哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

『おまけの人生』(先週の週刊ポスト書評)

2005-12-08 03:49:10 | 
 先週の週刊ポストでの池田晶子さんの書評は、本川達雄さんという方の著書『おまけの人生』でした。今回は池田晶子さんにしては、比較的まともな本の紹介で、きちんと誉めておられました。ちなみにこの本は科学エッセイだそうです。

 池田晶子さんの書評の主題は「生物学の視点で『正法眼蔵』を読んでみせる自在にして全的な視野」というもので、物理学を中心とする科学教ではなく、多様性・個別性を普遍的に理解しようとする生物学的思考が、お金を至上とするこの時代に必要とのことです。また生物学の視点で『正法眼蔵』を読むこと、とくに道元の時間論を取り上げている点も高く評価しています。

 書評の最後がまとまった文だったので、そのまま掲載します。

「なるほど「科学」は、「世界」の理解に貢献したかもしれないが、「自分」もしくは「自分の人生」を理解するためには、ほとんど無力である。人生は物理的な時間に乗って流れ、行き着く先は老いと死だけ。それで人は若さの時間にしがみつくことになる。しかし著者によれば、人間の老いの時間は、生物学的には「おまけの人生」。だからこそ、「尽力経歴(じんりききょうりゃく)」しようではないか。」