哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

日めくり池田晶子 42

2011-07-16 01:55:00 | 哲学
 今回は日めくり池田晶子1で引用した同じ文章内で、その後ろの方にある文である。考えるということは、決して慰めにつながることではない、ということを、冷酷に宣言している。「人は、自分の望むようにしか生きられない」という謂いも、確かに当たり前と言えばそうである。そして、池田晶子さんの本の帯にある「悩むな、考えよ」という謂いは、池田晶子さんを最も端的に表現していると思う。




42 考えるということは、残酷なことである


 ぐずぐず悩むことに人を甘やかさない、ありもしない慰めで人を欺かない、人生の真実の姿だけを、きちんと疑い考えることによって、はっきりと知るというこのことは、なるほど、その意味では残酷なことである。むろん、残酷なる真実を知るよりも、甘たるい悩みに憩っていたい人は、そうすればよろし。人は、自分の望むようにしか生きられないというのも、これはこれでまた残酷な真実であろうからである。(『残酷人生論』「プロローグー疑え」より)