かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

一茶かるた

2013-03-13 06:14:23 | アズワンコミュニテイ暮らし

 居間のテーブルの上に洒落た本のようなものが置いてある。

 近づいてみると、「一茶かるた」

 「これ、どうしたんだい」と妻に聞く。

 「学習支援のとき、子どもと遊ぶので買ったのよ」


 妻は、週二回木と金の夕方1時間、鈴鹿・箕田にある養護施設

に行く。それぞれの曜日に、二人の小学生の子のお母さんとして、

宿題をみたり、いっしょに遊んでいる。


 一茶の俳句は、耳慣れている。

 おもわぬときに、ある情感とリズムで口をついてでくるときがある。

 かるたを一枚一枚、字を読んで、絵と合わせてみた。

 切り絵はこころに滲みる。

 

  一茶の俳句は、動物を観察している句がなじんでいる。

 「一茶かるた」のなかに、わが愛すべきかたつむりの句が

二つも選ばれていた。


 この句は、どんな情感をそのコトバの底に蔵しているのか

という句もあった。



 おもいだしたことがある。

 一茶の俳句をめぐって、「理解する」ことについてかんがえたこと

があった。

  

   手向くるやむしりたがしり赤い花


 この句は一茶がとても可愛がっていた幼い女の子が死んでしまった

とき、悲しみを抑えて詠んだものだという。

 それが分かっても、「むしりたがりし 赤い花」がどんな意味か

詠んで湧いてくるものがない。

 この句は柳田国男が日本人の生活とその感覚について洞察した

際、その実例にしたものだという。


 きのうの晩、小1の孫の晴空(はるく)が一茶かるたを見つけた。

    かたつむり そろそろ登れ 富士の山

を、何回か声を出して読んでいた。

 晴空は、どんな世界でそれを読んでおるのだろう?


 おとといの朝、寝坊して学校に行きそびれた晴空と近くの神社に

梅を見に行った。

 行く途中、晴空が「何時?」と聞いてきた。

 「梅をやめて、学校に送っていこうか?」

 「やあだ」

 あれ、晴空は、学校に行こうという気持ちもあるんだあ。

 子どものときのじぶんをおもいだす。こういうときの気持ち。

 「みんなから外れていて、なんとなく不安だけど、かといって

どうしてよいかわからない」

 

 次の朝、、娘の長屋(アパート)に顔出すと、学校へ行く

時間を過ぎて、晴空が宿題をやっていた。パジャマを着ていた。

 さて、晴空の運命や、いかに?

 夕方、娘から晴空のその後の顛末を聞く。

 

 娘は、そのあと晴空を遅れて学校に送っていった。

 ちょうど、教室の中は朝の挨拶がはじまっていた。

 晴空はワーワー泣き出した。

 担任の先生、娘いわく、「泣いている晴空をそこのけで、お母さん、

この子にさびしいおもいさせていませんか?」と問うてきた。

 「はい、あの、えー、そうですか」と娘?

 先生は晴空に「きのうはなぜ学校こなかったの?学校休んで、

何してたの?」

 晴空「梅を見に」

 先生「それって、ズル休みっていうのよ!」

 最初に、それかあ・・・・

 そのあと、「梅はきれいだった?」と先生。

 ああ、もう遅いのでは・・・

 

 子どもの世界というのがあるようにおもう。

 大人は大人の考えもある。

 子どもの挙動やコトバに現れてきたものを、大人のとらえかたで、

「そうだ」として、それに反応したらどんなことになるかなあ・・

 

 そんなことがあった日の夜、晴空といっしょに風呂に入った。

 「また、いっしょにでかけような」

 晴空「学校がない日に・・・」

 

 晴空の気持ちが分かっていたら、担任の先生はかんたんに

「ズル休み」と言えただろうか?

 

 一茶かるたは、これから養護施設の子どもと遊ぶのに使われる。

 その子にとって、独り占めにできるお母さんをつくるのが狙いという。

 妻は、地道に通い続けている。

 

 

 

 



 

 





     


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