哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

政治家の信念

2011-07-11 07:28:00 | 哲学
 菅首相については、以前に民主党代表を辞めた時期くらいに池田晶子さんも書いたことがあるので、紹介しておこう。菅首相がかつて、代表を辞任して「自分探し」のために四国遍路をした頃の話だ。確かこの時、いろいろスキャンダルやらあったように記憶している。菅氏は、奥さんから脇が甘いと叱られたと話題になったように思う。



「本物の政治家に必要なものと言えば、言うまでもなく、強い信念であろう。誰が何を言うのであれ、どのように世間に叩かれるのであれ、決して動じない信念であろう。その信念をもってやってきたことが、世間に通用しないという現実に至るのは、言わば政治家の宿命であって、そこで動じるようであっては、政治家として未熟であろう。

 たとえば政治家の場合では、その人の政治的信念や歴史観が常に問われているわけである。ある現実に直面した政治家は、本気でそれを自身に問う。如何に決断するべきか。如何に行動するべきか。この時、もしその人が本物ならば、その政治家信念や歴史観の前に、私的な判断や思惑など、当然どうでもいいことになる。「自分」なんてものはないはずである。これを正しく「無私」と言うのであって、この無私があるからこそ、政治家としてのその人は存在するのである。」
(『勝っても負けても』「政治家の自分探し」より)



 なんだか池田晶子さんの言葉も、今の菅首相を応援しているような内容に見える。もちろん池田さんは、政治家一般について正論を言っているにすぎないが。問題は、今の菅首相が抱いているはずの信念が何であるかだ。世間に何と言われようとも動じないのはよいが、それを後世においても崇高な信念であると評価できる内容であることを望むばかりである。