旧・民主党や民進党議員には、相手への批判が己に返ってくる「ブーメラン」が頻発すると、最近、メディアに揶揄されるようだ。
例えば、待機児童問題で安倍首相を厳しく攻め立て、先の民進党・結党大会で政調会長に抜擢された山尾志桜里衆院議員に「ガソリン代疑惑」が浮上した。出る杭を打たれたか、嵌められたのかは知らない。山尾氏は東大卒の元検事として舌鋒鋭く、甘利前経済財政担当相の秘書の金銭授受疑惑などを「秘書がやったことについて本人の責任が免れるものではない」などと徹底追及したものだが、自身が絡む疑惑については「(秘書の)監督が至らず、申し訳ない」と言うだけで、強気な姿勢は崩さず「役割を全うしたい」と政調会長を続ける考えを示したという。弁護士による調査結果には「第三者による独立の調査といえるのか。国民に納得して貰えないのではないか」と疑義を唱えたが、自身は「弁護士の力も借りて報告した」とあっさりしたものだ。監督責任についても「議員は知っていたと普通は考える」と批判しながら、自分の秘書によるガソリン代の不自然な支出には「気づかなかった」と開き直る。別に私は山尾氏に何か特別な恨みがあるわけではなく、ただの例示に過ぎないのだが、まあ、秘書が関わったことのレベルが違うとは言え、議員としての対応はやはりお粗末と言わざるを得ない。
山尾氏も山尾氏なら、岡田民進党代表も代表で、甘利前経済再生担当相の金銭授受問題を巡り東京地検特捜部が関係先の強制捜査に入ったことに関し、「甘利氏は説明責任を果たしていないので、しっかり説明してもらいたい。政治不信がこれ以上深まることのないようにしないといけない」と述べる一方、山尾氏の説明責任については、「大筋は説明したし、それに対して異論みたいなものは私はあまり聞いていない。監督責任はもちろんある。そこに問題があったんじゃないかということも彼女は説明していて、私は説明として一貫している思う」と、なんとも身内に甘い。
そこで、民進党には、「孫子・謀攻編」にある有名な言葉を捧げたい。
一つは、「知彼知己、百戰不殆」(彼を知り己を知れば百戦殆うからず(危うからず))で、通常、情報の重要性を語ったものとされ、情報化社会の現代にあっては、表面的な通り一遍の情報でなく、本質を衝いた精度の高い価値ある情報を如何に多く集めるかがポイントだとか、ここにいう彼(敵)は人とは限らず、問題解決に当たっても、その内容を吟味し、自分の力量を認識したうえで対処すればうまくいく、などと解説される。実は「孫子・謀攻編」では、これで終わりではなく、更に言葉が続く。「不知彼而知己、一勝一負」(彼を知らずして己を知るは一勝一負す)、そして更に「不知彼不知己、毎戰必殆」(彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし(危うし))。こうしてあらためて三つ並べてみると、「彼(敵)を知る」ことは重要だが、(情報化社会の現代にあっても)それほど簡単なことではなく、その意味では先ずは「己(味方)を知る」ことこそ重要であり、自分のこともまともに分かっちゃいないようでは勝負にならないよ、といったところであろうか。とかく人は自己評価には甘くなりがちだからだ。民進党を見ていると、政権与党の自民党を攻めることには熱心だが、自らを知らな過ぎるのではないかと、甚だ心許ない。
時期はちょっと遡るが、共同通信社が3月26、27両日に実施した全国電話世論調査によると、民進党に「期待しない」との回答は67.8%に上り(一方の「期待する」は26.1%)、政党支持率に至っては僅か8.0%にとどまって、前回調査(2月)で民主党(9.3%)と維新の党(1.2%)が得た支持率を足した数値を下回ってしまった。岡田代表は「自民党に代わって日本の政治を担い得る政党」を目指し、衆院選での単独過半数獲得を大眼目に掲げるというのだから恐れ入る。志やよし。しかし自己認識は冷静かつ客観的でないとねえ・・・。このあたりをビジネスの世界になぞらえるならば、まあ弱者連合の合併なんてのはそんなもので、取らぬ狸の皮算用よろしく、シェアを落とすのは珍しいことではない。お気の毒だが、今のままでは次の選挙でも勝ち目はなさそうだ。
続きは次の機会に。
例えば、待機児童問題で安倍首相を厳しく攻め立て、先の民進党・結党大会で政調会長に抜擢された山尾志桜里衆院議員に「ガソリン代疑惑」が浮上した。出る杭を打たれたか、嵌められたのかは知らない。山尾氏は東大卒の元検事として舌鋒鋭く、甘利前経済財政担当相の秘書の金銭授受疑惑などを「秘書がやったことについて本人の責任が免れるものではない」などと徹底追及したものだが、自身が絡む疑惑については「(秘書の)監督が至らず、申し訳ない」と言うだけで、強気な姿勢は崩さず「役割を全うしたい」と政調会長を続ける考えを示したという。弁護士による調査結果には「第三者による独立の調査といえるのか。国民に納得して貰えないのではないか」と疑義を唱えたが、自身は「弁護士の力も借りて報告した」とあっさりしたものだ。監督責任についても「議員は知っていたと普通は考える」と批判しながら、自分の秘書によるガソリン代の不自然な支出には「気づかなかった」と開き直る。別に私は山尾氏に何か特別な恨みがあるわけではなく、ただの例示に過ぎないのだが、まあ、秘書が関わったことのレベルが違うとは言え、議員としての対応はやはりお粗末と言わざるを得ない。
山尾氏も山尾氏なら、岡田民進党代表も代表で、甘利前経済再生担当相の金銭授受問題を巡り東京地検特捜部が関係先の強制捜査に入ったことに関し、「甘利氏は説明責任を果たしていないので、しっかり説明してもらいたい。政治不信がこれ以上深まることのないようにしないといけない」と述べる一方、山尾氏の説明責任については、「大筋は説明したし、それに対して異論みたいなものは私はあまり聞いていない。監督責任はもちろんある。そこに問題があったんじゃないかということも彼女は説明していて、私は説明として一貫している思う」と、なんとも身内に甘い。
そこで、民進党には、「孫子・謀攻編」にある有名な言葉を捧げたい。
一つは、「知彼知己、百戰不殆」(彼を知り己を知れば百戦殆うからず(危うからず))で、通常、情報の重要性を語ったものとされ、情報化社会の現代にあっては、表面的な通り一遍の情報でなく、本質を衝いた精度の高い価値ある情報を如何に多く集めるかがポイントだとか、ここにいう彼(敵)は人とは限らず、問題解決に当たっても、その内容を吟味し、自分の力量を認識したうえで対処すればうまくいく、などと解説される。実は「孫子・謀攻編」では、これで終わりではなく、更に言葉が続く。「不知彼而知己、一勝一負」(彼を知らずして己を知るは一勝一負す)、そして更に「不知彼不知己、毎戰必殆」(彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし(危うし))。こうしてあらためて三つ並べてみると、「彼(敵)を知る」ことは重要だが、(情報化社会の現代にあっても)それほど簡単なことではなく、その意味では先ずは「己(味方)を知る」ことこそ重要であり、自分のこともまともに分かっちゃいないようでは勝負にならないよ、といったところであろうか。とかく人は自己評価には甘くなりがちだからだ。民進党を見ていると、政権与党の自民党を攻めることには熱心だが、自らを知らな過ぎるのではないかと、甚だ心許ない。
時期はちょっと遡るが、共同通信社が3月26、27両日に実施した全国電話世論調査によると、民進党に「期待しない」との回答は67.8%に上り(一方の「期待する」は26.1%)、政党支持率に至っては僅か8.0%にとどまって、前回調査(2月)で民主党(9.3%)と維新の党(1.2%)が得た支持率を足した数値を下回ってしまった。岡田代表は「自民党に代わって日本の政治を担い得る政党」を目指し、衆院選での単独過半数獲得を大眼目に掲げるというのだから恐れ入る。志やよし。しかし自己認識は冷静かつ客観的でないとねえ・・・。このあたりをビジネスの世界になぞらえるならば、まあ弱者連合の合併なんてのはそんなもので、取らぬ狸の皮算用よろしく、シェアを落とすのは珍しいことではない。お気の毒だが、今のままでは次の選挙でも勝ち目はなさそうだ。
続きは次の機会に。