哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

子供は哲学する(週刊新潮今週号の「人間自身」)

2006-03-11 03:30:48 | 哲学
 池田晶子さんの週刊新潮連載「人間自身」今週号は、「子供は哲学する」という題でした。新聞社(朝日)の企画で中高生に授業をしたそうです。主なところを要約しつつ抜粋します。

「考えることを教えるのは、実は難しい。「考える」とは「精神が本質を洞察する」ことだが、これを行っている大人が滅多にいない。大半は本質の洞察など行わず、現象と共に浮沈しているだけである。
 人が本当に自ら考え始めるきっかけは、存在の不思議に驚くことだけだ。驚いて、それを知りたいと切望する。しかし、驚くことはある種の感性だから、やはり教えるのは難しい。
 とはいえ、若い方がその種の感性に開いているのは間違いない。」


 ということで、池田晶子さんが名門進学校や中学1年生に教えたところ、手ごたえがあったことが書かれています。

 若いころは確かに感性豊かだったかもしれない、と自分の乏しい過去を思い出しても、そう思うことがあります。同じ「存在の不思議」に驚いたとしても、41歳と14歳では「驚く」程度に雲泥の差があるのかもしれません。脳科学の受け売りですが、15歳位で完成した脳は、その頃から脳細胞が大量に死滅していくそうですから、大人の感性が鈍るのも当たり前かもしれません(なんでも脳のせいにするのは池田晶子さんの嫌う言い方ですが)。

 そもそも感性が鈍り、池田さんほどにも「考える」訓練もしてこなかった大人たちが、子供たちに「考える」ことを教えることは到底無理ですから、本当は、子供への授業よりも大人への授業がもっと必要ですよ。