保健福祉の現場から

感じるままに

見えない感染源と変異株

2021年03月16日 | Weblog
R3.3.16朝日新聞「千葉で変異株クラスター 昼カラオケで高齢者12人感染」(https://www.asahi.com/articles/ASP3H7790P3HUDCB01N.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<新型コロナウイルスで、千葉県は15日、県内で初めて変異株のクラスター(感染者集団)が発生したと発表した。昼間にカラオケをする「昼カラ」で12人が感染。21日に迫る緊急事態宣言の期限について、森田健作知事は「まだ(感染者の減少が)足りない」と記者団に述べた。県と千葉市は、8~14日に感染がわかった723人のうち、133人に変異株のスクリーニング検査を実施。16人が変異株と判明し、この「昼カラ」関係者が含まれていた。15日時点で、60~80代の従業員と客の計12人、その家族の10歳未満~80代の計5人の感染がわかっている。感染は高齢者が中心で、歌う時にマスクをつけるなどの対策をしていなかったという。森田知事は「非常に強い危機感を持っている。変異株は非常に感染力が強い」と強調した。緊急事態宣言の期限を前にした変異株クラスターで、森田知事は「(宣言解除の判断に)もちろん影響する」。週平均の感染者は14日時点で103人となり、「やっぱり2桁、できれば50人と言ってきた。解除しても再拡大を考えなくてはいけない」とした。県内では、14日に感染者106人、15日に感染者76人と90代以上の女性3人の死亡が確認された。木更津市の市立吾妻保育園では、園児ら計5人が感染するクラスターが発生。クラスターとなっていた松戸市や市川市、市原市の接待を伴う飲食店では新たに計7人の感染が判明した。>

R3.3.15朝日新聞「首都圏下げ止まり「見えない感染源があるのでは」尾身氏」(https://www.asahi.com/articles/ASP3H4ST7P3HUTFK010.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<感染の急増が指摘されている新型コロナウイルスの変異株への対策について、政府の対策分科会の尾身茂会長は15日の参院予算委員会で「今までの延長では、なかなか難しい」との見解を示した。その上で、「変異株が感染拡大のスピードを加速するという可能性を、最悪の状態を考えてやらないといけない」と述べた。首都圏で感染の下げ止まりがある現状について、尾身氏は「見えない感染源があるのではないかというのが我々の判断」と説明。「そのことを放置したままにただ延長、また解除をしても本質的な解決にならない。重要なことはしっかりとした現状の把握だ」とし、これまで以上に感染調査を徹底することが必要との考えを示した。その上で、「(緊急事態宣言を)解除した後も長い。何が一番肝で、何に集中するかというメッセージを極めてはっきり国と自治体が出すことが必要。そうしたはっきりしたメッセージがあって、一般市民は協力を今まで以上にしてくれる」と述べた。立憲民主党の青木愛氏の質問に答えた。>

R3.3.16NHK「「見えにくいクラスター」対策は」(https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20210316/1000061742.html)。<以下引用>
<これまでの調査では見つけにくい新型コロナウイルスの「見えにくいクラスター」を捉えようと、東京・墨田区は歓楽街の飲食店の従業員など無症状の人を対象にPCR検査を実施する対策を始めました。都市部で感染が続く背景として、政府の分科会は軽症や無症状の感染者の集団などこれまでの調査では見つけにくい「見えにくいクラスター」の存在があるとしています。こうしたなか、東京・墨田区は酒類を提供する飲食店が集中する錦糸町地区で、無症状の人を対象に新型コロナウイルスのPCR検査を無料で実施し、感染リスクの高い集団や場所を特定することで「見えにくいクラスター」への対策につなげようとしています。検査の対象は、およそ1800の飲食店やバーなどで働く従業員です。16日は、地区内に設置されたPCRセンターに飲食店の経営者らが検査キットで採取しただ液の検体を提出したり、保健所の担当者が商業施設を訪れ、施設内で働く従業員の検体を回収したりしました。区では今後、無症状の感染が起きているのがわかった店舗では、従業員全員にPCR検査を行い感染拡大の防止につなげたいとしています。検査に協力したスナックの経営者は「感染者を減らすには営業時間の短縮などだけではだめだと感じていたので、早く終息させるためには、私たちも協力すべきだと参加をすぐに決めました」と話していました。墨田区保健所の西塚至所長は「こうした場所は感染対策の急所と言える。今後のリバウンド対策に大きく役立つ取り組みとして、まちをあげて安全・安心を高めるチャンスにしていきたい」と話していました。「見えにくいクラスター」を捉えようと無症状の人を対象にした検査について、感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「自分が感染しているかわからないとか知られたくないという人は検査を受けないし、受けたとしてもその結果を伝えられないという人もいて、そこから感染が拡大する可能性がある。それを、こちら側から先に見つけだして、それ以上の、クラスターにならないように対策を講じ、今後の感染の芽をつむということが重要だ」としています。そのうえで「感染者の数が少なくなっている今だからこそ積極的検査で感染者をあぶり出して、対策をとるということが大事で早めに対処しておけば封じ込め対策が有効になり、リバウンドの可能性を減らすことができる」と話しています。東京都の専門家ボードは、感染の広がりの予兆となるクラスターを早期に捉えるために、▼高齢者施設や医療機関での定期的な検査と、▼繁華街や特定の地域などで感染の広がりを監視する検査が必要だと提言していて、都は、こうした検査で感染を抑え込んで再拡大を防ぎたい考えです。このうち、▼高齢者施設や医療機関での定期的な検査はクラスターの発生を未然に防ぐのが目的です。対象は施設の職員や患者で、都は、今週中に、葛飾区の施設で試験的に始めて、今月下旬以降、順次、拡大することにしています。専門家は、こうした検査をいわゆる「守り」の検査としています。一方、▼繁華街や特定の地域などで感染の広がりを監視するためのいわゆるモニタリングとしての検査は、無症状の人に積極的に検査を行うことで感染状況を早めに探るのが狙いです。▽繁華街エリアでは飲食店の従業員などを対象にした検査を、▽事業所や学校、駅の周辺では一般の成人などを対象にした無作為の検査をそれぞれ行うとしています。専門家はこうした検査をいわゆる「攻め」の検査としていて、都は今月中に始めるとしています。東京都医師会の猪口正孝副会長は「『守り』の検査と、『攻め』の検査が大きな武器となる。感染を抑え込むためには検査能力を有効に活用する必要がある」と話しています。東京都内で新型コロナウイルスの感染が確認された人のうち2割程度は無症状だったことがわかっていて、都の専門家は「無症状であっても感染源となるリスクがあることに留意する必要がある」として、感染を拡大させないための対策の徹底を呼びかけています。東京都のまとめによりますと、今月は、15日までに都内で感染が確認された3908人のうち、およそ21%にあたる823人は、陽性が判明した段階で無症状でした。この割合は、先月がおよそ22%、ことし1月がおよそ20%で、感染確認の多さに関わらず、2割程度は無症状です。都によりますと、無症状の人は幅広い年代で確認されています。都の専門家は「無症状であっても感染源となるリスクがあることに留意する必要がある」と繰り返し指摘していて、都は、感染を拡大させないための対策の徹底を呼びかけています。>

R3.3.16NHK「変異ウイルス検査体制に課題」(https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20210316/1000061737.html)。<以下引用>
<変異した新型コロナウイルスの感染が全国で拡大し、監視強化の必要性が指摘される中、今の検査体制に課題があることが埼玉県への取材で分かり、県は国に対応を求めています。埼玉県によりますと、県内ではことし1月下旬に初めて変異ウイルスの感染が明らかになってから、これまでに60人の感染が確認されています。変異ウイルスの検査は、県の衛生研究所やさいたま市など4つの市で行われていて、PCR検査で陽性だった患者の検体を分析しています。1月25日にはじまってから今月7日までに行われた検査は446人分で、この期間に感染が確認された6714人の6.6%と、国が求める5%から10%の目安を満たしているものの、今のままではこれ以上増やすには限界があるということです。その理由の1つが、条件を満たさない検体が多いことです。変異ウイルスの検査にかけるには一定の量のウイルスが必要ですが、個人差もあり、県が管轄している地域ではPCR検査で陽性だった検体のうち、条件を満たしているのは半数ほどだということです。もう1つの理由が、民間で検査する仕組みが整っていないことです。埼玉県内では、PCR検査全体に占める民間の検査機関の割合が圧倒的に多く、行政が行っている検査のおよそ10倍にのぼっています。しかし、民間の検査機関がみずから変異ウイルスの検査を行ったり行政に検体を提供したりする仕組みは整っておらず、検査の実績は少ないということです。県は、民間の検査機関に対して協力を要請したい考えですが、県単独では難しいとしています。埼玉県感染症対策課の田中良明感染症対策幹は「民間の検査機関の分の検査が進まなければ、国が示す5%から10%をキープするのは難しい。国が先頭に立って進めてほしい」と話しています。新型コロナウイルスのPCR検査を行っている民間の検査会社では、検査後、一定期間が過ぎた検体は処分するしか無いということです。埼玉県川越市に研究拠点がある大手検査会社「ビー・エム・エル」では首都圏を中心に医療機関や行政を中心に検査の依頼を受けていて、この施設だけで1日におよそ1万件の検査を行っています。厚生労働省によりますと、感染が確認された人の検体については、行政が民間の検査機関から提供を受けることができますが、民間検査での検体の保管期間などについては国のルールなどは定められていないということです。この会社では、念のため陽性か陰性かに関わらず検査後の検体を一定期間、保管していますが、マイナス20度で保管する必要があり、冷凍庫のスペースも限られているため、4日から5日程度で処分するしかないということです。会社では、今後、国の変異ウイルスの調査が拡大される場合に備えて、冷凍庫の増設や、陽性となった検体だけの保管への切り替え、それに社内で変異ウイルスの検査ができる体制の整備などを進めているということです。ただ、今のところ具体的にどれぐらいの期間、保管するのかや、どの検体を変異ウイルスの検査に回すのかなど、国などの方針は示されていないということです。「ビー・エム・エル」の山口敏和執行役員は「どのような用途のためどのタイミングで検体の返却が求められるのか、何らかの指針があれば対応しやすい。変異ウイルスの検査体制拡充のため、スペースの確保などは会社として準備しつつ、国などから具体的な協力要請を待ちたい」と話していました。変異ウイルスの検査体制について日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「変異ウイルスの検査は、国立感染症研究所や地方衛生研究所を中心に行われているが、実施できているのは陽性者のうちの5%から10%程度で、国民の心配に応えられていない。陽性者の50%以上は検査の必要があるというのが、専門家で一致している意見で、そのためには、民間の検査会社の協力が不可欠だ」と指摘しています。そして、「変異ウイルスの検査方法そのものは複雑ではなく、特別な試薬があれば、どの検査機関でも対応できる。国は民間検査会社に対して、通常の検査で陽性となった検体に対して、追加で変異株の検査も行ってもらえるような具体的な指針を示すべきだ」と話しました。そのうえで、舘田教授は「民間の検査で変異ウイルスの陽性が判明した場合は、医療機関や保健所に速やかに報告するようなルールを作るなど、変異ウイルスの検出頻度を調べるだけでなく、感染拡大を防止する対策につなげていくことが重要だ」と話していました。>

「業種別ガイドライン」(https://corona.go.jp/prevention/)のグレードアップが図られているが、エアロゾル感染対策はどこまで重視されているであろうか。R3.2.19「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.2版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000742297.pdf)p6「SARS-CoV-2 は密閉された空間において短距離でのエアロゾル感染を示唆する報告があるが,流行への影響は明らかではない.」とあるが、エアロゾル感染は警戒した方が良いように感じる。そういえば、「(2021年2月時点)新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識」(https://www.mhlw.go.jp/content/000749530.pdf)p6ウイルス吸入量「布マスクを感染者が着用した場合に60-80%減少し、感染者と接する人が着用した場合に20-40%減少」と「布マスク」の性能が強調されている。R2.12.3資料5-2「啓発資材:いつでもマスク」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000701633.pdf)は「布マスク」なのか気になるところで、例えば、「布マスクでカラオケ」はどうなのであろうか。「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け) 令和3年3月10日時点版」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html)の「飲食店やカラオケボックスなどへ、営業時間の短縮(営業は20時まで、酒類の提供は11時から19時まで)、業種別ガイドラインの遵守を要請します。」「「外出自粛」については、日中夜間を問わず、ご協力をお願いいたします。」とあるが、単に「営業時短」や「外出自粛」ではないように感じる。R3.1.18産経新聞「北海道で「宅飲み」クラスター 最大12人で会合」(https://www.sankei.com/life/news/210118/lif2101180037-n1.html)、R3.2.14産経新聞「北海道で「宅飲み」クラスター発生 参加者6人全員が感染」(https://www.sankei.com/life/news/210214/lif2102140030-n1.html)、R3.2.9AERA「食事中は完全に会話ナシ「黙食」の効果 お互いに顔を見合わせて「おいしいね」」(https://dot.asahi.com/aera/2021020800045.html?page=1)などをみると、「外食業の事業継続のためのガイドライン」(https://corona.go.jp/proposal/pdf/gaishoku_jigyokeizoku_20201201_2.pdf)がしっかり遵守されているお店の方が安全ではないか、と感じる方が少なくないかもしれない。ところで、R3.3.16日刊ゲンダイ「“優等県”徳島で変異株9名の衝撃…関西圏から地方に飛び火」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/286527)に少々不安を感じる方が少なくないかもしれない。R3.3.9国立感染症研究所「日本における感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルスの新規変異株症例について(2021年2月26日時点)」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10221-covid19-37.html)は「501Y」に関するものである。新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00216.html)のR3.3.3「新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000748323.pdf)p1「上記のほかに「N501Yの変異はないがE484Kの変異がある変異株」を、現在、我が国では、93例(国内91件、空港検疫2件)確認している。」は不気味で、p3「免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されている変異株やその他の株についても、迅速に発生状況を把握する必要が生じた場合に備え、• 国立感染症研究所において、複数の変異を迅速に検出する検査方法の開発 • 国立感染症研究所においてゲノム解析を実施などに取り組む」とある。R3.2.25「新型コロナウイルス変異株流行国・地域に滞在歴がある入国者の方々の健康フォローアップ及び SARS-CoV-2 陽性と判定された方の情報及び検体送付の徹底について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000745204.pdf)で「新型コロナウイルス感染症(変異株)の発生動向等については、HERSYS を活用して集計を行う予定であり、HER-SYS において変異株であることをチェックできる項目(①変異株 PCR 検査結果・②ゲノム解析結果)が3月5日から追加される見込みです。つきましては、以下の要領で入力の程御願いいたします。なお、3月15日より集計を開始する予定です。」とあるが、E484Kの発生動向が気になるところかもしれない。変異ウイルスの感染力だけではなく、病原性はどうか、ワクチンの有効性はどうか、抗ウイルス薬の有効性はどうか、など、いろいろ気になるところかもしれない。R3.3.5日刊ゲンダイ「コロナ死1万人増の最悪シナリオ 逃避変異に感染研が警鐘」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/285974)の「厚労省は「感染性や重症度が深刻ではなく、ワクチンが無効になるわけではないため、都道府県別に(逃避変異株を)モニタリングする状況ではない」(結核感染症課)」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/285974/2)とあるが、積極的なモニタリングと情報公開の徹底を期待したい。
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