東京都知事選挙で現職の小池百合子氏が366万票を得て再選された。そうなるだろうと予想は出来た。候補者が22人もいても、小池氏以外に有力な人は見当たらなかった。1度も街頭演説はしなかったそうだが、それだけ逆に、コロナ禍で奮闘しているイメージが出来た。ただ、同時に行われた区議の補欠選挙では、「都民ファースト」は1人も当選しなかったというから、4年前のエネルギーは消滅しているようだ。
それにしても小池氏は何がしたいのだろう。コロナ対策でも毎日テレビに出ているから、頑張っているように見えるけれど、一貫性は感じられなかった。次々と出てくる横文字に翻弄されるばかりでよく見えなかった。見えないといえば、4年前の選挙で「7つのゼロ」を掲げていたけれど、あの公約は一体どうなったのか。豊洲移転もオリンピックも、何だか分からないままだ。目立ちたいことは分かっても、何を実現するのかは見えてこなかった。
私が首長選に立候補した時、既に県議になっていた高校の友だちに、「お前が政治家を目指すとは思わなかった」と言われた。確かに私は政治家には向いていなかった。私が立候補したのは、行政の情報公開を行うことと、選挙もせずに首長を決めてしまう習慣を阻止することだったが、後者に重点を置き過ぎていた。情報公開が行われていない現状だけでなく、公開が住民自治の鉄則であることをアピール出来なかった。
政治家の多くが、何をしたいというより、より上の地位に就きたい傾向にある。実現せねばならない政策は後回しというか、政策は目立つもので票になればよい、そんな政治家が多い。小池氏も安倍首相もそんなタイプの政治家のように思う。いや、安倍首相には岸元首相が実現できなかった「憲法改正」しか、頭にないのかも知れない。小池氏は首相を目指しているのだろうか。