友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

7人の新任教師

2018年11月13日 17時08分15秒 | Weblog

  朝、ルーフバルコニーで作業をしていると携帯が鳴った。けれど、手にした時は鳴り止んでしまった。電話の主はおよそ見当が付いた。私が高校の教員となった時、新任の仲間が7人いた。私と英語の教師だけが同じ歳で、残りの5人は年上だった。会社勤めや私学の教員だった人もいて、年齢の幅も広かったが、どういう訳か仲良しだった。

 昨年、この職場の「7人の会」を再び開催したところ、「今年もやろう」とみんなが言うので、来週の火曜日の20日に開くことにした。今回は私たちを可愛がってくれた先輩教師が参加してくれることになった旨のハガキを送ったが、ひとりまだ返事が来なかった。彼から返事が来るまで、こちらから電話するのはよそうと決めていたので、電話がかかってすぐ彼からだと思った。

 「悪い。やっぱり行けんわ。ボクの方が倒れそうだわ」と、昔と変わらない声質で言う。彼が退職してから、彼のカミさんは心を病んでしまった。新任の頃、みんなで黒姫高原へ遊びに行った。その時から彼女は私たちと一緒に行動していた。学校の前で先生たちを相手に昼飯を食べさせてくれる店をお母さんとふたりでやっていた。多分、結婚相手によい人を探していたのだろう。

 彼の方は朗らかで真面目で不器用だった。保健部の担当となり、先輩たちから「女子生徒の胸囲の測定をしてくれる。生徒は下着をつけずに来るから」とからかわれたのに、本気にして「ボクでいいんですか?」と聞き直して大爆笑だった。真面目というより一般常識に欠けるのではないかとさえ心配した。歳を重ねても子どもっぽいところがあって、マイペースだったと思う。

 普通高校への勤務を希望したのに、どう教えていいのか分からず、ノイローゼになって何年か休職した。強面なのに小心でクヨクヨする夫をよく支えてきたカミさんだったが、退職してやれやれと思ったのか病気になってしまった。彼は朝から晩まで、カミさんの世話に明け暮れているから、「ボクの方が倒れそうだ」と言うのも分かる。歳を取ると、「夫源病」やら「妻源病」やらに陥る夫婦は多いと聞く。然も有りなん。

コメント
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