風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

福島原発処理水のその後

2023-09-03 23:54:09 | 日々の生活

 前回ブログから一週間、中国からの嫌がらせは相変わらずだが、いろいろ異なる様相も見えて来た。

 基本的には内政に問題を抱える中国共産党が、人民の不満の矛先を外(日本)に向け、不満のガス抜きをしているのだろうとの見方が大勢を占める。少なくとも、2012年の反日暴動のときのように、当局が制御できないレベルではない限り、また、中国共産党の統治に批判が向けられない限りは、迷惑行為を取り締まることなく放置するのだろう。他方で、迷惑電話をかける人の素性はさまざまで、「愛国心に駆られた」人もいないわけではないが、「暇つぶし」「刺激が欲しかった」といった若者もいるようで(8月31日付 読売新聞)、東大の阿古智子教授は、「SNS上に電話をする様子を掲載して『目立ちたい』『閲覧数を増やして利益を得たい』といった人たちが中心だろう。中国では日本をおもしろおかしく批判すると、注目を集めやすい傾向にある。反日教育で日本に批判的な感情を持つ人や、処理水の海洋放出に憤りを感じて電話した人もいるだろうが、わずかだろう。」と言われる(同)。

 中国共産党による出鱈目な対応は、いつかは馬脚を現すもので、所謂「ブーメラン」として報じられ始めた。中国で塩の買い占めが起こっているほか、日本産だけでなく自国産の海産物を避ける動きがあって、漁業関係者の中には頭を抱える人も出て来たようだ。台湾メディアによると、カナダ・ヨーク大学の沈栄琴准教授は「中国人は海産物を検査するためにガイガーカウンターを購入した。その結果、放射能汚染は検出されなかった。一方、中国の建築資材は概して過剰な放射能汚染の問題を抱えており、それが発覚した。中国の建築物における放射能汚染の状況が珍しいものではないことが示されてしまった」と語り、中国の不動産問題に拍車をかける可能性がある。香港では、日系大手回転ずしチェーン店に連日行列ができていると報じられ(8月31日付 共同通信)、一部では日本食離れも起きているが、冷静な対応が目立っているようだ。

 王青さんによると、日本は民主国家であり、政府に対しての抗議やデモが許されていて、自由に発言できるが、ほとんどの中国の国民はそれを知らずにいるため、限定的とは言え日本の抗議行動の動画を見れば、「日本人全員が反対している」と読み取ってしまうのだそうだ(2023/09/01 ダイヤモンド・オンライン)。同じく、王青さんによると、国外にいる中国人のコミュニティーでは、最近、次のような書き込みが流行っているらしい。「貧乏人は、日本をののしり、抗議する。食塩を買いだめ、海鮮を食べないようにする。金持ちは移民するために国内の財産の処理に没頭する。日本に行き、海鮮料理に舌鼓を打つ。さて、あなたはどっちだ?」

 まさに、前回でも言ったように、狂騒曲のレベルだ。全体主義と言っても、中国政府と中国社会と、決して一枚岩ではない。

 他方、日本の農水相は中国の反応を「まったく想定していなかった」と発言して、恐らく習近平を大いに喜ばせただろうし、「汚染水」とつい漏らして、自ら風評被害を煽るかの如くで、各方面から叩かれた。緊張感がなさ過ぎる。前回ブログで「情報戦」と言ったが、日本のお国柄は余りにナイーブで、オメデタ過ぎる。

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