「自治体再構築における行政組織と職員の将来像~役所はなくなるのか、職員は不要になるのか~」という本を読みました。著者は今井照さんという方で、現在、福島大学行政政策学類教授です。(1953年生まれの元東京都職員だそうです。)私は、この方の著書はだいたい読んでいます。(大変読みやすい上に、内容は示唆に富んでいます。)
では、私がこの本を読んで「なるほど!」と思った10のポイントについて順番に紹介します。(かなり、強引につなげてしまいましたが・・・。)
①「行政は市民のアウトソ-シングである」が、この本の根底にある主張。市民が「税金」という一種の会費を出し合い、「行政サービス」を確保しているだけのこと。つまり、「何をどこからどこまでやるか」は市民に決定権がある。
②しかし!「最近のアウトソーシング論」はとんでもない。
「行政は肥大化してきたので、もうこれ以上はできません」(?) 「役所はここまでしかできないので、あとは市民の皆さんでやって下さい」(?)これを「補完性の原理」「近接性の原理」と称している人たちまでいる始末。(補完性の原理とは、「誰がやるのか」じゃなくて「誰が決めるか」という問題。)これを、「開き直り協働論」という。
③最近話題の「指定管理者制度」でさえ問題はある。個々の使用許可という行政処分まで委任でき、民間事業者でもできるということで、大きな飛躍とされた指定管理者制度だが、単なる委託契約ではなく、「指定手続きを行政処分にしてしまうというテクニック」(議会をかませる)が用いられており、この結果、相手先が全くの恣意によって選ばれてしまいかねなくなった。理論的にも、実践的にも、行政処分性というものを最大限無限化するような指向性を持つべきではないのか。
④役所の中には、閉塞感が漂っている。新しい事業を起こそうというより、どの事業をどこまで削るかに精力が注がれている。あまりにも困難な課題の前に萎縮している,あるいは思考停止状態になっている。原因は、団塊世代が年齢を重ねるごとに職層細分化をして対応してきたことか?これが、市民自治の観点から見た組織再編ではないことは明らか。
⑤これからは、市民が役所のなかに溶け込んでくるようになる。志木市は「行政サポーター」制度などで、市民を役所に入れているが、派遣社員、再雇用、再任用、臨時職員、アルバイトなど、多様なタイプの人たちも働く中で「正規職員」とは、どうあるべきなのか。(地方公務員法の欠点は、一日8時間勤務のいわゆる「正規職員中心」の体系になっていること。)
⑥旧態然とした組織風土を残しながら、「自分だけは大丈夫」と考える職員が多数派。むしろ、一部の感受性の豊かな職員の方が精神的に追いつめられるという悪循環がみられる。なんとかしなければ。
⑦唯一、希望を感じるのが、自治体職員達による勉強会などの動き。毎年夏に開かれる自治体学会などは、毎年、参加者数の記録を書き換えている。すごいと思うのは、沖縄道州制研究会の「沖縄道州制試論(骨子)案)」。こういった活動は、放課後の活動であり、職員は自分の時間と身銭をきって参加している。でも、これこそが「遊びの世界」ではないか。
⑧自治体再構築の最大の目標は何か。「地域で暮らし続けること」である。地域で暮らす人々が今後も希望する地域で豊かに暮らし続けることができれば、これ以上の目標はない。しかし。お金はない。お金を使わずに新しいシステムを構築するには、いままでは経済的価値と認識されない分野を活性化することが必要。社会的な関心や自発的な行為など、お金には換算されていないが、市民社会を成り立たせていた人や物の動きの価値を認めることである。
⑨職員に必要とされる政策形成能力とは、「政策法務感覚」・「スクラップ能力」・「市民的常識」の3つ。 「政策法務感覚」とは、これはおかしい、へんだと気づく能力。「スクラップ能力」とは、打たれ強い、タフということ。「市民的常識」とは、醒めた意思で自分をみつめるもうひとりの自分の視線を獲得すること。
⑩最大の資源は人である。。人と人がうまく絡まって回りつづける仕組みを準備しなければならない。
以上です。長時間にわたりおつき合いいただきまして、ありがとうございました。で、来週は⑦のところに書いた自治体学会に行って来ます。今井照さんにもお会いしたいと思っています。
※この要約作業の翌朝作った、ものすごーい手抜きのお弁当(3人分)です。ねむいーっ!
では、私がこの本を読んで「なるほど!」と思った10のポイントについて順番に紹介します。(かなり、強引につなげてしまいましたが・・・。)
①「行政は市民のアウトソ-シングである」が、この本の根底にある主張。市民が「税金」という一種の会費を出し合い、「行政サービス」を確保しているだけのこと。つまり、「何をどこからどこまでやるか」は市民に決定権がある。
②しかし!「最近のアウトソーシング論」はとんでもない。
「行政は肥大化してきたので、もうこれ以上はできません」(?) 「役所はここまでしかできないので、あとは市民の皆さんでやって下さい」(?)これを「補完性の原理」「近接性の原理」と称している人たちまでいる始末。(補完性の原理とは、「誰がやるのか」じゃなくて「誰が決めるか」という問題。)これを、「開き直り協働論」という。
③最近話題の「指定管理者制度」でさえ問題はある。個々の使用許可という行政処分まで委任でき、民間事業者でもできるということで、大きな飛躍とされた指定管理者制度だが、単なる委託契約ではなく、「指定手続きを行政処分にしてしまうというテクニック」(議会をかませる)が用いられており、この結果、相手先が全くの恣意によって選ばれてしまいかねなくなった。理論的にも、実践的にも、行政処分性というものを最大限無限化するような指向性を持つべきではないのか。
④役所の中には、閉塞感が漂っている。新しい事業を起こそうというより、どの事業をどこまで削るかに精力が注がれている。あまりにも困難な課題の前に萎縮している,あるいは思考停止状態になっている。原因は、団塊世代が年齢を重ねるごとに職層細分化をして対応してきたことか?これが、市民自治の観点から見た組織再編ではないことは明らか。
⑤これからは、市民が役所のなかに溶け込んでくるようになる。志木市は「行政サポーター」制度などで、市民を役所に入れているが、派遣社員、再雇用、再任用、臨時職員、アルバイトなど、多様なタイプの人たちも働く中で「正規職員」とは、どうあるべきなのか。(地方公務員法の欠点は、一日8時間勤務のいわゆる「正規職員中心」の体系になっていること。)
⑥旧態然とした組織風土を残しながら、「自分だけは大丈夫」と考える職員が多数派。むしろ、一部の感受性の豊かな職員の方が精神的に追いつめられるという悪循環がみられる。なんとかしなければ。
⑦唯一、希望を感じるのが、自治体職員達による勉強会などの動き。毎年夏に開かれる自治体学会などは、毎年、参加者数の記録を書き換えている。すごいと思うのは、沖縄道州制研究会の「沖縄道州制試論(骨子)案)」。こういった活動は、放課後の活動であり、職員は自分の時間と身銭をきって参加している。でも、これこそが「遊びの世界」ではないか。
⑧自治体再構築の最大の目標は何か。「地域で暮らし続けること」である。地域で暮らす人々が今後も希望する地域で豊かに暮らし続けることができれば、これ以上の目標はない。しかし。お金はない。お金を使わずに新しいシステムを構築するには、いままでは経済的価値と認識されない分野を活性化することが必要。社会的な関心や自発的な行為など、お金には換算されていないが、市民社会を成り立たせていた人や物の動きの価値を認めることである。
⑨職員に必要とされる政策形成能力とは、「政策法務感覚」・「スクラップ能力」・「市民的常識」の3つ。 「政策法務感覚」とは、これはおかしい、へんだと気づく能力。「スクラップ能力」とは、打たれ強い、タフということ。「市民的常識」とは、醒めた意思で自分をみつめるもうひとりの自分の視線を獲得すること。
⑩最大の資源は人である。。人と人がうまく絡まって回りつづける仕組みを準備しなければならない。
以上です。長時間にわたりおつき合いいただきまして、ありがとうございました。で、来週は⑦のところに書いた自治体学会に行って来ます。今井照さんにもお会いしたいと思っています。
※この要約作業の翌朝作った、ものすごーい手抜きのお弁当(3人分)です。ねむいーっ!