ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジロック予習:ザ・ヘヴィー

2014-06-15 18:58:52 | フジロック
THE HEAVY / THE GLORIOUS DEAD

黒人シンガーのスワビーを擁し、“まるでカーティス・メイフィールドとレッド・ツェッペリンがセッションしたかのよう”と称される英ロック・バンドのザ・ヘヴィー。黒人シンガーの入ったロック・バンドと言いますと、近頃はヴィンテージ・トラヴルの勢いが目覚ましいですが、ガレージ臭と肉感的なブラック・フィーリングでヴィンテージなサウンドをキメる彼らに対し、このザ・ヘヴィーは既に3枚目となる最新作「 THE GLORIOUS DEAD」でより絢爛なスケール感をものにし、モダンなロック・バンドへ一皮剥けた印象。いや、モダンと言いましても、それはあらゆるジャンルを越境する引き出しの多さと、そのミクスチャーが織りなす創造性であり、サウンド的には相当レトロチックですけどね。

ある種の物語性を感じさせるバラエティ豊かな楽曲群、想像力を喚起させられるどこか歪んだアレンジ・センスで纏められた彼らの最新作「THE GLORIOUS DEAD」は、まるでB級カルト映画のサウンドトラックのような佇まい。実際、彼らの楽曲は映画、ドラマ、ゲームなどで引く手数多だそうですが、それも頷けますね。日本でも「Same Ol'」がペプシのCMに使われて話題になりましたし。実は私もこの曲はそのCMで初めて聴いて、その独特の世界観を感じさせる曲調に痺れたクチなんです。

さて、アルバムの幕開けは“ドラキュラ”、“フランケンシュタイン”という言葉が聞き取れる不穏なイントロから、重厚なグルーヴへ展開し、スワビーのヘヴィーな歌唱と、それに呼応するコーラスも格好良い「Can't Play Dead」。この曲やサイケデリック・ソウル・ロックとでも評したい「What Makes A Good Man?」、そして中盤の山場となるキラー・ソング「Same Ol'」あたりは、楽曲、アレンジ共にまさに今作のハイライトと言える完成度。独特の雰囲気と重厚なグルーヴから滲み出るような躍動感は抜群の格好良さです。

さらに、ヒッピホップなリズム処理が秀逸な「The Big Bad Wolf」や、怪しきレトロ歌謡的な「Be Mine」、荒んだ酒場から漏れ聴こえてきそうなブルース「The Lonesome Road」、ブラック・カルト・ムーヴィーな香り濃厚な「Don't Say Nothing」など、それらから漂う“黒さ”も彼らの魅力ながら、その一方で開放的且つフォーキーな「Curse Me Good」、ガレージ・パンクな「Just My Luck」といった曲も印象的。そしてドリーミーなワルツ「Blood Dirt Love Stop」をスワビーがソウルフルに歌い上げ、およそ40分のトリップは幕を下ろします。

やはりスワビーの存在感が光りますが、そもそもの楽曲の良さとその多彩さ、そしてそれらを一つの作品に纏め上げるバンドの演奏力やプロデュース能力も特筆物(今作はセルフ・プロデュース)。あといくつかの曲でシャロン・ジョーンズ&ダップ・キングスの中心人物ボスコ・マンことガブリエル・ロスが、ブラスとストリングスのアレンジを務めているそうで、この人選も見事ですね。彼の貢献も含め、今作でのブラスとストリングスをフィーチャーしたアレンジはかなり格好良いです!

さて、2日目グリーン・ステージの一発目に登場するザ・ヘヴィー。このスケール大きなサウンドと多彩な楽曲をどう巨大空間で表現するのか?そしてスワビーの歌唱が山にこだまするその瞬間、楽しみですね~!!




では最後にザ・ヘヴィーの動画もいくつか。

The Heavy - What Makes A Good Man? / How You Like Me No
http://www.youtube.com/watch?v=RARp3IFJEz4
レイト・ショウ・ウィズ・デイヴィッド・レターマンから。フジロックにもこれぐらいの大所帯で来てくれたら嬉しいんですけどね。それにしても「What Makes A Good Man?」は格好良いですね!!


The Heavy - Same Ol'
http://www.youtube.com/watch?v=tGULAixvGis
やはりライヴになると相当濃いですね!ますます楽しみ!