哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

ノーベル平和賞

2011-10-17 00:04:00 | 時事
 今年のノーベル平和賞は、女性3人に授けられるという。政治家、平和運動家、人権活動家の3人だが、そのうちの平和運動家の紹介では、反戦のため「戦争に関わる夫や男性とはセックスをしない」というセックスストライキ運動を呼び掛けたとあり、それが内戦終結に貢献したそうだ。

 このことは、男側が戦争と性欲について主導する側であることを前提とする。男女の区別は生物学的差異にすぎないといっても、男側の方が好戦的かつ好色的な性格を持つようである。それにしても、セックスができないなら戦争を止める、ということになるという男側の反応は、戦争を起こす理由が実は全く無いことをさらすようで、笑えてしまう。戦争より性欲の方が大事に思える程度の理由での戦争ならば(それが性欲だけでなく、子孫を残したいという欲望であっても同じだが)、戦争を起こすことのバカバカしさにどうして気付かないのか。当事者となるとなかなかそこまで思い至らないのかもしれないが。


 実は性欲の話では、池田晶子さんは面白い文章を書いている。池田さんがわざわざ性欲について文章を書くに至った理由はよく知らないが、もしかしたら雑誌の特集とかに合わせたのかもしれない。



「「金と女」と言う。あるいは「色と欲」と言うこともある。人間の、とくに男を衝き動かす原動力は、せんじ詰めればそれである、古今東西それに決まっているという居直りを合意している。
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 本当に哲学的にものを考える傾向のある人間にとって、金と女とは、実は欲望の対象にはなり得ない。そういうものは、「しょせん」この世の現象であって、考える人間が真実に欲望するものではあり得ないのである。
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 哲学者は、性欲を大脳で昇華するのである。あえて科学的に説明すると、そういうことだと私は思っている。」(『人間自身 考えることに終わりなく』「性欲を昇華する哲学者」より)