感じでちょっと寂しい気も。とは言え、ヨーコ・オノも含めて、憂歌団、SOOO BAAD REVUE、THE SKA FLAMES、BEGINなど、その中に気になるアーティスト名が結構有ったりするんですけどね。特に昨年15年ぶりの再結成を果たした憂歌団は観たいですね。既に木村さんはフジの常連になりつつある感じですが、憂歌団はまた特別ですからね。

これで現在71組が発表になりました。これを“もう”と感じるか“まだ”と感じるかは微妙なところ。ま、まだヘッドライナーが2組発表されてない状況ですからね、まだまだサプライズはあるかもしれませんが…。

さて、次回あたりはいよいよ日割りの発表でしょうか? ま、日割りが発表されたらされたでステージ割の予想がつかなくて悩むんですけどね。とにかく、確実にフジが近づいてまいりました。


*写真はヨーコ・オノのソロ作「 YOKO ONO / PLASTIC ONO BAND」。1970年にジョン・レノンのファースト・ソロ作「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND」と同時に発表されました。ジャケ写もジョン・レノン盤と対を成しています。元々プラスティック・オノ・バンドはジョン・レノンが69年にリリースしたファースト・ソロ・シングル「Give Peace A Chance」で初めて使われた名でした。バンドと言っても、その録音はあのベッドインの最中に行われたものなので、まったくバンドの態はなしていませんでした。なのでその後のメンバーも流動的。いや、そもそもメンバーという概念すら無かったかもしれません。その時々でジョンとヨーコの元に集まったミュージシャン達をプラスティック・オノ・バンドと呼んだ、という感じでしょうか。同じ69年、有名なトロントのステージでは、エリック・クラプトンやクラウス・フォアマンが参加していますし、翌70年のこのヨーコのソロ作では、ジョン・レノン(g)、リンゴ・スター(ds)、クラウス・フォアマン(b)の3人が基本的なバンドメンバーとなっています。ちなみに、プラスティック・オノ・バンドという名は、プラスティックの箱をバック・バンドに使うユニークなショーのことをヨーコから聞いたジョン・レノンが、自分も箱でバンドを作り、それにプラスティック・オノ・バンドという名を付けたことから始まっているそうです。

最近のプラスティック・オノ・バンドにつきましてはよく存じ上げないのですが、ショーン・レノン、本田ゆか、小山田圭吾などが参加しているそうですね。

TIN MEN @ 横浜THUMBS UP

2014-04-09 23:16:32 | ニューオーリンズ
4月8日、横浜サムズアップにて、ニューオーリンズからやって来た変わり者トリオ、ティン・メンを観てまいりました!!

何が変わり者かって、その編成です。メンバーはアレックス・マクマレー(g)、ウォッシュボード・チャズ(washboard)、マット・ペロン( sousaphone)の3人。リズムを担うのがウォッシュボードとスーザフォンと言うのが面白いですよね~。いかにもニューオーリンズらしいと言いますか、いや、多分この編成はニューオーリンズでも珍しいんじゃないでしょうか? しかもメンバー3人共がバンドやソロ、そしてセッションなど多方面で活躍する凄腕達ですからね。

*ここからはライヴの内容のネタバレになりますので、これからティン・メンのライヴを観に行かれる方は読まれないことをお勧め致します。



さて、この来日を実現させたバッファロー・レコーズのダグラスさん自らの紹介でステージに上がったティン・メンの3人。ステージ向かって左手にウォッシュボード・チャズ、右手にアレックス・マクマレー、中央後方にマット・ペロンという布陣。レヴァランド・ゲイリー・デイヴィスの「Sit Down on the Banks of the River」で始まったそのステージ。小気味良いアレックスのギターにチャズのウォッシュボードがチャカチャカと絡み、マットのスーザフォンが低音を支える。1曲目からブレイクが入りチャズが挨拶代わりのウォッシュボード・ソロを披露すると観客達も沸きに沸く。アレックスのヴォーカルも味があって良い!

「Jesus Always Gets His Man」、「Lonely One in This Town」、「Maybellene」、「What Tano-San Say」など、最新作「Avocado Woo Woo」からの楽曲を中心に、旧作もしくはアレックスのソロ作収録曲やカヴァーを含めた選曲は、まるでおもちゃ箱をひっくり返したようにバラエティ豊かなれど、どれもがティン・メンならではの魅力に溢れた演奏の連続でした。スーザフォン、ウォッシュボード、ギターという三者三様のリズムが絡み合う彼らにしか成し得ないグルーヴ。それは一見チープなようでありながら、聴けば聴く程芳醇な味わいに飲み込まれていくような。リズムとメロディーを行ったり来たりするマットの低音ラインはもちろん、アレックスとチャズの両者による歌の味わいや、個性的なフィーリングなんかも、やはりニューオーリンズという土地が育んだものなんでしょうね。

カヴァーで印象的だったのは、カーター・ファミリーの「Gospel Ship」。軽快なノリで披露されたカントリー・ゴスペルには、ウキウキさせられましたね。あとビリー・ホリデイで知られる「He Ain't Got Rhythm」。こういうチョイスも粋ですよね~。もちろんチャズの歌声も3人の演奏も全て粋でしたけど。チャック・ベリーの「Maybellene」なんかは、アレックスの歯切れよいギターに目が釘付けでした。そして最もたまげたのがダーティ・ダズン・ブラス・バンドの「Blackbird Special」。この編成でこの曲やりますか?っていう。しかも正統カバーですよ。超高速ブラス・バンド・ファンクのグルーヴを3人だけでやってのけてしまうのです。スーザフォンが大活躍なのはもちろんですが、他のパートを一人でこなしてしまうかのようなアレックスのギターも最高でした。そしてグルーヴに“加速”と“うねり”をもたらすかのようなチャズのウォッシュボード!! もう堪りませんでしたね。まさに三位一体のグルーヴ!!ある意味、本家より濃密でした。

それにしてもチャズの存在は際立っていましたね。すました顔して凄いことやってる感がひしひしと伝わって来ました。まったく気負った感じは無く、飄々としたキャラながら、まるでリズムに命を与えるかの如く神がかったプレイの連続。彼を観ているだけで楽しくなり、そして興奮させれました。ちなみに彼のウォッシュボードは、ザディコ/ケイジャンのラブボードではなく、ジャグ・バンドで使われるようなタイプ。ウォッシュボードに空き缶とベルが付けられていて、それらを駆使して色鮮やかなリズムを繰り出していく。「Jesus Always Gets His Man」のようなアップナンバーでの切れ味にもゾクゾクさせられましたが、「He Ain't Got Rhythm」のような曲でのスウィング感も味わい深かったですね。もちろん要所要所で見せるソロも凄かったです!

メンバー3人が「シブヤー!」「シブヤー!」と声を張り上げて始まった「The Barber of Shibuya」。哀愁を感じるメロディーと、情緒とユーモアに溢れるアレックスの歌が最高でしたね。こういう曲でのアレックスの味わいっていうのは見応えありましたね~。

この「The Barber of Shibuya」で一旦ステージは終了し、しばしの休憩を挟んで第2部へ参ります。



さて、ティン・マンの旧作から「Jingling Down The Street」で始まった第2部。序盤に披露されたハーレム・ハムファッツの「Root Hog Or Die」から「Sweet And Slow」「You're Not The Only Oyster In The Stew」というファッツ・ウォーラー関連2連発は、TIN MEN流古き良きR&Bな感じで、そのラブリーな味わいに酔いしれました。ラブリーと言えば、続いて披露された最新作からのタイトル曲「Avocado Woo Woo」も何処か可愛らしい雰囲気に思わず笑みがこぼれてしまいましたね。

チャズとバンド仲間でもある日本在住のミシシッピ・ブルースマン、スティーブ・ガードナーがゲストに呼ばれてのエディ・ボー「Dinky Doo」。スティーヴのブルースハープが加わり、さらに賑やかな雰囲気に。ダニー・バーカーの「Palm Court Strut」、そしてファッツ・ドミノの「I'm In Love Again」の3曲を共演し盛り上がりました。この流れはニューオーリンズ色が濃くて楽しかったですね~。そこにスティーヴのハープがカントリー・ブルースのテイストを加えてのいっそうのガンボ状態がまた格別でした。

チャズが飄々と歌うスティーヴィー・ワンダーの「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」のカヴァーなんかもありましたが、極め付けは本編ラストの2曲。まずはアレックスが「ロックンロールを~」のようなことを言ってギターを弾き始めたのですが、ロックンロールと言った割には緩いブルースのような感じ。ですがブレイクと同時に彼が声を枯らすように歌ったのは紛れもなくザ・フーの「My Generation」。しかしこれがまた可愛らしく酩酊したような「My Generation」で、これには場内も大爆笑。こういう技ありなカヴァーもティン・メンらしいですよね。さらにレッド・ツェッペリンの「Immigrant Song」。こちらは全うなカヴァー。と言ってもこの編成ですからね、TIN MEN流ロックと言いますか、スーザフォンの吠えっぷりが最高でしたね。観客達も「あああ~!!あー!」と大合唱。

曲が終わると同時に盛大な拍手が鳴り止まない。いつしかアンコールを催促する手拍子となり、大歓声の中、3人が戻ってくる。アンコールは「On The Sunny Side Of The Street」。最後にこういう曲を持ってくる辺りも流石ですね。大騒ぎした後はほっこりと終わる。なんかしみじみしましたね。

おそらく、本当ならここで終わりだったのではないかと思うんです。ですがまたしても手拍子が鳴り止まない。そしてまさかのセカンド・アンコール。アレックスは昔、意外にも東京ディズニー・シーで歌を歌っていたらしいのですが、そんなことを語り、そして歌い始めたのが彼のソロ作から「The Ballad Of Cap'n Sandy」。ストーリー・テラーなアレックスの歌に拍手喝采でした。


いや~、ホント最高でした。1部、2部共に1時間越えのフルボリューム。芳醇で、濃密で、スリリングで、そしてユーモアに溢れた演奏の連続でした。やはりニューオーリンズは凄い!!そしてティン・メンは凄い!!





この夜のセットリスト。 私もメモを取りながら観ていたのですが、それだけでは不十分でしたので、ブルース銀座さんのブログを参考にさせて頂きました。(インスト曲についてはよく分りませんでした…。)

1部
01. Sit Down on the Banks of the River
02. Oh Glory, How Happy I Am
03. Gospel Ship
04. Jesus Always Gets His Man
05. Lonely One in This Town
06. He Ain't Got Rhythm
07. Feets Too Big
08. Werewolf
09. Why Don't You Haul Off and Love Me?
10. Maybellene
11. ???(instrumental)
12. Blackbird Special
13. What Tano-San Say
14. The Barber of Shibuya

2部
01. Jingling Down The Street
02. Root Hog Or Die
03. Sweet And Slow
04. You're Not The Only Oyster In The Stew
05. Avocado Woo Woo
06. Dinky Doo
07. Palm Court Strut
08. I'm In Love Again
09. Function At The Junction
10. Signed, Sealed, Delivered I'm Yours
11. ???(instrumental)
12. My Generation
13. Immigrant Song

ENCORE
01. On The Sunny Side Of The Street
02. The Ballad Of Cap'n Sandy



ティン・メンの来日ツアーの詳細→http://buffalo-records.com/newstopics/info/TinMenTour.html
4月12(土)のYOKOHAMA JUG BAND FESTIVAL では、入場フリーの横浜VIVRE前広場にも出演予定ですよ!

ブルース銀座さんのブログ→http://black.ap.teacup.com/sumori/1511.html

ダイアン・バーチ@ビルボードライヴ東京

2014-04-08 16:12:13 | SSW
DIANE BIRCH / SPEAK A LITTLE LOUDER

先日、ビルボードライヴ東京にてダイアン・バーチのライヴを観てまいりました。私が観たのは2days初日3月26日の2ndショー。

最新作「SPEAK A LITTLE LOUDER」収録の「Love And War」から始まったそのステージ。黒い衣装に身を包んだダイアン・バーチは、ゴシックとまではいかないものの、憂いを含んだ独特の美しさを放ちつつ、しなやかな身のこなしで美声を響かせる。デビュー作「BIBLE BELT」では、キャロル・キングなど70年代SSW的な雰囲気で話題となりながら、続くネット・オンリーでリリースされたEP「THE VELVETEEN AGE」や雑誌のグラビアなどではゴスな趣味を垣間見せ、最新作となる2nd作「SPEAK A LITTLE LOUDE」ではより現代的、オルタナ的な楽曲およびサウンドに進化したきた彼女だけに、ライヴではどういった表現になるのかと私も興味津々だったのですが、「Adelaide」、「Pretty In Pain」、「All The Love You Got」と新作(およびそのボーナス・トラック)からの曲が続くと、その楽曲の良さにあらためて心を奪われました。CDとはまた違う、ライヴならではの生命力に溢れるそのサウンドと歌声は、今の時代に生きるシンガー・ソング・ライターとしての魅力に溢れていました。

バック・バンドは、ギター、ベース、キーボード、ドラムスというシンプルな編成。注目すべきはギタリスト。既にSSWとしてソロ作も数枚リリースし、そのポップ職人的アレンジ・センスとスウィート且つメロウなソウル・フィーリングでマニアックな人気を博す、あのビン・ジ・リンです。彼が放つツボを得たギター・フレーズはもちろん、中肉中背な体つきながら、赤か紫?のパンツを履いて、カーリーなロングヘアーを揺らすその憎めない姿も存在感抜群でした。そしてもう一人、ステージで絶大な存在感を放っていたのが、女性ベーシストのジェニファー・P・フレイザー。彼女が醸す妖艶な色気は、ある意味、ダイアンの持つある種グロテスクな深層風景を一手に担っていたといえるかもしれません。

さて、続けざまの最新作からの楽曲で、現在のダイアンが持つ色彩に会場が染め上げられた頃、彼女が歌い始めたのはデビュー作から「Nothing But A Miracle」。歌い出すと同時に客席から拍手歓声が沸き上がる。やっぱりなんだかんだでデビュー作からの曲を楽しみにしていた人も多かったのではないでしょうか? かく言う私もその一人。特にこの曲は良いですよね。途中少し語りっぽくなるところがまた良いんですよ。オーガニックなダイアンの歌声も、ソウルフルで良かったですし、ビン・ジ・リンの爽やかなギターがまた良い塩梅でした。そして最新作からのタイトル曲「Speak A Little Louder」で前半を締めた感じ。エッジの立ったダイアンの歌声に痺れましたね。前作からの名曲も良いですが、新作からの曲の瑞々しさもまた格別。

ダイアンは曲によってキーボードを弾きながら歌ったり、キーボードから離れステージを左右に動きながら歌ったりもしていましたが、ここで観客達に「楽しんでますか?」と問いかけつつ、いよいよグランド・ピアノの前に座ります。そしてデビュー作からもう1曲のキラー・ソング「Fools」。観客からは手拍子が巻き起こり、しっとりとしたグルーヴと、何処かノスタルジックなメロディーに酔いしれる。そしてバンドのメンバーが一旦ステージを後にして、ピアノの前のダイアンが一人残される。そしてジャジーなピアノ・イントロから語るように歌い始めた「Fire Escape」。こちらはデビュー作の1曲目を飾った曲で、そこではカントリー・テイストからニューソウル的に以降するアレンジが秀逸でしたが、ピアノ弾き語りで聴かせるこの曲はゴスペル・フレーヴァーに溢れ、これがまた素晴らしかった!これには引き込まれましたね。こういうソウル・フィーリングなダイアン・バーチ、大好きです!! いや~ホント、この「Fire Escape」には参りました!

ピアノ弾き語りのまま始まった「Walk The Rainbow To The End」。途中からバンド・メンバーが戻り重厚なサウンドを展開するというCD通りの演出も粋でしたね。さらに開放感溢れるアップナンバー「Tell Me Tomorrow」、ファルセットが美しかったスロー、「Superstars」と最新作からの曲が続き、本編ラストも最新作からの「Lighthouse」。ダンス・ナンバー的な力強いビートと、ダイアンのエモーショナルな歌声が魅せるメロディーが、最後に相応しい昂揚感に会場を包み込みました。

間に旧作からの名曲を挟みながら、前半と後半の要所には最新作からの楽曲がしっかりとその世界観を見せつける、まさに現在進行形のダイアン・バーチを見せつけてくれたステージでした。そして意外にといっては失礼ですが(私は正直、デビュー作に惚れ込んだ人間ですので…)、その新作からの曲が凄く良かった!! ライヴで聴いて初めてそのオルタナ感に隠された、楽曲本来の魅力に気付かされた気分でした。それと生で聴くダイアンの歌声って言うのはまた格別ですしね。

さて、ライヴはもちろんこれで終わりではありません。アンコールはダイアンが「ニューオーリンズ!」と声を上げて始まった「Valentino」。もうこれはアンコールならではのお祭り感。セカンドラインなノリもさることながら、ビン・ジ・リンのミーターズを意識しつつも彼らしいポップなファンク感が最高で、要所要所でスウィートなフレーズを連発する彼の姿になんか嬉しくなりましたね。最後はダイアンがドスの利いたシャウトを上げて拍手喝采のうちに幕を閉じました。


ライヴ終了後はお楽しみのサイン会。私もサインを頂きました。緊張して、「サンキュー」ぐらいしか言葉は交わせませんでしたが、そんな私にも柔らかい笑顔で応えてくれたダイアン・バーチ、可愛かったです!!



01. Love And War
02. Adelaide
03. Pretty In Pain
04. All The Love You Got
05. Nothing But A Miracle
06. Speak A Little Louder
07. Fools
08. Fire Escape
09. Walk The Rainbow To The End
10. Tell Me Tomorrow
11. Superstars
12. Lighthouse
-------------------------
13. Valentino

そそるライヴ 4月編

2014-04-05 22:18:34 | そそるライヴ
関東近辺にて4月に行われるライヴ、フェス、イベントのなかで、気になるものをピックアップしてみました。

4/01(火)Gov't Mule @ビルボードライヴ東京
4/01(火)Maïa Vidal  @アンスティチュ・フランセ東京 ギャラリー&ブラスリー
4/04(金)JEFF BECK @NHKホール
4/07(月)Suzanne Vega @EX シアター 六本木
4/08(火)LISA MARIE PRESLEY @ブルーノート東京
4/08(火)Tin Men  @横浜 Thumbs Up
4/09(水)Maceo Parker  @ビルボードライヴ東京
4/12(土)YOKOHAMA JUG BAND FESTIVAL vol.13 @横浜VIVRE前広場 他
4/12(土)Patsy & Stranger Cole @渋谷 CLUB QUATTRO
4/12(土)BRUNO MARS @幕張メッセ
4/17(木)The Baker Brothers @ビルボードライヴ東京
4/18(金)Johnny Winter @EX シアター 六本木
4/18(金)Yonrico Scott Band @築地 BLUE MOOD
4/19(土)Earth Day Tokyo @代々木公園 入場フリー!
4/20(日)Earth Day Tokyo @代々木公園 入場フリー!
4/23(水)ROBBEN FORD @ブルーノート東京
4/25(金)Hot Tuna @渋谷 CLUB QUATTRO
4/26(土)morningdeer × Dikolson @大宮 more records (インストア・イベント) 観覧フリー!
4/27(日)MONTY ALEXANDER with Kingston Local Train @ブルーノート東京
4/27(日)JAZZ AUDITORIA 2014 @御茶ノ水 ワテラス 入場フリー!
4/28(月)JAZZ AUDITORIA 2014 @御茶ノ水 ワテラス 入場フリー!
4/29(火)JAZZ AUDITORIA 2014 @御茶ノ水 ワテラス 入場フリー!

お出かけの際は事前のご確認をお願いいたしま~す!

カニエ・ウェスト、キャンセル…

2014-04-03 21:44:10 | フジロック
フジロックのヘッドライナーにアナウンスされていたカニエ・ウェストですが、残念ながらキャンセルだそうです。

これは痛いですね~。どうなるんでしょう、今年のフジロック。 カニエ・ウェストというヒップホップ・シーンのみならず米音楽シーンの超大物をヘッドライナーに迎えることで新境地を切り開きつつあっただけに、その根本が揺らいでしまったというか、なんか振り出しに戻った感じで。いやはや、観る観ないに関わらず残念この上ないです。

昔のフジロックなら、カニエ・ウェストの前に出演予定だったアーティストをスライドさせてお茶を濁してしまいそうですが、ここはなんとかこの失望感を払拭させてくれるような新たなヘッドライナーを呼んで欲しいところ。ですが4月ではもう難しいんですかね? ま、デーモン・アルバーン、アウトキャスト、フランツ・フェルディナンド辺りであれば、充分トリでも遜色ありませんが。

頑張れフジロック!

サマソニにクイーン!!

2014-04-03 07:32:33 | フェス、イベント
QUEEN / QUEEN

サマソニのヘッドライナー2組目がついに発表になりました。クイーン!!

いや~、そう来ましたか。フレディのいないクイーンなんて…、と思いつつ、ちょっと観てみたいかも。だって野外ですからね。野外で観るクイーン、盛り上がるでしょうね。ところでシンガーを務めるアダム・ランバートについては私、あまり良く知らないんですけど…。


クイーン&アダム・ランバート、およそ30分のライヴ映像↓
http://www.youtube.com/watch?v=EZ29wso9e4I




さて、ロッキンオンの最新号に、クリエイティヴマン代表の清水氏のインタビューが掲載されています。もちろん今年のサマソニについて語っているんですが、それによりますと、気になるロバート・プラントの出番はマリンでアークティック・モンキーズの前になるようですね。これは嬉しい!よっぽどのことがない限り、今年はプラント~アークティックの流れで楽しみたいと思います。

そして、そのインタビューでもう一つ気になったのは、「ビーチは1日、東京のビルボードライヴと組んで大人の雰囲気をだせるものにしたい。」と清水氏が語っていること。これどういうことですかね?ビルボードライヴに出るアーティストがこぞってビーチ・ステージに登場するってことですか?ま、ビルボードに出るアーティストも様々ですから、私が期待するような感じにはならないでしょうけどね…。でも場合によっては朝から晩までビーチにかぶりつきって可能性も出てきたかも。