風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

宇宙へのロマン

2024-03-16 08:37:49 | 時事放談

 水曜の昼食時、食堂のTVニュースで、スペース・ワンの小型ロケット「カイロス」が発射される映像を見た。発射後わずか5秒で爆発したのは衝撃的だったが、何らかの異常を感知したロケット自らが爆破する飛行中断措置と聞いて、得心した。成功していれば、民間単独では国内初の人口衛星の軌道投入となるはずだった。

 宇宙への挑戦が続いている。

  JAXAの基幹ロケット「H3」初号機は昨年3月の打ち上げには失敗したが、2号機が今年2月に成功した。「H3」が数トン級を輸送するのに対し、今年度JAXAが投入する「イプシロンS」は数百キロ級、それ以下なら「カイロス」と、ラインナップが揃うことが期待されている。次は是非とも成功して欲しい。

 NASAやイーロン・マスクや中国のように資金が潤沢にあるわけではないが、日本らしい挑戦が続いている。

 小惑星探査機「はやぶさ」の旅はなんとも心細くも力強く壮大だった。小型月着陸実証機「スリム」もまた派手さはないものの、目標地点から半径100m以内を目指すピンポイント着陸に世界で初めて成功するという快挙を成し遂げ、如何にも日本的なきめ細かな技術力が際立った。柔道の受け身のようなと形容された着陸はエンジンの不具合でひっくり返ってしまい、狙い通りに太陽光を受けられなくなったが、マイナス170度まで下がるとされる二週間の夜を乗り越え、再びデータを受信し、探査機が最低限、機能していることが確認された。比較しても仕方ないのだが、インドの無人探査機「チャンドラヤーン3号」は夜明けを迎えてからは通信を確立出来なかったそうで、カタログ性能では測れない品質の高さを見せつけた(もっとも、科学観測向け特殊カメラは起動したが不具合があり観測出来ないまま、スリムは再び休眠に入った)。

 ロマンなどと呑気なことを言っていられないほど、宇宙探査にも軍事の色合いが濃くなる世知辛い世の中だが、日本は日本らしく飽くまでロマンを追いながら、能ある鷹のように爪を隠して、静かに強かに爪を磨いていて欲しい。

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