風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ポピュリズム?

2017-08-08 23:50:32 | 時事放談
 トランプ大統領が誕生した昨年末あたりまでは、トランプやルペンのことをポピュリストと呼び、既存政党が政策面で明らかに失敗していることに対する反発あるいは幻滅としてポピュリズムが台頭していると説明し、その危うさを憂慮したものだった。その後、ルペンもトランプも失速したために、お粗末な見かけ倒しの事態になって、ポピュリストと呼ぶこともなくなってしまったが、その間、他人事のように、さも距離を置いてきた日本は、果たしてポピュリズムとは無縁なのか!?引っ掛かっている。
 Wikipediaを引くと、「ポピュリズムとは、一般大衆の利益や権利、願望、不安や恐れを利用して、大衆の支持のもとに既存のエリート主義である体制側や知識人などと対決しようとする政治思想、または政治姿勢のこと」とある。そして「ここ数世紀の学術的定義は大きく揺れ動いており、『人民』、デマゴーギー、『超党派的政策』へアピールする政策、もしくは新しいタイプの政党へのレッテルなど、しばしば広く一貫性の無い考えや政策に使われた。英米の政治家はしばしばポピュリズムを政敵を非難する言葉として使い、この様な使い方ではポピュリズムを単に民衆の為の立場の考えではなく人気取りの為の迎合的考えと見ている」(同)とある。さらに「近年では、『複雑な政治的争点を単純化して、いたずらに民衆の人気取りに終始し、真の政治的解決を回避するもの』として、ポピュリズムを『大衆迎合(主義)』と訳したり、『衆愚政治』の意味で使用する例が増加している」(同)ともある。日本の政界で言えば、小泉パパや橋下さん、最近では小池都知事あたりが本来の意味でのポピュリストに近い存在なのだろう。今のところ日本にトランプやルペンは現れていないが、現象だけ見れば、日本の政治はこの崩れた意味でのポピュリズムと呼びたくなってくる。勿論、明確に主役としてのポピュリストがいるわけではなく、野党は単に言いがかりをつけて騒いでいるだけで、一部メディアが共犯者となって、ポピュリズム(=人気取りのための迎合的考え)的なものを扇動しているだけだ。もとより主体もなく、単純化された主張もない、なんだかイビツな、また、崩れた、といった感じではあるのだが。
 何故、そんなことを思うかと言うと、最近の政界はとにかく摩訶不思議だからだ。
 共同通信社が3、4両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は44.4%で、前回7月の調査より8.6ポイント上昇する一方、不支持は9.9ポイント減の43.2%で、ほぼ拮抗したという。何ということであろうか。この一ヶ月間、(都議選での敗北に続き)閉会中審査でも野党や一部メディアに叩かれ続け、政策面では当然のことながら何の進展もないまま、8月3日に内閣改造を発表しただけで、支持率が9%前後戻るとは・・・。
 実際、元環境相の小池都知事は、今回の内閣改造を「スキャンダルをリデュース(削減)する、もう一回閣僚経験者に頑張ってもらうリユース(再使用)、ちょっとリフレッシュする、ということで『3R』かな」などと(なかなか上手に)揶揄し、日本維新の会の松井代表は「内閣改造だけでは森友学園や加計学園の疑惑に関する説明責任を果たしたことにはならない。首相自らが説明責任を丁寧に果たすことが必要だ」と厳しく糾弾する一方、東アジア情勢が緊迫する中、河野洋平氏のご子息の河野太郎氏の起用は、タカ派の安倍に対するハト派の河野として国内外にバランスをアピールする効果は高いとか、小野寺五典氏の防衛相への起用は安定感があるとか、野田聖子氏は小池百合子都知事との関係も悪くなく、東京五輪に向けた都との関係づくり、都民ファースト対策などの面で期待されるとか、党四役を主要派閥で分けあうなど党内的にはバランス重視の挙党態勢を印象づけた、などと多少は評価する声もある。その上で、安倍首相は内閣改造の会見で、「加計学園問題に加え、森友学園や南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報問題を挙げ、『国民の不信を招く結果となった。改めて深く反省し、国民の皆さまにお詫びしたい』と述べ、7秒にわたり頭を深々と下げた」(産経電子版)というのは何とも異様だ。こうして禊が済んだと感じた人が9%ほどいたということだろうか。分かっていることだけれど、世論調査は所詮は人気投票だ。庶民感覚は大事だと思うが、いかにも軽い。そんな世論調査に、これほど一喜一憂するようになったのはいつの頃からだろう。支持率30%を切ったら危険水域だと、いつの間に誰が決めたのだろう。ポピュリズムと呼ぶのは本来の意味からは邪道かも知れないが、では何と呼べばよいのだろう。
 かたや民進党では、4月の長島昭久氏に続き、細野豪志氏も離党を表明した。まともな人(だと私が勝手に思い込んでいるだけだが)が次々に抜けて行って、いよいよ民進党は泥船になりつつあるが、細野氏だって、「自民党に代わる保守の受け皿となる新党の結成をめざす」と言うが、政局の中に位置づけられる限り、これまでとは変わらずとても期待できそうにない。民進党の代表選では、辛うじて前原氏が、共産党との連携に関して「政策、理念が一致しない政党と協力したり、連立を組んだりすることは野合でしかない」と述べ、慎重な姿勢を改めて示したというのはもっともだが、目指す国家像を示すこともなく、ただ「自民、公明両党に代わる受け皿をつくらなければいけない。次の衆院選で政権交代を目指す」と相変わらずお題目を唱えるだけでは、これも2009年と同じで政権交代そのものが目的と見られても仕方なく、やはり期待できそうにない。
 小池都知事は、「他の国がかなり混乱している中で、日本の政治の安定は重要。この政権でまずは安定してもらうことが必要だ」と、なかなかいいことを言うが、どう見ても野党はおろか自民党支持でもない「支持ナシ層」が最大勢力となるのも止む無しのテイタラクで、ここしばらくは不安定な状況が続くのだろう。やれやれ・・・
コメント
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