メディウォッチ「全身管理や救急医療など実施しない病棟、2018年度以降「急性期等」との報告不可―地域医療構想ワーキング(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=21156)。<以下引用>
<今年度(2018年度)の病床機能報告より、▼急性期・高度急性期の機能を全く果たしていない病棟については急性期・高度急性期と報告することを認めない▼必ず「2025年度における各病棟の機能」も報告する―ことと運用を改める―。6月15日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、こういった方針も固まりました。近く、病床機能報告制度に関する厚生労働省省令の改正などを行い、夏には新たな病床機能報告マニュアルが公表されます。いわば「急性期病棟の外れ値」は、急性期・高度急性期との報告は認めない 医療提供体制の再構築に向けて、地域医療構想の実現が急務とされています。骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨が指示されるなど、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)の議論をいかに活性化させるかが重要課題の1つとなっています。6月15日のワーキングでは、調整会議の議論を活性化させるために、「各都道府県において、埼玉県・佐賀県・奈良県などの先行事例も参考に、各医療機能を考える上でも目安・指標(定量的基準とも言える)を定める」ことが固められました。このほかに、冒頭に述べた、次のような「病床機能報告制度の運用見直し」方向も固まりました。(1)急性期・高度急性期の機能を全く果たしていない病棟については急性期・高度急性期と報告することを認めない(2)必ず「2025年度における各病棟の機能」も報告する まず(1)では、▼幅広い手術の実施▼がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療▼重症患者への対応(救急搬送診療料、観血的肺動脈圧測定、経皮的心肺補助法、頭蓋内圧持続測定など)は▼救急医療の実施▼全身管理(呼吸心拍監視、ドレーン、胸腔・腹腔洗浄、人工呼吸など)—について1項目も該当しない病棟では、「急性期・高度急性期」と報告することを認めないとするものです。従前より、こうした「急性期であれば、いずれかは実施するであろう医療行為」を全く行っていない病棟が存在することが知られ、2017年度には1076病棟(急性期等と報告する病棟全体の約5%)が該当します。これまでこうした病棟については、調整会議において「急性期等との報告内容に誤りがないか」「なぜ急性期等と報告しながら、こうした行為が全く行われなかったのか」などを確認するに留められていました。病床機能報告制度は、あくまで「各病院が自主的に機能を判断する」仕組みゆえです。しかし、こうした「急性期であれば、いずれかは実施するであろう医療行為」を全く行っていないにもかかわらず急性期等と報告している病棟は、いわば「外れ値」と考えることができ、今般、「急性期・高度急性期」との報告を認めないとの厳格なルールが設けられるものです。もっとも、「上記の医療行為は実施していないが、別の報告事項に含まれない急性期医療を提供している」場合には、その内容を自由記載した上で急性期等と報告することが可能です。厚生労働省は、これまでに「特定入院料と医療機能との紐づけ」(例えば施設基準に照らし「特定集中治療室管理料は高度急性期とする」など)、「入院基本料と医療機能との紐づけ」(例えば、診療実態に照らし「旧7対1は高度急性期または急性期とする」など)が行われています。さらに、今般、「急性期・高度急性期から『外れ値』を除外する」ことで、病床機能報告の精緻化を図ります。他方、都道府県ごとに「医療機能を考える上での目安・指標(定量的基準)」を設けて調整会議の議論を活性化する方向も示しており、今後、地域医療構想の実現に向けた動きが加速化すると期待されます。厚労省は「2018年度中に、地域医療介護総合確保基金を活用する病院はもちろん、そうでない病院も含めて『個別に将来の病床機能を合意できる』ように調整会議での協議を促す」考えを明確にしています。これが実現すれば、一般病床・療養病床を持つ全医療機関に関し「2025年度において●●病院は、高度急性期病棟を○床、急性期病棟は○床・・」といういわば、全国医療提供体制マップが完成することになります。2018年度以降、「2025年度の機能」を明確にして病床機能報告を行う ところで、病床機能報告では▼現在の各病棟の機能▼6年後の各病棟の機能―については報告を義務付け、「2025年度の各病棟の機能」は任意報告にとどめています。この点、今年度(2018年度)の報告では▼現在、つまり2018年度の機能▼6年後、つまり2024年度の機能―は報告が必須とされ、2025年度の機能は任意報告となり、報告内容の効率化・病院の負担軽減を考えたとき、「わずか1年間の違いについて、別途報告を求めるべきか」との疑問がわきます。また実際の2017年度報告結果を見ると、「6年後の機能」は93%の医療機関から報告されていますが、「2025年度の機能」は任意提出ということもあり61%の報告にとどまっています。地域医療構想は「2025年度における医療提供体制マップ」と考えられ、また「2018年度中に具体的な個別病院に関する機能転換方針を定める」と言うスケジュールに鑑みたとき、「2025年度の機能」をベースにした議論が必要不可欠と言えます。そこで厚労省は(2)のように、今年度(2018年度)以降の病床機能報告制度において「2025年度の各病棟の機能」についても報告を義務付ける(「6年後の機能」報告は不要となる)こととしたものです。あわせて、調整会議の議論に資するよう「将来の病床規模」に関する報告も求めることになります。調整会議の議長がすべて出席する「都道府県単位の調整会議」設置を推奨 さらに6月15日のワーキングでは、調整会議の議論活性化に向けて「都道府県単位の調整会議」設置に関する詳細が了承されました。「都道府県単位の調整会議」設置は義務ではなく、「推奨」にとどめられていますが、その効果は大きく、未設置都道府県では積極的な検討が期待されます。地域医療構想は、主に2次医療圏をベースとする「地域医療構想調整区域」単位で、医療機能の再編を目指すものです。この点、「都道府県全体としての、将来の医療提供体制」を考えることも重要であり、また「各調整会議で共通の課題」「優れた先行事例」があれば、それを共有しておくことが円滑な議論のために有用でしょう。実際に、佐賀県や埼玉県では「管内の全調整会議の議長が参画する、県単位の調整会議」を独自に設け、こうした意見交換を行い、各調整会議の議論を支援し、効果が上がっています。厚労省の調べでは「20都府県」で県単位の調整会議が設置されていますが、裏を返せば過半数の27自治体では県単位の調整会議は未設置です。厚労省は、各調整会議の議論を支援するために、▼全調整会議の議長▼診療に関する学識経験者団体▼医療関係者▼医療保険者―が参画する「都道府県単位の調整会議」設置を強く推奨しています。なお、新たに調整会議を設けず、既存の会議体を活用することも可能です。都道府県単位の調整会議では、▼各調整会議の運用(スケジュールや協議事項)▼各調整会議の進捗状況(具体的対応方針の合意状況や再編統合論議の状況など)▼各調整会議の課題解決▼データ分析(医療機能を考える上の目安・指標)▼広域での調整が必要な事項(高度急性期機能など)—を議論し、各調整会議を支援することが求められますが、地域独自の対応を行うことももちろん可能です。この点、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「構想区域単位の調整会議では、『A病院は機能転換が必要』と思われても、例えば患者の紹介などを受けているなどの関係があり、言いだしにくいこともある。そういった場合、都道府県の調整会議を活用することも考えられるのではないか」と提案しています。一方、佐賀県では「各区域の議論を縛らないよう、県単位の調整会議では、『方向を揃える』にとどめている」ことが織田正道構成員(全日本病院協会副会長)から紹介されました。都道府県毎に、その有り様はさまざまであってよいのではないでしょうか。>
メディウォッチ「都道府県ごとに「急性期や回復期の目安」定め、調整会議の議論活性化を―地域医療構想ワーキング(1) 」(http://www.medwatch.jp/?p=21130)。<以下引用>
<地域医療構想調整会議(以下、調整会議)の議論を活性化し、病床機能報告制度の精緻化することなどを目指して、▼都道府県単位の調整会議を設置し、県内の各調整会議の議長全員の参画を求めることを推奨する ▼各都道府県で医療機能を考えるに当たっての目安・指標(定量的基準とも言える)を、医療関係者と協議して導入することを求める ▼高度急性期・急性期機能を全く果たしていない医療機関は高度急性期・急性期として病床機能報告することを認めない ▼各医療機関に「2025年度の病床機能」に関する報告を求める―などといった見直しを行う―。6月15日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方針が概ね固まりました。今後、親組織「医療計画の見直し等に関する検討会」と社会保障審議会・医療部会の了承を経て、省令改正などが行われます。今回は、「医療機能を考えるに当たっての目安・指標」の導入などに焦点を合わせ、都道府県単位の調整会議設置などは別稿でお伝えします。ここがポイント! 1 佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を 2 地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない 佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者になり、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していくため、こうしたニーズに的確に応え、効果的・効率的な医療・介護サービスを提供できる体制の再構築が求められています。その一環として「地域医療構想の実現」が重要テーマとなっており、骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨を指示しています。機能転換は「医療機関が自主的に進める」ことが基本であり、調整会議の議論活性化が何よりも重要となります。この点について、埼玉県や佐賀県、奈良県では医療関係者と協議し、「医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を考える上でも目安・指標」(ある意味で機能に関する定量的基準とも言える)を独自に設定しています。地域医療構想においては、病床の必要量を設定するために「1日当たりの資源投入量が3000点以上を高度急性期とする」などの全国基準が置かれましたが、これは各地域における機能分化を考える上での物差しではなく、現実的には「高度急性期から慢性期を考えるに当たっての特段の目安・指標」は存在しないのです。目安・指標がないところで機能分化の議論をすることは難しく、「調整会議の議論を活性化する」ために目安・指標を置くことが重要となるのです。埼玉県では、高度急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの手術件数が2.0回以上」などの、急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの胸腔鏡・腹腔鏡下手術0.1回以上」などの基準値を設定しています(あくまで目安にとどめている)。奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている 6月15日のワーキングでは、こうした先進事例を踏まえ、他の都道府県でも「2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議した上で、医療機能を考えるに当たっての目安・指標を導入する」ことを求めるとの方針が概ね了承されました。ここで留意すべきは、目安・指標は「病床機能報告制度において強制力を持つものではない」「調整会議の議論において強制力を持つものではない」という点です。病床機能報告は、毎年度1回、「自院の各病棟が高度急性期・急性期・回復期・慢性期のいずれの機能を持ち、将来、持たせる予定か」を医療機関の「自主的な判断」によって都道府県に報告する、というものです。これまでに「診療報酬の特定入院料・入院基本料と機能との紐づけ」(例えば特定集中治療室管理料は、その施設基準に照らし高度急性期であることが明確である)が行われていますが、各機能の選択は「医療機関が自主的に行う」ことが基本であり、今後、都道府県が設定する(あるいは既に設定している)目安・指標が報告内容を縛ることにはなりません(ただし、別稿で述べるように、急性期等の機能をまったく果たしていない医療機関では、急性期等と報告することが今後認められなくなる)。また、調整会議においても「●●病院は目安・基準を満たしていないので、機能転換を図ること」といった強制的な議論は行われません。これらの目安・指標は、例えば、「自地域では、急性期が多く、回復期が不足している。まず、各医療機関において目安・指標をどの程度満たしているか全体を見てみよう。その上で、客観的・俯瞰的な視点で機能分化が必要かどうかを検討してはどうか」といった活用方法が期待されます。したがって目安・指標は「全国一律」ではなく、都道府県ごとに「医療関係者と協議し、合意を得た上で設定する」ことが重要です。この点について佐賀県の目安・基準作りで中心的な役割を果たした織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は「50回にもわたる議論を行った。目安・基準の内容よりも、議論のプロセスが重要である」と強調しています。地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない ところで、6月15日のワーキングでは、こうした目安・指標の設定に関し、構成員の間で激しい意見の衝突がありました。口火を切ったのは織田構成員。現場では、「2025年における病床の必要量」(地域医療構想)と「毎年度の病床機能報告結果」とを比較し、機能転換に向けた議論をしていきます。しかし病床の必要量は「患者数」をベースに設定しているのに対し、病床機能報告は「病棟」をベースとしており、両者の比較は難しいのです(病床機能報告で1病棟・40床を急性期と報告しても、その病棟には回復期患者などもいるため)。そこで織田構成員は「病床機能報告を見直し、例えば『急性期』と報告する際に、あわせて『うち回復期相当のベッドが●割』などと報告してもらうことで、病床機能報告結果を補正し、病床の必要量との比較が容易になる」と提案しました。これに対し中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「病床の必要量と、病床機能報告結果は、性質が異なり、そもそも比較してはならないものである。仮に織田構成員の提案が導入されれば、『急性期病棟では重症患者割合が60%・70%いなければならない』といった診療報酬や施設基準の議論につながってしまう可能性がある」旨を述べ、織田構成員の提案に強く反対しました。もっとも、上述の「調整会議の議論を活性化するための目安・指標を設定する」ことには賛意を示しています。この議論・論点は、調整会議で実際に機能分化を検討していく際にも非常に重要なもので、織田構成員の「円滑な病床機能報告や調整会議論議のために目安・指標が必要」と言う意見にも、中川構成員の「病床機能報告と病床の必要量を単純比較することは好ましくない」との意見にも頷けるものがあります。今後、各都道府県や各地域医療構想区域(主に二次医療圏)においても、こうした点にまで議論を深め、その上で個別病院の機能転換に向けた具体的な議論が展開されることが期待されます。なお、冒頭に述べたように、調整会議の議論活性化に向けては「都道府県単位の調整会議設置」、病床機能報告の精緻化に向けては「高度急性期・急性期機能を全く果たさない場合の報告方式(急性期等での報告を認めない)」なども方針が固められており、それらは別稿でお伝えいたします。>
地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の資料が出れば目を通しておきたい。厚労省通知「地域医療構想の進め方について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180213_4.pdf)が出ているが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を進めるには、急性期と慢性期の議論を分けて考えた方が良い。急性期については、①病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)が病棟単位での報告であること、②「地域医療構想策定ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p6「高度急性期… 他の構想区域の医療機関で、医療を提供することも検討(アクセスを確認)・急性期… 一部を除き構想区域内で完結;主な疾病ごとに検討」の理解が欠かせない。第一に、病床利用率の低い一般病床について、当該病院が今後の方向を検討することが必要である。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は、高度急性期75%、急性期78%である。医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)では医療機関ごとに、「病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」が出ていることは常識である。日本医師会「地域医療情報システム」(http://jmap.jp/)では二次医療圏ごとの2045年までの医療・介護需要推計が出ているが、某県地域医療構想(https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/keikaku/kenkoufukushi/documents/summary.pdf)p3~に出ているように、都道府県に配布されている「地域医療構想策定支援ツール」(厚生労働省)では2040年までの入院医療需要が出ており、病院関係者との情報共有が欠かせない。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)では2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口が出ており、入院医療需要に影響するのは間違いない。第二に、「平成30年度病床機能報告の見直しについて (その1)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000200021.pdf)p9「高度急性期・急性期機能を選択した病棟について、「具体的な医療の内容に関する項目」の実施の有無を確認」、p10「高度急性期機能又は急性期機能と報告した病棟のうち、急性期医療を全く提供していない病棟について、地域医療構想調整会議での議論の状況を確認してはどうか。」を確実に実施することである。病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の報告結果ページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data.html)では、エクセルファイルで病院・病棟ごとデータがダウンロードできる。また、①医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)による「病床種別ごとの平均在院日数」「対応可能な疾患・治療内容(件数)」、②医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の5疾病・5事業(特にがん、脳卒中、心血管疾患、救急医療)の急性期医療に関連する医療機関届出情報(地方厚生局)検索(http://caremap.jp/cities/search/facility)、各種の入院基本料等加算(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/index.html)、③DPC関連資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049343.html)、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165562.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000165685.pdf)なども参考になるであろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000186391.pdf)に示すように、DPC病院の「機能評価係数Ⅱの①年齢階級別退院患者数 ②診断群分類別患者数等※(診療科別患者数上位3位まで)③初発の5大癌のUICC 病期分類別ならびに再発患者数 ④成人市中肺炎の重症度別患者数等※ ⑤脳梗塞のICD10 別患者数等※ ⑥診療科別主要手術別患者数等※ (診療科別患者数上位3位まで) ⑦その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)※「等」は、平均在院日数(自院)、平均在院日数(全国)、転院率、平均年齢、患者用パス」の広告はすでに自院のホームページ上でデータの集計値を公表した場合に診療報酬において加点されていることも知っておきたい。なお、「病床機能報告制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)について、「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000200021.pdf)p4「医療機能の選択に当たっての基本的な考え方」、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000166637.pdf)p47「特定の機能を有する病棟における病床機能報告の取扱い」、p48「特定の機能を有さない病棟における病床機能報告の取扱い」が基本である。「平成29年度病床機能報告の結果について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000200020.pdf)p15「病床機能ごとの平均在棟日数の病棟分布」では平均在棟日数が1ヵ月を超えた高度急性期・急性期がみられるが、どうなのであろうか。「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p77「地域医療構想の実現に向けて実行すべき施策」、p78「急性期病床の適正化;今回の診療報酬改定が、全体としてどの程度地域医療構想に沿った病床の再編・急性期⼊院医療費の削減につながっていくかについて、適切なKPIを設定したうえで、進捗を評価し、必要に応じて更なる要件厳格化等を次期改定において実施すべき。」も理解しておきたい。そういえば、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/index.html)の経済・財政一体改革推進委員会(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/index.html)の「社会保障ワーキング・グループ」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/index.html)の「経済・財政再生計画の改革工程、KPIの進捗整理表(抜粋)」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/300227/sankou2.pdf)p5「病床機能評価報告制度;医療計画の見直し等に関する検討会での議論等を踏まえ、定量的基準も含めた基準の見直しについて引き続き検討・策定し、2018年度の病床機能報告から新たな基準を活用する予定」とあったが、定量的基準は都道府県ごとではないように感じる方が少なくないかもしれない。「経済財政運営と改革の基本方針2018」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0615/shiryo_02.pdf)p56「地域医療構想の実現に向けた個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針について、昨年度に続いて集中的な検討を促し、2018年度中の策定を促進する。公立・公的医療機関については、地域の医療需要等を踏まえつつ、地域の民間医療機関では担うことができない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療提供等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するための再編・統合の議論を進める。」とある。
<今年度(2018年度)の病床機能報告より、▼急性期・高度急性期の機能を全く果たしていない病棟については急性期・高度急性期と報告することを認めない▼必ず「2025年度における各病棟の機能」も報告する―ことと運用を改める―。6月15日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、こういった方針も固まりました。近く、病床機能報告制度に関する厚生労働省省令の改正などを行い、夏には新たな病床機能報告マニュアルが公表されます。いわば「急性期病棟の外れ値」は、急性期・高度急性期との報告は認めない 医療提供体制の再構築に向けて、地域医療構想の実現が急務とされています。骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨が指示されるなど、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)の議論をいかに活性化させるかが重要課題の1つとなっています。6月15日のワーキングでは、調整会議の議論を活性化させるために、「各都道府県において、埼玉県・佐賀県・奈良県などの先行事例も参考に、各医療機能を考える上でも目安・指標(定量的基準とも言える)を定める」ことが固められました。このほかに、冒頭に述べた、次のような「病床機能報告制度の運用見直し」方向も固まりました。(1)急性期・高度急性期の機能を全く果たしていない病棟については急性期・高度急性期と報告することを認めない(2)必ず「2025年度における各病棟の機能」も報告する まず(1)では、▼幅広い手術の実施▼がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療▼重症患者への対応(救急搬送診療料、観血的肺動脈圧測定、経皮的心肺補助法、頭蓋内圧持続測定など)は▼救急医療の実施▼全身管理(呼吸心拍監視、ドレーン、胸腔・腹腔洗浄、人工呼吸など)—について1項目も該当しない病棟では、「急性期・高度急性期」と報告することを認めないとするものです。従前より、こうした「急性期であれば、いずれかは実施するであろう医療行為」を全く行っていない病棟が存在することが知られ、2017年度には1076病棟(急性期等と報告する病棟全体の約5%)が該当します。これまでこうした病棟については、調整会議において「急性期等との報告内容に誤りがないか」「なぜ急性期等と報告しながら、こうした行為が全く行われなかったのか」などを確認するに留められていました。病床機能報告制度は、あくまで「各病院が自主的に機能を判断する」仕組みゆえです。しかし、こうした「急性期であれば、いずれかは実施するであろう医療行為」を全く行っていないにもかかわらず急性期等と報告している病棟は、いわば「外れ値」と考えることができ、今般、「急性期・高度急性期」との報告を認めないとの厳格なルールが設けられるものです。もっとも、「上記の医療行為は実施していないが、別の報告事項に含まれない急性期医療を提供している」場合には、その内容を自由記載した上で急性期等と報告することが可能です。厚生労働省は、これまでに「特定入院料と医療機能との紐づけ」(例えば施設基準に照らし「特定集中治療室管理料は高度急性期とする」など)、「入院基本料と医療機能との紐づけ」(例えば、診療実態に照らし「旧7対1は高度急性期または急性期とする」など)が行われています。さらに、今般、「急性期・高度急性期から『外れ値』を除外する」ことで、病床機能報告の精緻化を図ります。他方、都道府県ごとに「医療機能を考える上での目安・指標(定量的基準)」を設けて調整会議の議論を活性化する方向も示しており、今後、地域医療構想の実現に向けた動きが加速化すると期待されます。厚労省は「2018年度中に、地域医療介護総合確保基金を活用する病院はもちろん、そうでない病院も含めて『個別に将来の病床機能を合意できる』ように調整会議での協議を促す」考えを明確にしています。これが実現すれば、一般病床・療養病床を持つ全医療機関に関し「2025年度において●●病院は、高度急性期病棟を○床、急性期病棟は○床・・」といういわば、全国医療提供体制マップが完成することになります。2018年度以降、「2025年度の機能」を明確にして病床機能報告を行う ところで、病床機能報告では▼現在の各病棟の機能▼6年後の各病棟の機能―については報告を義務付け、「2025年度の各病棟の機能」は任意報告にとどめています。この点、今年度(2018年度)の報告では▼現在、つまり2018年度の機能▼6年後、つまり2024年度の機能―は報告が必須とされ、2025年度の機能は任意報告となり、報告内容の効率化・病院の負担軽減を考えたとき、「わずか1年間の違いについて、別途報告を求めるべきか」との疑問がわきます。また実際の2017年度報告結果を見ると、「6年後の機能」は93%の医療機関から報告されていますが、「2025年度の機能」は任意提出ということもあり61%の報告にとどまっています。地域医療構想は「2025年度における医療提供体制マップ」と考えられ、また「2018年度中に具体的な個別病院に関する機能転換方針を定める」と言うスケジュールに鑑みたとき、「2025年度の機能」をベースにした議論が必要不可欠と言えます。そこで厚労省は(2)のように、今年度(2018年度)以降の病床機能報告制度において「2025年度の各病棟の機能」についても報告を義務付ける(「6年後の機能」報告は不要となる)こととしたものです。あわせて、調整会議の議論に資するよう「将来の病床規模」に関する報告も求めることになります。調整会議の議長がすべて出席する「都道府県単位の調整会議」設置を推奨 さらに6月15日のワーキングでは、調整会議の議論活性化に向けて「都道府県単位の調整会議」設置に関する詳細が了承されました。「都道府県単位の調整会議」設置は義務ではなく、「推奨」にとどめられていますが、その効果は大きく、未設置都道府県では積極的な検討が期待されます。地域医療構想は、主に2次医療圏をベースとする「地域医療構想調整区域」単位で、医療機能の再編を目指すものです。この点、「都道府県全体としての、将来の医療提供体制」を考えることも重要であり、また「各調整会議で共通の課題」「優れた先行事例」があれば、それを共有しておくことが円滑な議論のために有用でしょう。実際に、佐賀県や埼玉県では「管内の全調整会議の議長が参画する、県単位の調整会議」を独自に設け、こうした意見交換を行い、各調整会議の議論を支援し、効果が上がっています。厚労省の調べでは「20都府県」で県単位の調整会議が設置されていますが、裏を返せば過半数の27自治体では県単位の調整会議は未設置です。厚労省は、各調整会議の議論を支援するために、▼全調整会議の議長▼診療に関する学識経験者団体▼医療関係者▼医療保険者―が参画する「都道府県単位の調整会議」設置を強く推奨しています。なお、新たに調整会議を設けず、既存の会議体を活用することも可能です。都道府県単位の調整会議では、▼各調整会議の運用(スケジュールや協議事項)▼各調整会議の進捗状況(具体的対応方針の合意状況や再編統合論議の状況など)▼各調整会議の課題解決▼データ分析(医療機能を考える上の目安・指標)▼広域での調整が必要な事項(高度急性期機能など)—を議論し、各調整会議を支援することが求められますが、地域独自の対応を行うことももちろん可能です。この点、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「構想区域単位の調整会議では、『A病院は機能転換が必要』と思われても、例えば患者の紹介などを受けているなどの関係があり、言いだしにくいこともある。そういった場合、都道府県の調整会議を活用することも考えられるのではないか」と提案しています。一方、佐賀県では「各区域の議論を縛らないよう、県単位の調整会議では、『方向を揃える』にとどめている」ことが織田正道構成員(全日本病院協会副会長)から紹介されました。都道府県毎に、その有り様はさまざまであってよいのではないでしょうか。>
メディウォッチ「都道府県ごとに「急性期や回復期の目安」定め、調整会議の議論活性化を―地域医療構想ワーキング(1) 」(http://www.medwatch.jp/?p=21130)。<以下引用>
<地域医療構想調整会議(以下、調整会議)の議論を活性化し、病床機能報告制度の精緻化することなどを目指して、▼都道府県単位の調整会議を設置し、県内の各調整会議の議長全員の参画を求めることを推奨する ▼各都道府県で医療機能を考えるに当たっての目安・指標(定量的基準とも言える)を、医療関係者と協議して導入することを求める ▼高度急性期・急性期機能を全く果たしていない医療機関は高度急性期・急性期として病床機能報告することを認めない ▼各医療機関に「2025年度の病床機能」に関する報告を求める―などといった見直しを行う―。6月15日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方針が概ね固まりました。今後、親組織「医療計画の見直し等に関する検討会」と社会保障審議会・医療部会の了承を経て、省令改正などが行われます。今回は、「医療機能を考えるに当たっての目安・指標」の導入などに焦点を合わせ、都道府県単位の調整会議設置などは別稿でお伝えします。ここがポイント! 1 佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を 2 地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない 佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者になり、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していくため、こうしたニーズに的確に応え、効果的・効率的な医療・介護サービスを提供できる体制の再構築が求められています。その一環として「地域医療構想の実現」が重要テーマとなっており、骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨を指示しています。機能転換は「医療機関が自主的に進める」ことが基本であり、調整会議の議論活性化が何よりも重要となります。この点について、埼玉県や佐賀県、奈良県では医療関係者と協議し、「医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を考える上でも目安・指標」(ある意味で機能に関する定量的基準とも言える)を独自に設定しています。地域医療構想においては、病床の必要量を設定するために「1日当たりの資源投入量が3000点以上を高度急性期とする」などの全国基準が置かれましたが、これは各地域における機能分化を考える上での物差しではなく、現実的には「高度急性期から慢性期を考えるに当たっての特段の目安・指標」は存在しないのです。目安・指標がないところで機能分化の議論をすることは難しく、「調整会議の議論を活性化する」ために目安・指標を置くことが重要となるのです。埼玉県では、高度急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの手術件数が2.0回以上」などの、急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの胸腔鏡・腹腔鏡下手術0.1回以上」などの基準値を設定しています(あくまで目安にとどめている)。奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている 6月15日のワーキングでは、こうした先進事例を踏まえ、他の都道府県でも「2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議した上で、医療機能を考えるに当たっての目安・指標を導入する」ことを求めるとの方針が概ね了承されました。ここで留意すべきは、目安・指標は「病床機能報告制度において強制力を持つものではない」「調整会議の議論において強制力を持つものではない」という点です。病床機能報告は、毎年度1回、「自院の各病棟が高度急性期・急性期・回復期・慢性期のいずれの機能を持ち、将来、持たせる予定か」を医療機関の「自主的な判断」によって都道府県に報告する、というものです。これまでに「診療報酬の特定入院料・入院基本料と機能との紐づけ」(例えば特定集中治療室管理料は、その施設基準に照らし高度急性期であることが明確である)が行われていますが、各機能の選択は「医療機関が自主的に行う」ことが基本であり、今後、都道府県が設定する(あるいは既に設定している)目安・指標が報告内容を縛ることにはなりません(ただし、別稿で述べるように、急性期等の機能をまったく果たしていない医療機関では、急性期等と報告することが今後認められなくなる)。また、調整会議においても「●●病院は目安・基準を満たしていないので、機能転換を図ること」といった強制的な議論は行われません。これらの目安・指標は、例えば、「自地域では、急性期が多く、回復期が不足している。まず、各医療機関において目安・指標をどの程度満たしているか全体を見てみよう。その上で、客観的・俯瞰的な視点で機能分化が必要かどうかを検討してはどうか」といった活用方法が期待されます。したがって目安・指標は「全国一律」ではなく、都道府県ごとに「医療関係者と協議し、合意を得た上で設定する」ことが重要です。この点について佐賀県の目安・基準作りで中心的な役割を果たした織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は「50回にもわたる議論を行った。目安・基準の内容よりも、議論のプロセスが重要である」と強調しています。地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない ところで、6月15日のワーキングでは、こうした目安・指標の設定に関し、構成員の間で激しい意見の衝突がありました。口火を切ったのは織田構成員。現場では、「2025年における病床の必要量」(地域医療構想)と「毎年度の病床機能報告結果」とを比較し、機能転換に向けた議論をしていきます。しかし病床の必要量は「患者数」をベースに設定しているのに対し、病床機能報告は「病棟」をベースとしており、両者の比較は難しいのです(病床機能報告で1病棟・40床を急性期と報告しても、その病棟には回復期患者などもいるため)。そこで織田構成員は「病床機能報告を見直し、例えば『急性期』と報告する際に、あわせて『うち回復期相当のベッドが●割』などと報告してもらうことで、病床機能報告結果を補正し、病床の必要量との比較が容易になる」と提案しました。これに対し中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「病床の必要量と、病床機能報告結果は、性質が異なり、そもそも比較してはならないものである。仮に織田構成員の提案が導入されれば、『急性期病棟では重症患者割合が60%・70%いなければならない』といった診療報酬や施設基準の議論につながってしまう可能性がある」旨を述べ、織田構成員の提案に強く反対しました。もっとも、上述の「調整会議の議論を活性化するための目安・指標を設定する」ことには賛意を示しています。この議論・論点は、調整会議で実際に機能分化を検討していく際にも非常に重要なもので、織田構成員の「円滑な病床機能報告や調整会議論議のために目安・指標が必要」と言う意見にも、中川構成員の「病床機能報告と病床の必要量を単純比較することは好ましくない」との意見にも頷けるものがあります。今後、各都道府県や各地域医療構想区域(主に二次医療圏)においても、こうした点にまで議論を深め、その上で個別病院の機能転換に向けた具体的な議論が展開されることが期待されます。なお、冒頭に述べたように、調整会議の議論活性化に向けては「都道府県単位の調整会議設置」、病床機能報告の精緻化に向けては「高度急性期・急性期機能を全く果たさない場合の報告方式(急性期等での報告を認めない)」なども方針が固められており、それらは別稿でお伝えいたします。>
地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の資料が出れば目を通しておきたい。厚労省通知「地域医療構想の進め方について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180213_4.pdf)が出ているが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を進めるには、急性期と慢性期の議論を分けて考えた方が良い。急性期については、①病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)が病棟単位での報告であること、②「地域医療構想策定ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p6「高度急性期… 他の構想区域の医療機関で、医療を提供することも検討(アクセスを確認)・急性期… 一部を除き構想区域内で完結;主な疾病ごとに検討」の理解が欠かせない。第一に、病床利用率の低い一般病床について、当該病院が今後の方向を検討することが必要である。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は、高度急性期75%、急性期78%である。医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)では医療機関ごとに、「病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」が出ていることは常識である。日本医師会「地域医療情報システム」(http://jmap.jp/)では二次医療圏ごとの2045年までの医療・介護需要推計が出ているが、某県地域医療構想(https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/keikaku/kenkoufukushi/documents/summary.pdf)p3~に出ているように、都道府県に配布されている「地域医療構想策定支援ツール」(厚生労働省)では2040年までの入院医療需要が出ており、病院関係者との情報共有が欠かせない。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)では2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口が出ており、入院医療需要に影響するのは間違いない。第二に、「平成30年度病床機能報告の見直しについて (その1)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000200021.pdf)p9「高度急性期・急性期機能を選択した病棟について、「具体的な医療の内容に関する項目」の実施の有無を確認」、p10「高度急性期機能又は急性期機能と報告した病棟のうち、急性期医療を全く提供していない病棟について、地域医療構想調整会議での議論の状況を確認してはどうか。」を確実に実施することである。病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の報告結果ページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data.html)では、エクセルファイルで病院・病棟ごとデータがダウンロードできる。また、①医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)による「病床種別ごとの平均在院日数」「対応可能な疾患・治療内容(件数)」、②医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の5疾病・5事業(特にがん、脳卒中、心血管疾患、救急医療)の急性期医療に関連する医療機関届出情報(地方厚生局)検索(http://caremap.jp/cities/search/facility)、各種の入院基本料等加算(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/index.html)、③DPC関連資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049343.html)、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165562.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000165685.pdf)なども参考になるであろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000186391.pdf)に示すように、DPC病院の「機能評価係数Ⅱの①年齢階級別退院患者数 ②診断群分類別患者数等※(診療科別患者数上位3位まで)③初発の5大癌のUICC 病期分類別ならびに再発患者数 ④成人市中肺炎の重症度別患者数等※ ⑤脳梗塞のICD10 別患者数等※ ⑥診療科別主要手術別患者数等※ (診療科別患者数上位3位まで) ⑦その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)※「等」は、平均在院日数(自院)、平均在院日数(全国)、転院率、平均年齢、患者用パス」の広告はすでに自院のホームページ上でデータの集計値を公表した場合に診療報酬において加点されていることも知っておきたい。なお、「病床機能報告制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)について、「地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000200021.pdf)p4「医療機能の選択に当たっての基本的な考え方」、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000166637.pdf)p47「特定の機能を有する病棟における病床機能報告の取扱い」、p48「特定の機能を有さない病棟における病床機能報告の取扱い」が基本である。「平成29年度病床機能報告の結果について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000200020.pdf)p15「病床機能ごとの平均在棟日数の病棟分布」では平均在棟日数が1ヵ月を超えた高度急性期・急性期がみられるが、どうなのであろうか。「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p77「地域医療構想の実現に向けて実行すべき施策」、p78「急性期病床の適正化;今回の診療報酬改定が、全体としてどの程度地域医療構想に沿った病床の再編・急性期⼊院医療費の削減につながっていくかについて、適切なKPIを設定したうえで、進捗を評価し、必要に応じて更なる要件厳格化等を次期改定において実施すべき。」も理解しておきたい。そういえば、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/index.html)の経済・財政一体改革推進委員会(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/index.html)の「社会保障ワーキング・グループ」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/index.html)の「経済・財政再生計画の改革工程、KPIの進捗整理表(抜粋)」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/300227/sankou2.pdf)p5「病床機能評価報告制度;医療計画の見直し等に関する検討会での議論等を踏まえ、定量的基準も含めた基準の見直しについて引き続き検討・策定し、2018年度の病床機能報告から新たな基準を活用する予定」とあったが、定量的基準は都道府県ごとではないように感じる方が少なくないかもしれない。「経済財政運営と改革の基本方針2018」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0615/shiryo_02.pdf)p56「地域医療構想の実現に向けた個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針について、昨年度に続いて集中的な検討を促し、2018年度中の策定を促進する。公立・公的医療機関については、地域の医療需要等を踏まえつつ、地域の民間医療機関では担うことができない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療提供等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するための再編・統合の議論を進める。」とある。