かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

へだてなき世界へ

2016-11-09 19:19:42 | アズワンコミュニテイ暮らし

穏やかな秋晴れの一日でした。

「やさしい社会国際フォーラム2016」が10月29日、鈴鹿カルチャー

ステーションでありました。

 このフォーラムは毎年秋、ドイツから都市計画研究者のエクハルト・

ハーン教授をお呼びして、開催してきました。

 

けっこう、楽しみにしているイベントなんです。

今年のメインタイトルは

「自分達で創る自分達の持続可能な社会 」

わあ、漢字ばかりで、おまけに読むにも舌をかみそうで、あんまり

のびやかな感じがしないなあ、と思ってしまいました。


フォーラムのトップバッターはハーン博士。

二番手は、サイエンズ研究所の小野雅司さん。

トリが、京都大学名誉教授の内藤正明さん。

 今回のフォーラムでは、このお三方の息がとても軽妙に合って

きているなあと印象に残りました。

それぞれ、研究や実践の場は違っていても、1年一回の出会い

のもかかわらず、阿吽の呼吸が出来てきたいるみたいです。

 

ハーン博士は英語で穏やかに語りかけるように、

「タンカー型社会」から「帆船型社会」へのパラダイムの転換の

必要性とドイツ各地で、帆船型の街づくりの事例紹介をして

くれました。

ドイツでは、日本のフクシマの原発事故後、脱原発に舵を切ったん

ですね。

「大発電所から大規模に電力供給するシステムから、あちこちに

小規模でも、自活のエネルギーで暮らす、細胞のような村が出来

始めてるんです。」

「ゼロから立ち上げたエコビレッジもあるし、昔からある街を住民の

話し合いでエネルギー自給にかえていくケースもあります」


聞いていて、「ああこれが帆船型社会のイメージかもしれない。

”自分たちでつくる”とも言える住民の活動が広がってきているの

かなと思いました。

 

続いて、小野さんが研究所から見た鈴鹿コミュニテイの成り立ちを

紹介してくれました。


「2000年ごろから有志で”理想のコミュニテイをつくろう”とスタート

しました。

ところがやってみると、人間関係の行き詰まりやお互いが話し合いが

できないなど、いろいろな問題にぶつかったんですね。

「やりたい、やろう」だけでは、やれないんだなあ、と実感しました」

「そのとき、「それをどうしよう」という方へはいかないで、「なぜそういう

現れになるのか」その原因を研究しようとなりました」

聞きながら、あらためて、そうかと思いました。

「もろもろの問題をゼロから見直すということをしてきました」とも聞き

ました。

各々、理想を実現していくため、人との関係でも責め合いが

ないとか、遠慮や気兼ねがないとか、話し合える状態が先ず、日ごろ

の暮らしのなかに出来てくることが、どうも急所らしいと思いました。

そのような人間的なベースの上に産業としては、”おふくろさん弁当屋”や

”SUZUKA FARM"が出来てきたのでしょう。

街のなかには”鈴鹿カルチャーステーション”、地域とのつながりでは

”はたけ公園”や”すずかの里山”。

有志によるお金を介在させない暮らしの試みもある。

どれもこれも、ただいま進行中。

外観としては、都市型のエココミュニテイと見ることもできます。

 

人と人、人と社会の研究がもっとすすめば、もっとくっきりした現れになる

ような予感もします。

 

ドイツの実例からはじまったのですが、鈴鹿の試みも世界各地ある、

自分たちでつくる試みの一つのなんだと感じました。

 

 

内藤さんは、これまで国立環境研究所の所長として、日本の環境行政に

もかかわってきた経験があります。ハーン博士や鈴鹿の活動のような

ことは、やりたかったら、好きにやったらいいんです」といきなり切り出し

ました。

「日本の環境行政に意見を言ってきましたが、いざとなると、ことごとく

反対されつぶされてきました。私は、恨みツラミがあるんです」

とっても、気持ちを込めておっしゃるので、会場は大爆笑でした。

「東京湾の環境を正常な姿にして行こうと提言すると、財界や政府からは

埋め立てするから要らない。もし、そうしたいなら、その根拠を示せ、という

ことになるんです。簡単じゃないんです」

「地方で小規模でも、行政と組んで、環境をよくしようと言う試みをしようと

しても、いろいろな法律で規制されていて、出来ないようになっている」

聞いていると、だんだん希望が無くなっていきます。

今の日本ではどうしようもない、と行くところまでいって、そこから反転

しました。

「環境破壊は誰の眼にも限界にきているのですから、やれるところから、

自給自足して、生き残っていける小さなコミュニテイを自分たちでつくって

いくのには、理論的根拠があるのです。ノアの箱舟です!」

大うけでした。


会場が和気藹々、お互い気持ちを出し合える、近しい雰囲気になって

いたように感じました。

 

会場には鈴鹿市の市会議員の市川哲夫さんが見えていました。

議員になって以来、ずっと緑の街にしたいとやってきましたと話して

くれました。

すずかの里山で炭窯をつくるとき、山ノ神への神事に立ち会って

くれたりしました。

  


同じく市会議員の中山智博さんは、世界各地をまわっての環境や

街づくりの実際を見学してきて、鈴鹿市の将来の夢を語ってくれました。


教育委員の人も参加されていました。子育ての話をしてくれました。

フォーラムに鈴鹿の街づくりの夢も加わりました。

 

「自分達で創る自分達の持続可能な社会 」

何か、あとで振り返ると、それぞれ思いの丈を語っていたようです。

 

 

 

今回、一番印象に残ったのは、フォーラムの最後に紹介された

          NPOえこびれっじネットGEN-JAPAN

    http://genjp2015.wixsite.com/education

でした。

今年のフォーラムは、このNPOが主催しました。

代表の片山弘子さんが、おもしろ、おかしく、この団体の説明を

してれました。


「名称は、少し変わってますよね。ひらがな、カタカナ、アルファベット、

みんな使っちゃたんですね」

”GEN"は、グローバル・エコビレッジ・ネットワークの略。

なるほど・・・

 

「世界各地のエコビレッジの活動をネットワークする団体で、国連経済社会

理事会ECOSOC(エコソック)の諮問機関でもあり、新しい持続可能な社会

実現のための教育プログラムを推進している組織です。世界各地にその

の仲間たちがいますが、日本では、”えこびれっじGEN-JAPAN"が今年

設立されました」

えこびれっじGEN-JAPANは、日本各地のそういった活動をネットワーク

していくようです。

 

また、来年4月から

”Gaia Education Certified Design for Sustainability hosted

by Gen-Japan"

というプログラムを始めると紹介がありました。

     

      http://genjp2015.wixsite.com/education

 

これは、ユネスコ認証の教育プログラムと聞きました。

 日本各地のエコビレッジ活動や社会作りをしている人たちの協力で

つくられていくようです。

 

フォーラムが終わって、家路につきながら、湧いてきたこと。

願っている人たちが手と手を取り合って、豊かな地球、意見や考え

が違っても相争わなくてもいい、知性を伸ばし合える人間社会が

足下から現れてくる時代をつくっていきたいなあ、というもの。

やれるところから、ちょっとやそっとで壊れない実態をつくっていけば、

一見遠回りのようだけど、そこから現れてくると確信しています。


 「世界中のみんなで幸せになろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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