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風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

アメリカ食文化考

2009-12-05 02:10:26 | グルメとして
 さんざん「ペリー提督日本遠征日記」を引っ張りまわして来ましたので、今日はお題だけ借りて、そろそろお役御免にしたいと思います。この本(小学館)はペリーの日記の中から日本遠征のところだけを抜粋したもので、当時のアメリカを想像させる記述はなかなか見当たらないのですが、一箇所だけ、おやっと思ったところがあります。ペリーが座乗する艦船にフランス人シェフが乗っていたのです。何ヶ月も航海に出る当時にあっては、当然のことだったのかも知れません。
 それにしても、現代のアメリカは、いつから食に対する意欲あるいは執着心を失い、味覚を衰えさせたのか、疑問に思って来ました。既に移民三世や四世の時代になり、ヨーロッパとの結びつきよりも、むしろアメリカ人としてのアイデンティティが強まっているアメリカは、同じ移民社会でありながら、いまだに移民一世が中心で、ヨーロッパの食文化を引き摺っている美味しいオーストラリアとは対照的です。
 アメリカの舌を衰えさせた元凶は、味気ないファーストフードの味を整え、ファーストフードを支えて来たコカ・コーラ(更にはペプシも含むコーラ文化)ではないかと個人的に思っています。勿論、アメリカ文明を象徴するコカ・コーラを、私もこよなく愛しますし、アメリカ滞在中は、コカ・コーラの1950~60年代の雑誌広告やPOPを買い集めたものでしたが(コレクターズ・アイテムとして人気が高いので滅多に手に入らないのですが)、その話は別の機会に譲ります。ワインにコカインとコーラのエキスを調合したフレンチ・ワイン・コカと呼ばれるシロモノが、コカイン中毒問題と禁酒運動が広がる中で、たまたま炭酸水に置き換わり風味付けのシロップが加えられたことによってコカ・コーラとして誕生して以来、既に120年以上の歴史があり、第二次世界大戦中にはなんと“軍需品”としてアメリカ軍とともに世界に広まったと言われる伝説をもつほど、アメリカ合衆国そのものとも言える清涼飲料水です。
 ペリー日記を読むと、コカ・コーラ説を否定するものではないものの、のんびり船旅をすることがなくなり、移動に時間をかけなくなったこともまた、食の衰えの契機となったのではないかと想像させます。プラグマティックなアメリカらしいと言えましょうか。
 上の写真は、アメリカ文明を象徴するファーストフードの代名詞マクドナルド。シドニー(ジョージ・ストリート)では落ち着きがある佇まいです。
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喫茶店

2009-09-04 01:49:42 | グルメとして
 喫茶店と言うと、私のような世代はガロの「学生街の喫茶店」が先ずイメージとして浮かび、実際に学生時代を過ごした京都の、やや鄙びた喫茶店(今はどうなっているか知れない「新進堂」とか「らんぶる」とか「ぱんぷきん」)で、美味いコーヒー一杯でいつまでも寛げる手軽さが原点なわけですが、昨今の喫茶店は、多様化したわりに、こういった期待値を満足させてくれるオーソドックスなものが少ないような気がします。最近、ラッシュアワーを避けて都心のオフィスに早朝に到着し、始業までの僅かな時間に、腹ごしらえをして新聞や本を読んで落ち着ける場所を求めて、いろいろ試してみた結果を紹介したいと思います。
 先ず「ルノ●ール」。都心では有名な喫茶店チェーンですが、最近は喫煙者の駆け込み寺と化しているのが、ちょっと不満です。欧米では、ご存知の通りPublic Spaceがどんどん禁煙となる傾向にあるのを受けて、日本でも駅やオフィスで禁煙の輪が広がっていますが、喫茶店やパブやレストランはその流れからやや取り残されているようです。そこで働く従業員の環境保全といった働く者の権利意識が、日本では弱いせいかも知れません。ここ「ル●アール」では、全てのテーブルに灰皿が用意してあり、モーニング・セットは、飲み物に僅かに60円を足すだけで、トーストとゆで卵を取ることが出来る割安感がありますが、肝心のコーヒーは540円と、スタバと比べても破格の値段なのは、喫煙自由のプレミアム価格といったところでしょうか。
 一方、それと対照的なのが全席禁煙を謳う「ド●ール」。安さと手軽さで急進した喫茶店チェーンだけに、サンドイッチは250円~、コーヒー200円を足しても合計450円~で済む割安感がありますが、お持ち帰りの人の出入りが激しく、店内にマクドナルドよろしくマニュアルに則った売り子の声が響き渡って落ち着けないのが難点です。
 その中間にある某カフェ(名前は失念)は、店内スペースがたっぷりとあって、喫煙席がきっちり分けられていて、いろいろなパンを選べる利便性にコーヒー230円はリーズナブルですが、肝心のコーヒーが美味くない。お代わりもう一杯サービスのキャンペーンは嬉しいのですが、所謂アメリカン・コーヒーを何杯も飲まされるようで、それほどの有り難味がない。
 結局、都心では、スタバが謳うように、コーヒーを経験する時間(と場所)にはプレミアムを払わなければならないということなのでしょうか。
 上の写真はシドニー・ダーリンハーバー。
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