ルーツな日記

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上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト@ブルーノート東京

2014-01-06 17:57:19 | ジャズ
2013年12月31日、ブルーノート東京で行われた上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトによるカウントダウン・ライヴに行ってまいりました!! 昨年12月28日から今年の1月3日まで、1週間に渡る彼女のブルーノート公演の中でも、まさしくハイライトとなるであろう年越しライヴです。

私が案内された席は、ピアノ斜め前の最前列、上原さんの表情も身体の動きも全て間近で観れる席。でも手元だけはピアノに隠れて見えないんですけどね。ですがこんなスペシャルな公演を、まさに手を伸ばせば届きそうな場所で観れるんですから、手元が見えなくても満足ですよ! もう席に着いたその瞬間から、目の前で繰り広げられるであろうカウントダウン・ライヴに思いを馳せては早くも興奮状態でした。

思えば、チケットを予約するのも大変だったんです。PCにかじり付き、激戦と悪戦苦闘の末にほとんど奇跡的に1枚をゲット出来た訳なのですが、予約完了にこぎ着けたその瞬間は、思わずパソコンの前で両腕上げてガッツポーズでしたよ! あの達成感は半端ありませんでした! さらにライヴ当日は少しでも良い席で観ようと早朝から並びましたしね。でも寒空のもと常連さん達と共にブルーノート前に並ぶ大晦日と言うのも、なかなかオツなものでしたけどね。

さて、テーブルには既に一人一つずつのクラッカーが用意されている。そうか、これを元旦0時にみんなで鳴らすんだな、と思いつつ、今回の公演を記念した特別メニューに目を通したり。上原さんとブルーノート東京によるコラボメニューは「終わりよければすべてよし」と名付けられたカクテルと、何故か「ちゃんぽん」、そして「ごま団子」。せっかくだからどれか頼もうか?なんて考えてると、目の前の大型ビジョンに上原さんが映し出され、なんか小芝居しながら自ら「ちゃんぽん」を食べて楽しそう。まあ、要するに宣伝なんですけど、こんな可愛いくて面白いの見せられたら頼まない訳にいきませんよ!!

そうこうしているうちに客電が落ち、いよいよショーのスタート。客席後方からステージに向かう上原さんへ拍手歓声が沸き起こる。そしてステージに上がった上原さんに一際大きな歓声が向けられる。アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスもステージに登り、いよいよ最強トリオが目の前に。ピアノの前の椅子に腰掛け精神統一する上原さん。サイモンのカウントで始まったのは「Desire」。ライヴで何度も聴いたこの曲ですが、ブルーノートというクラブで聴くと、やはり臨場感と言うか、生々しさが半端無い!聴くと言うより体感する感じ。上原さんも1曲目から手加減無しの全開ですし、まるで要塞のようなドラムセットから繰り広げられるサイモン・フィリップスのドラミングの迫力も凄まじい。そしてアンソニー・ジャクソンのゴツゴツとして地を這うようなベースラインが躍動する!!

1曲目からこれぞ上原ひろみ!これぞトリオ・プロジェクト!な演奏で場内を興奮の坩堝に叩き込んだ彼女達ですが、驚かされたのは、その後に新曲を3曲ぶっ続けで披露したこと。今回のライヴは上原さん自身が「新曲祭り」と公言するステージでしたが、彼女のその自信溢れるヴァイタリティーには本当にワクワクさせられます。でまたその新曲達が格好イイー!!

難解なリズムや複雑な曲展開をこれでもか!と繰り広げる変態振りに、情緒豊かなメロディと、キャッチーなポップさが相見えるカタルシス。研ぎ澄まされた感性と溢れ出る想像力、そして熱い熱い情熱がマグマのように絡み合いながら、緻密且つダイナミックな音空間を作りあげていく。「VOICE」~「MOVE」~そして現在へと、確実にトリオの“極限”を塗り替えていく。その異次元的音像にはただただひれ伏すしかありません! 個人的には特に、アンソニーの超高速ランニング・ベース的な低音グルーヴが圧巻だった新曲2曲目に痺れました! あと、新曲3曲目のスロー・ナンバー(「Fire Fly」って言ってたかな?)には、1音1音、全てに震えるほど聞き惚れました。上原さんの入魂振りも素晴らしかったです!

さて、時は着々と刻まれ、2013年もいよいよ暮れようとしているその頃、始まったのは「MOVE」から1日の終わりを告げる曲「11:49PM」。あ~、これで今年も終わりか、と思いつつ、即興大好きなトリオの演奏がちゃんと年内に終わるのか何となくドキドキしたり。大型ヴィジョンでは既にカウントダウンの時計が映し出され、刻々と新年が近づいている。格テーブルにはシャンパンが用意され、いよいよという雰囲気が高まってくる。しかしそんな状況つゆ知らずな集中力で入魂の演奏を続ける上原さん。間もなく新年を迎えようというところに差し迫っても、演奏の熱は冷めようとしない。これ、どうなるの?と場内ソワソワし出した頃、ようやく演奏が終息へと導かれる。そしてあと5秒というところでサイモンの鳴らす鐘のような音と共に終曲。4、3、2、1、0。上原さんはガッツポーズをとるように大きく腕を振り上げる。クラッカーがパーン!パーン!と鳴り響き華やかな新年が明ける。

私はと言いますと、すっかり上原さんに目を奪われ、クラッカーのことなど忘れていました…。後ろから鳴り響いたクラッカーの音で我に帰り、慌てて手元のクラッカーを取りパーン!と鳴らしたものの、思いっきりタイミングを外してしまいましたけど、そんな細かいことどうでもいい程に幸せな年明け。グラスを持ったサイモンが前に出てきて「ハッピーニューイヤー!」と乾杯。で、上原さんは…、ピアノから動かずに冷めたような目で我々を見ているんですよ。ピアノに左手で頬杖ついて、右手で鍵盤を“タタン!タタン!”と叩きながら。あれ?これって「Move」のイントロじゃん!

一日の時間の流れを追ったアルバム「MOVE」。その終わりを告げる最後の曲が「11:49PM」ならば、1日の始まりを告げる目覚めの曲が「Move」なのです。上原さんの弾く「タタン!タタン!」という響きは目覚まし時計を模したもの。上原さんの冷めた表情はまるで「年明けに浮かれるのも良いけど、もう朝なんですけど~。」とでも言っていよう。そんな上原さんを見て場内も沸きに沸く。サイモンが慌ててドラムセットに戻り、慌ただしく始まった「Move」。これまでになく歓喜の色を帯びたかのような高揚感溢れる演奏。感極まった観客達の声援に応えるように熱を帯びていく上原さんのピアノがまた素晴らしい。も~痺れっぱなし!!

終わった後にようやく上原さんも「あけましておめでとうございます!」だったか「ハッピーニューイヤー!」だったか記憶が定かではありませんが、とにかく新年の挨拶を叫んでました。観客達はもちろんスタンディング・オベーション。上原ひろみ、アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスの3人と共に新年を迎えた喜びを会場全体で分かち合う。あ~、なんて幸せなライヴ!!

そしてアンコールは2回。1曲目には、上原さんが新年の抱負として「今年もリスクを負って生きていきたい」と語り、それを早速実行するかのごとく新曲(「Life Goes On」って言ってたかな?)をぶつけてきました。これがまた格好良い!そして鳴り止まない拍手に再度登場しての2曲目が「Margarita!」。天晴でした!


それにしてもあのカウントダウン、「11:49PM」から「Move」への展開にはやられましたね。確かに上原さんがカウントダウンの秒読みを仕切るような姿は想像できなかったんですよ。ピアノを弾く姿はあんなにエネルギッシュなのに、いざMCになると突然ふにゃふにゃの脱力系になってしまうんですから。この日もいつもの調子で「大晦日なのに来てくれて~」とか、「せっかくアルバムを聴いてきてくれたのに新曲ばっかりで~」みたいなことを微笑ましくしゃべってましたしね。どんなカウントダウンになるのかと、ちょっぴり心配だったのですが、全くもって見事なカウントダウンでした。

だって年明け5秒前に「11:49PM」を終え、数秒で新年を迎え、間髪入れずに「Move」ですから。後で知ったことなんですけど、「11:49PM」を弾き始めたのも実際に11時49分だったとか。なんですか?この緻密なタイムコントロール!!さらに新年を喜ぶ時間すら惜しむかのように演奏を急かす上原さんの姿は今思い出しても相当面白いんですが、これがジョークとして通じるのも、練習の虫として知られる上原さんならではですよね。いや、案外半分は本気だったかも?なんて思ったり。

まあ、とにかく、素晴らしいカウントダウン・ライヴでした!!





こちらがブルーノート公演の特別メニューとクラッカー。1品ごとに上原さんのコメントが入っていて楽しい。「終わりよければすべてよし」というポジティヴ指向のカクテルも上原さんらしいですよね。残念ながら私はお酒が苦手なのでカクテルはパスしました…。ちなみに1月3日まで続いたこの公演、元旦以降は「聴き初め(ききぞめ)」というカクテルに変わったそうです。



こちらは「ちゃんぽん」。魚介が入ってて美味しかったです。少なめの麺も小食の私にはちょうど良かったかも。



こちらが噂のごま団子。ごま団子が一つしか入っていないのに1,600円もすると話題騒然でしたが、さすがブルーノート! 上原さんのコメントには「何個でも食べられてしまう危険なおいしさ!」とありましたが、1個しか入ってないんですからホント危険。でも美味しかったですよ! 確かにごま団子は一つしか入っていませんが、その下にはフルーツ、さらにその下には杏仁豆腐が隠されていまして、それがめちゃくちゃ美味しい!! こんなお洒落な中華デザート、なかなか食べられません!



こちらがカウントダウン直前に配られたシャンパン。ちなみにカウントダウン・ライヴのお値段は、チャージ+グラスシャンパンで11,000円でした。通常公演が8,400円ですから、単純計算で1杯2,600円!! なんてブルジョア!!



開演前に流れた、嬉々としてちゃんぽんを食べる上原さんの映像も記念に。



いや~、今思い出してもホント贅沢な年越しでした~。


ちなみにアンコールの後、最前列の特権を行使し、上原さんとハイタッチ!という程しっかりしたものではありませんが、右手の手のひらを軽く、ちょんと合わすことが出来ました。サイモン・フィリップスとはしっかり握手してもらいました。アンソニー・ジャクソンは素通りでした。うん、これがトリオ・プロジェクト! 3人とも大好きです!素敵な年越しライヴをありがとうございました!!






(上原さんだけ“さん”付けで、サイモンとアンソニーは呼び捨てになってしまっていますが、特に他意はございません。この辺りいつも悩むんですけど、日本のお名前には“さん”を付けますが、外国のお名前には付けない方がしっくりくるんですよね~、何となく。)






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