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風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

周富徳さんのお店

2012-12-04 01:11:27 | グルメとして
 「炎の料理人」の通称で知られる周富徳さんのお店「広東名菜 富徳」に行って来ました。銀座線外苑前駅と青山一丁目駅のほぼ中間、青山通り沿い伊藤忠本社ビル隣のCIプラザビル地下一階にあります。こんな一等地にあって、高級店かと思いきや、味は本格的ですが値段はそれほど高くなく、また内装も落ち着いていて居心地良く、好感が持てます。若い頃は痩せの大食いでしたが、最近は、美味しいものがちょっとあって、美味しい酒がちょっと多めに(!)あれば満足するので、とてもリーゾナブルな食事になりました。
 中華料理と言えば大皿を大人数で分け合うイメージが強いですが、このお店には5~6名用の中盛や3~4名用の小盛のほかに2名用の極小盛も用意されていて、少人数でも安心なのが嬉しい。先ず、「あわびと青菜のスープ」を試してみました。コクがあって実に上品に仕上がっています。「干し貝柱の豆腐あんかけ」は、干し貝柱のスモーキーな味がちょっとうるさ過ぎるくらいに思いましたが、干しエビの味とからんで、なかなかに味わい深い。続いて点心メニューから選んだのは「ニラ入り焼きもち」と「エビ餃子」で、日本人の口に合うあっさり目の味付けです。最後に頼んだ「広東風(五目)チャーハン」は、オーソドックスでとても美味しいのですが、塩気がちょっと強過ぎるように感じました。総じて味は濃い目のようです。極小盛の料理の値段はだいたい1100~1600円(フカヒレ・スープや鮑になると1800~2200円)、極小盛の点心は650円と、お手頃です。
 その間、生ビールから始めて、紹興酒飲みくらべセット(熟成20年もの1グラスと熟成5年もの1グラス、1365円)で、さすがの熟成20年ものの旨さを堪能し、さてもう一杯、メニューにはないけれどもこの時期のお勧めとして紹介されていた紹興酒・女児紅(10年もの)をトライすると、先ほどの20年もの以上にまろやかでコクがあって美味しくて驚きました。それでも、一年半ほど前に香港で飲んだ「彫皇」という8年もの紹興酒の味が忘れられないのは、本場故のことでしょうか。
 周富徳さんと言えば、「浅草橋ヤング洋品店」で金萬福らとの「中華大戦争」を見たことがありましたし、「料理の鉄人」で、弟・富輝さん敗戦の仇討ちと称して、本当は親友の道場六三郎さんと対戦したことも懐かしく思い出されます。その後、私がアメリカに赴任し帰国した頃には、すっかり鳴りをひそめていたのは、セクハラ疑惑や脱税疑惑があったからでしょうか。お店の人に聞いたら、今でも週一回くらいはお店に顔を出しているそうですし、月に一回、昼に料理教室を開いているそうです。テレビではもはや過去の人になってしまい、実際に来年3月には70歳を迎える周さんは、私たちには馴染み深いビッグ・ネームで、庶民的な高級店?で高級感漂う庶民の味?に舌鼓を打つのも悪くありませんね。
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リアル・エール

2012-07-29 11:22:45 | グルメとして
 欧州紀行の落穂拾いとして、余りエピソードがなかった中で、一つだけ言っておきたいのが、イギリスのビール、リアル・エールのことです。最近は、デフレの世の中で節約のために晩酌を第三のビールに切り変えたり、健康のためにビールをワインに切り変えたりする人が多いと思いますが、外で飲む、きりりと冷えたビールの喉ごしの爽やかさは、夏の風物詩であるだけでなく、一年を通して、飲み始めの一杯の定番であり、大いなる楽しみ(贅沢!)の一つでもあります。ところがイギリスのパブで昔から親しまれてきたビールは、このラガー・ビールとは一味違う、リアル・エールなのだそうです。
 ロンドンに到着した夕方、レストランに行くのに地下鉄に乗らなければならないほど街はずれのホテルにチェックインして、目と鼻の先にパブだけは一軒あるので、どうせ時差ボケで身体は多くを受け付けないだろうと、パブに入りました。機内で、現地駐在・日本人向けにお土産として買い込んだ雑誌の一つに、ニューズウィークがあって、裏ロンドンという特集でリアル・エールに注目とあったので、秘かに期待していたのでした。
 リアル・エールとは、サイトをいろいろ見ていると、「伝統的な原料から造られ、最終的に供される容器(Cask(樽)と言います)の中で二次発酵によりコンディショニングされ、ビールに炭酸ガスが殆ど含まれず、外部からの炭酸ガスによらずに注がれるビールのこと」を言うそうです。ラガー同様、麦芽を原料としますが、酵母を常温で短時間に発酵(一次発酵)させるので、複雑な香りと深いコク、フルーティーな味を生み出すと言われます。その際、タンクを密封しないため、余計な炭酸ガスは開放されるようです。そのため、日本人には気が抜けたと思われるかも知れませんが、その分、ビール本来の味わいがあります。その後、Caskに移される際、ろ過や加熱処理を行わないため、新鮮な香りや味が保たれます。そしてパブに引き渡された後も、Caskの中で発酵(二次発酵)が僅かながらも進むため、温度管理や適度なカーボネーションになるように調整しながら、ビールが熟成しクリアに澄むのを待つことになります。こうして良好な状態を保つには、作り手(醸造所)側とパブ側がともに手間をかけて、ビール本来の味わいを完成させていく必要があるものなのだそうです。実際に、Caskの中の温度そのままに運ばれるので、きりりと冷えた・・・といった刺激はなくて、生ぬるくてまったりとした、しかしそれだけにビール本来の旨さが味わえるのだろうと思います。私はすっかりはまってしまって、ロンドンにいる二泊と、帰りのトランジットのヒースロー空港でも、名残り惜しむようにリアル・エールを口にしました。
 最近は、イギリスのパブでも禁煙が施行されたニュースが衝撃を与えましたし、家庭回帰でパブから人の足が遠のきつつあるとも伝えられます。さらにドイツなど大陸から輸入される安価なラガー・ビールに押されて、伝統的なリアル・エールはやや元気がないとも言われます。しかし、グローバル化や景気の波にさらされようとも、伝統の味は、しぶとく生き続けて欲しいと思います(味が負けてしまうとか味覚が変わってしまうのであれば仕方ありませんが)。
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焼酎への目覚め

2012-07-10 23:49:32 | グルメとして
 先日、薩摩料理を食べに行きました。お目当てはキビナゴの刺身でしたが、残念ながらキビナゴは天ぷらしかなく、それに地鶏の刺身をつまみに焼酎を美味しく頂きました。
 私は鹿児島生まれですが、3歳の時に上阪して以来、20年間、大阪に暮らしたので、私の頭の中には学生の頃に訪れた時の鹿児島の記憶しかありません。しかし両親は根っからの鹿児島人で、ごく身近に鹿児島に接していました。たとえば母はキビナゴを見つけたと言ってはいそいそと買ってきて、酢味噌で食べさせてくれたものでした。ものの本によると、キビナゴは、本州中部以南の熱帯・亜熱帯域に広く分布する、ニシン目・ニシン科に分類される体長10センチくらいの小さい魚(ウルメイワシに近縁のウルメイワシ亜科との見方も)で、所謂青魚の一つ。菊花盛り風にすると、銀びかりがして壮観で、ショウガ醤油やポン酢で臭みを消すのがいいと言われます。そして酢味噌で食べるのが薩摩料理として有名とも・・・さもありなん。我が家はずっと酢味噌でした。
 地鶏は軍鶏で、刺身で食したのは初めてのことでした。口コミでは絶品・・・とのコメントもありましたが、そこまで褒めるのはどうか・・・。臭みはないので、無理なく食べられますが、難を言うならやや平板で、弾力がある不思議な食感が印象に残っています。
 それから薩摩料理で忘れてはならないのは薩摩揚げで、このお店でははんぺんのような柔らか目のものが出てきてびっくりしましたが、ものの本によると、魚肉のすり身を成型し、油で揚げた魚肉練り製品という意味では、確かにごぼう天・イカ天やはんぺんも含まれるようです。私自身、薩摩揚げという名称を知ったのは後年、就職で上京してからのことで、それまでは私の両親からはツケアゲと聞かされていました。そのため薩摩揚げと言う場合、東京の居酒屋で出て来るような、野菜を刻んで魚肉の練り製品に練り込んで揚げた天ぷらをイメージしますので、はんぺんの食感がちょっと意外だったわけです(否、期待外れと言うべきか・・・)。
 食事はともかくとして、今回、焼酎の香りの良さに目覚めてしまいました。いろいろな銘柄を何杯も重ねてよく覚えていませんが、一つだけオヤッとメニューで名前を確認したのが「月の中」、つきんなか、と読みます。香りがまろやかで、臭い芋焼酎に対するイメージが変わってしまいました。勿論、本来は臭みが持ち味というべきなのでしょうが、すっきり焼酎だと、日本酒党の私にもすんなり入って来て、ここ暫くは美味い焼酎を探すマイブームが続きそうです。
 さてこの焼酎に関して、日本国内に残存する最も古い文献は、鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社で、永禄2年(1559年)に補修が行われた際に大工が書き残した「焼酎もおごってくれないけちな施主だ」という内容の「落書き」だそうです。まさかこの大工は、Wikipediaでも紹介されるほどのエピソードになろうとは思いもよらなかったであろうに、なんとも庶民の酒らしいエピソードに微笑ましくなります。
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うなぎ

2012-07-06 23:19:27 | グルメとして
 ここ3年連続でうなぎの稚魚「シラスうなぎ」が不漁とは聞いていましたが、養殖うなぎの相場は平年の実に2倍以上に高騰しているそうです。そのため、静岡や東京の卸業者は、アフリカ・マダガスカル産の食用うなぎの輸入に踏み切ると、NHKが報じていました。同じく代替品として、同じウナギ目に属するアナゴの需要も増え、価格が上がっているとも聞きました。
 普段は社食で過ごすことが大半のズボラな私たちですが、今日の昼は、思い立って、うなぎを食べに外出しました。かれこれ半年振りぐらいに訪れて見ると、不漁の影響は予想以上に深刻です。900円のランチ・セットは1割値上げして990円になっていました。こういうご時世だから仕方ないねえと、同僚と慰め合って、うなぎの到着を待ち侘びていると、出て来た丼は、ひと回りどころか二回りほど小さくなっているではありませんか。ラーメンにミニ丼などというランチセットはよくありますが、主食なのにミニ丼、ミニ丼がメインとは初めてお目にかかります。哀れうなぎは僅かに一切れ乗っかっているだけ。ダブル・パンチならぬトリプル・パンチに見舞われたような衝撃です。こんなしょぼいランチ・セットで我慢するくらいなら、倍以上を支払ってでも、まともなうなぎを食いたかったと、恨めしい花金(なんて死語ですね)の昼食となりました。食の恨みは根深い。
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吉祥寺・ハーモニカ横丁

2012-06-30 18:31:19 | グルメとして
吉祥寺と言えば、青春ドラマの金字塔「俺たちの旅」の舞台になった井の頭公園があり、関西人の私にとっては憧れの地、独特の思い入れのある街です。実際に吉祥寺を訪れてみると、駅の北側に伸びるサンロードをはじめとして、今もなお昔ながらの商店街の雰囲気を色濃く残すのを認めて、ホッとします。肩肘張ることなく気軽に歩ける街なのは、山手線沿線やその内側とは違って、「住」に近い土地柄だからでしょうか。心なしか普段着の買い物客が多いような気もします。そのサンロードの路地裏に、更に庶民的な、通称「ハモニカ横丁」があります。
ハーモニカという、それ自体が哀愁を帯びた音色を奏で、人恋しさを誘って、夜の飲み屋街に似合う絶妙のネーミングは、その昔、武蔵野市に住んでいた文芸評論家の亀井勝一郎氏が、戦後の荒廃した闇市に始まる100軒ほどの店が所狭しと軒を連ねる路地の様子を、ハーモニカの吹き口に譬えたことに由来するそうです。アジアの街を歩けば分かりますが、日本は戦後の荒廃から立ち直って、67年の時を経て、世界でも指折りの清潔な街に生まれ変わりました。ところが吉祥寺の明るい商店街から一筋入るだけで、決して不潔なわけではないのですが、ウナギの寝床のように入口がひしめき合って、何とはなしに垢抜けない看板と相俟って、独特な猥雑さが、ある種の懐かしさを醸し出します。実際に戦後間もなくこの地で営業を始めた干物屋もあれば、つい一年半ほど前にオープンしたタイ料理レストラン「アジア食堂ココナッツ」もあります。先日、このタイ料理を食して見ました。日本的にスパイスを抑えたところが物足りないのですが、ここは日本なので、やむを得ません。こうした新旧織り交ぜつつも共通するのは、そこはかとない昭和。なんとなく造られた昭和がそこにあります。
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ラーメンに目覚める

2011-11-23 11:43:45 | グルメとして
 日本人はラーメンが好きですね。海外で紹介される代表的な日本食は、寿司と天ぷらですが、それは外国人にも理解されやすい典型的な日本としてのフジヤマとサムライとゲイシャの類いで、フジヤマはともかく、いまどきサムライもゲイシャもないでしょう。日本人が好む日本食、いわば国民食と言ってもよいのは、ラーメンが一番ではないかと思います。麺のシャキシャキ感もさることながら、スープへのこだわりは並々ならぬものがあります。中華料理に端を発しながら、中華料理の範疇を越えて日本独自の進化をとげて立派な日本食の地位を獲得したという意味は、この「スープだし」へのこだわりにあり、「ダシが命」の和食の系列で発展を遂げているからに他なりません。もっとも寿司も、回転ずしという業態に託けて、高級品を庶民の口に引き摺りおろしたので、今や国民食は寿司とラーメンと言うべきかも知れません。
 さて表題で「ラーメンに目覚める」と言ったのは、何も今頃ラーメンが好きになったという意味ではなく、私もラーメンが好きなことでは人後に落ちるものではありません。むしろ味へのこだわりには人一倍とも思っています。ただ、食べ方が間違っていたのではないか・・・と、恥ずかしながら、今さらのように気が付いたのです。きっかけは、土曜日夕方の「所さんの目がテン!」というTV番組で、半ばアホらしいと(関西人のニュアンスでは、関東の人が「馬鹿馬鹿しい」と言うほどの重さはありませんし、何より愛情がこもっています、為念)思いつつ、実証主義へのこだわりが好ましく、好きでよく見ます。ある時の実験で、フランス人は熱いラーメンを食べることが出来ないという、単純な、しかし重要な事実に気づかされました。そもそも西洋料理のスープはそれほど熱くないので、すました顔で音も立てずにさらりと飲むことが出来るのですが、彼らが熱々のラーメンを食べるには、麺に空気を当てて冷ませながら食べるしかないので、やたらと時間がかかる。日本人なら、ずるずるとかけ込んであっという間に食べ切ってしまうところですが、実はこの「ずるずる」には、空気も一緒にかけ込むことによってスープが直に舌に接触するのを抑え、熱さを緩和する意味合いがあったようなのです。フランス人は、そして実は私も、西洋料理でスープを飲む時に、ソバやラーメンを啜る時のように「ずるずると音を立てるのは下品」だと言われて育って、フランス人には「ずるずる」の食べ方がそもそも出来ないようですし、私も、猫舌も手伝って、汁っ気を減らして、味が薄くなった麺をさらさらっとかけ込んで来ました。それこそ半世紀近くにもわたって・・・(年齢に直結する話なので曖昧に・・・)。ところが最近、この番組のことを思い出して、箸でつかんだ麺をそのまま(ふうふう冷ましながら汁を減らすことなく)汁ごと「ずるずる」っとやってみると、汁の味がしみて、これまでにも増して美味いではありませんか。考えてみれば当たり前のことですが、なんたる不覚。この半世紀という長い年月を味気なく費やしてきたことの悔恨・・・。
 思い出したのは「郷に入っては郷に従え」の格言です。日本で日本のソバやラーメンを食べるなら、妙な西洋かぶれは捨てて、思い切り「ずるずる」を楽しむがよろし。猫舌も恐れるに足らず。これに気づいたのは、周囲の目を気にしなくなった年齢のせいでもありますが。
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イタリアン

2011-10-13 01:03:27 | グルメとして
 今日、出張で上京した高校時代の知人と、久しぶりに食事をしました。宿泊先がシェラトン都ホテル白金高輪だというので、ホテル・ロビーで待ち合わせにしたのは、高校時代から遅刻常習犯のルーズな私には(と言うより、待たされる知人にとって)良かったのですが、彼の地には、手ごろなレストランが少ない。田舎者の大阪人の私にも、そこが高級住宅街であるのは分かっていましたが、歩いていると、外国人の家族連れがごく当たり前に散歩しているのに出食わしたりして、都心にありながら、ちょっと特別な、高級な生活空間であることが知れます。ぐるなびで「Per Regalo」というイタリアン・レストランを選びました。
 私がイタリアンに目覚めたのは、アメリカ西海岸でのことでした。東海岸のボストンは、ハーバード大学やMITなど日本人には馴染みの街ですが、伝統的なエスタブリッシュメントの街並みがそのまま温存され、クラムチャウダー以外に食事に見るべきものはありません。ところが西海岸まで来ると、地理的な距離以上に、アジアがぐっと近くなり、和食だけでなく中華やタイやベトナムやイタリアンなど、食生活が格段に豊かになります。更にマレーシア・ペナン島のジョージタウンにあるイタリアン・レストランBella Italiaは抜群に美味かった。チリ(唐辛子)をうまくあしらって、アジア風イタリアンと言っても良いほど、日本人出張者の舌をも満足させ、我が家は毎月のように通いつめたほどでした。
 そんな特別な思い入れがあることは秘めながら、テラス席に陣取ると、夜風が実に心地よい。値段は白金台相場!?で、料理の味は特別と言うほどではないにせよ、ごく当たり前に美味しい。晴天続きで乾燥した空気が、ワインの味を引き立てたようでした。食後のカブチーノには思わず美味いと唸ってしまいましたが、結局、何が一番印象に残ったかと言うと・・・金を惜しまなければいくらでも美味しいものを食べられる、そういった食事そのものよりも、また白金台のハイソな雰囲気よりも、一年の内でそれほど多くはない、テラスでの食事が気持ち良い季節を満喫した夜だった、というところです。
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中華三昧

2011-03-03 00:34:14 | グルメとして
 著名な高級インスタント・ラーメンのことではありません。先週の台湾・香港出張では、ちょうど一週間前の水曜夜から金曜夜まで、中華料理三昧で、すっかり食べ過ぎてしまいました。
 水曜夜は、台湾料理を堪能しようと、かつてよく通った台北・林森北路の「梅子」へ出掛けました。日本円で2000円もするフカヒレ・スープを奮発したら、ぶつ切りのフカヒレがたっぷり入って、必ずしも洗練されてはいないものの、素朴な味つけがなかなかに美味しい。続いて前菜のイカ団子に塩をまぶして頬張ると、熱々でぷりぷりの歯ごたが幸せです。そしてメインの、空心菜のガーリック炒めと、広東風ごま油による魚蒸しを、同行者と二人でシェアしました。仕上げは片手の平に乗るほどの一口サイズの台南・担仔麺で、これも素朴な味わいが、なんとも懐かしい。ちょっと食べ過ぎながら、全ての味に大満足の一人5000円で、すっかり20年前にタイム・スリップしたような、贅沢な夕食でした。
 金曜夜は、ホテルのコンシェルジェお勧めの広東料理の店「鴻星海鮮酒家(Super Star Seafood Restaurant)」を訪ねました。香港・尖沙咀のど真中にあって、日本人観光客から聞かれたら恐らくワンパターンでこの店を勧めているのであろう、大通りに面して見つけやすい、味には定評のあるレストランで、階段には、いちいち確認しませんでしたが、アグネス・チャンや倉田保昭(ちょっと古い)や岡本夏生をはじめとする日本の芸能人や良く知らない地元の有名人の写真が所狭しと貼られていて、人気のほどが察せられます。しかし値段はモデレートと言われただけあって、リーズナブルで、味は文句なし。マテ貝のガーリック炒め(時価で、一個300円)に始まり、写真で見れば椎茸に紛れてアワビの薄切りが実はほとんど入っていないことが判明した餡かけ豆腐、レタスの土鍋炒め、そして牛肉入りビーフンと、全ての味が、台湾料理よりも洗練された磨きがかかって、大満足でした。実際にメニューに添えられたコメントを見ると、数々の香港料理大賞に輝いていることが知られ、こうした料理もさることながら、彫皇という8年モノのChinese Wine(所謂、紹興酒)が常温ながらコクがあって美味しく頂けて、料理を一層引き立てました。
 昼は、台湾・香港ともに、期せずして飲茶を楽しみましたが、台湾のファーストフード牛肉麺や、庶民派レストラン「餃子大王」の水餃子を試せなかったのは残念でした。中華料理と言えば大人数で豪勢に・・・と行くべきところですが、今回は少人数でささやかながらそれでも少人数なりに中華料理を堪能した二日間でした。
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なだ万

2010-05-26 02:23:49 | グルメとして
 先日、横浜グランド・インターコンチネンタル・ホテル4階の「なだ万」で食事をする機会がありました。
 あの「なだ万」です。言わずもがなですが、念のため、オフィシャル・サイトによると、創始者である灘屋萬助の名前に由来し、1830年(天保元年)、大阪で創業とありますから、180年の歴史を誇ります。1871年、“長崎料理を基調とした大阪料理”の店「灘万楼」を開業、明治半ばに、今日のスーパーマーケットの先駆けとなる総合食料品店を開業して、当時の最新商品パンを売り出し、大正年間には、レストランでジャズ演奏を披露し「なだ万ジャズ」と呼ばれたと言いますから、ハイカラだった様子が窺われます。森鴎外や夏目漱石の小説にも登場し、1919年、パリ講和会議で訪欧する全権大使・西園寺公望公の随行料理人に選ばれた縁で、住友本家からイゲタ紋の使用を許可され、1974年に大阪本店を移転した東京・ホテルニューオータニ日本庭園内の「なだ万本店山茶花荘」では、1986年、東京サミット公式晩餐会が時の中曽根首相主催により開催され、レーガン大統領やサッチャー首相をはじめ各国首脳から好評を博す、など、きらびやかな歴史を誇ります。1981年、香港・シャングリラホテルに海外一号店を出店、1993年、新宿・小田急マンハッタンヒルズに寿司・天麩羅・鉄板ステーキのコーナーも備えた総合日本料理店「なだ万賓館」開店、1995年、三越日本橋本店に弁当・惣菜販売の「なだ万厨房」を出店、2000年、赤坂・東急ホテル最上階に国内最大規模・新業態の「スーパーダイニングジパング」開店、など、日本料理の正道を守りながらも常に新たな領域にチャレンジを続けて日本料理界をリードする自負が窺えます。今では国内レストラン26店舗、海外8店舗、ショップ(なだ万厨房)31店舗を数えます。
 横浜のこの店は1995年開業、みなとみらいの一角にあって海を見渡せる絶好のロケーションにあります。この日も、年配の方ばかりでなく若い人ばかりのグループもいて、日本の不況どこ吹く風という盛況ぶり。今の日本経済は、消費不況と言われますが、消費が選別されているだけで、好調・堅調な業態もあり、不況という一般的な言葉で全てを形容するのは相応しくないのかも知れません。
 ロケーションばかりでなく、こうした高級料理店においては、全てにおいて妥協することなく贅を尽くすのが、やはりポイントのようです。
 日本料理において、まずは素材がモノを言うことをあらためて感じます。調理以前に、新鮮で生のままで味が良い(こうした生の味を見分けられるのは私たちの舌が日本料理で培われ鍛えられてきたお陰かも)。そして味付けも一つの方向に流れることなく、さまざまに配合されて微妙で絶妙。一品一品がそれぞれ少量、多品種で、それぞれを満喫させるために満腹感を覚えさせない配慮も嬉しい。盛り付けも、またその料理を盛る皿や器も、美しい。日本の食の文化と芸術の粋を集め、味覚・嗅覚だけでなく視覚をも楽しませる、まさに料理の王道を行く感じです。ただ私レベルには、1万円を越えるコース料理は、もはや見分けが付かないのが残念で、お一人様1万5千円のコース料理は、ちょっと勿体ないと感じてしまう貧乏症でした。
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マクドナルド

2009-12-06 00:47:23 | グルメとして
 今日、久しぶりにマクドナルドに行って来ました。昨日、ブログで書いたから・・・ではなく、「マックでDS」キャンペーン中で、Nintendo DSを持ち込むと「謎の水晶?」をダウンロード出来るというので、一週間前から子供と約束していたのでした。こういうのも最近はコラボと呼ぶのかも知れませんが、相変わらず子供心を掴むのがうまいですね。子供が小さい頃は、ハッピーセットのオマケ狙いで、よくせがまれて訪れたものでした。今でも捨てられないオマケ(大部分はアメリカ時代のもの)がダンボール一箱分くらい残っています。
 ファーストフードとは、よくぞ名付けたもので、レストランなのに、いかにも大量生産の商品らしさを感じさせるレストランで、システムとしては良く出来ています。それもあってか、メニューの方では、期間限定ながら昔懐かしい「クォーターパウンダー」や「マックチキン」を復活させるなど、目先を変える工夫を凝らして集客に余念がありません。
 実際、グローバリズムの象徴のように見られるマクドナルドですが、「てりやきマックバーガー」のようなご当地メニューを世界各地で見ることが出来ます。カナダではハンバーグではなくロブスターを使ったものがあると聞いたことがありますし、ドイツではビールが出ると聞いたこともあります。私も、シンガポールやマレーシアではちょっと油っぽいチキン・ポリッジ(粥)を良く食べたものですし、ヒンドゥー教徒やイスラム教徒が多い東南アジア地域では、宗教上・習慣上の理由からビーフやポークではなくチキンが中心で、そのチキンもイスラム法に則って正しい手順で処分されたことを示すHalalの文字がしっかり表示されています。また東南アジアでは、ポテトにつけるケチャップに加えて甘辛のチリソースを選べて、我が家は贔屓にしていたものでした。こうしたご当地メニューを日本でも期間限定で提供すると面白いと思うのですが。
 東南アジアでは、宗教上・習慣上の理由から、マクドナルドよりケンタッキー・フライド・チキンが健闘しています。上の写真の通り、ケンタッキーもシドニー(ジョージ・ストリート)ではシックです。
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