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風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

五輪:勝者の栄光

2018-02-24 01:08:17 | スポーツ・芸能好き
 ぼんやりしている内にも、世の中は目まぐるしく動き、平昌五輪ではメダリストが続々と誕生した。
 18日・・・ということは、もう一週間近く前になるが、スピードスケート女子500メートルで小平奈緒が金メダルを獲得した。1000メートルでの銀メダルに続き、得意の500メートルとは言え、オリンピック新記録のオマケ付きは、さすがだ。私のようなド素人には、あっさり美しく勝ったように見えるが、期待通りに勝つということの重みは、並大抵ではないだろう。
 というのも、その2日後、同じように期待されたノルディックスキー複合個人ラージヒルの渡部暁斗は、前半飛躍は好調で、後半距離を首位スタートしたが、リードを守り切れず、5位に終わったからだ。その後、実は五輪直前に左肋骨を骨折していたことが判明した。そもそも実力ある選手が、怪我も含め、一発勝負の如く4年に一度の大会まで実力を維持し、自らの調子のピークを合わせる苦労は、ちょっと想像を超える仕儀だ。
 小平奈緒は、2010年のバンクーバー五輪1000メートルと1500メートルで5位、2014年のソチ五輪500メートルでも5位と、表彰台に届かず、「自分を変えたい」との思いで、ソチ五輪の後、スケート大国・オランダに二年間の武者修行に出る「いばらの道」を選んだ。過去に治療した縁もあって相沢病院に採用され、当時の病院長(現・最高経営責任者)から「好きにやればいいんじゃないか」と快諾される環境にも恵まれた。身体能力に圧倒され(確かにオランダ人はデカい)、言葉の壁にも、また乳製品中心の食事にも苦労しながら、心身ともに鍛えあげ、帰国した2016年からはW杯500メートルで15連勝、昨年12月には1000メートルで世界新記録を出すまでに成長した。かつての橋本聖子(古い!?)を思わせるほどの逞しい太腿は、自信のあらわれでもあったろう。苦労した甲斐があって本当によかった。
 そして、21日のスピードスケート女子団体追い抜きでは、そのスケート大国・オランダを破って日本チームが念願の金メダルを獲得した。AP通信は「オランダを王座から引きずり下ろした」との見出しを掲げたらしい。これも期待通りの活躍で、勝って当然という重圧をものともしない強さを発揮したのはさすがだ。日本の強みは、三人が同調した滑りで足の動きを揃える一糸乱れぬ隊列を組み、空気抵抗を極限まで小さくして二・三番手の体力消耗を抑える隊列の美しさは、今や世界が手本としているほどだそうだ。こちらも、ソチ五輪で惨敗し、日本スケート連盟はナショナルチームを作って、世界レベルのコーチを招聘し、有力選手を一堂に集めて、チーム内に適度の競争をもたらしたことが、選手の才能を開花させたと言われる。高木美帆は「自分たちがパシュート(団体追い抜き)にかけてきた時間はどの国よりも長い」と言い、それが自信に繋がっているのだろう。彼女自身、スピードスケート女子1000メートルで銅メダル、同1500メートルで銀メダル、女子団体追い抜きで金メダルと、五輪メダル・コレクター垂涎の的だ(笑)。
 これまでメダル獲得総数は11個と、地元開催の1998年長野五輪の10個を超えた。スポットライトを浴びる勝者(メダリスト)ばかりを取り上げるミーハーぶりには我ながら内心忸怩たる思いがあるが(苦笑)、勝つことを称えずして、何の五輪であろう。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのは、私たちの世代には野村克也さんが言ったことで有名になったが、もとは江戸時代、平戸藩の九代藩主・松浦静山の言葉だ。確かに勝負事に運はつきもので、偶然の要素が働いて勝ちが転がってくることがあるが、負けるときには何か理由がある、という意味だ。つまり「勝つ」ためには先ずは「負けない」ことが重要になる。「参加することに意義がある」というのも分かるし、代表に選ばれ参加することは確かに偉大だが、敢えて「勝つ」=「負けない」ことの美しさを、私は素直に称えたい。
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五輪:プーさんの雨・再び

2018-02-17 21:11:43 | スポーツ・芸能好き
 今日、フィギュアスケート男子フリーが行われ、羽生結弦が会心の演技で優勝し、リンクにお馴染みの「くまのプーさん」のぬいぐるみの雨が降った。前日のショートプログラムと合わせ、合計得点が3人とも300点を超えるハイレベルの戦いを制しての金メダルは価値がある。ちょっと影に隠れてしまった感がある宇野昌磨も健闘して二位に食い込み、日本人ワンツー・フィニッシュの快挙だ。
 昨年11月に右足首を痛め、氷上練習を再開したのは1月上旬という危機的状況にあったとは思えないほど、この日の滑りでは“王者”にふさわしい力強い演技を見せた。試合が終わると大きく息をついて疲れを見せていた若い頃の羽生結弦の面影はもはやない。
 もともと、2歳のときに小児喘息にかかって以来、体力的にも精神的にも弱くて、先生に怒られてしょっちゅう泣いているような子だったらしい。ジュニア時代も本番直前になると緊張のあまり過呼吸のような状態になることもあったという。しかし、困難を乗り越えるたびに強さを身につけて行ったようだ。ソチ五輪で勝利しても決して気を緩めることはなく、「(ソチでの)フリーのミスが、ここまで4年間、頑張って強くなった一つの原因だと思う」と語っているように、当時、2位のパトリック・チャン(カナダ)と4・47点差で、チャンがフリーでミスのない演技をしていたら逆転されていたかもしれない際どい展開だったため、平昌五輪に向けて「圧倒的に勝つ」ことをテーマに掲げ、跳べる4回転ジャンプの種類を増やしただけでなく、演技の基礎となる滑り自体も成長を遂げた。
 そして今回、どうやら右足首の怪我は完治しておらず、状態は必ずしもよいわけではなかったようで、演技後に右足首に触れて感謝の気持ちを示していた。怪我で心が折れることなく、怪我と付き合う術を身につけている。インタビューでは、「こうやって五輪の舞台で滑れたことが幸せ。その前に1つだけ言わせてほしい。こうやって金メダルを取れてうれしく思うが、何よりこの五輪で滑ったたくさんのスケーター、この五輪を作り上げてくれたたくさんのスタッフ、サポーターのチームメンバーも含めて感謝している。何よりここで滑った素晴らしいスケーターの皆さん、ありがとうございました。皆さんがいて、この五輪ができた」と、質問に答える前に、ファンに感謝するのではなく(ファンに、と言うことは良かれ悪しかれ自分中心の見方ということだ)同じスケーターを称えていたのは出色だった。もともと年齢不相応に大人びた対応をしていたものだが、精神的にも随分強くなったように思う。
 フィギュアスケート男子で66年ぶりという五輪連覇は、冬季五輪通算1000個目の金メダルだそうで、強い星のもとに生まれたものだとつくづく思うが、今回の言動を見る限り、フリーのテーマ曲「陰陽師」の如く、なんだか神がかっているで、私はちょっとコワイくらいに思っていた(苦笑)。なにはともあれメデタシ、メデタシ。
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五輪:プーさんの雨

2018-02-17 00:16:58 | スポーツ・芸能好き
 ミーハーだが、羽生結弦の存在は気になってしまう(笑)。今日、行われたショートプログラムで、怪我の影響を感じさせない圧巻の演技を見せて首位に立った。66年ぶりの五輪連覇に向けて順調な滑り出しだ。くまのプーさんのティッシュ・ケースを愛用していることで知られる羽生の演技の後には、ファンから大量のプーさんのぬいぐるみが投げ入れられるが、平昌でも、米NBCテレビは「羽生がプーさんの雨を降らせた」と報じた。ネットのニュース映像を見る限り、スケーティングでは鬼気迫る、まさに鬼の形相である。演技後の爽やかな笑顔とのアンバランスが、母性をくすぐるであろう。
 トップ5の選手はノーミスの演技を見せて会場を盛り上げたというから、競争は熾烈だ。日刊スポーツは4回転ジャンプの数に注目している。バンクーバー五輪では30選手中4人、ソチ五輪では29選手中16人、平昌五輪では30選手中18人と「微増」だが、2種類に挑んだ選手は0人→1人→9人と「激増」し、ソチではトーループ、サルコーまでだったところ、フリップ、ルッツまで加わり、一気に技術レベルが押し上がったという。限界に挑んで、誰もが目標にする羽生だからこその意地もあろう。ここ一番の集中力が並みでないのは、怪我に苦しみつつも、やるべきことをやってきた自信がそうさせるのであろうし、今回のインタビューを見ていると、競技を楽しむ余裕をすら感じさせて、いつもの彼らしくなくて(?)不気味なくらい。フリーの演技でも是非、頑張って欲しいものだ。
 まだメダルを手にしていない羽生のことを冒頭で取り上げてしまったが、本来なら、二日前のメダル・ラッシュにフォーカスすべきだった。
 失意からの快挙として二人・・・先ずはスピードスケート女子1000メートルの小平奈緒は、「ソチ五輪でエースと期待されながらメダルを逃した。大会後、単身スケート王国のオランダに渡り、大柄な選手の中で自らの技術を見つめ直した」(産経Web)甲斐があって、銀メダルを獲得した。同じく1000メートルの高木美帆は、「バンクーバー大会に15歳で出場しながら、ソチでは代表入りを逃した。高木もナショナルチームのオランダ人コーチの下で、王国のノウハウを獲得し」(同)、1500メートルの銀に続いて、見事、銅メダルを獲得した。
 スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢は、二大会連続の銀メダルを獲得した。「15、19歳での連続表彰台だが、昨年3月には国際大会で大技の着地に失敗し、左膝や肝臓を損傷し、選手生命さえ危ぶまれていた。金メダルのスーパースター、米国のショーン・ホワイトは逆転の歓喜にむせび泣き、そこまで彼を追い込んだ平野の演技を称賛した」(同)という。ノルディックスキー複合個人ノーマルヒルの渡部暁斗も二大会連続の銀メダルを獲得した。
 渡部暁斗は得意のラージヒルを残し、小平は500メートル、高木も団体追い抜きと、「最も金に近い種目」を控えており、まだまだ楽しみは続く。
 こうして五輪では、普段はさして見向きもしない、よく知らない競技であっても、知ったかぶって夢中になったりする。私は普段から愛国心を秘めた優等生だが(笑)、多くの日本人が俄か愛国心に芽生えて、日の丸を背負う日本人選手の活躍に声援を送り、メダル獲得ランキングを気にしたりする。平和の祭典で盛り上がるのは大いに結構、4年に一度くらいは(・・・ではなく夏・冬二度だが)愛国心に燃えるのはよいガス抜きになるが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し。やはりタテマエとしてのスポーツマンシップを前面に立て、優れた選手や技能を称えることを忘れるべきではないと思う。
 その意味でも、ショートトラック女子500メートル決勝で、競り合った韓国人選手が身体を押したと判定されて失格となり、繰り上げ銅メダルを獲得したカナダ人選手のインスタグラムが、韓国の一部ネットユーザーから殺害予告を含む多数の中傷投稿により炎上するという問題が起こったのは、いただけない。
 また、開会式で、米NBC放送の解説者が「日本は韓国のお手本」とうっかりコメントしたところ、韓国人の間で「日本の植民地支配を擁護した」などと激しい反発が沸き起り、五輪組織委員会がNBC側に抗議して、NBC側も「(発言は)不適切だった」として韓国国民に謝罪をした上で、解説者を降板させたところまではまだしも、それでは怒りがおさまらないようで、その解説者が取締役を務めるスターバックスの不買運動が起きる可能性まで浮上すると、行き過ぎだろう。
 朝鮮半島の「統一旗」から、韓国が不法占拠する竹島(独島)を外したのは、平和の祭典として極めて冷静な判断だったと思うが、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、これに関して「(日本が)陰湿かつ凶悪に策動した」などとする論評したのも、平和の祭典に水を差す。
 最後に、開会式でトランプ大統領のそっくりさんと一緒に現れた金正恩朝鮮労働党委員長のそっくりさんが、14日のアイスホッケー女子の日本-南北合同チーム「コリア」戦で、「統一旗」を振りながら、北朝鮮応援団「美女軍団」の前に登場し、狙い通りに応援団を笑わせ、怒らせ、そしてつまみ出されたらしい。これはまあご愛嬌。
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平昌五輪開幕の続き

2018-02-13 23:05:44 | スポーツ・芸能好き
 昨晩、ブログをアップしてほどなく、ノルディックスキー・ジャンプ女子ノーマルヒルで、高梨沙羅ちゃんが銅メダルを獲得した。仕上がり状態は90%と聞いていたので、ひょっとしたら・・・と期待したが、金メダルは遠かった(三度の世界選手権を含めて五度も続けて逃したことになる)。
 4年前のソチ五輪では、金メダル最有力候補とされながら4位に終わって、競技終了直後にチームメイトの伊藤有希に抱きかかえられて「また一緒に五輪に戻ってこようね」と声をかけられても、茫然自失、「日本に帰っちゃいけない気がした」という。山田いずみコーチによれば「金メダルを取って当たり前というムードで、プレッシャーはただごとではなかった」ようだ。その後のW杯での華々しい活躍と(昨季までW杯90試合出場で53勝、個人総合優勝4度と圧倒的)、一転、今シーズンの大スランプ(未勝利)は、しかし沙羅ちゃんを一段と逞しくしたようだ。1月中旬のW杯札幌大会で、W杯10戦7勝のマーレン・ルンビ(ノルウェー、今回、金メダル)や2勝のカタリナ・アルトハウス(ドイツ、銀メダル)に大敗を喫しても、「これ以上何をすれば勝てるのかを考えるのは楽しい。こういう感覚はW杯を戦ってきて初めて」と前向きに捉えることができるようになっていたのだ。
 最近はテレビを見ないので、ネット情報を追いかけるばかりだが、山田コーチに抱きかかえられて、子供のように泣きじゃくる顔と、その後の晴れやかな大人びた笑顔が、ともに印象的だった。インタビューでも、次のようにしっかりと受け答えしている。

 「最後の最後に渾身の、ここにきて一番いいジャンプが飛べましたし、何より日本のチームのみんなが下で待っててくれたのが、すごくうれしくて」
 「ソチ五輪からのこの4年間、ずっと悔しい思いをバネにここまできた気分ではいるんですけど。やはり、まだ自分は金メダルを取る器ではないっていうことが分かりましたし」
 「やはり、まだまだ競技者としてもっと勉強していかなければいけない部分もたくさんあるので、周りの先輩たちからいろんなことを学んで、自分も成長していきたいなと思います」 

 伊藤有希ちゃんも9位と健闘し、沙羅ちゃんがメダルを決定づける会心のジャンプを決めると、真っ先に駆け寄って沙羅ちゃんを素直に称えたのが、ネットでも好感されているが、それでもまあ卓球の愛ちゃんといい、スキーの沙羅ちゃんといい、幼い頃からずっと見て来たので、その成長ぶりが、世のお父さんたちと同様に私も、我が子のことのようにとても嬉しいのであった(涙)
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平昌五輪開幕

2018-02-12 23:39:54 | スポーツ・芸能好き
 日本人メダル第一号は、モーグル男子の原大智が銅メダル、続いてスピードスケート女子1500メートルの高木美帆が銀メダルを獲得した。高木美帆は、今季W杯1500メートルで4勝を挙げて、優勝候補筆頭だったので惜しかったが、15歳のときに出場したバンクーバー五輪は23位、ソチ五輪は代表落ちしていただけに、悲願のメダルはさぞ嬉しいことだろう。それにしても、3000メートルもそうだったが、オランダ勢は強い。ノルディックスキー・ジャンプの女子ノーマルヒルでは、高梨沙羅が1本目で3位に入った。2本目が始まっているが、なんとか頑張って欲しいものだ。
 そんな平昌では、連日、強風が吹き荒れ、競技によっては延期や中止に見舞われている。運営側の説明は「選手の安全を考えての中止」としており、分からなくもないが、ソチ五輪まで3大会連続フリースタイルスキー代表監督を務めた全日本スキー連盟の元強化部長・林辰男氏は「組織委員会の運営能力を問われる重大な事態」と手厳しい。

(引用)
 「年間を通して20戦近い大会が行われるW杯では、雪不足や開催資金難などを理由にキャンセルになることはよくあるが、五輪で天候不良を理由に「中止」になったという記憶はまずない。
 予選であれ、延期ではなく「中止」という判断は冬季五輪史上に汚点を残したと言わざるを得ない。五輪ともなれば、こういう事態に備えるもの。コース設定やタイムテーブルを変更するなどして何が何でも成立させるべきだった。ましてや平昌は天候が荒れると分かっていた地域。日またぎになったジャンプ男子ノーマルヒルしかり、慎重な計画を練ってなかったのではないかと疑問に思う。
 五輪競技の信頼も損ないかねない。スノーボード女子スロープスタイルのように新種目が増えている中で、こういう事態は起こしてはいけない。どうにかして試合を成立させる手段を探れなかったか、残念でならない。」
(引用おわり)

 フィギュアスケート団体戦では、開始時間が早くて波紋を呼んだ。確かにW杯などでは午後から夕方にかけて開催されることが多いが、平昌では「(放映権を持つ)北米のテレビ放送のプライムタイムにあわせた時間でスケジュールが組まれた」(ロイター通信)ために、午前10時という異例の開始時間になったらしい。お蔭で有力選手の間でミスが続出した。
 林辰男氏も指摘したノルディックスキー・ジャンプの男子ノーマルヒルについても、深夜まで行われた競技運営には疑問の声が相次いだ。始まったのは午後9時35分、氷点下10度の中で長時間待たされ、体感温度はマイナス20度近かったといい、強風の影響で何度も中断し(風に恵まれない不運もあったようだ)、競技が終わったのは予定の11時20分よりも1時間遅れの翌午前0時19分だったという。ジャンプは欧州で人気の競技のため、開始時間を欧州の放送時間帯に合わせたものとみられている。
 寒さに耐え切れなかったのは観客も同じで、1本目が終わると、関係者と一部のファンを除いて多くは出口に殺到するように帰ってしまったといい、朝日新聞は、金メダル確定の瞬間、観客席はガラガラだったと伝えた。寒さと風で集中力を持続するのが大変なのに、観客席もこれでは、なんとも哀しい。
 21位に終わった葛西紀明は苦笑いで振り返ったというが、心は泣いていたかも知れない。「(寒さは)もう信じられないぐらい。風の音がすっごいんですよ。気持ちが怯むぐらい。ブワーって。W杯でもほぼない条件。“こんなの中止でしょう”ってちょっと心の隅で文句いいながら寒さに耐えてました」その葛西に、「サンデーモーニング」の張本さんは、以前は金メダルを獲ったら、との条件をつけていたが、通算8度目の五輪出場を評価して「ごくろうさんあっぱれ!」をあげていた。
 そんな中、北朝鮮の動きが何かと注目された。アイスホッケー女子の南北合同チーム「コリア」が出場した試合会場では、北朝鮮「美女」応援団が男のお面を被って歌う場面があり、なんとも不気味だった。韓国の一部メディアは「故・金日成主席の若き日の姿」と伝えたが、目の部分に穴が開いており、脱北者に言わせると、金日成の顔にそんなことをしたら即刻、処刑だそうだから、そうではなく、お面の正体は、男性の片思いを描いた北朝鮮の歌謡曲「フィパラム(口笛)」を歌う際、男性役を演じるために使う「美男子仮面」との説が有力らしい。ある大学教授は、金日成に似たお面が使われたことについて「別の意図」があると指摘、「北朝鮮では英雄像、美男子像、慈愛に満ちた父親像はすべて金日成に似ている。(韓国国内で)金日成を身近なイメージにしようと、このような応援を考えたのかもしれない」と話していて、平昌五輪は場外戦もなかなかホットだ。
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栃ノ心が初優勝

2018-01-30 00:27:33 | スポーツ・芸能好き
 大相撲初場所は、平幕(前頭3枚目)の栃ノ心が初優勝を飾った。日馬富士暴行事件は貴乃花とモンゴル勢(あるいは白鵬?)のガチンコ勝負になりかねない雲行きで今なお燻る中、渦中の白鵬は6日目から、日本人期待の稀勢の里は7日目から、続けて二枚看板の二横綱が途中休場して、どうなることかと危ぶまれたが、全くのノーマークだった栃ノ心の爽やかな笑顔に救われた。
 なにしろTBS系「サンデーモーニング」で辛口の張本勲さんが「大あっぱれ!」に加えて「久しぶりにもらい泣きした」と打ち明けるほどの大盤振る舞いで、おまけに「関脇まで行ったけど幕下まで落ちている。そこからはい上がって、まじめに一生懸命練習した結果。うれしいねえ」と目尻を下げたとデイリースポーツが報じるほどで、私も番組を見ていたが、張本さんのべた褒めは尋常ではなかった。そこまで言われる栃ノ心の存在を不覚にも知らなかったので、調べてみた。
 1987年10月13日生まれの30歳。ジョージアで歯科技工士の資格を取得している変わり種である。192センチ、177キロ、筋骨隆々で、握力は実に90キロを超える怪力らしい。柔道の欧州ジュニア・チャンピオンと、サンボの欧州チャンピオンを経験し、2006年春に初土俵、2008年夏に新入幕と順調に出世したが、2013年名古屋場所で右膝前十字及び内側側副靱帯を断裂し、4場所連続休場して幕下55枚目まで落ち、引退も覚悟したという。厳しいリハビリの後、関取に復帰した場所から2場所連続十両優勝で再入幕、それから3年かけて念願の初優勝へ辿り着いた。ジョージア出身力士として初、欧州勢では3人目(ブルガリア出身の琴欧洲と、エストニア出身の把瑠都に続く)、平幕優勝は6年ぶり(2012年夏場所の旭天鵬以来)、新入幕から58場所での初制覇は貴闘力と並び4番目の遅さだという。缶コーヒー「ジョージア」を愛飲するとは、なんとなく気持ちがよく分かる(笑)。
 その栃ノ心が入門直後、師匠の春日野親方から“世話役”に指名された兄弟子で、今は故郷の青森で飲食業を営む棟方弘光氏は、「プロ競技で、なぜ選手(力士)が掃除や皿洗いをしないと駄目なのか。外国人に伝えるのは難しい。栃ノ心は分かってくれた。日本人より前向きでした」と語っている(スポーツニッポン)。14日目に松鳳山を破って優勝した瞬間にどう感じたかと聞かれた栃ノ心は、「やったあとは思ったけど相手もいることだからね。気持ちは抑えた」と答えている(スポーツ報知)。比較しても詮無いことだが、最近どうも勘違いしているように見える、一見、日本人っぽい外国人より、いかにも外人サンなのに余程お相撲さんらしいミスマッチが、なんとも微笑ましい。
 名門・春日野部屋が優勝力士を輩出したのは、1972年初場所の初代・栃東以来、実に46年ぶりだそうだ。モンゴルだあ、日本人だあ、ばかりでなく、ゴタゴタの続く角界だからこそ、同部屋にとって52年ぶりとなる大関誕生に期待したくなる。
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角界の地震

2018-01-08 11:44:07 | スポーツ・芸能好き
 現役横綱の廃業という異例の事態に至った元横綱日馬富士関の暴行事件に関し、一連の処分が決まった。貴乃花親方は、「協会への報告義務を怠り、被害者で弟子の貴ノ岩関や自身に対する協会危機管理委員会の聴取要請を再三拒否するなど、非協力的だった」ことから理事解任となった。評議員会議長の池坊保子氏に言わせれば、「相撲道は礼に始まって礼に終わる。多くの言動は明らかに礼を失していた」ということだ。
 併せて、八角理事長は3月までの報酬を全額返上、伊勢ケ浜親方(元日馬富士関の師匠)は理事を辞任、役員待遇委員に2階級降格となり、現場の酒席に同席しながら暴行を止めなかった白鵬、鶴竜の両横綱は減給処分を受けた。また鳥取簡裁は、傷害罪で略式起訴された元日馬富士関に罰金50万円の略式命令を出した。日本相撲協会としてはこれで幕引きを図りたいのだろう。結局、貴乃花親方の頑なさは何故だったのか、分からずじまいである。
 5日に、両国国技館で横綱審議委員会による稽古総見が行われた。マイペース調整を貫く白鵬はどうやら相撲をとるつもりはなかったようだが、「基礎運動に終始していると八角理事長から『いけ』と促された。やや戸惑った表情を浮かべながら土俵へ。いつもは施されている両手首のテーピングもないまま」(産経電子版)、「理事長は『大関とやれ』という意図だったというが、白鵬は誤解したのか正代を指名。7番取り、右四つの寄りや豪快な左上手投げなどでまったく寄せ付けなかった」(産経電子版)という。
 問題は6番目の土俵で、立ち合いに相手の頰を平手でたたいてまわしを取る「張り差し」を出したという。臨時横審で白鵬の取り口についてファンから「張り手、かちあげが多い」「横綱相撲とは言えない」「美しくない」「見たくない」などの投書が届いていることが発表され、北村正任委員長は「自覚をどう促すか。協会として工夫、努力して欲しいという意見もあった」と記者会見で話した取り口である。この日は北村委員長も言葉をはぐらかしたようだが、総見を視察していた元・横綱の北の富士勝昭氏は、「『不届き者だね。あれだけ横審から注意されているのに。けんかを売っているのかな、横審に』とちゃめっ気を交えて話した」(朝日新聞デジタル)という。御意。
 まだまだ余震は続きそうである。
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また青梅への道(2)

2017-12-16 22:53:00 | スポーツ・芸能好き
 前回ブログで、ホノルル・マラソンに参加した真央ちゃんのことを書きながら、最後は他人事のように歯切れが悪かったのにはワケがある。
 今年は、シーズンに出遅れ、その後、三週間近い海外出張が入り、例年以上に身体の出来上がりが遅くて焦っているという、微妙な心理が働いている。詰まるところ加齢による体力の衰えを感じざるを得ないのだ(苦笑)。
 長距離を走るためには、単に足腰が強いだけでは駄目で、最近は、「内臓で走る」ものだという思いを強くしている。若ければ、ちょっと走り込めば10キロあたり50~55分ペースで難なく4時間を切ることが出来る。ところが50歳を過ぎて、それでもスピードを維持するためには、衰えて行くばかりの心肺機能を維持して行かなければならない。マラソンを始めるきっかけとなった米国駐在から帰国した健康診断で、肺活量は6000ccあったが、今はせいぜいその6割強のレベルしかない。息を吸うときは横隔膜を使い、吐くときは腹直筋や腹斜筋といった腹筋群を使うとされるが、加齢とともに衰え、もはや当時ほど無理がきかないし余裕もないのが現実だ。また、マラソンなどの長距離では、身体の小刻みな上下の動きに合わせて内臓も揺さぶられて疲れてしまう(と感覚的にそう思う)。若い頃は殆ど気にならなかったのは、内臓も含めてスリムで全体のバランスがとれていたために、疲れが軽かったせいだろう。齢を重ねれば内臓だって脂肪まみれで、マラソンを再開した5年前、自宅のヘルスメーターで測った内臓脂肪は13もあった(今は7~8のレベルで安定している)。ものの本によれば、体幹を鍛えること、すなわち正面の腹筋だけでなく、横っ腹の筋肉(外腹斜筋)や背筋を鍛え、内臓を取り巻く一種のコルセットを作りあげて、揺れにくい状態を作ればいい、とあるが、私に言わせれば、内臓もぎゅっと絞りこんで、スリムにした方がよい。走っているときには、ただでさえ内臓に流れる血流量が、普段は全体の40%のところ、5%にまで減ると言われる。その意味でも内臓を良い状態に保ち、機能を高めておくにこしたことはない。
 もともと週一ランナーを自称するズボラな私が、夏場の練習がきついので避けて、半年間は完全休養にしてしまっていることが、ますます体力を衰えさせる原因になっているのは分かっているが、年がら年中、走り続けるのは精神的に辛くて簡単なことではない。長距離を「内臓で走る」のは、「心との戦い」でもあるのだ・・・(苦笑)。
 そうこうしている内に12月も半ばを過ぎてしまった。今週、通りがかった東京タワーもクリスマスの装い(上の写真)。
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ホノルル・マラソン

2017-12-11 23:43:14 | スポーツ・芸能好き
 一度は出てみたい大会だ。昨日、行われた第45回大会の参加者2万6千人中、日本人が実に1万2千人も占めたらしい。JALホノルル・マラソンと銘打つ、日航がスポンサーの大会とはいえ、この比率は尋常ではなく(笑)、いざ参加するとなれば怖気づいてしまうほどだ(苦笑)。そして完走者の中には真央ちゃんもいた。
 記事のタイトルにいきなり真央ちゃんの記録は4時間34分13秒とあって、私が20年前に初マラソンに挑戦したときとほぼ同タイムなのが意味もなく嬉しかったのだが、記事を読み進める内に様子が違うことに気がついた。フィニッシュのときの満面の笑みが眩しい。当時の私はと言えば、若さをいいことにロクに練習せず、今思えば無謀と思えるほど無防備に参加し、腿はガチガチ、膝はガクガク、ホウホウの体でフィニッシュして、もう走らなくていいんだという安堵感で、笑顔どころではなかったのだ。それだけ真央ちゃんは余裕をもって走っていたということであり、身体能力の違いを見せつけられたわけだが、そんなことは百も承知だ。それよりも、マラソンを完走するのは達成感があってこんなに楽しいことなのだというところを見せつけられて、ちょっとショックだった。
 フィギュアスケートの世界で長い間、第一線で活躍してきて、常に勝利を期待され続けた緊張感から、一転、解放されて、伸び伸びと走ったことだろう。何の心のわだかまりもなく、身体を動かすことの喜びを、全身で感じていたに違いない。実際、現役の頃の真央ちゃんは、ギスギスと鉛筆のようにか細く感じていたものだが、案外、肩幅も足腰もしっかりしていて(笑)、スケートを止めてからちょっと太ったのだろう、アスリートとして惚れ惚れとするような体形をしている。そんな体形にどこかしら心の余裕を感じさせて、見ているこちら側も楽しくなる。
 真央ちゃんの天真爛漫なところもまた、そうさせるのだろう。走ることの原点となる、のびのびと身体を動かすことの喜びを思い出させてくれる、稀有な人だと、ふと思ったのだった。
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日馬富士の引退

2017-11-30 01:07:47 | スポーツ・芸能好き
 横綱・日馬富士が、平幕・貴ノ岩に暴行した問題で責任をとり、現役引退を表明した。相撲協会内には現役続行に理解を示す意見もあったらしいが、横綱審議委員会では「非常に厳しい処分が必要」との意見が大勢を占めたことに反応したのだろう。私は日馬富士ファンではないが、16歳で母国を離れてはるばる日本までやって来て、日本の相撲界の最高位を極め、日本人だけであったならばさぞ不甲斐なかったであろう相撲界を盛り立ててくれた功労者の一人であることを思えば、長年の相撲ファンとしては残念至極の思いだ。
 安倍首相は、「国民の関心の極めて高いスポーツだ。相撲界における暴力問題は極めて遺憾だ」と語られたが、安倍さんには申し訳ないが、(このブログで何度も繰り返し述べて来たように)相撲はスポーツではなく、伝統芸能だ。だからこそ横綱は、強いだけでなく品格が求めれられるし、勝つだけでなく勝ちっぷりが問題にもされるのだ。ビール瓶で殴ったことは同席していた白鵬が否定したり、「10針ぐらい縫う怪我」を負ったと証言する人もいれば局部の写真まで出回っていたりもするが、真相は今もって分からない。しかし日馬富士自身が暴行を認めている以上、やむを得ない状況なのだろう。一体、何があったのか。
 日馬富士の心の師と言われる人は、「酒癖が悪いなんていうのは一切ない。カラオケを歌って、楽しんで帰るという感じだ。(他の)横綱がいるのに見境なく飲むということはない」と断言し、横綱・白鵬への態度に立腹して貴ノ岩を殴打したとされる日馬富士の思いについて、「モンゴルには礼儀はあるが、日本のような『先輩後輩の関係』というものはないようだ。日馬富士は『日本の先輩後輩の関係をモンゴルに持ち帰りたい』と言っていた」と擁護する。白鵬と比較するのもなんだが、およそ横綱らしくないビンタのような張り手や喧嘩腰、そして今場所11日目には物言いがつかないことに抗議するかのように立ち尽くして物議を醸すといったやや増長した態度をとるなど、横綱らしく振舞おうとしながら成り切れない(だから心掛けも実はよろしくないのではないかと、人が悪い私なんぞは勘繰ってしまう)白鵬と比べれば、先の心の師が「今の力士の質が落ちている中で彼は『全身全霊』と言っている。日本人以上の日本人だと思う」と語る日馬富士の、目立たないせいかも知れないが、小兵ながらも横綱らしくあろうとする真面目さはなんとなく好感する。これらの伝聞が事実とすれば、何か余程のことがあったのだろうことが察せられる。
 ここで状況を混乱させているのが、協力要請を拒み続ける貴乃花親方の頑なな態度だ。週刊誌の報道は、「かねてモンゴル勢(今や関取だけでも12人)が群れていることを快く思っていなかった貴乃花親方が、暴行事件に乗じ、次期理事長選を見すえて、八角理事長体制に異を唱えた--。これがおおよその筋書き」(花田紀凱氏)だという。
 モンゴル勢と言えば、「ここ数年、モンゴル人力士同士の〝無気力相撲〟は、取材している報道陣の間でもしばしば話題になっていた」「一部週刊誌で報じられている『星の回しあい』や『互助会相撲』があるとは言わないが、貴乃花(親方)が貴ノ岩にモンゴル人力士との付き合いを禁じているのもむべなるかな、とは思わせられる」といった声もある(スポーツライター赤坂英一氏)。貴乃花親方は、貴ノ岩だけでなく弟子全員に、他の部屋へ出稽古に行かないよう、また他の部屋の力士たちとは必要最低限の挨拶以上のコミュニケーションを取らないよう、厳命しているらしい。現役時代の彼のガチンコな相撲っぷりを思えば、モンゴル人同士で同じ飛行機で一時帰国したり仲良く群れたりすのを、苦々しく思う気持ちは分からなくはない。
 ・・・というわけで、体罰がよくないのはその通りだが、トカゲの尻尾切りのように日馬富士だけに責任を取らせることで済ませてよいのか、もっと構造的な、あるいは体質そのものに問題があるのではないかという、モヤモヤとした疑問が残る。せめて片鱗であっても真相が明らかにされるのを待ちたい。
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