保健福祉の現場から

感じるままに

2040年までの入院医療需要

2018年06月10日 | Weblog
神奈川新聞「逗子の病院開院2年超遅れ 病床数確保見通せず」(http://www.kanaloco.jp/article/337251)。<以下引用>
<逗子市は、医療法人社団「葵会」(東京都千代田区)と進める総合的病院の整備計画で、開院時期を2年以上後ろ倒しした。当初「早ければ2020年度中」としていたが、構想段階で200床以上とする病床数を思うように確保できていないことから、「最短でも22年度中を目標に手続きを進める」に見直した。これまで3度頓挫してきた、市の悲願でもある総合的病院の整備は、先行きが不透明になっている。市は16年12月、総合的病院の運営法人を葵会に決定したと発表。葵会に市有地(同市沼間3丁目)を無償貸し付けし、開設時200床以上、最終的に300床規模で、小児科や婦人科など13の診療科目を有する「(仮称)葵会逗子病院」を整備する構想だ。そもそも今回のきっかけは、県が16年7月、横須賀・三浦二次保健医療圏の基準病床数(5334床)に対し、「175床不足している」と示したことだった。これを受け、市は総合的病院を誘致することを決断。公募で選ばれた葵会に対し、県が109床を割り当てた。構想より少ないものの、同医療圏の病床数が今後も足りなくなるとの見通しから、18年度以降に増床を申請することで不足分を補うことにした。だがことし2月、事態が変わる。同医療圏の医療、福祉などについて話し合う会合の場で、出席者から「圏内の既存の病院に利用されていない病床が349床あり、その活用を優先すべきだ」「この地域でも医師や看護師不足が深刻で、増床しても対応できない」などの意見が出された。こうした意見を踏まえ、県は3月同医療圏の18年度の基準病床数(5307床)に対し、現状は「不足」ではなく、50床の「過剰」と判断。増床の見込みがなくなった。増床が見通せなくなったことで、構想や開院までのスケジュールも流動的で、不確定なものに。市は「市民に現状を丁寧に説明する必要がある」とし、早期開院を目指して簡略化していた関係条例の手続きを原則に戻し、住民説明会や計画の縦覧などを行うことを決めた。これにより、開院が少なくとも2年以上遅れることが確実になったという。市が今月3日に開いた市民説明会。市民からは「どんな病院ができるのか、形が見えない」「良いものを建ててほしいと待っているのに遅れる一方だ」などと不満の声が上がった。平井竜一市長は約30人の参加者に向かい、力を込めた。「多少時間がかかっても、高齢化が進む逗子で病院を実現することを、諦めるべきでないと思っている」>

地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)について、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は、高度急性期75%、急性期78%であるが、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)では医療機関ごとに、「病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」が出ていることは常識である。日本医師会「地域医療情報システム」(http://jmap.jp/)では二次医療圏ごとの2045年までの医療・介護需要推計が出ているが、某県地域医療構想(https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/keikaku/kenkoufukushi/documents/summary.pdf)p3~に出ているように、都道府県に配布されている「地域医療構想策定支援ツール」(厚生労働省)では2040年までの入院医療需要が出ており、病院関係者との情報共有が欠かせない。民間病院も含めて、稼働率が極端に低い病棟(特に休棟)の今後の方向について優先的に検討されるべきである。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)では2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口が出ている。市区町村の性・年齢階級推計人口(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/4shihyo/Municipalities.asp)は、今後の地域医療のあり方に大きな影響を及ぼすのは間違いない。
コメント

医療放射線の適正管理

2018年06月10日 | Weblog
メディウォッチ「医療機関で放射線治療等での線量を記録し、患者に適切に情報提供を―社保審・医療部会」(http://www.medwatch.jp/?p=20970)。<以下引用>
<放射線を用いた検査や治療による医療被曝を最適化するため、CT撮影など「被曝線量が相対的に高い検査」については、▼医療機関において被曝線量を記録する▼患者が他医療機関受診時に活用できるよう、被曝線量記録を患者に提供する―こととしてはどうか。あわせて、患者がCT撮影等を「必要であるにも受けない」と誤った判断をしてしまわないよう、適切な説明を行うこととしてはどうか―。6月6日に開催された社会保障審議会・医療部会で、厚生労働省医政局地域医療計画課の佐々木健課長から、こういった検討が進んでいることが報告されました。放射線診療の適正な管理に向け、まず「線量記録ルール」を設けてはどうか X線撮影やCT撮影、がん放射線療法など、放射線を用いた検査・治療を行うに当たっては、「この患者には、この検査・治療が必要である」との判断(正当化)と、「この患者の検査に当たっては、この程度の線量が好ましい」との判断(最適化)をあわせて行うことが必要です。この「正当化」と「最適化」がきちんと判断されている限り、検査・治療などに伴って患者が受ける放射線被曝(医療被曝)においては、線量限度(どの程度まで、放射線を受けてよいか)は設定されません。必要な検査・治療は提供しなければならず、「患者の病態等を踏まえ、これ以上に放射線治療は好ましくない」と判断された場合には、「正当化」「最適化」が満たされなくなるのです。ただし、放射線等に関する知識の乏しい一般国民・患者が「CT検査等を何度も受けているが、問題ないのか」という不安も生じかねません。そこで厚労省は今般、放射線を用いた検査・治療において、これまで以上に「正当化」「最適化」を適切に判断する体制を担保し、患者に適切な情報提供を行う必要があると考え、昨年(2017年)4月に「医療放射線の適正管理に関する検討会」を設置。6月6日の医療部会に、これまでの検討状況の経過報告が行われたものです。まず「正当化」(放射線を用いた検査・治療の必要性の判断)については、「医療機関の放射線診療に応じた医療被曝」に関する職員(主に医師・歯科医師)研修を行ってはどうか、との方向で検討が進められています。▼放射線診療における「有益性>有害性」の判断 ▼放射線診療の有用性・有害性に関する患者への説明と同意—の2点についてしっかりとした研修を行うことが、これまで以上に重要となってきます。また「最適化」(当該患者の状態等に鑑み、どの程度の線量が適切かの判断)については、「被曝線量が相対的に高い検査」に関して、▼医療機関において被曝線量を記録する ▼患者が他医療機関受診時に活用できるよう、被曝線量記録を患者に提供する―方向が検討されています。また、患者が放射線を用いた検査・治療等を「必要であるにも受けない」という誤った判断をしてしまわないよう、適切な説明を行うことや、CT等の放射線診療機器・放射性医薬品を用いた検査について、やむを得ない場合を除いて「DRL(診断参考レベル、Diagnostic Reference Leve)に基づいて線量・放射性医薬品の投与量の管理を行う」方向も示されています。「被曝線量が相対的に高い検査」としては、▼CT検査のうち「被曝線量の高い検査」を実施する場合 ▼血管造影検査・透視検査を「長時間または反復的」に実施する場合 ▼CT検査などを反復的に行い、高い線量レベルに達しうる場合―が例示されています。また、DRL(診断参考レベル、Diagnostic Reference Leve)は、放射線を用いた検査・治療における線量を最適化するための指標で、検査の種類ごとに「予め標準化された方法で線量測定を実施し、多くの場合は線量分布の75パーセンタイル値」として設定されています。佐々木地域医療計画課長は、「現在、線量記録に関するルールが設けられていない。正当化・最適化をこれまで以上に推進するためにルールを設ける方向で検討が進んでいる」と説明しています。この方向に異論は出ていませんが、山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)から「患者・国民は複数の医療機関や健診機関で放射線を用いた検査・治療を受ける。それらを通じた合計の線量を把握できる仕組みの検討も必要ではいなか」といった旨の、菊池令子委員(日本看護協会副会長)から「医療従事者等の職業被曝についても適正な管理を検討する必要があるのではないか」といった旨の、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)から「医療被曝の有害性に関するデータ取集を行うべき」といった旨の、さらに林修一郎参考人(奈良県医療政策部長、荒井正吾委員(奈良県知事)の代理出席)から「放射線治療機器の適正配備などに向けた考え方を整理していくべき」といった旨の、将来に向けた注文・要望が出されています。なお、未承認の放射性薬物をヒトに投与する場合、現在、医療法ではなくRI法(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律)で管理されています。しかし、本法は「ヒトに対して放射性同位元素(RI、radioisotope)を投与することを前提としている」わけでなく、RI治療を受けている患者が、放射線治療病室などから退出するに当たっての基準(患者から発せられる放射線がどの程度まで減少すれば、退出してよいのか、など)などを定めることが困難である、といった課題があります。そこで、検討会では「研究機関等で調製した未承認の放射性薬物のうち、ヒトに適正に使用できると考えられる薬物について、医療放射線の安全管理の観点を明記した上で、承認済医薬品や治験薬と同様、医療機関内での使用を医療法で管理する」方向での見直しが検討されています。これらの方向はさらに検討会で議論を詰め、まとまり次第、医療部会に改めて報告されることになります。匿名加工された医療情報の活用に関するルール定め、医療の質向上等につなげる また6月6日の医療部会では、厚労省医政局総務課の榎本健太郎課長から「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(通称、次世代医療基盤法)の施行に関する報告も行われました。個人情報保護法の改正により、病歴等を「要配慮個人情報」と位置づけ、患者本人の同意なく第三者に提供することを禁止するなど、個人情報管理の厳格化が求められています。一方、診療情報等は、新たな医療技術の開発や、効果的な疾病予防・治療などに結びつく、極めて重要な情報であり、匿名加工などの一定のルールの下で「情報を利活用できる」仕組みが必要です。そこで次世代医療基盤法では、▼「匿名加工医療情報作成事業の適正かつ確実な実施に関する基準」に適合する者を認定する(認定事業者)▼医療機関等が、あらかじめ本人に通知し、本人が提供を拒否しない場合、認定事業者に対し医療情報を提供することを可能とする(医療機関等から認定事業者への医療情報の提供は任意)—ことなどを規定しています(2018年5月11日施行)。この報告を受けた井上隆委員(日本経済団体連合会常務理事)は、「経済財政諮問会議に、2040年度の社会保障給付費の推計等が示され、医療・介護分野は92.5-94.3兆円となる。国民の負担も増えるが、医療・介護分野をそれだけ『ニーズが増加する産業』と捉えることも可能ではないか。そう考えたとき、医療等のビッグデータ利活用が極めて重要となる。利活用しやすい環境等を整えてほしい」との要望を行っています。なお、経済財政諮問会議には「2040年度の社会保障給付費」に基づくマンパワー推計も示されました。医療・介護・福祉分野のマンパワーは、2040年度には1065万人が必要になりますが、健康寿命の延伸やICT活用などで935万人に抑えられるとの見通しが示されています。この点に関連して島崎謙二委員(政策研究大学院大学教授)は、「介護人材確保に向け外国人人材の活用を考えているようだが、東南アジアでは合計特殊出生率が急激に下がっており、シンガポール等ではすでに近隣国から人材依存が始まっている。『門戸を開ければ外国人が我が国に来てくれる』と考えるのは安直ではないか。ICT活用による生産性向上などが『正攻法』であり、ここに力点を置くべき」旨の警鐘を鳴らしています。>

医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)の「医療放射線の適正管理に関する検討会 における検討状況について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000210432.pdf)p4「日本の医療被ばくの現状」ではCT検査による被ばく線量が高く、p16「医療被ばくの適正管理」は注目である。そういえば、第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の医政局長通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159901.pdf)p12「病院における高度な医療機器の配置状況及び稼働状況等を確認し、保守点検を含めた評価を実施すること。」「CT、MRI等の医療機器を有する診療所に対する当該機器の保守点検を含めた医療安全の取組状況の定期的な報告を求めること。」があったが、機器の保守点検が要請されているが、今後、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000210432.pdf)p16「医療被ばくの適正管理」の観点からの医療安全が要請されるであろう。ところで、「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=419341)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000155420.pdf)p97【医療の安全に係る立入検査の実施について】で「立入検査は、全ての病院に対して少なくとも年1回、診療所・助産所に対しても、3年に1回程度、実施するようお願いする。」とあったが、診療所におけるCT等の保守点検・適正管理のチェックはどうなっているであろうか。
コメント