保健福祉の現場から

感じるままに

精神障害者の地域移行支援とデータヘルス

2018年06月01日 | Weblog
精神科病院の「A230-2 精神科地域移行実施加算」(http://2018.mfeesw.net/?s=%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E7%A7%BB%E8%A1%8C%E5%AE%9F%E6%96%BD%E5%8A%A0%E7%AE%97)は「精神病棟における入院期間が5年を超える患者に対して、退院調整を実施し、計画的に地域への移行を進めた場合に、当該保険医療機関の精神病棟に入院した患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)又は第3節の特定入院料のうち、精神科地域移行実施加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、1日につき20点加算」(http://2018.mfeesw.net/s01/s0101/s010101/s010101002/s010101001006/s0101010010010055/)であるが、「精神科地域移行実施加算は、精神障害者の地域移行支援に係る取組を計画的に進めることにより、当該保険医療機関における入院期間5年を超える入院患者のうち、退院した患者(退院後3月以内に再入院した患者を除く。)の数が1年間で5%以上減少の実績がある場合に、1年間算定する。」の留意事項(http://2018.mfeesw.net/s03/s0106/s010150/s010101428/s010101001260/s0101010010010637/)がある。医療介護情報局(https://caremap.jp/cities/search/facility)の基本診療料「(精移行)精神科地域移行実施加算」をみれば、どの病院が「A230-2 精神科地域移行実施加算」を算定しているかわかる。また、経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)では、都道府県別や二次医療圏別の入院「A230-2 精神科地域移行実施加算」SCRが公表されていることは常識としたい。一方で、「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/231872.pdf)のp54相談系サービス「地域移行支援サービス費」があり、「「緊密な連携」(いずれも月1回以上が目安)・障害者支援施設の入所者や精神科病院の入院患者の処遇に関する会議等への定期的な参加 ・障害者支援施設や精神科病院等からの依頼に基づく、入所者・入院患者への障害福祉サービスの説明や事業所の紹介」が示されている。地域移行支援(https://www.fukushisoft.co.jp/help2/2738/)には、初回加算、集中支援加算、退院・退所月加算、障害福祉サービスの体験利用加算、体験宿泊加算の各種加算がある。また、「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/231872.pdf)p37共同生活援助「精神障害者地域移行特別加算【新設】 300単位/日(1年以内);精神科病院に1年以上入院していた精神障害者への支援の評価」も注目である。しかし、障害者の地域移行支援(https://www.fukushisoft.co.jp/help2/2738/)は精神障害者とは限らない。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/)のためには、障害福祉に関する資源と取り組みの「見える化」が不可欠であり、精神障害にも対応した資源・取り組みかどうか、確認が必要であろう。また、成果の「見える化」として、「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)の「全国・都道府県の精神保健福祉資料」のアウトカム指標にある圏域別の慢性期(12ヵ月以上)入院患者数(65歳以上、65歳未満)、入院後3ヵ月時点・6ヵ月時点・12ヵ月時点の退院率・再入院率を活用したい。平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p67「医療と障害福祉との連携の推進;医療・介護・福祉事業者間での切れ目ない連携を推進する観点から、入退院支援や退院時の指導等における要件に障害福祉サービスの相談支援専門員との連携を追加する。;【介護支援等連携指導料】【退院時共同指導料2】【診療情報提供料(Ⅰ)】[算定要件]」は大きな注目である。また、「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/231872.pdf)p52「入院時情報連携加算【新設】」「退院・退所加算【新設】」「居宅介護支援事業所等連携加算【新設】」を踏まえれば、障害者の地域生活支援事業(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/chiiki/gaiyo.html)は介護保険地域支援事業の「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)との連携が欠かせない。なお、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「社会保障改革の推進に向けて(参考資料)」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0412/shiryo_01-2.pdf)p4「基準病床と比べた既存病床数の割合(精神病床) ~全ての都道府県で過剰~」、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)p23「都道府県人口10万人当たり精神病床数と1人当たり年齢調整後入院医療費に対する精神及び行動の障害の寄与度」、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「平成30年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)の意見」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000188942.pdf)p7「精神病棟に入院する必要がない患者が在宅復帰できない状況の改善に向け、障害福祉サービスと連携して適切に対応することが求められる。」などが出ているにもかかわらず、財政制度等審議会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/index.html)の「新たな財政健全化計画等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/index.html)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/06.pdf)では「精神科病院の構造改革」がない。医療費適正化計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188600.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138072.pdf)やデータヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/)にも精神保健医療がない。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、なぜか地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での機能別必要病床数では精神病床は除外されている。また、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。平成30年度は、「診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)、「介護報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192300.pdf)、「障害福祉サービス等報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=446935)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000195401.pdf)が一斉になされたが、「医療」や「介護」に比べて、どうしても「障害」はデータヘルスの観点が弱いように感じる。「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170011.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170005.pdf)では、平成32年度に「ビッグデータ利活用のための保健医療データプラットフォーム構築(NDB、介護総合DB等)」について、「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=553056)がスタートしているが、「医療」「介護」「障害」の一体的なデータヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/)が必要であろう。
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保健ガバナンスと実践

2018年06月01日 | Weblog
平成30年度から、第7次医療計画(6年間)、第7期介護保険事業(支援)計画(3年計画)、第3期医療費適正化計画(6年間)、第2期データヘルス計画(6年間)、第5期障害福祉計画及び第1期障害児福祉計画(3年間)、第3期がん対策推進計画(6年間)が一斉にスタートしたが、これらの横串は、「地域包括ケアシステム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)と「データヘルス」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/)で、資源・取り組み・成果の「見える化」とそれに基づく「インセンティブ」がセットになっているような気がする。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「予防・健康・医療・介護のガバナンス改革」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0412/shiryo_04.pdf)p1「医療・介護費は経済の伸び以上に増加。その要因を分析し、データに基づく政策の戦略的展開により、個人・保険者・医療機関等の自発的な行動変容を促すことが必須。」、p3「地域における『予防・健康・医療・介護』は、それぞれ密接に関連するが、制度がバラバラ。都道府県の役割は限定的。」「都道府県を、個人・保険者・医療機関等の自発的な行動変容を促す司令塔へ。このため、制度(権限)・予算(財政)・情報(データ)・人材などの面で、都道府県の保健ガバナンスの抜本強化を検討。」とされているのであるが、やはり、「実践に基づく人材育成」が急務であろう。①行政(都道府県、市町村)、②職能団体(医師会、看護協会、介護支援専門員協会、歯科医師会、薬剤師会、栄養士会など)、③拠点施設(地域包括支援センター、地域リハビリテーション広域支援センター、がん診療連携拠点病院、認知症疾患医療センター等)がバラバラに取り組んでいるようではいけない。
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アニサキス食中毒対策を強化すべき

2018年06月01日 | Weblog
食中毒統計(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html)ではアニサキスによるものが目立つようになった。東京都健康安全研究センター「アニサキス症とサバのアニサキス寄生状況」(http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/health/webversion/web28.html)では、「74.3 %のマサバからアニサキスⅠ型幼虫が検出」、「1尾あたりの平均寄生数は22個体」、「マサバ筋肉部への平均移行率;東シナ海・日本海側0.10 %、太平洋側11.10%」は認識したい。全国生活衛生・食品安全関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000204654.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000204662.pdf)で、食品衛生法等の一部を改正する法律案(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-26.pdf)が解説されているが、「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化」はアニサキス食中毒(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html)対策も念頭に置きたいところかもしれない。業者ではアニサキス検査装置(http://www.ishida.co.jp/ww/jp/products/inspection/anisakisdetector/ispector.cfm)や液体急速冷凍機(http://kyusokureitoki.jp/lineup/)の普及も必要と感じる。また、食品中の食中毒菌汚染実態調査(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01.html)には様々な魚種のアニサキス寄生調査と公表が必要であろう。アニサキス食中毒(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html)はサバだけではない。
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医療機能情報提供制度の報告項目見直し

2018年06月01日 | Weblog
メディウォッチ「各医療機関の「診療の質」情報を公開するだけで、「診療の質」が向上する―医療情報提供内容検討会(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=20877)。<以下引用>
<医療機能情報提供制度、つまり都道府県の医療機関検索サイトについて、掲載情報の見直しを2019年度以降行ってはどうか。あわせて、将来に向けて「診療の質」(QI)に関する情報についての掲載についても検討してはどうか、「診療の質」情報を掲載・公表するだけで、各医療機関の「診療の質」が向上することが見込まれる―。5月31日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」では、こういった議論も行われました。厚生労働省は、今秋(2018年秋)を目途に、「2018年度診療報酬改定などを踏まえて、医療機能情報提供制度の報告項目」見直し内容を固める考えを示しており、各都道府県で予算を確保した上で、2019年度以降に医療機関検索サイトの見直しなどを行うことになりそうです。なお「医療の質」に関する項目についても報告を求め、公表するのか、と言ったテーマについては、より根本的な議論をする必要があり、決着までにはしばらく時間がかかりそうです。2018年度診療報酬改定等踏まえ、医療機能情報提供制度の項目を2019年度以降見直し あまり知られていないようですが、各都道府県では管内医療機関から報告された情報(医療機能情報提供制度)をもとに「医療機関検索サイト」を構築しています。各都道府県のホームページからはもちろん、厚労省のサイト「医療機能情報提供制度(医療情報ネット)について」から、各都道府県の検索サイトにたどり着くこともできます。厚労省は2007年に医療機能情報提供制度(医療情報ネット)を立ち上げ、各医療機関に対し、少なくとも毎年1回以上、次のような情報を提供することを求めています(医療機関から都道府県に報告)。▼基本情報(名称、所在地、電話番号、診療科目、診療時間、ベッド数など)▼アクセス情報(交通手段、駐車場の有無、予約診療の有無、時間外対応など)▼院内サービス・アメニティ(対応可能な外国語、障害者サービス、受動喫煙防止策、相談線体制など)▼費用負担等(保険診療、選定療養、治験の有無と実績、先進医療の有無と実績、クレジットカード利用の可否など)▼診療内容、提供する保健・医療・介護サービス(医師等の保有資格、設備、対応可能な疾患と治療の内容、対応可能な在宅医療、対応可能な介護サービス、セカンドオピニオン、地域連携体制など)▼医療の実績、結果(人員配置、看護配置、医療安全対策、患者数、平均在院日数、死亡率、再入院率、疾患別・治療行為別の平均在院日数、患者満足度調査結果、日本医療機能評価機構による認定の有無など) 各都道府県では、この情報を整理し医療機関検索サイトを構築しています。例えば、東京都では「ひまわり」(医療機関案内サービス)、「t-薬局いんふぉ」(薬局案内サービス)を構築し、「キーワード(地域や診療科など)入力」による検索のほか、▼場所・日時▼診療科目▼対応できる外国語▼診療領域—などから医療機関を探せる環境を構築しています。そこでは、診療科や診療領域など別に、「自宅等を中心に、半径●メートル以内の医療機関」「●●駅付近の医療機関」を探すことができ、上述した医療機関情報を見ることが可能です。厚労省は今般、この検索サイトの基礎情報となる「医療機関からの報告項目」について、次のような見直しを行ってはどうかを考えています。さらに「スマートフォンやタブレットへの対応」「外国語対応」なども検討してくことになります。(1)報告内容の中には診療報酬に関連する事項(指導料や加算の届け出の有無など)もあり、2018年度診療報酬改定を踏まえた見直しを行う(2)医療現場の負担軽減を行うため、他制度(例えば病床機能報告制度)で収集している項目との整理を行う(3)患者の利便性を高めるため、海外の類似制度で盛り込まれている項目を追加する まず(1)については、例えば「オンライン診療」を実施しているか否か、などを新項目といて追加する考えが、厚労省から例示されています。また医療機能の評価について、JCI(Joint Commission International、医療機関の国際的評価機関)による認証もあり、これらの整理もなされる見込みです。「診療の質」情報を公開するだけでも、医療機関の質は向上する 一方、(3)については、例えば米国では、連邦政府と医療保険者(高齢者向けのメディ・ケア、低所得は向けのメディ・ケイド)が協働して「Hospital Compare」というサイトを構築。全米の83.1%の病院が参加し、▼死亡率▼医療安全▼再入院率▼患者の声▼治療の効果▼治療に関する時間▼効率的な検査の利用―など57項目にわたる情報を掲載されています。さらに、個別医療機関の情報にとどまらず、例えば「骨折し、医療機関に係ってから鎮痛剤を投与されるまでの時間」や「救急搬送されて処置等を終え、退室するまでの時間」などについて、当該病院の数値はもちろん、「州平均値」「合衆国平均値」なども併記され、当該病院の機能や立ち位置を見ることが可能になっています。また英国では、NHS(National Health Service)が全医療機関を対象に1925項目にもおよび情報を公開しており、そこでは患者の口コミなどをもとに医療機関を「星印」でいわばランク付けしています。これらの中には「診療の質」に関する情報も数多く含まれており、我が国の医療機能情報提供制度や海外の状況を調査研究している福井次矢参考人(聖路加国際大学学長)は、「我が国の医療機能情報提供制度(医療機関検索サイト)を利用したことのある人(195名)の9割近くは『診療の質』に関する情報の追加によって検索に役立つと考えている。我が国でも、診療の質を示す指標(QI、Quality Indicator)の公開を検討すべき」と提言しています。この点、平川則夫構成員(日本労働組合総連合会総合政策局長)らは、「医療機関によって患者の構成が異なる」点などを指摘し、工夫が必要との見解も示しています。例えば「がんの5年生存率」1つをとっても、「早期患者のみを受け入れる」病院と「ステージの高い進行した患者も積極的に受け入れる」病院とでは、数字の意味が異なっていくという指摘です。福井参考人も「患者構成等の標準化など、技術的対応はまだ完成の域には達していない」とし、工夫の余地が多くあることを認めています。もっとも福井参考人は「数字を公表することで、各病院の『診療の質』が明らかに高まっている」と強調。しかも「DPCデータなどから抽出するのではなく、各病院がQI指標を実際に計算し、公表することで『診療の質』が改善していると感じる」とも指摘。生存率や治癒率などは「単純比較できない」点をしっかりと明示した上で、QI指標を公表していくことの重要性(数字を公表するだけで改善する)を強く訴えました。検討会では、こうした『診療の質』に関する情報について、▼医療機関からの提供をどう求めていくか(負担を考慮すればDPCデータ等からの抽出が考えられるが、nonDPC病院をどうするか、DPCデータでない方が好ましいという指摘もある点などを検討する必要がある)▼提供されたデータをどう公開するか(単純比較できないとの但し書きを設けても、数字の公表に懸念を示す向きも少なくない)—といった点を、ある程度、時間をかけて検討していくことになります。したがって、(1)や(2)の項目見直しと同時期(検討会で今夏までに見直し内容を固め、今秋に都道府県に通達し、都道府県で2019年度以降、サイトの改修等を行う)に追加されることは考えにくそうです。この点に関連して尾形裕也構成員(九州大学名誉教授)は「米国では、医療機関同士を比較可能となっている。選択は『比較』の後に行われるもので、我が国でも大いに参考にすべきである」と指摘しました。非常に重要な視点ですが、システムの構築などに費用・時間もかかると思われ、中長期的な目標と考えられます。なお山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「地域医療構想を国民にも理解してもらうため、例えば、『この病院は、どこから患者が来て、どこに退院していくのか』(急性期であれば、自宅等から入院し、回復期等の病棟へ転院することが多い、など)という機能も明示すべき」と、やや異なる視点からの提案を行っています。都道府県の医療機関検索サイト、認知度は10%程度 ところで、冒頭に述べたように医療機能情報提供制度(医療機関検索サイト)を知っている人は、それほど多くないようです。福井参考人の研究(全国の20歳以上の男女2875名を対象にしたアンケート調査)によれば、認知度は11.0%。東京都や滋賀県でも、同程度の認知度にとどまっています。この数字の評価はさまざまですが(患者ではなく、一般国民の1割強が認知しており、相当高いとの見方も可能)、山口構成員は「6年ほど前の状況と変わっていない。広報を強化するなど、周知に力を入れる必要がある」と指摘。木川和弘構成員(アンダーソン・毛利・友常法律事務所、弁護士)は「民間サイトと競争するのではなく協働すべき」、石川広己構成員(日本医師会常任理事)は「例えば『頭痛』など症状から医療機関を検索できるような工夫をしてはどうか」と提案しています。患者や一般国民が医療機関をインターネットで探す際には、例えば検索サイト(googleやyahooなど)で「症状や場所」を入力し、検索することがあるでしょう。その際、検索結果に「医療機能情報提供制度(医療機関検索サイト)」が上位に上がれば、認知度も高まってくると思われますが、一定の専門知識が必要となり、また事業者への依頼する場合には費用もかかります。メディ・ウォッチでも「医療機能情報提供制度(医療機関検索サイト)」の普及に、微力ながら協力していきたいと思います。>

キャリアブレイン「「医療広告ガイドライン」違反サイトは160件 厚労省委託事業で603件を審査」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180531152513)。<以下引用>
<虚偽・誇大表現など、医療機関の不適切なウェブサイトを監視するための「ネットパトロール事業」で、2017年度中に「医療広告ガイドライン」違反の疑いがある603件のサイトの審査が行われ、このうち160件に違反が認められたことを厚生労働省が明らかにした。「ネットパトロール事業」は、特設サイトの運営と審査、違反している医療機関への通知までを、厚労省が事業者に委託して実施している。17年8月24日に特設サイトをオープンして、一般からの情報を募った。違反の疑いがあるとして審査を行ったサイト603件のうち、一般からの通報は494件で、事業者のキーワード検索によるものが109件あった。審査の結果、系列の医療機関も含めた517機関のサイト160件に違反があるとし、事業者は17年度中に352機関へ違反を知らせた。3月31日時点で「改善を確認」が97機関、「修正中・修正依頼中」が86機関、「リスティング広告取り止め」が162機関で、「未対応」は7機関。事業者は、通知から1カ月をめどに改善状況を確認しており、改善が見られない場合は該当する自治体へ情報提供する。>

「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=335126)の「医療機能情報提供制度の報告項目の改正について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000209658.pdf)が出ている。医療法に基づく医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)に関する「一定の情報」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1031-6a.pdf)は、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の報告結果ページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data.html)がエクセルファイルで病院・病棟ごとデータがダウンロードできるように、データベース化されるべきであろう。「平成28年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000196043.html)ではDPC病院の詳細な実績データが出ているが、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000186391.pdf)に示すように、DPC病院の「機能評価係数Ⅱの①年齢階級別退院患者数 ②診断群分類別患者数等※(診療科別患者数上位3位まで)③初発の5大癌のUICC 病期分類別ならびに再発患者数 ④成人市中肺炎の重症度別患者数等※ ⑤脳梗塞のICD10 別患者数等※ ⑥診療科別主要手術別患者数等※ (診療科別患者数上位3位まで) ⑦その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)※「等」は、平均在院日数(自院)、平均在院日数(全国)、転院率、平均年齢、患者用パス」の広告はすでに自院のホームページ上でデータの集計値を公表した場合に診療報酬において加点されている。医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)、DPC病院情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000196043.html)は整合されても良いように感じる。「薬局機能情報提供制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html)、「介護サービス情報公表システム」(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)、「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」(http://www.satsuki-jutaku.jp/index.php)、「障害福祉サービス等情報公表制度」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000187441.pdf)などもデータベース化が必要であろう。「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170011.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170005.pdf)では、平成32年度に「ビッグデータ利活用のための保健医療データプラットフォーム構築(NDB、介護総合DB等)」について、「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=553056)がスタートしているが、医療・介護・福祉の資源の「見える化」が弱い感じがしないでもない。
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