風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

青梅マラソンへの道(5)

2014-01-29 23:34:07 | スポーツ・芸能好き
 今日はマラソン・シューズ、つまりスポーツとテクノロジーにまつわる話をします。
 正月に、お年玉セールを利用して、新しいマラソン・シューズを購入しました。これまでは靴のスーパーみたいなところで7000円くらいで売られているごく普通のジョギング・シューズを、練習でもレースでも履き続け、昨シーズンに700キロ、今シーズンも既に半分近い340キロを走破して、600キロが靴の替え時の目安と言われますから、とうに寿命を迎えていました。そこで、マラソンでは先輩格の同僚にアドバイスを求め、定価16,250円(税込)・・・この値段ですと、もはや「ジョギング・シューズ」などという生易しいものではなく、「レーシング・シューズ」と銘打っていて、猫に小判かとも思いましたが、奮発しました。最近のマラソン大会を見ていると、カラフルなウェアで如何にも金をかけているなあと思わせる人が多くて、先ずは内実を伴ってからと考える貧乏性の私でも、そんなカタチから入る人たちに刺激を受けてしまったとも言えます。
 昨晩、帰宅後、筆おろしに10キロ走って見ました。靴自体が軽いだけでなく、実に軽快に走ることが出来て、せいぜい数千円の値段の差がこれほどのものとは思ってもみませんでした。いつもの7キロのコースで1分短縮しましたので、単純計算でハーフ・マラソンなら3分、フルなら6分もの短縮になります。何が違うかと言うと、これまでの「ジョギング・シューズ」は、走ると、ふわふわ浮遊感のような不確かなものがあったのに対し、新しい「レーシング・シューズ」は、足の裏がしっかり地面をつかまえるといったような確かな感覚があることです。この感覚は、高校の陸上部で中距離を走っていた頃、今の厚底の感覚からすればまるで地下足袋のような、でも当時大人気の「ハリマヤ・シューズ」を履いたときに感じたものに似ていて、実に30数年振りに身体が思い出した、逆に言うと30年以上も(その間、全く意識されたことはなかったにもかかわらず)身体がしっかり覚えていたことに驚かされました。
 もう少し科学的な装いを纏って、人間工学的な解説を試みます。通常、靴裏のクッションは柔らかいほどショックが吸収されて足に優しいように思われがちですが、足がグラついて、却って膝などを痛めやすいというのが、最近の定説のようです。適度に硬い方が良いのです。先ほど、これまでの「ジョギング・シューズ」で浮遊感があったというのは、靴裏のクッションが少し柔らか過ぎたのだろうと思います。そもそも人間の足裏は、原始時代には靴などなかったことを思い浮かべれば分かるように、走る際にごく自然にバネが利く構造になっています(足裏の前後左右にブリッジ構造があるとも説明されます)。新しい「レーシング・シューズ」は、靴のクッションが適度に硬いものですから、その人間の足のもつバネを自然に働かせることが出来る、あるいは最大限に働かせているのだろうと想像されます。地面から受ける反発を、靴裏のクッションが吸収することなく、そのまま推進力に変えることが出来るため、走っているときには軽快でスピードが出て地面をつかまえる感覚があるとともに、走り終わっても膝などへの負担が少ない効果があるのだと考えられます。
 かつてSpeedoの競泳水着が記録が出過ぎて問題になったことが記憶に新しいですが、まさにテクノロジーの進歩がスポーツに与える影響は相当なものであることが、この一事でも分かります。この恐るべき「レーシング・シューズ」とは、アシックスのターサー・ジャパン(正確に言うと、私が買ったのは2013年夏限定、WhitexGoldのLimited ColorのTARTHER JAPAN SP)というモデルです。是非、試してみてください。
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