GARY CLARK JR. / BLAK AND BLU
フジロック予習特集第4弾は、ブルース/ブルース・ロック界期待の大型新人、ゲイリー・クラーク・ジュニアです。
1984年2月15日、ブルースのメッカでもあり、ありとあらゆる音楽が集まるオースティンに生まれたゲイリー・クラーク・ジュニア。初めてギターを手にしたのは12歳の時。その後、有名なブルース・クラブ「アントン」のオーナー、クリフォード・アントンに見初められ、ジミー・ヴォーンにギターの手ほどきを受けたとか。07年頃には、オースティン・ミュージック・アウォードで「ベスト・ブルース・アーティスト」を受賞する程にかの地にその名が知れ渡っていたそうですが、それが全国区に轟いたのは、何と言ってもエリック・クラプトンのクロスロード・ギター・フェスティバルへの出演を果たした時でしょう。2010年でした。
こちらがその「Crossroads Guitar Festival 2010」出演時の「Bright Lights」の演奏シーン。
http://www.youtube.com/watch?v=x_ZeDn-hHGE
観客のほとんどが自分のことを知らないであろう大舞台で、堂々とオリジナル曲を演奏する姿は既に貫禄充分ですね。このフェスではクラプトンとはもちろん、シェリル・クロウとも共演したそうです。そしてゲイリーの才能に目をつけたのはクラプトンだけでは有りませんでした。なんと、それはアリシア・キーズ。ブルース・ギタリストという観点からクラプトンに注目されるのは分りますが、ここでアリシア・キーズが出てくるところに、ゲイリー・クラーク・ジュニアのただ者ではない資質が垣間見える印象です。
こちらは、2011年11月、アリシア・キーズがホストを務めるチャリティー・コンサート「Keep a Child Alive Black Ball」での一場面。ゲイリーとアリシアとの共演によるビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」です。
http://www.youtube.com/watch?v=ASJ5ePn9UdE
アリシアがゲイリーに惚れ込んでる様子が伺える共演ですよね。これ以来、ゲイリー・クラーク・ジュニアを紹介する文章にはほとんど例外無く“アリシア・キーズが絶賛する”みたいな枕詞が付くようになります。さらに新人らしからぬゲイリーの快進撃は続きます。今度は2012年の2月、ホワイト・ハウスにてオバマ大統領夫妻が主催する『In Performance at the White House: Red, White and Blues』に出演。ブルース/ロック界のレジェンド目白押しのこの催しに、まだメジャーからフル・アルバムの1枚も出していないゲイリーが大抜擢されたのです。(この時まだアルバム「BLAK AND BLU」は発売されてませんが、メジャー・デビュー作となった4曲入りのEPは発売されていました。)
こちらがその時の映像。オバマ大統領の目の前でミック・ジャガー、ジェフ・ベック、バディ・ガイと横並びで「Five Long Years」をセッション。
http://www.youtube.com/watch?v=y-jSaBg9_M4
既に様々な経験を積んで来たであろうゲイリーでしょうが、流石にこれは参ったでしょうね。ですがそんな風に見えないところが本当に末恐ろしい。レジェンド達の化け物じみた余裕(特にバディ・ガイ!)に飲まれがちでは有りますが、しっかりと存在感は発揮しているから見事。もちろんこれだけではなく、ゲイリーの見せ場も有りました。その一つが彼がエレキ・ギターで弾き語る「In The Evening (When The Sun Goes Down) 」。こういう味わいも有るんですね~。
http://www.youtube.com/watch?v=B1JCWH_NNvo
そしてこの時ミック・ジャガーに気に入られたのかどうかは知りませんが、ローリング・ストーンズの50周年記念ライブにもゲスト出演。2012年12月15日ニューアークのプルデンシャル・センターにて。この日のライヴは日本でも生中継されたのでご覧になった方も多かったのでは? ゲイリーはジョン・メイヤーと共に「Going Down」で登場。キースとロンも含めた4人でギター・バトルを繰り広げました。
http://www.youtube.com/watch?v=l4IQQ63Zj_M
いや~、この時のゲイリーのプレイには痺れましたね~! ジョン・メイヤーの淀みないスピーディーな弾きっぷりも見事ですが、ゲイリーの放つチョーキングのタイム感たるや! そしてそのフィーリングと言うか微妙なニュアンスはまさに黒人ブルース! 今時の若手でこういうブルース表現をする人って以外と少ないんじゃないですかね? 私はこれを聴いてゲイリー・クラーク・ジュニアは間違いなく本物!!と確信しました。ちなみにこの「Going Down」はテキサス出身のブルース巨人フレディ・キングの名演で知られる曲。この選曲も粋ですね。 そして今年6月12日にも、ゲイリーはストーンズのボストン公演にこの曲でゲスト出演したそうです。
さて、そんなゲイリー・クラーク・ジュニアが、2012年にワーナーから発表したメジャー・デビュー・アルバム「BLAK AND BLU」(写真)です。(WIKIによりますと、インディーからのデビューは2004年で、2010年までに2枚のアルバムと1枚のEPをリリースしていたようです)。1曲目「Ain't Messin 'Round」のドライヴするロック・チューンを聴くと、ブルースと言うよりジミ・ヘンドリックス~レニー・クラビッツの流れを感じます。思いっきりジミヘンの「Third Stone From The Sun」のカヴァーも有りますし。さらに「Travis County」で軽快なロックン・ロールを聴かせる一方で、アダルトでアーバンな雰囲気を醸す「Blak And Blu」や、ヒップ・ホップ的なセンスの香る「The Life」など個性豊かな楽曲が並びます。歪んだギターが暴れるヘヴィ・ブルース・ロック「Numb」も圧巻。もちろん本領発揮のマイナー調ブルース「When My Train Pulls In」も有ります。個人的にはファルセット・ヴォイスが印象的なバラード「Please Come Home」にやられました。この曲でのスウィートなギター・ソロがまたお見事!
ブルースという枠にはまったく納まり切らないゲイリーの懐の深い才能に驚かされます。ソウルフルなブルースロックに先人達へのリスペクトが濃厚ながら、ディープになりすぎないライトな感覚や、全体的にエフェクトがかかっていて、ちょっぴりサイケやガレージっぽい雰囲気を醸しているところなどには現代的なオルタナ感も感じたり。私としては、もう少し素の音で聴いてみたかった、という気持ちも正直有るんですけどね。ですがその答えは、案外ライヴにこそ有るのかもしれませんね!
今年3月の代官山UNITでの初来日公演はソールドアウトし、Ustreamで生中継もされたとか。まさに日本での注目度もうなぎ上り。そしてフジロックではフィールド・オブ・ヘヴンに登場します。その話題性やメジャー感からてっきりグリーン当確かと思っていましたが、以外と奥地でしたね~。ですがそれも贅沢。ヘヴンで彼のテキサス魂を堪能しましょう!!
フジロック予習特集第4弾は、ブルース/ブルース・ロック界期待の大型新人、ゲイリー・クラーク・ジュニアです。
1984年2月15日、ブルースのメッカでもあり、ありとあらゆる音楽が集まるオースティンに生まれたゲイリー・クラーク・ジュニア。初めてギターを手にしたのは12歳の時。その後、有名なブルース・クラブ「アントン」のオーナー、クリフォード・アントンに見初められ、ジミー・ヴォーンにギターの手ほどきを受けたとか。07年頃には、オースティン・ミュージック・アウォードで「ベスト・ブルース・アーティスト」を受賞する程にかの地にその名が知れ渡っていたそうですが、それが全国区に轟いたのは、何と言ってもエリック・クラプトンのクロスロード・ギター・フェスティバルへの出演を果たした時でしょう。2010年でした。
こちらがその「Crossroads Guitar Festival 2010」出演時の「Bright Lights」の演奏シーン。
http://www.youtube.com/watch?v=x_ZeDn-hHGE
観客のほとんどが自分のことを知らないであろう大舞台で、堂々とオリジナル曲を演奏する姿は既に貫禄充分ですね。このフェスではクラプトンとはもちろん、シェリル・クロウとも共演したそうです。そしてゲイリーの才能に目をつけたのはクラプトンだけでは有りませんでした。なんと、それはアリシア・キーズ。ブルース・ギタリストという観点からクラプトンに注目されるのは分りますが、ここでアリシア・キーズが出てくるところに、ゲイリー・クラーク・ジュニアのただ者ではない資質が垣間見える印象です。
こちらは、2011年11月、アリシア・キーズがホストを務めるチャリティー・コンサート「Keep a Child Alive Black Ball」での一場面。ゲイリーとアリシアとの共演によるビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」です。
http://www.youtube.com/watch?v=ASJ5ePn9UdE
アリシアがゲイリーに惚れ込んでる様子が伺える共演ですよね。これ以来、ゲイリー・クラーク・ジュニアを紹介する文章にはほとんど例外無く“アリシア・キーズが絶賛する”みたいな枕詞が付くようになります。さらに新人らしからぬゲイリーの快進撃は続きます。今度は2012年の2月、ホワイト・ハウスにてオバマ大統領夫妻が主催する『In Performance at the White House: Red, White and Blues』に出演。ブルース/ロック界のレジェンド目白押しのこの催しに、まだメジャーからフル・アルバムの1枚も出していないゲイリーが大抜擢されたのです。(この時まだアルバム「BLAK AND BLU」は発売されてませんが、メジャー・デビュー作となった4曲入りのEPは発売されていました。)
こちらがその時の映像。オバマ大統領の目の前でミック・ジャガー、ジェフ・ベック、バディ・ガイと横並びで「Five Long Years」をセッション。
http://www.youtube.com/watch?v=y-jSaBg9_M4
既に様々な経験を積んで来たであろうゲイリーでしょうが、流石にこれは参ったでしょうね。ですがそんな風に見えないところが本当に末恐ろしい。レジェンド達の化け物じみた余裕(特にバディ・ガイ!)に飲まれがちでは有りますが、しっかりと存在感は発揮しているから見事。もちろんこれだけではなく、ゲイリーの見せ場も有りました。その一つが彼がエレキ・ギターで弾き語る「In The Evening (When The Sun Goes Down) 」。こういう味わいも有るんですね~。
http://www.youtube.com/watch?v=B1JCWH_NNvo
そしてこの時ミック・ジャガーに気に入られたのかどうかは知りませんが、ローリング・ストーンズの50周年記念ライブにもゲスト出演。2012年12月15日ニューアークのプルデンシャル・センターにて。この日のライヴは日本でも生中継されたのでご覧になった方も多かったのでは? ゲイリーはジョン・メイヤーと共に「Going Down」で登場。キースとロンも含めた4人でギター・バトルを繰り広げました。
http://www.youtube.com/watch?v=l4IQQ63Zj_M
いや~、この時のゲイリーのプレイには痺れましたね~! ジョン・メイヤーの淀みないスピーディーな弾きっぷりも見事ですが、ゲイリーの放つチョーキングのタイム感たるや! そしてそのフィーリングと言うか微妙なニュアンスはまさに黒人ブルース! 今時の若手でこういうブルース表現をする人って以外と少ないんじゃないですかね? 私はこれを聴いてゲイリー・クラーク・ジュニアは間違いなく本物!!と確信しました。ちなみにこの「Going Down」はテキサス出身のブルース巨人フレディ・キングの名演で知られる曲。この選曲も粋ですね。 そして今年6月12日にも、ゲイリーはストーンズのボストン公演にこの曲でゲスト出演したそうです。
さて、そんなゲイリー・クラーク・ジュニアが、2012年にワーナーから発表したメジャー・デビュー・アルバム「BLAK AND BLU」(写真)です。(WIKIによりますと、インディーからのデビューは2004年で、2010年までに2枚のアルバムと1枚のEPをリリースしていたようです)。1曲目「Ain't Messin 'Round」のドライヴするロック・チューンを聴くと、ブルースと言うよりジミ・ヘンドリックス~レニー・クラビッツの流れを感じます。思いっきりジミヘンの「Third Stone From The Sun」のカヴァーも有りますし。さらに「Travis County」で軽快なロックン・ロールを聴かせる一方で、アダルトでアーバンな雰囲気を醸す「Blak And Blu」や、ヒップ・ホップ的なセンスの香る「The Life」など個性豊かな楽曲が並びます。歪んだギターが暴れるヘヴィ・ブルース・ロック「Numb」も圧巻。もちろん本領発揮のマイナー調ブルース「When My Train Pulls In」も有ります。個人的にはファルセット・ヴォイスが印象的なバラード「Please Come Home」にやられました。この曲でのスウィートなギター・ソロがまたお見事!
ブルースという枠にはまったく納まり切らないゲイリーの懐の深い才能に驚かされます。ソウルフルなブルースロックに先人達へのリスペクトが濃厚ながら、ディープになりすぎないライトな感覚や、全体的にエフェクトがかかっていて、ちょっぴりサイケやガレージっぽい雰囲気を醸しているところなどには現代的なオルタナ感も感じたり。私としては、もう少し素の音で聴いてみたかった、という気持ちも正直有るんですけどね。ですがその答えは、案外ライヴにこそ有るのかもしれませんね!
今年3月の代官山UNITでの初来日公演はソールドアウトし、Ustreamで生中継もされたとか。まさに日本での注目度もうなぎ上り。そしてフジロックではフィールド・オブ・ヘヴンに登場します。その話題性やメジャー感からてっきりグリーン当確かと思っていましたが、以外と奥地でしたね~。ですがそれも贅沢。ヘヴンで彼のテキサス魂を堪能しましょう!!