ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ルーマー@ビルボードライヴ東京

2013-05-17 20:20:05 | SSW
RUMER / SEASONS OF MY SOUL

5月16日、ビルボードライヴ東京にて、ルーマーのライヴを観てまいりました。2nd作となるカヴァー・アルバム「BOYS DON'T CRY」も評判を得る英国の女性シンガー・ソング・ライター、ルーマー。私が観たのはこの日の2ndショー。中央やや後ろ辺りの席から鑑賞させて頂きました。

デビュー作「SEASONS OF MY SOUL」から「Come To Me High」で始まった彼女のステージ。バックはピアノ、ドラムス、ベースの3人といういたってシンプルな編成。音数の少ない、ジャジー且つ落ち着いた演奏に彼女の優しくナチュラルな歌声が染み入っていく。軽やかな「Am I Forgiven」、ホール&オーツのカヴァー「Sara Smile」、メロディーを柔らかく素直に捉えるその歌声が心地良い。ですがその心地良さが深みに転じてきたのは4曲目の「Slow」辺りから。彼女の飾り気の無い聴きやすい歌声は、さらさらと流れていくようでありながら、実は聴く者の心の奥深くを捉えて離さない。続く「On My Way Home」のしっとりとした陰影も秀逸。常に一定のトーンに保たれたその歌声の持つ不思議な魅力に、ゆっくりと会場が包まれていく感じ。

そしてアート・ガーファンクルで知られる「Travelin' Boy」。ポール・ウイリアムズとロジャー・ニコルスの共作曲ですが、これが素晴らしかった! この曲、ホント良い曲ですね。この夜、ルーマーの歌うこの曲を聴いてあらためてそう実感しました。彼女の素直な歌唱が、曲の魅力、メロディーの美しさを一層輝かせる。彼女の歌声はまるでメロディーに導かれるようであり、まるでメロディーと一体となって語りかけてくるようでもある。ホント参りました。

続く「Blackbird」、そして「Aretha」はデビュー作中でも印象深いオリジナル曲。柔らかな歌声のしじまからエモーショナルが揺れるよう。「Aretha」でのちょっぴりブルージーなフィーリングも素敵でした。さらにバート・バカラックの「Alfie」、そしてキャロル・キングなどから続くSSWとしての資質を伺わせる「Take Me As I Am」からトッド・ラングレンの「Be Nice To Me」と、カヴァー曲とオリジナル曲の配分も見事。

ステージも終盤に入って「Thankful」。メロディーを静かに語るように紡ぐ歌唱にうっとり。ピアノとベースのみのバックも印象的でした。本編ラストは「Goodbye Girl」。センチメンタルな曲ながら爽やかな希望を感じさせる、最後に相応しい演奏。彼女の歌声が心に染みる。ああ、もっと聴いていたい…。

ルーマーはパキスタンで生まれ、英国に帰国後に両親が離婚、父親に引き取られますが、7人兄弟のうち末っ子の彼女だけが実はその父親の子ではなかったという辛い少女期を過ごしたそうです。デビューも31歳と遅咲きの苦労人と知られています。ですがその朗らかでゆったりとしていながら真っすぐな歌声からは、苦労よりむしろ暖かな希望を感じさせられます。私はそんなルーマーの歌声に、この夜、とても惹かれました。しっとりとした優さの奥に、しっかりとした力強さが宿っているような、そんな美しい歌声。

さて、ステージではアンコールを求める拍手が続く。そしてピアニストが弾き始めた弾力のあるリフがリードして始まったこの夜唯一のアップテンポ曲。なんと「Lady Day And John Coltrane」。ギル・スコット・ヘロンですよ! これは最新のカヴァー・アルバムにも入ってない曲。ルーマーの引き出しの多さにびっくりしましたね。こういう曲を歌うルーマーも凄く良い! もちろんアップテンポだからって特にハメを外したりしません。じわじわとグルーヴ感を染み込ませてくる感じ。やはりルーマーはあくまでもルーマー。でもそこが良いんです! そして当然、ギル・スコット・ヘロンと同時にビリー・ホリデイとジョン・コルトレーンへのリズペクトも含んでるんでしょうね。なんかワクワクしちゃいました。ピアニストのスピード感溢れるソロも格好良かった!

これで終わりと思いきや最後にもう1曲。告げられた曲名は「Sailing」。ギル・スコット・ヘロンからクリストファー・クロスですよ。この落差が面白いですが、彼女が歌い始めればそんな落差を感じさせないから流石です。

1時間強と短い時間でしたが、美しい歌声と、美しいメロディをたっぷりと堪能させて頂きました。まさにメロディーに愛された歌声。今の時代、なかなか希有な存在だと思います。


この夜のセットリスト↓

01. Come To Me High
02. Am I Forgiven
03. Sara Smile
04. Slow
05. On My Way Home
06. Travelin' Boy
07. Blackbird
08. Aretha
09. Alfie
10. Take Me As I Am
11. Be Nice To Me
12. Thankful
13. Goodbye Girl
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14. Lady Day And John Coltrane
15. Sailing



写真は彼女のデビュー・アルバム「SEASONS OF MY SOUL」。最新作「BOYS DON'T CRY」がカヴァー作品のためか、こちらからの選曲の方が多いセットリストでした。終演後にサインを頂きました。


2 コメント

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私も同じLIVEを楽しみました! (Blackleaf)
2013-05-18 15:11:21
こんにちは。
私も5月16日の2ndステージを聴きに行きました。しっとりした歌声に、とても癒されましたね。
私もライブの後、サインを頂いた際、次はどこの国でライブやるの?と質問したら、何と今、おなかに双子の赤ちゃんを身ごもっていて、オーストラリアを周った後、その準備をするとのことです。出産は11月の予定とか。本人からそんなステキなニュースを聞くことが出来て嬉しかったです。
元気な双子の赤ちゃんが無事生まれてくるよう、祈りましょう。
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ありがとうございます! (moccho)
2013-05-19 23:29:57
Blackleafさん、コメントありがとうございます!

同じライヴをご覧になってらしたんですね。素敵なライヴでしたね。私も癒されました。

ルーマーさん、おめでただったんですね~。しかも双子ですか!! びっくりしました。
私も赤ちゃんが元気に生まれてきますよう、祈っています。

素敵な情報をありがとうございました。
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