風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ビッグデータ

2011-12-17 23:11:50 | ビジネスパーソンとして
 ビッグデータが、最近、話題です。Wikipediaによると、「通常のデータベース管理ツールなどで取り扱う事が困難なほど巨大な大きさのデータの集まり(構造化データ+半構造化データ+非構造化データ)であり、その格納、検索、共有、分析、可視化などに困難さを伴う」ものの、「より大きなデータの集まりを分析することで、ビジネス傾向の特定、病気の予防、犯罪の対策などにメリットがある」ということです。より大きなデータの集まり・・・どこまで大きいかと言うと、通常は数百テラバイトからペタバイト級以上のデータを指し、単に大きいだけでなく、非定型で、リアルタイム性が高いデータを指し、更にそれを活用した新たなサービスや製品が生まれる状況を指すようです。
 私たちの身の回りで感知できるビッグデータだけでも、例えばFacebookは、私は同窓会名簿替わりに維持しているだけ(その中で私は幽霊部員)ですが、知人は、iPhoneで撮った写真をこまめに投稿しており、Facebookには彼のような人たちが毎月75億枚もの写真を投稿しているそうです。iPhoneは、今、触れたような写真だけでなく、動画や音楽も蓄積されますし、アプリケーション・ソフトもダウンロードされます。Twitterでは、1日当たりのつぶやきが2億件に達するそうです。YouTubeは、動画データが一方的に高精細になるばかりだと思っていた私に、多少荒くても見えれば良いという発想の転換で、新鮮な驚きを与えてくれましたが、いくらそれほど高精細ではないとは言え、今や毎分48時間分の動画が投稿されるそうです。そして私たちが気が付かないところでビッグデータが爆発的に増大しているのが、センサーによって収集される領域(気象データや交通データなど)なのだそうです。
 かれこれ三年前、私がシドニーに引っ越して半年経った頃に、観光名所の一つ、ハーバーブリッジの有料道路が完全ETCに切り替わりました。旅行者や出張者のようにETC端末を持っていない人は、予め車両番号とクレジットカード番号を登録しておく必要があります。さもなければ、料金所の代わりに設置されたセンサーカメラによって車両ナンバーから所有者を割り出され、追いかけてくるわけです。オーストラリアは総じて交通規制に厳しく、信号機や、制限速度が切り下げられるところにカメラを設置するケースが多く、交通違反を厳しく取り締まっていました。一度、タスマニア島を旅した時、一ヶ月ほど後に、タスマニア警察からメールが届いて、何事かと訝しがったら、レンタカー会社経由で割り出されて、速度制限オーバーのペナルティを請求するものだったことがありました。いつ、どこそこの町で、何キロ・オーバーしただろうと書いてあると、だいたい思い当たるものですが、そうでない場合は証拠写真を要求することも出来ます。
 これだけなら、違反取締が人から機械に切り替わっただけですが、ストックホルムでは、市街地の交通渋滞を緩和するために、市内の一般道路で通行料を徴収することに決め、市内に入るための18ヶ所もの出入口に、ナンバー情報を識別するセンサーカメラを設置し、画像処理してナンバーを認識し、通行料を課金する仕組みを構築したそうです。この課金制度によって、交通量を25%削減することができ、CO2排出量も14%削減できたと言います。更に、市内を走行する一日70万台の車両の内、約20万台に達する公共交通機関の車両(バス、タクシー)にセンサーを設置し、そこから集めたGPSデータを分析し、70万台の自動車がどう動くかを予測し、渋滞が発生しないように、市内を走るクルマに経路を変更するように促す仕組みもあるそうです。
 このようにビッグデータをコンピュータ処理し、現状を把握したり異変を察知したり未来を予測するための応用開発がどんどん進んでいるようです。ストックホルムのように交通渋滞情報から交通の流れを最適制御することが出来ますし、SNSをリアルタイムで把握してトレンドを分析したり、センサー情報から電力消費量を予測するといった話はどこかで聞いたことがあります。Googleでちょっと調べただけで、アメリカに滞在していた当時の私の個人情報が、二度引っ越した住所と電話番号と家内の名前を紐付けされて販売しているサイトがいくつか見つかりました。39ドル出せば、どんな情報が出てくるのか興味がある一方、誰か知らない人に買われて何に使われるのか想像するだに空恐ろしくなります。軍事衛星のカメラは人の顔を識別できると聞いたことがありますが、コンピューターがオープンなネットワークで繋がれてほんの20年の間に、便利を実感する一方で、とんでもない時代に入りつつあることもまた実感する今日この頃です。
コメント
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