風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

上海の旅(前編)

2017-01-11 00:16:43 | 永遠の旅人
 三連休の二日間を使って二泊三日で上海に出張し、先ほど戻ってきた。相変わらず空港とホテルとオフィスを往復するだけの忙しない旅で、しかもカンパニー・カーを出してもらって移動することになると、安心し切ってぼんやりしてしまって、殆ど記憶に残らないところだが、あらためて、何かと中国品質を考えさせられた旅だった。
 一つ目、一応、高級な部類に入るホテルに備え付けのドライヤーは中国メーカー品で、まさかなあと、いやな予感を抑えつつ使い始めると、動きが鈍く、冷風しか出ず、その内、止まってしまった。暫くお休みして貰って、再びスイッチを入れると、動きが鈍く、冷風しか出ず、その内、また止まってしまった・・・。温風ではないと、ふんわり感が出ないことに気が付いた。なんだかなあ。
 二つ目は、現地で開発・製造・品質管理をしている同僚から聞いた話である。日本メーカー品と言えども、中国ではそれほど高品質なわけではないという。どういうことかと聞くと、例えば日本の家電メーカーの中国工場では、同じ製品モデルでも日本向けと地元・中国向けとでは、ご丁寧に型番を変えて品質レベルを変えているというのである(為念、中国などの新興国向けモデルのことを言っているのではない)。まあ、言われてみれば日本品質を中国で売ろうとしてもそれほど数が出ないだろうことは想像がつく(それでも中国メーカー品よりは高品質だろうが)。どうりで炊飯器だの化粧品だのウォシュレットだのの爆買いに向かうわけである。彼ら・彼女らは、中国では買えない「日本製」の日本メーカー品を求めていたのだ。今さらながらではあるが。そこでその同僚に、日本と中国とではどこが違うのかと尋ねると、極めるところだと言う。そしてそれは長年の蓄積によるのだと言う。確かに中国は、設計図は(盗んででも)入手するから、何でも作れるが、信頼性を伴わないと言われる。人民解放軍の艦船や航空機に日本製電子部品が使われているのを、これではいざというときに困るではないかと人民日報だか環球時報だかが指摘し、はしなくも人民解放軍の弱点を暴露して注目されたことがあった。
 三つ目は、言わずと知れた大気汚染だ。今回の上海の街並みがぼんやり霞んだ様は、やはり異様だった。現地駐在員はアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)が発表する空気汚染指数を使った「リアルタイム大気質指標(AQI:Air Quality Index)」なるサイトをチェックするらしく、このサイトによると今朝の上海の指数は158、ホテルの部屋から撮った近隣の景色はご覧の通りである。151を超えると“unhealthy”ということだ(参考までに0~50はGood、51~100はModerate、101~150はUnhealthy for Sensitive Groups、201~300はVery Unhealthy、301以上はHazardous)。Wikipediaによるとこのレベルの「健康影響」は「心疾患や肺疾患を持つ人、高齢者、子供は、長時間または激しい活動を中止する必要がある。それ以外の人でも、長時間または激しい活動を減らす必要がある」ということだが、上海の街でマスクをした人は殆ど見かけず、皆、普通に歩いていた。そして今、都内の私が住んでいるあたりを検索すると僅かに5~13程度である。今の中国を比すべき1970年代の日本も公害が酷かったが、それでも今の中国ほどではなかっただろう。それとも私たちは敏感に過ぎるのか。それは神経質なだけなのか、それとも耐性がなくなってしまってはいまいか。そのあたりは気になるところではある。
コメント
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